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36 死に挑むラプソディ【呉】⑪

「ブモォォ…」


 結構音がデカく、位置がわかりやすいな。

 ちょっとした配慮ってやつか? …いや、たぶん偶然だな。


 音が結構上から鳴ってるんだよな…

 そんなに巨大なのか?


ブオンっ!


 …ん? 刃物が空気を切る音がしたぞ…?


「…もしかしてミノタウロス…?」


 あの人にも牛にもなりきれてない中途半端が…?

 ってか神話生物だろうが。これまでめちゃくちゃ動物園だったじゃん。

 ……牧場に軌道変更か?


 …ってか超今更だが、空振ってなかったら俺死だったからな…?

 長門を納刀してたり、体力の数値が今700だとしても、流石に堪えれないだろ…

 ワンチャン【老婦人(オールド・レディ)】にかけてもいいがな。


 だって、魔力が208に増えたからな。前の2倍だからな? 生存時間が2倍になるんだからな。

 SPが有り余っててこんな事もできて、割り振ってる時は楽しかった。


「…そんな呑気なこと考えてる暇無いな…」


 ズシン、ズシンとこちらに近づいてくる音がする。

 …あれ? もしかして相手には見えてるの?


 ウッソだろふざけんな!

 んなもんどうやって勝てって言うんだよ!

 え、じゃあ配信画面も見えてるってこと…?


 俺の珍行為と醜態さらけ出してるだけじゃん。…配信切ろかな。


ピクッ


 ゾワッ…


バッ!


 背筋に悪寒が走り、反射でその場から遠ざかる。


ブオンッ!


「ブモォ?」

「…ッぶねぇなこの野郎!」


 眼の前で何かが通っていく感覚があったぞ! 

 風圧さえ感じたからな…!


 …これが殺気ってやつなのか…?

 あんまり気にしたことがなかったが、こういう感覚だったのか。


「…流石に、出落ちしてもらうとするか…!」


 眼の前にいることは確定している。…瞬間移動でもしてない限り。

 こいつの動作は全体的に遅いから、行けるはずだ。

 回数制限とか気にしている暇じゃねぇな…!


「【41cm砲】!」


ドォン!

ズババッ!


「ブ……ブモォ……」


バタンッ


[ミノ太を討伐しました!]

[第3戦艦 伊吹 攻略率1/5]


「…えぇ… あっけな…」


 いつも通りのひどい名前に引きつつも、弱さの方に絶句していた。

 流石に短刀の一撃じゃ切りきれなくて二撃目で胴を両断したわけだが…


「…弱っ…」


 ほんとにLUNATIC? ゆるすぎない…?

 もうちょっと歯ごたえがあると思ってたんだけど。


『…ふむ… パニックになる前提だったので強化をしていませんでしたが… 今度は敵も強化しておきましょうかね。』


 ……は?


「………余計なことすんなぁ!」

『…報酬にも色を付けてあげようと思ったのですが…』

「喜んでやらせていただきまぁす!!!」


 それなら俺が拒否る理由はない!

 なんの報酬もなく労働をするのは一番嫌いだ! 結果が見えてるからこそ努力できるってもんだよ人間は!

 情けないことを言っている自覚はある!


 多分、今回も連戦なんだろうなぁ… メンドクセッ!

 でもやる! 報酬のために!


「…ってか、流石に真っ暗すぎて常に目を瞑ってるみたいな感覚になって若干気持ち悪いな…」


 閉じても開いても同じだから脳みそがバグる。

 ここで10回回ったら三半規管が灰になる自信がある。絶対酔う。

 ステータス欄出しっぱにしとくか。これで若干緩和されるはずだ。


「長居すると精神が摩耗して粉末になる気がするし、攻撃回数制限とか気にしてる暇じゃない。撮れ高も気にしてる場合じゃないな… 全員に出落ちしてもらおうか!」


 俺の運動神経はデフォの7倍だぞ? それぐらい出来なきゃステータスはなんのためにあるんだよ。


「そんじゃ、いっちょやりますか!」


 自分を奮い立たせ、次の敵に備える。

 抜刀の構えを取り、本気で出落ちを狙う。


 耳を澄ませ、音がなった瞬間に…


ズルっ…


「―――【41cm砲】!」


ドンッ!

ズバッ!


[メドゥーサを討伐しました!]

[第3戦艦 伊吹 攻略率2/5]


 えぇ… いけちゃった…


「どんまい、当たった相手が悪かった。」


 メドゥーサとか本気で戦ってたら厄介だったんだろうなぁ…

 ノールックで倒さなきゃいけないんだぜ? 多分石化は健在だろうし。


「…ってか俺いま甲板のどのあたりにいるんだ…?」


 位置がわからないのが一番問題かもしれない。


『…魔眼持ちにしてみたのですが… 意味がありませんでしたね。』

「なにそれ?」

『睨まれたら即石化で即死でしたのに… チッ…』

「なにしてんのぉ!?」


 あとチッ… ってなんだよ! くっそ不安になるじゃねぇか!

 え、大丈夫? 次の敵とか化物みたいな性能してたりしないよな?

 …モンスターって全部化物か…

 というか、こいつの攻略は実際これが模範解答ってことか。


 …ってか、相手からは俺が見えているっていうことだよな。

 …最悪なアドバンテージを相手に持たせるんじゃねえよ……

 良くも悪くも、LUNATICらしい難易度になってきたんじゃねえの?


 じゃあ…それだけの報酬を期待してもいいっていうことだよな?

 存分に期待していようじゃねぇか。


「…次の敵も厄介だったりするんだろうなぁ…」


 盲目って非常にデバフだよな。

 何かしらの対策を取らないと勝ち目がないかもしれない。

 もし、ダミーで音を鳴らせる敵なんかでてきたら発狂するぞ。俺に心眼なんてもんはないんだよ。


「あぁ〜 めんどくせぇ〜」


ザザッ…


 ……もうでてきたのか…? 心の準備が……


「「「アオォォォォォォン!!!!!!!」」」

「うるっせぇぇ!!!」


 どこにいるかがわからないじゃねぇか! うるさすぎて!

 ギミックと相性最高かよ。クソが!


 …あぁ〜 戦いたくねぇ〜

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