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35 死に挑むラプソディ【呉】⑩

 …気づいたらレベルが236になっていた。

 何言ってるのかわかんねぇかも知れねぇが、俺にもわからねぇ


 夢でも見てんのか?

 236なんて、上級の人達だぞ…?

 え…?


 いや、まぁ、500超えてる人もいるけど…

 ……?


「何が起こった…?」


 理解不能… 頭から湯気出てくるわ。

 そのうち間欠泉になるんじゃね…(?)


『ルールによってしばられていた経験値が解放されたまでです。』

「うぉう! 急にビビらせんなよ!」

『そのようなつもりはなかったのですが…』


 知らねぇよ、俺が驚いたんだからお前のせいだ!

 なんていう悪質クレーマーじみた考えをしながらも、レベルに関しては納得した。


「じゃあ、LUNATICじゃ経験値はしっかり入るってことなんだな?」

『えぇ。そのとおりです。』

「……滅約の書強すぎるんじゃないの?」

『それぐらいしても勝てない難易度にしておりますので。』


 …えぇ…

 やめとけばよかったか…?

 だって後半になるにつれて強くなるんだぞ…?


 流石に短気すぎた。ちょっと精神力鍛えるために修行する必要あるか?

 ……滝の中でジップロックに入れたスマホを開いてショート見てそうだな…


 あれ? まったく修行できてなくない?

 除夜の鐘を身に浴びるしか無いのか…

 …多分日の出とともに煩悩も復活してるんだろうけど。


 ……話が脱線して銀河鉄道になり始めたな…


「要は、「ルールが全部なくなってもお前には攻略できねーよ雑ー魚ww」 ってこと?」

『えぇ。このLUNATICは言ってしまえば「ぼくのかんがえたさいきょうのだんじょん」のようなものですので。』

「どっからそういう語彙を持ってくるん?」


 変な学習してない? 大丈夫?

 威厳壊滅しかけてるよ?


『では、この調子で是非私の下までたどり着いてくださいね。』

「首を洗って待っていろよ? 俺の刀が汚れないようにな。」

『えぇ。首を長くして切りやすくしておきますね。』


 へぇ、ジョークも言えるんだなこいつ。

 ろくろ首か! ってツッコミたくなったわ。

 まぁ、首を長くして待つで言葉遊びをしたまでだろうがな。


 …やっぱ、寂しいもんだ。1人ってのは。

 観客がいても、ステージに立つのは俺1人だしな。


 まあ、そんな事を考えても俺一人で来いってルールに言われてんだ。

 ボッチで行ってやるよ! ってかそもそも一緒にダンジョンに来てくれるやつがいねぇよ!


「ちょっと休憩してから行くとするかぁ…」


 流石に疲れた。頭は使ってないが体がつかれた。


「床が硬ぇ…」


 寝転びてぇのに… ここにスマホがあったら気づけば五時間経ってそうだな…

 そのくせ全く体力が回復していないという現象が起こる。

 …なんじゃそりゃ。


「菓子開封して視聴者と雑談でもしてようかな。」


 少し腹も減ってきたしな!

 …敵戦地のド真ん中なのにゆるすぎる……





「…っていう理由でダンジョン入ろうと思ってたんだよな。でもさぁ、夏休みなら家でゴロゴロしたいじゃん? わかるよな? そうそう。気づいたら時間が溶けてるのが無意味に楽しいんだよ。…ん?」


 視聴者との雑談に花を咲かしていると、【注目強化(アテンションプリーズ)】が切れたみたいだ。

 …やべ、結構勿体ない…


「まぁどうせ、今日はもう使えないんだし、そろそろ行くとするか。」


 結局ポテチ一袋食った。

 カロリー? そんなの消費すればいいだけじゃね?

 なんて言ったらダイエット女子から発勁が飛んできそうだ。


「行きますかぁ、次の戦艦へ。」


 後ろの方でずっと放置されていた魔法陣の方向を向く。

 …なんかごめん。魔法陣。


「SPも振ったし、体力も回復したからな。まだ全体の1/5なんだし、とっとと攻略しねぇとな。」


 …ん? この苦労をあと4回繰り返すの?

 地獄じゃん… あ、キチガイなんだった。


「はぁ… 報酬に期待するとしよう。」


 次のギミックはなんだろうか。


スッ


 魔法陣に足を踏み入れ、甲板に出てくる。

 …なんで毎回スタート地点が甲板なんだろう。ザ・戦艦みたいな感じがするから?


[第3戦艦 伊吹]


 …いや、だからなんで伊吹…

 ……え? もしかして… 五十音順…?


 …いやいや、流石にそんな安直なことはしないでしょ…


フッ


「…んなっ!?」


 急に視界が真っ暗になったぞ!?

 何も見えな…


「ステータスオーペン」


 あ、これは見れるんだ。


『視界に頼らず咄嗟の殺気に反応できてこそ、人の限界を突破できるものというものです。安定しない船舶の上でどれほど持ちこたえれますかね?』

「はぁ!?」


 え、こいつ俺に人間やめろと? 今でも十分卒業している自覚はあるぞ?

 これ以上やめたらなに? 俺異形にでもなればいいの?

 ク◯ゥルフの仲間入りしたくないよ!?


「ってかステータスは見れるんだな」


 じゃあコメ欄も見れるか。ならダイジョ…バナイ!

 タイムラグあるじゃねえか! クソが!


『一対一なので安心してください。』


 変な配慮してんじゃねえよ!


 …ッチ! ドパガキの一番の情報源である視界を塞がれたらドパれねぇ!

 はぁ… 真面目にやるしか無いのか…


 真面目のやり方ってどうするんだっけ…?


ズシィン!


 数m先ででっかいなにかが出現した音がする。


ブシュー、ブシュー


 …うん、生き物だ。


「ブモォォォ!!!」


 うん、牛だ。


「…俺に闘牛士(マタドール)の経験はないっての!」


 どうしろっていうんだよ… まじで。

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