24 男子ってだいたいこんな感じ
「はぁ。一応来たがなんだよ。手伝ってほしいことって。普通にスマホで伝えりゃよかったじゃねぇか。」
「まぁそうなんだけど、なんか面倒くさくて」
「お前俺が来なかったらどうするつもりだったんだよ?」
「え、来ないことある? お前どうせ暇だろって思って。」
「んだとコラ。」
まぁ実際暇だったんだがな。
ちょうどあのあと何しよっかなーって考えてたし。
「いやあ、あの後気になって色々ダンジョンのこと調べたんだよな。そしたらだんだん興味持っちゃって。」
「で、俺に手伝えと。」
「そ。なんかアドバイスくださいよー。先輩ー。」
「お前が後輩とか身の毛がよだつわ。」
「そんな拒否しなくてもー」
昔っからの付き合いだからこんな軽いことを言えているが、それこそ本当にあんまり関わりのない後輩だったら完璧すぎて嫉妬で呪い殺すかもしれん。
――――爆ぜろ!
「で、なにか用意しているのか?」
「いんや?」
「は?」
武器すら持ってねぇのかこいつ。マジかよ。
…もしかして素手系? 格闘家に目覚めようとしてるのか?
「…空手とか習ってたっけ?」
「何の話だよ。お前におすすめのやつとか教えてもらおうと思っててさ。」
「そういうことかよ。」
授業料として女性を紹介してくれねぇかなぁ?
こいつどこまで根を張ってるんだってぐらい人脈広いもん。
…なんで旅行先で見知らぬ人と連絡先交換してんだよ。そしていちいち俺に報告してくるな!
そういや、アイテムドロワーになんかちょうどいいものあったかな?
あ、そうそう。ちょうどいいのがあったわ。
スッ
「使ってねぇしこれやるよ。」
「え? 今どこから出した?」
「丈夫の秘密だ。」
「なんでそういう語彙はあるんだよ? 国語26点さん。」
うっせ、黙れ。俺の過去最低得点をここで出してくるな。
こういうのをいつまでも覚えているから厄介なんだよ! 幼馴染ってやつは!
「ってか金属バットって… 初心者が持つ武器なの…? これ…?」
「バールでも良いぞ? 鉄パイプとか。あとはツルハシとか? どうせお前の家にあるだろ」
「流石にツルハシはないと思うよ!?」
あるだろ。確証はないけど。
「ほれっ」
「ちょっ! …重っ!?」
「言うほど重くねぇだろ。…体力テスト学年2位のくせに」
「1位は涼だろ!?」
あれ? そうだっけ?
どうでも良くて忘れてたわ。
「というか、これじゃ重すぎて武器として使いにくいって…」
「私の預けた武器が使えぬというのか!」
「うわ… ブキハラ上司だ…」
まぁいいか。
使えねぇならしゃあない。
「はぁ… お前小遣いあるんだから好きなもの買え。俺はこれ一本で戦ってきたんだよ。」
光の手にある金属バットを取り上げる。
…まぁ、これ自体金属バットから長門にすぐ切り替えたから一本で戦ってきたとは言えないが。
スッ
「あっ、ちょっ!」
は? 重たくて使いにくいとかあれこれ文句言いながら今度はなんだよ。
「それ使う! それでいい!」
「はぁ… ほれっ」
「サンキュー」
この光の様を見ればクラスの女子はまず目を疑うだろうな。
こんなチャラいことしてるんだから。学校では完璧超人文武両道眉目秀麗焼肉定食才徳兼備。
…ちょっと変なの混じっていたが、こういう奴なのだ。
こういう姿を見せてくるのはいつメンの4人と、身内ぐらいだろうな。
内面と外面分けんなや。対応がめんどい。
外ではいっつも 〜ですとか、 〜ますとかつねに敬語使ってて疲れるんだよ。
そしていつも通り学校で話そうとすると女子の眼が痛いんだよ!
ジト目でチクチク差してくるあの視線がさぁ!
「で、どうするつもりなんだ?」
「レベル上げしてみようかなって。」
「え? それだけ?」
「他になにかあるの?」
「いや、レアモン倒したりとか階層守護者挑んだりとか、宝箱取ったりとか。そんなの興味ないの?」
「あるわけ無いに決まってるだろ! 宝箱って浅層にはゴミしか無いし、レアモンなんて倒せるわけ無いよ! ましてや涼が!」
お? やるか?
長門を出すまでもなくお前なんかスワイプで宇宙にポイッだぞ?
地球の青さ体感させてやろうか? スペースデブリに衝突しとけ。
「というか、そもそも階層守護者ってまだ1人しか討伐できてないんだから。」
「え? そうなん?」
「あれ、涼の家にインターネットって無かったっけ?」
「だーれがデジタル難民だ。情報格差じゃねぇよ。」
興味がないだけだ。
でも討伐できたのが俺だけってなんだか誇らしいな。
こいつに自慢してやろうか。目ん玉飛び出して失明しねぇかな。
「階層守護者って強いけど、誰も倒せないってことはないだろ。」
「まぁそうなんだけど、なんだか出現条件がかなりシビアらしいんだよね。どうせ説明しても覚えないから割愛するけど」
「お前ほんとに教わる気あるのか?」
なんで覚えねぇ前提なんだよ。
―――そのとおりだけど。
ってか、なんで俺があのエスリルを出現させれたんだよ。
スライムプチプチさせてたら出現したってのに。
それのせいでレアモンの魔石換金できなかったんだからな!
最近の収入源が配信でしかなくなってるからな!
…でもスライムはもう飽きた!
刺激が足りねぇんだよ。もっと精進しな、スライム共。
「しかもその第一人者が一番近いダンジョンにいるってなると、なんだか親近感が湧くよ。」
相手はは殺意が湧いているけどな。
…リア充爆発しろ!
「あぁそうそう、お前彼女とはどうなってるんだ?」
「なんでその話に飛ぶんだ? …まぁ、多分夏休み明けには別れると思うよ。」
「まぁたいつものパターンかよ。」
「…その話はどうでもいいんだよ。 まぁ…ってことで涼には俺の指導をしてもらいたい。」
「………お前に教えることはもう無い。」
「免許皆伝が速すぎるって!」
なんだよ。今更お前が教わること無ぇだろ。才能の塊が。
…ケッ!
「ってかなんでここ集合なんだよ。マジで。公園とか久々に来たぞ。」
「いや、最初からダンジョン集合だったら意図がスケスケで来ない可能性があったからさ。」
「…というかいま16時だぞ? もうちょい早朝に呼ぶとか無かったのか?」
「いやぁ… 配信に熱中しちゃって…」
「お前らしくないな。」
へぇ〜 こいつがついにオタ化か。
よっしゃそのまま陽キャとオタの才能がぶつかりあって対消滅しろ。
……オタクは反物質?
「とりまダンジョン向かうか?」
「あぁ、そうしよう。」
はぁ〜 ついにこいつもダンジョンデビューかぁ…
…配信して全世界に晒してやろうかな…?
いや、ダンジョンコロシアムに単身突撃させるのもありだな。
LUNATICの内容を確認する特攻隊となってくれ。
死にそうになったら助けてやるから。
はぁ… 行くかぁ…
まぁ別に、ダンジョンコロシアムに行くわけじゃないし、良いんだけどな…
「セイッ!」
ガンッ!
「………」
…光に戦闘センスがなさすぎる…
未だにスライムにすら一撃すら与えられずにいる。
「…下手すぎ…」
「ナチュラル悪口やめてくれるかなぁ!?」
「なんでお前運動はできるくせに戦闘となると途端にできなくなるんだよ…」
「………知らない。」
あーあ、とんだ無駄足だったな。
まあ、バットで殴れないからって、魔法を手に入れれば化ける可能性はあるがな。
「スキルオーブとか親の金で買ってみれば? 魔法とか似合うんじゃね?」
「えー そこまで本気でやるつもり無いんだよなぁ…」
「本気じゃないのに指導してもらおうと思ってたの?」
「え、だって1人で無言ってただひたすらに虚無じゃん。」
なぁその言葉俺に刺さるんだよ。心の損害賠償してくれ。
「しかも、魔法使いって後衛でしょ? ソロじゃ無理だよ。パーティーでやるつもりもないし。」
「親衛隊でも雇って肉壁にしとけば?」
「なんでそういう非道なことはすぐ思いつくんだよ。」
「お前に心酔するよりは死んだほうがマシだろ。」
「流石にその言い方はひどいんじゃないかなぁ?」
酷いことを言っている自覚はあるがな。
軽口を叩いても冗談だってわかり会える関係だからこそみたいなものだ。
「なぁ、涼の戦闘とやらを見せてくれよ。」
「えぇ〜 まぁいいけど。」
長門を取り出……さない。
普通にスライムにはオーバースペックすぎる。
いつも通りスワイプするか。正直光にバレても問題ないだろ。
最近こいつの出番無かったしな、久々に遊んでみるか。
スッ プチッ
おー、これだよこれ。
…まぁでも、前ほどの感動はなくなったな。
「これでいいか?」
「………は?」
えぇ〜 顎外れちゃってるじゃん。
ちゃんと固定しとけよ。
「ア◯ンアルファ要る?」
「顎は接着しないよ!? ………!?」
…うわぁ なんか嫌な予感してきた。
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