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22 狂ったものさし

「んぅ… んあ?」


 …ベッドが硬い…

 …いや、これ地面じゃ…


「っはぁ!?」


 地面から跳ねるように起き上がる。

 …まて、何があった…? 頭がいてぇ…


「もしかして… 俺、何時間気絶してた…?」


 急いでステータスを開いてコメント欄を見る。

 俺また寝顔晒し配信してたの!?



『あw やっと起きたw』


『2時間は寝てたぞw』


5000¥

『おはようの投げ銭』


『おはよー』


『生きてたかw』



 ……2時間?


「…おはよー 5000円の投げ銭ありがとー」


 ………2時間…?

 …え? 俺そんなに気絶してたの…?


「――――スゥゥゥ――」


 一言だけ言わせてもらおう。


「――――アドガキの代償重すぎるだろぉぉぉぉ!!!!」


 ふざけんなぁぁぁあああああ!!!





 …ふぅ、やっと落ち着いた…

 少々取り乱したが、まぁなれないことをした代償みたいなものか。


 寝たことでちょっとだけスッキリしたから、まだ戦えそうではあるんだよな。

 流石に一体倒して帰るは流石に味気ねぇ。


 …まぁ普通にもっかいアドガキを使いたいんだよな。

 あの高揚感はくせになりそうな感覚だ。正直、めっちゃ楽しかった。

 高速戦闘でトドメとか思い出しただけでもかっこよくて鳥肌が立つぜ!


 自分がやったとはまるで思えねぇが、体が覚えているかのように、感覚が残っている。


 …ってかやっべ、そうじゃん俺のスキルって妖術とか妖力とかで誤魔化してるんだった…

 普通にアドガキって叫んじゃったじゃねぇか…! 忘れてたぁ…


 ま、まぁ、なんとか誤魔化すか。


「もう一戦いくか!」


 アドガキは使わないでおこう…

 毎回気絶してたらひとたまりもねぇしさ。


「Yes!」


 そういや、システムメッセージ? が出てたんだろうが、気絶したせいで見えなかったんだよな。

 多分いつも通りの事を言ってたと思うし。


 あの猿の名前気になるなぁ…

 …まぁいいか。


 まぁた魔石… やっぱスキップできねぇかなぁ…

 そんな事考えるの俺だけなんだろうけど。


「そうだ、モードチェンジ 注目強化(アテンションプリーズ)!」


 そろそろ同接も増えただろうし、使うか!

 ちなみに効果時間だけ調べた。効果はぶっつけ本番だ!


 だってさぁ、ワクワクが欲しいじゃん。

 どういう効果なのか使いながら確認したいっていうかさぁ…

 そういうの楽しいじゃん。


「今の同接はっと。」


 同説:9215人


「ふぁっ?!」


 俺寝てただけなのに!? 流石におかしくない!?

 …暇人ばっかりなのか…


「そっか、夏休みだから暇な人が多いのか。…俺と同じじゃん」


 俺も暇… いや、ダンジョンに生きたいから来てるんだけどな。


「おっと、出てきたか。」


 久々だなぁ、このクソ猪が! その図体は上司になってもご顕在ってか!?


「さあ! リベンジマッチと行こうじゃないか!」

「ブルルルルッ!」


 さぁて、こいつはどう動く?

 元の敵が牙猪(ファングボア)だからな。

 とりあえず突進してくるだろ。


「ブルルッ!」


シュゴオオオオオオオ!!


「っはぁ!? ご自慢の牙じゃねぇのかよ!」


 初っ端から牙をミサイルにするのはおかしくないか!?

 しかもまたニョキニョキ生え始めてるし!


「しかもこれ誘導弾かよ!」


 こっち来んじゃねぇよ! 牙が迫ってくるって地味に怖いんだよ!

 でけえし!


「…! あっぶねぇ!」


ズドォォォォォオオオオン!


「うわっっぷ!」


ゴロゴロゴロゴロ…


「土埃まみれになっちまっただろうが…」


 どんな爆風だよ… 直撃したら木っ端微塵だぞ?

 …欠片すら残らねぇかもしれん。


「だが、避けれねぇほどでもないか…」


 想像以上に弾速が遅めだ。

 …まぁ、普通に考えれば速いんだろうがこれまでにとんでもないものを見すぎたからな。


 この程度ならすぐに倒せそうだ――――


ズドォォン!!


「――ッグ!!!!」


 本体も突進してくるのかよ…!

 ッチィ! 長門を納刀しておいてよかった!


 素の防御力じゃ絶対に死んでた! ギリギリ腕を滑り込ませたが、それでも骨に響いて痛いんだよ!


「痛ぇじゃねぇかこの野郎!!!」


スッ


ズドン!


「フゴッ!」

「っ…!」


 腕が未だにしびれていやがる…

 よく折れなかったな、俺の骨。


 最近使っていなかったスワイプであの巨体を動かせた…


 デカすぎたからか魔力が半分ぐらい持っていかれた…

 もっかい使うと魔力切れでまともに戦闘ができなくなる可能性がある。

 長門で軽減されててもこれなのかよ!


 …こんなの頻繁にされたら俺の体が持たねぇよ!


「注目強化(アテンションプリーズ)は仕事しねぇし!」


 っくそ! なんだったんだよこのスキルは!

 …アドガキを使うしか無いのか…?

 また気絶しなきゃいけねぇのかよ…!!


[同接が一万人を超えたのでスキル【バッファリング】を解禁しました!]

[エラー。既に同接が1000人を突破しています スキル【ハウリング】の解禁を実行します]

[エラー。既に同接が5000人を突破しています スキル【ドロップフレーム】の解禁を実行します]

[エラーを……邂。逅�€�↓蝣ア蜻雁セ梧隼蝟�€√い繝��繝��繝医r騾先ャ。陦後>縺セ縺�]


「っなんだぁ!? また気持ち悪い声かよ!」


 このタイミングでなんだよ!

 集中力を削ぎやがる! いや…


「これを活用してやるのも一興か! まずは小手調べからだ!【ハウリング】!」


キーーーーン


「うげぇ!?」

「フゴォ!??」


 スピーカーの音をマイクが拾ったときに出る音じゃねぇか!

 嫌いだ! このスキルはなし! 一生使わない!


 …ちょっとだけ猪にも効いてるけど! 俺が使いたくない!


ズドォォォォォオオオオン!


「っぶねぇ!」


 また牙再生しやがったのか!

 同時に二本撃ってくるあたりやっぱ脳みその作りがが雑みたいだなぁ!

 交互に打てば良いものを!


「【ドロップフレーム】! うおっ!?」


 体がコマ送りみたいに動く!

 移動と移動の間が消滅しているみたいだ…!

 ショートテレポートを連続でして相手を翻弄するタイプのキャラじゃんこれ…!


 かっこいいが――



 ――――めっちゃ使いにくい!!!


 次の行き先を想像して動かないと体が動かない!

 大体0.5秒ごと均一だからその間に攻撃したりとか移動したりとかを考えるのがめんどくさい!

 これは没だ! っくそ! 残ってるのがあと一つしかねぇじゃねぇか!


 どっちも使いにくいピーキーなスキルなせいだからだよ!

 ふざけんなよ!


「これは使いやすくあれよ! 【バッファリング】!」


 っ!? 体がズレて… いや、しっかり動いていやがる。

 大体0.1秒の誤差か…?


 いや、手元が見えねぇぐらいでまともに戦えねぇのは言い訳だな!

 ちょっといつもと感覚が違うが、面白い!


 気に入ったぞ! 【バッファリング】!

 0.1秒は誤差だと思うかもしれないが、だいぶ大きな差だ!

 俺ぐらいの速度になりゃあ0.1秒でも前の自分と差を広げれるっての!


 っと、牙猪がこっちを睨んでいやがるな…!


 ―――っ!


ズガァァァン!!


「はっはぁ! どうだ壁の味はぁ! 存分に味わいな!」


 俺はそこには居ねぇんだよぉ! ざまあ見やがれクソ猪がぁ!


「せいぜいケツを踏ん張りやがれ!」


ゴシャァン!


「フゴォッ!!!???」


 納刀中の速度に、抜き身の時の攻撃力を加算してケツを蹴り飛ばす!!

 空中なら慣性が乗るからなぁ!!! どうだぁ! 壁は美味かったかぁ!?


 反作用で宙に浮いちまったがなぁ!


「これで終わりだぁ!【41cm砲】!」


ドォン!


ゴシャァ!


 まっすぐ背骨に到達し、そこから心臓を貫いた刀は猪を貫通し、その下で残心を行う。


「空中移動ぐらいなら平常時でも出来るんだよ! っは! なかなか楽しめたぜ! クソ猪!」 


カチンッ


 デカ猪は霧散し、その場には刀を納刀した配信者が居た。


 無駄にかっこいいが、スキル構成と性格は終わっているぜ!

 …自慢することじゃあねぇな。


 っと、【バッファリング】を解除してっと。

 こいつどう考えても魔力食ってるなぁ…


[第5階層守護者、ウリ砲を討伐しました!]

[第6階層守護者に挑戦しますか Y/N]


「ふぅ… リベンジマッチ成功だ!」


 …ってか、名前ウリ砲なのかよ…

 誰だよ名付け親… 締まらねぇじゃねぇか…!


「ん? そういやリベンジの理由って視聴者知らないんだっけ?」


 そうだった。俺が初めて入ったときに追い詰められたのが牙猪だったんだよな。

 だからリベンジって言ってたんだが、それを視聴者は知らなかったわ。


「実はかくかくじかじかって理由があって…」


 俺は休憩も兼ねて、視聴者との雑談を行った。


 ……案外、雑談配信も悪かねぇかもな。

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