暗号とダイズ
『宗教を除けば、世界中の酒場で最も殴り合いの喧嘩に発展しやすい話題はギルドについてである。ある場所では彼らは非常に強い影響力を持ち、それ自体が政府のような存在となっている。またある場所では無法とみなされ、あるいは単に存在すらしていない。特定の地域に存在する官僚制が複雑であればあるほど、ギルドが存在する可能性は高くなる。都市国家オリノカのように、膨大な種類の職業を包括する「傘下ギルド」を持つ場所さえ存在する。肉体労働者ギルドには、木こり、溝掘り人、鉱石運搬人などが含まれる場合があり、彼らは全員、僅かな賃金の一部をギルドに引き渡すことを義務付けられている。それと引き換えに(ギルドが主張するところによれば)、彼らに代わって運動を起こしてくれるのだという(おそらくは、より鋭い斧や、より頑丈なシャベルを求めて)。ウルマン帝国におけるドラゴンハンター・ギルドは成果を上げているギルドの一例であり、メンバー同士が同じドラゴンを追って対立しないよう調整し、協力を促進し、大幅に割引された治療サービスを提供し、手厚い死亡手当を約束している。竜狩りは非常に実りの多い商売であるため、その構成員はギルドの会費を容易に支払うことができる。当然ながら、最も成功しているギルドは盗賊ギルドであり、これはささやかな人口であっても存在するほぼすべての地域に見られる。どのギルドが腐敗していて、どのギルドが真に役に立っているかを人々が議論することはあっても、公の場で盗賊ギルドについて議論されることは滅多にない』――タイコロスの年代記より
アバナシーは椅子に深く腰掛けた。「よし、それじゃあ――何が分かったんだい?」
「メッセージの最初の行にスペルミスがあったのを覚えていますか? 『HEDを排除せよ、ボディ・ダイズ』というやつです」彼女は彼の前に紙を置いた。
「ああ。教育をあまり受けていない者か、標準語を母語としない者の仕業だろうと推測していたね」
「ですが、二行目を見てください。『さらに二件のホミサイド(殺人)』とあります。言語を学ぶとき、身体の部位というのは通常、最初に覚える単語のグループに入ります。『ヘッド』は頻繁に出てくる言葉です。『ダイズ』はそれより一般的ではありませんが、それでも『ホミサイド』に比べればはるかに頻繁に使われる言葉です。極めて一般的で単純な二つの単語が間違っている一方で、日常会話では滅多に使われない、三音節の複雑な単語のスペルが完璧に書かれていること。この対比を奇妙だとは思いませんか?」
「ふむ」アバナシーは一瞬言葉を詰まらせた。「君に言われてみれば、確かにそうだね。会話でめったに使われない最も長くて複雑な単語が正確に綴られている一方で、単純で一般的な二つの単語が間違っているというのは奇妙だ」
「それで急に閃いたんです。一行目にはスペルミスなんて一切ないんじゃないかって。犯人はただ、自分が利口だと気取っているだけなんです。一行目の最後を考えてみてください。メッセージは何で書かれていましたか?」
「オークの戦化粧だ」
「つまり、自分の体の色を変えるために塗るものです」彼女は彼をじっと見つめた。アバナシーに自力で答えに辿り着いてほしいと思っており、そのためのヒントを出したのだということは明らかだった。アバナシーはルシンダにいいところを見せたいという欲求は持っていなかったが、同様に、謎解きや思考のエクササイズは大好物だった。ルシンダの視線は彼に注がれたままだ。彼女は何に気づいたというのか?
体の色を変えるもの……
彼の顔がぱっと明るくなった。アバナシーが口を開く前に、ルシンダの顔も同じように輝いた。「ボディ・ダイズ(身体用染料)か! オークの戦化粧は身体用の塗料だ。私たちが思い込んでいた『体が死ぬ』のスペルミスじゃない。戦化粧そのものを指しているんだ。犯人は自分が使った塗料に注意を向けさせているんだよ!」アバナシーは興奮気味に一気に捲し立てた。
「私の思い過ごしかもしれません」ルシンダは言った。「ですが、私にはとても筋が通っているように思えます。となると疑問が残ります。『HED』とは一体何なのか、それをどうやって『排除』するのか? そして、なぜそのアルファベットだけがすべて大文字で書かれているのか?」
「私には分からないが、これはホンネル隊長に知らせるべき情報だな」と彼は言った。
「先生、どこへも行けませんよ。次の患者さんがもうすぐ到着する時間です」彼女の興奮は瞬時に脇へ追いやられ、プロフェッショナルとしての顔が前面に出た。
「確かにそうだ。しかしこれは時間との勝負だ。残りの二件の殺人がいつ起きてもおかしくない。だから、君が《ウォッチ》へ行ってきてくれ。ホンネル隊長に会い、私が寄越したということ、そして君が何者であるかを伝えるんだ。この情報を渡して、できるだけ早く戻ってきてほしい」
「でも、受付はどうするんですか?」
「君が留守にしている間、患者は二人だけだ。二人くらいなら私一人で受付も対処できる。急いで行ってくれ」
「先生がそうおっしゃるなら」と彼女は言った。アバナシーが頷いて急ぐよう促すと、彼女は部屋を飛び出していった。彼が受付室へ出ていくと、そこにはテペシュ・ゴールダンが座っていた。
「先生、助手の方に何か不作法なことでも言ったのかい? 責めはしないよ、彼女は飛び切りの美人だからね。だが、随分と慌てて出て行ったじゃないか」
「滅相もありませんよ、テペシュ。急ぎの用事を頼んだので、ご挨拶もできずに失礼いたしました。お詫び申し上げます」
テペシュは手を振ってそれを一蹴した。「冗談だよ、謝る必要はないさ。まだ着いて五分とかそこらだ」
「では――診察の時間ですので、奥へどうぞ」二人はオフィスへと向かった。テペシュは五十代半ばで、黒髪は白髪交じりになるのか、それとも真っ白になるのか迷っているような状態だった。彼の健康状態はその年齢の男性としては非常に良好だった。顎のラインに沿って整えられた髭を蓄え、タバコ愛好家特有の黄ばんだ歯をしていた。
アバナシーが人間の患者を診ることは稀だったが、テペシュは市議会議員であり、二人は古い知り合いだった。最近のテペシュは、妻が浮気をしているという考えにとり憑かれていた。その浮気が事実であるかどうかは別として、彼の心の中にある苦痛は紛れもない本物だった。テペシュはソファに腰を下ろした。
「よし、まずは気分の方から聞いていきましょうか。前回お越しいただいた時は、食欲が増して睡眠時間が減り、朝ベッドから起き上がれないとおっしゃっていましたね。その状況は改善されましたか?」
テペシュはため息をついた。「いや、全く。相変わらず何事にも喜びを見出すのが難しい状態だ。アンドレアと一緒にいることでさえ、以前は大きな楽しみだったというのに、今では――そう、彼女が愛人と一緒にいるところばかりが頭に浮かんでしまうんだ。何かをやろうと自分を奮い立たせようとするたびに、『それに何の意味があるんだ?』と自問自答してしまう」
「時間の経過とともに、そうした問題が自然と解決したり、乗り越えられたりすることもあります。あいにく、あなたにはその余裕がありません。あなたの立場上、市内の多くの人々があなたに依存しています。それに、私は政治の専門家ではありませんが、この状態で長く停滞していれば、あなたのキャリアに影響が出かねません。ですから、二角取りのアプローチをとる必要があります。何が起きていて、なぜ起きているのかを話し合い続けると同時に、これらの症状に対処するために、今すぐ運用できるストレス対処法を確立していきましょう」
テペシュは鼻を鳴らした。「それを原因と呼びたいか症状と呼びたいかは別として、妻の友人であるコルベットが状況を悪化させているのは確かだ。彼女は私に対して生意気で、失礼極まりない態度をとり、頻繁に泥酔しているように見える。それどころか」彼は身を乗り出した。「彼女がどうにかして二枚目のアヘン鑑札を手に入れていたとしても驚かないね。彼女はアンドレアに悪影響を与えているというのに、妻はそれに気づいていないんだ」
「奥様はアヘンを日常的に使われていたり、頻繁に泥酔されたりするのですか?」
「いや。時々お酒を飲む程度だし、ごく稀に少しほろ酔いになるくらいで、それだけだ。彼女は賢い女性だからね、普段は正気を保っている方を好むのさ」
「分かりました、ではあなた自身の話と、感じていらっしゃる無気力感に話を戻しましょう。効果的と思われる運動や睡眠についてのアイデアがありますので、達成可能な目標に集中し続ける方法について話し合っていきましょう」
アバナシーは四十分後にテペシュを見送り、次の患者がすでに待っていることに気づいた。シスラックスという名のトカゲ人で、不安障害の治療に成功し、今では数ヶ月ごとに一種の「チューンアップ」のために来院していた。アバナシーが挨拶すると、背の高い爬虫類人は彼の慣習に従い、両手で医師の両手をしっかりと握り締めた。新しく話し合うべき問題はなく、アバナシーが予想していた通り、診察は何事もなく終わった。ルシンダがまだ戻っていない場合に備えて、彼はトカゲ人を外まで見送ったが、彼女は椅子に座っており、その顔には苛立ちの色が浮かんでいた。シスラックスが出てくると、その表情はすぐに消え去った。
「またお会いできて嬉しいですよ」彼女は満面の笑みを浮かべて言った。
彼は両手を胸の上に置き、深く頷いた。彼は標準語をまったく話せなかったが、彼女の言葉の意図は明白だった。彼らは支払いの手続きを済ませ、患者が立ち去った後、ルシンダは満面の笑みを消してアバナシーの方へ振り返った。彼女の尻尾の先が、怒りを込めて肩にトントンと当たっていた。
「どうやら、うまく行かなかったようですね」と彼は推測した。
「そこまでではありませんが、ただ――ホンネル隊長があまり礼儀正しくなかったんです。私が事件の詳細を知っていることに不満であることを隠そうともしませんでした」
「君に隠し事はできないと、事前にも彼に伝えてあったのだがね」
「単にそれが気に入らないという態度を露骨に出されたんです。それに、新しい情報を提供したのですから、もう少し感謝されてもいいはずです」
「君の気づきについて、彼は何か言っていたかい?」
「表情からして、驚いていましたね。明らかに彼らが考えてもみなかったことだったんです」と彼女は誇らしげに言った。「ですが、それ以外には大して何も言いませんでした。『HEDを摘出せよ』がどういう意味か意見はあるかと聞かれました」
「それで?」
「ええ、ないと答えました。それから、私が出したアイデアを踏まえて何か新しいアイデアはあるかと彼に尋ね返したんです。そうしたら、彼は少し苛立ったような顔をして、言語学者たちのところへ戻って何が分かるか確かめさせると言っていました」彼女の尻尾は今や、より速いリズムで打たれていた。
「そもそも、多くの部外者に助けを求めること自体、彼にとっては非常に慣れない不快な状況なのだろう。普段の彼らは見知らぬ者をあまり頼りにしないからね」
「ですが」と彼女は言った。「そんな無礼な態度をとっていたら、将来また進んで手を貸そうなんて人はそう多くありませんよ」
「君の努力と洞察に対して適切な感謝を示してくれれば、その方が良かったのは確かだ」アバナシーは穏やかに言った。「だが、これ以上の殺人が起きる前にこの事件を解決しなければならないという、凄まじいプレッシャーに彼が晒されているのも想像できる。これ以上何も起きなかったとしても、二件の注目度の高い殺人事件を解決するだけでも大変なことだ」
「分かっています」と彼女は言い、表情を少し和らげた。「結局のところ、彼に分からなかったことを私が解き明かしたわけですから、彼が感謝してくれなくても、その事実だけで満足することにします」
アバナシーは微笑んだ。「まさにその通りだ。そして、彼がそれ以上感謝を示さなかった理由の一部も、おそらくそこにあるのだろう」
「それで、次の予約の前に、一つお聞きしたいことがあるんです」
「そうくると思っていましたよ」と彼はかすかな笑みを浮かべて言った。
「根掘り葉掘り聞くつもりはないのですが……ゴルトゥクにご自宅の住所を渡しましたよね。この仕事について先生が最初に教えてくださったことの一つは、患者とは専門的な距離感を保たなければならないということでした。友達になったり、彼らの生活に深入りしすぎたりしてはいけないと」
「その通りだ。そこに変わりはない。さて、時と場合によっては、何らかの理由で患者をオフィスの外に連れ出して診察を行わなければならなかったことを、君も知っているね?」
「ええ、以前、蛇を怖がる患者さんにエクスポージャー療法(暴露療法)を行うために、ヘビ使いの手配をさせられたのを覚えています」
「そうだ。さて、もちろんゴルトゥクのケースの詳細に踏み込むことはできないが、緊急事態であり、時間が重要な要素であって、その緊急事態を和らげるために時間内に対応できる場所が私の家しかない、ということだけは伝えておこう。軽々しく下した決断では決してないし、他の選択肢があればそうすることもなかった。専門的な一線を越えるという代償を払ってでも患者を危機的状況から脱出させるか、倫理的に厳格であり続けながら患者を重大なリスクに晒したままにするか、という選択だったのだ。そのような選択は軽々しくなされるべきではないが、慎重に検討した結果、目前の危険を乗り越えることの方が重要だと判断した。理解できるかい?」
ルシンダは頷いた。「もちろんです。説明してくださってありがとうございます」
「どういたしまして。前に言ったように、ここで起きていることの理由を理解すればするほど、患者にとっても、私にとっても、君はより大きな助けとなる」アバナシーは温かい微笑みを浮かべた。「さて、次の患者の前に、もう一つ片付けておくべきことがある。ヘルギ・ピュアブラッド宛ての緊急の伝言をお願いしたい」
彼女はニヤリと笑った。「喜んでお手伝いしますよ、先生」
彼は咳払いをした。「実のところ、これは完全に専門的な性質の問い合わせなのだ」彼女はニヤリとした笑みを必死に引込めようとした。「明日、狩りに行かなければならないのだが、一度もやったことがないので、彼女の助けをぜひ借りたいと伝えてくれ。もし彼女の都合が悪いようなら、代替案を考えなければならないので、できるだけ早く知らせてほしいとも」
「すぐに」彼女は羊皮紙を取り出し、指示通りにメッセージを書き始めた。アバナシーは次の患者を待つために自分のオフィスに戻った。
ヘルギからの返事は、彼の仕事一日が終わろうとしている頃に届いた。簡潔で要点を得たものだった。茶色と緑色の服を着用し、日の出の三十分前に厩舎で会うこと。機材は彼女が用意するが、少なくとも三時間、できればそれ以上の時間を確保しておくようにとのことだった。彼はルシンダにスケジュールを適切に調整するよう頼み、その日の仕事を切り上げた。
前夜の疲れがまだ少し残っており、翌日は普段になく早いスタートを切ることになっていたため、彼が本当に行きたかったのは家に帰ってリラックスすることだった。しかし、一日中彼の頭の片隅に引っかかっていたのは、ホンネル隊長が今や事件の容疑者とみなしているオークの女家庭教師のことだった。アバナシーが戦化粧を発見して以来、彼女に何が起きたのだろうか? 答えがどうであれ、それは彼の責任でも関与すべきことでもなかったが、それでも彼の心を悩ませ続けた。疑問に答えることができれば、よりリラックスして眠れるだろうと自分を納得させると、彼は馬車を呼び止め、アリンの家へと向かった。
正門では、先ほどと同じ警備兵が番をしていた。彼はアバナシーに厳しい視線を向けた。「今度は何の用だ?」
「ああ、実は女家庭教師と少しだけ話がしたくてね」
警備兵は鼻を鳴らした。「ふん、彼女がアンタと長話したがるはずがないだろう。俺だって高みの見物を決め込みたいところだがな。だが奥様の命令で、アンタはこの敷地への立ち入りを禁じられているんだ」
アバナシーはため息をついた。「当てさせてくれ。市警備隊が何か不快なことをしたんだな」
「まあな。アンタがベンチの下で例の赤いゴミを見つけて、それがオークの戦化粧だと《ウォッチ》に話したろ。奴らはグルンダを連行しに戻ってきたのさ。未亡人は自ら彼女に手枷をはめて連れて出てきたよ」
「何だって? 彼女がまさか――」
「グルンダの手首に手枷を一つ、未亡人自身の手首にも一つな。彼女は《ウォッチ》に向かって、自分が目の前で立ち会うことなしにはグルンダに指一本触れさせないと言い放ったのさ。屋敷の弁護士に使いを出したから、彼が到着するまで質問には一切答えないともな。警部補はそれに対して不満気だったが、英雄の未亡人を尋問室へひっ立てていけば、後で自分の身が危うくなることくらいは理解していたから、弁護士を待つことにしたんだ。奴らは一時間以上もグルンダを尋問したよ。戦化粧はどこから手に入れたのか? なぜ若若さまの顔に塗ったのか? アイスデール家に足を踏み入れたことはあるか、とな。彼女は表には出さなかったが、動揺していたな」
「聞いてほしいのだが、私は《ウォッチ》のために働いているわけではないんだ。私は医師だ。彼らに頼まれて未亡人と話をしに来て、たまたま赤い塗料に気づいただけなのだよ。私はそれがオークの戦化粧だなどと《ウォッチ》に言ったことはない。見たことも聞いたこともなかったからね。《ウォッチ》の隊員の一人がそれだと気づいたんだ。私がここに来たのは、《ウォッチ》が家庭教師を熱心に尋問しているようだったから、彼女が無事かどうか確かめたかったからなのだよ。私は《ウォッチ》に不満があるわけではないが、彼らが莫大なプレッシャーに晒されており、そうした状況下では時に……行き過ぎた行動に出ることを知っている。だから心配だったのだ」
「お仲間というわけか。グルンダには移動制限がかかっている。市内から出ることは許されていない。奥様が彼女の居場所を把握する責任を負っていて、もしグルンダの行方が三時間以上分からなくなれば、《ウォッチ》に通報しなければならないんだ」
「それはひどいな。いいかい、私はそんなことを支持しているわけではない。そして率直に言って、私に責任はないのだ。《ウォッチ》には、捜査の目をオークに向けさせようとする誰かのミスリードである可能性が高いと明確に伝えてある。私はいずれの発案もしていない。だからこそ、こうして様子を見に来たのだ」
警備兵の表情がほんのわずかに和らいだ。「奥様の命令は極めて明確だ。どんな理由があろうとアンタを通すわけにはいかない。だがアンタの言ったことは奥様に伝えるし、お許しが出ればグルンダにもアンタが心配して様子を見に来たと話してやるよ」
アバナシーは頷いた。「分かった。ありがとう」彼は背を向け、通りを歩きながら頭の中で思考を巡らせた。自分にはまったく正当性のない微かな罪悪感を振り払おうと努めた。彼は行く先よりも自分の思考に意識を向け、オートパイロット状態で進んだ。約十分後、彼は『エンジェルズ・オブ・グレイス』という店の前に立っている自分に気づいた。その店は中級から高級な酒を豊富に取り揃えており、露出度の高い衣装を纏った実に美しい踊り子たちを擁していた。経営者のグレイスが売春宿の許可証を取得しようとしなかったため、寝室も無ければ特別な追加サービスも一切なく、ただ踊りを見せるだけという点で異質だった。アバナシーを含む多くの客は、追加サービスのために余計な金を使わされるプレッシャーがないことを評価しており、酒と踊りを心静かに楽しむことができた。
酒を飲みながら思考を整理し、リラックスするには絶好の機会に思えたため、彼は重いオーク材のドアを開けて中に入り、バーカウンターの心地よい椅子に腰掛けた。彼は評価の高いエルフの赤ワインを一杯注文し、自身も非常に魅力的な黒髪のバーテンダーから価格を告げられると顔をしかめた。『エンジェルズ・オブ・グレイス』の飲み物は露骨に高価だったが、無料で鑑賞できる質の高いステージショーがあったため、店が客に困ることはなかった。
アバナシーは売春宿やそれに類する場所に対して偏見を持っていなかったが、それらを訪れるのは彼の性分ではなかった。対価を払って得る伴侶というものにはどこか虚しさを感じており、他人がそれを享受することを咎めはしないものの、彼自身を満足させるものは何もなかった。しかし時折、特にストレスが溜まっている時には、半裸(あるいは全裸)の踊り子の姿を鑑賞することを好んだ。『エンジェルズ・オブ・グレイス』には営業時間外であっても才能ある演奏家が揃っている傾向があり、ちょうど今も、非常に古いヴァイオリンを持った小太りの男性と中年女性のフルート奏者が、素晴らしい演奏でショーのバック音楽を提供していた。
現在、三人の踊り子がステージに上がっていた。一人目は小柄な人間の女性で、非常に華奢で、透き通るような白い肌と背中の半ばまで届く長い赤髪を持っていた。彼女は実質的に透明でありながら刺激的なカッティングが施された透け感のある白いドレスを纏っており、体を辛うじて覆っていた。彼女が回転したり身をかがめたりするたびに部分的に肌が露わになり、それは透け感のある衣類であるにもかかわらず、見る者を十分に刺激した。
二人目の踊り子は非常に褐色の肌を持ち、スラリと長い脚と、強い意志を秘めた異常に大きな瞳をしていた。露わになった胸は平均よりも大きめだが肥大しすぎてはおらず、しっかりと張りがあり、乳頭はまっすぐ前を向いていた。肌とのコントラストを強調するために白く染められた極めてタイトな革パンツを穿いていたが、動きを制限するようなその服にもかかわらず、彼女は実に見事に踊ってみせた。三人の踊り子の中で、彼女が最も頻繁に微笑みを浮かべていたが、アバナシーにはそれが鶏小屋に忍び込んだ狐の微笑みのように思えた。
アバナシーが最も興味を惹かれたのは三人目の踊り子だった。彼女はエルフで、三人の中で最も背が高く、彼女の種族に共通する細く繊細な体つきをしていた。彼女の髪は蜂蜜色のブロンドで、背中に波打つカールとなってこぼれ落ちており、体の微小な動きにさえ合わせてまるで生きているかのように揺れていた。一人目の踊り子ほど肌は白くなかったがそれに近く、肌のきめ細かさは完璧だった。彼女は肘まで届く赤いシルクの手袋と、フロントは足首近くまでありながらバックは腰のすぐ下で終わるエレガントな赤いドレスを身に纏っていた。人間の基準から言えば、彼女のボディラインにはメリハリがあまりなかったが、お尻は小ぶりながらもキュッと引き締まっていると表現できた。彼女は踊りながらどこか上の空で鼻歌を歌っており、アバナシーはそのあり得ないほど眩しい歯の白さと、彼女の口がどこまで大きく開くかに驚嘆した。彼は獲物を呑み込むために顎のヒンジを外す蛇の姿をふと思い出した。
彼の視線は踊り子たちの間を往復していたが、エルフのところで最も長く留まった。彼女が彼から一番遠いバーの端にいる時、彼の意識は少し逸れた。オークの女家庭教師に起きたことについて自分に責任がないことは分かっていたが、それでも子狐の存在をブラッドハウンドに教えてしまったかのような感覚が残っていた。もちろん、その子狐は一瞬で彼の喉を掻き切ることができるかもしれないが、自身が世話をする少年の父親を殺害したわけではないはずだ。彼自身にとっても、そして誤った罪悪感にとっても、未亡人が《ウォッチ》に毅然と立ち向かい、雇用人を守ったことは救いだった。
彼は決して殺人事件に関与したくはなかったが、今ではどこか当事者意識を抱いていた。ルシンダによる「ボディ・ダイズ」の解釈は見事であり、彼の知的知的好奇心を刺激した。また、真犯人が裁きを受ければ受けるほど、《ウォッチ》がグルンダを放っておいてくれるようになるとも感じていた。彼らはきっと他のオークの市民たちにも厳しい目を向けていることだろう。そして当然ながら、犯人はさらに二件の殺人を予告している。それを阻止できるならば何よりのことだった。
それでも、自分は探偵ではなく医師であり、これらはすべて専門外の領域だった。自分はただ観察力があり、運良く戦化粧を発見したに過ぎず、ルシンダは自分の役割を果たした。しかし彼らにはもはや、事件における公式な役割はないのだ。彼には犯人の心理についての本当の洞察力はなく、何か状況が変わらない限り、提供できるものは何もなかった。
彼は突然、エルフの踊り子が自分にずっと近づき、自分を直視していることに気づいた。彼女は相変わらず鼻歌を歌っていたが、彼と視線を合わせ、眩しい歯を見せて微笑んだ。驚いた彼は、ぎこちなく微笑みを返すまでに間が空いてしまった。彼女は意識的な視線を送るとクルリと向きを変え、露わになったお尻を彼に向け、ゆっくりと左右に揺らし始めた。そのお尻の動きは、彼にとってほとんど催眠術のような効果を持っていた。数分のうちに彼の罪悪感は忘れ去られ、殺人事件への関心は頭の隅へと追いやられた。それこそが、グラス一杯のワインに莫大な価格を請求しているにもかかわらず、『エンジェルズ・オブ・グレイス』が盛況を誇っている理由だった。




