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ミノタウロスとの対面


『歴史上、最も強固に要塞化された国境の一つは、戦争すらしていなかった二つの国家の間に存在していた。ダル=ゴッタ公国は貧しい農耕社会だった。子供は四歳から畑仕事の手伝いを求められたため、各家庭の家族構成は大家族だった。十歳になれば結婚できる年齢とみなされ、十三歳を迎える頃には成人としての法的権利と責任を背負った。その近くでは、サドヒルの哲人王(サドヒルの統治者は誰もが哲学者であった)が、大量のナツメグとシナモンを管理し、学問を重視できるほどの高い生活水準を築き上げていた。サドヒルにおける主要な学派の一つは、真に生きているとみなされるためには自己意識が必須の前提条件であり、そのプロセスは子供が二歳になるまでは実質的に始まらない、と主張していた。そのため、出生後の最初の二十四ヶ月間は「体外妊娠」と呼ばれ、その期間中、乳幼児は家畜や家族のペットと同等の法的地位しか持たなかった。さらに同じ哲学は、人間の脳は二十歳になるまで構造的に成長し、変化し続けるため、市民はその年齢になるまで成人の権利を享受できないと論じた。つまり、ダル=ゴッタの出身者であれば、結婚して子供がおり、自身の事業を営んでいるような人物であっても、国境を越えてサドヒルに入った途端、突如として再び子供扱いされ、主体性や自ら決断を下す能力を否定されることになったのである。ダル=ゴッタは、この問題に関するサドヒルの思想をまったく忌むべきものと考えていたが、その問題のために戦争を始めるにはあまりにも貧しすぎた。サドヒル側は単に気に留めていなかった。自身の価値観を他国に強制しようとする意欲を示した哲人王は、歴史上ただの一人もいなかったからだ。こうして、二国間の国境はフェンスや堀、壁によって隔てられ、公式な検問所はわずか四ヶ所しか設けられなかった。数世紀後、サドヒルでは新しい学派が流行し、国の子育てに対する見方は変わったものの、国境を解体するのは費用がかさむプロジェクトであり、どちらの側も着手しようとはしなかった。ダル=ゴッタを訪れる理由はほとんどないが、もし膨大な哲学論文のアーカイブを閲覧するため、あるいは偉大なるユセフの墓に敬意を表するためにサドヒルを訪れるのであれば、国境を見るために少し足を延ばしてみるのも、いくらかの気晴らしにはなるかもしれない』――タイコロスの年代記より

ルシンダは、彼が受付室に入ってくると長い視線を向けた。

彼はため息をついた。「そんなに一目でわかるかい?」

「ええ、二十分も遅刻していますからね、それ自体が珍しいことです。姿勢も悪いですし、目の下には小さなクマができていて、目を細めています。もし私が賭けをするなら、二日酔いか、あるいは一晩中起きていたかのどちらかに全財産を賭けますね」彼女の口調は、からかうような悪戯っぽさと、本物の心配が入り混じっていた。

「それなら、引き分けの賭けになるな。あるいは、君が普段どんな店で賭けをしているかによっては、ダブルの負けだ。昨夜ワインを飲んだのは本当で、いつもより少し多かったかもしれないが、決して度を越した量ではないんだ。不運なことに、読書用の椅子に座ったまま眠ってしまって、どうしても体が落ち着かなくてね。ワインのせいで頭が朦朧としていてベッドまで這っていく気力が起きず、かといってあの椅子に挟まれた状態では本当の睡眠をとることもできなかった。だから、君の見立てはどちらも半分ずつ当たっているよ」

「悲しいことに、最悪のタイミングですね」

彼はうめき声を上げた。「また殺人が起きたのか?」

「ああ、いえ。つまり――少なくとも私が知る限りでは、ですが。いいえ、ただ、今の所長にとっては、眩しい光と同じくらい大きな音も体に堪えるだろうと思いまして。本日の最初の患者さんは、ゴルトゥク・ブラッドホーンです」

彼は再びうめき、顔を覆った。ゴルトゥクはミノタウロスであり、静かであることで知られていない種族の中でも、特に声が大きいとされていた。調子が良い日であっても、アバナシーはゴルトゥクとの診察のあとに軽い頭痛を覚えるくらいで済めば御の字だった。今日はすでに調子が良い日とは言えず、もしゴルトゥクが何かに腹を立ててでもいようものなら、神々が自分を憐れんでくれることを願うしかなかった。

「所長が今日のカルテに目を通している間に、気付けのお茶を淹れてきますね。予約のスケジュールは机の上にあります。幸いなことに、穴を埋められなかったキャンセルが二件ありましたから、半日仕事のようなものですよ」

彼は安堵のため息をついてオフィスへ向かい、ソファで少し仮眠を取ろうかと一瞬考えたが、思い直した。カルテに目を通していると、やがて差し出された一杯のお茶をすすることになり、それは確かに頭痛を少し和らげるのに役立っているようだった。ルシンダは錬金術師のもとで働いていた頃の経験からいくつかのことを覚えており、時折こうして特別なお茶を作ることができた。

「外に走って、ちゃんとした治療薬でも買ってきましょうか?」

「いや、受付室を無人に役職にしておくのは好まないし、少し不快ではあるが、これくらいなら何とか対処できる。次からは飲む量をもっと意識する良い教訓になるだろう。ああ――これからは二人だけの秘密にしておいてほしい話だし、頭がすっきりしてから詳しく話したいんだが、犯行現場の壁のメッセージは、特殊な戦化粧で書かれていたことが分かったんだ。どうやらオークが、他のオークと戦うために出陣する際に身に纏うものらしい。少なくとも、その一部の者が使うようだ。よく分からないがね。とにかく、お茶をありがとう」

「どういたしまして」ルシンダはその事実の露見については何も言わず、受付室へと戻っていった。今日彼が診察する患者たちは、全員が少なくとも半年以上は彼の治療を受けている者たちだったため、状況は少し楽だった。その中で最も苦悩しているのは――患者の状況が変わることは珍しくないため、何かが起きていなければの話だが――わずか七ヶ月前に人狼の呪いに罹り、その状態をまだ家族に秘密にしている男だった。彼は愛する人々に嘘をつき続けていることに苦しんでいたが、真実を話せば決して受け入れてもらえないのではないかと恐れていた。アバナシーは、そのすべてを秘密にし続けることは長期的な戦略として成り立たないということを、彼に優しく諭し、導こうとしていた。

ゴルトゥクは、いつものように時間通りに到着した。彼は欠点と言えるほど時間を厳守する男だった。ルシンダが彼を中に案内する際、アバナシーのためにもう一杯のお茶を持ってきた。ゴルトゥクの巨体と体格は、それだけで圧倒的な存在感を放っていた。六フィート半という身長は、ミノタウロスとしては平均的な高さだったが、胸部や四肢は異常なほど筋肉質で、体を覆う灰色の毛越しにでも、至る所で浮き出た血管が見て取れた。彼は、怒っていない時でさえ怒っているように見える、禍々しい赤い目をしていた。銀色の筋が入った白い角は、先端が鋸歯状に研がれており、これは彼が戦闘においてより凶暴で多角的に使えるよう、自ら施したものだった。彼は腰に厚手の革製のエプロンを着用し、それが膝まで届く鎖帷子の鎧を覆っていた。胸部は肘の手前で終わる鎖帷子のチュニックで覆われていた。その鎧がこれまでに何度も修理されてきたことは明白だった。彼の背中には、並外れた筋力を持つ者でなければ持ち上げることすらできず、ましてや武器として振るうなど到底不可能な、巨大な棍棒が固定されていた。

「先生、お会いできて嬉しいぞ!」と、彼は大声で響かせた。アバナシーはその挨拶の音量をあらかじめ予期していたため、表情をコントロールし、顔をしかめることはなかった。ゴルトゥクは非常に優れた標準語を話したため(それは彼の傭兵仕事において大いに役立っていた)、『話す石』を使用する必要はなかった。

「私もいつも君に会えて嬉しいよ、ゴルトゥク。今日の気分はどうだい?」

ミノタウロスは棍棒を外し、壁に立てかけると、彼の巨体に合わせて形を変えるソファへと腰を下ろした。「概ね順調だ。最近できた恋人が、それほど煩わしくなくなってきたので、今日はその件について話し合う必要はなさそうだ」

「それは素晴らしい! 上手くいっていると聞いて私も嬉しいよ」アバナシーは微笑み、お茶をすすった。

「それから、先生の提案通り、隣人の便所から漂ってくる臭いについて、冷静かつ理性的に話し合いをしてきた。解決に至り、暴力をちらつかせる必要もなかった」

「あれには本当に悩まされていたからね。他人の便所の悪臭に耐えながら家にいたい者などいない。練習した通り、感情を昂ぶらせず、ただ主張すべき点だけを理路整然と伝えたのは素晴らしいことだ」

「ああ、興味深い実験だった。いつかまた試してみたいものだ。だが、それよりも緊急性の高い、話し合いたい件があるのだ」

「夢のことかい?」アバナシーは静かに尋ねた。

ミノタウロスは頷いた。「より強烈に、そしてより頻繁にみるようになっている。それが始まったばかりの頃は、戦闘で誰かを殺し、そのあと相手の喉を歯で引き裂くような夢や、あるいは戦闘で相手を角で突き刺し、まだ生きているうちにその内臓を貪るような夢だった。私はこれらの夢から覚めると、ひどく動揺し、食欲を完全に無くしたものだ」

「覚えているよ。それが最初に始まったとき、君は少し体重が落ちていたね」

ミノタウロスは頷いた。「その後、夢をみる頻度が高くなり、動揺も少なくなっていった。まるで戦闘のあとに敵の体の一部を喰らうことが、何ら奇妙でも異常でもないことのように思えてきたのだ」

「そして、前にも話し合った通り、それは君の文化においては決して珍しいことではない。ただ、君自身にとっては一般的ではなかったというだけだ」

「その通りだ。しかし、前回先生に会って以来、夢の毛色が激変した。もはや戦闘の夢ではないのだ」アバナシーは、この話がどこへ向かうのかを懸念し、静かにお茶のカップを置いた。「今の夢の中では、私が敵を喰らっている場所は自宅の食堂なのだ。それも内臓の一部や手といったものではなく、きちんとした一食の食事になるほどの十分な量なのだ」

「それは確かに顕著な変化だね」アバナシーは極めて平坦な調子で応じた。

「それらの夢から目覚めると、私は自分が空腹であることに気づく。敵を貪ることが、もはや奇妙なことには思えない。むしろ、ひどく魅力的なことに感じられるのだ」

「よほど多くの敵を作らない限り、その食事法ではすぐに餓死してしまうね」アバナシーは安心させるように微笑んだ。

「その軽口には感謝する。だが、これは極めて異常な事態だ。先生もそう思わないか?」

「一般的ではないね」アバナシーは率直な口調で言った。「だが、このまま掘り下げていこう。君は敵を喰らう夢をみて、空腹状態で目を覚ます。――それで、そのあとは?」

「そうだな、私は外へ出て狩りをした。最初のうちは、新鮮なシカを食べることで……まあ、満足はできた。だが、以前のような楽しさはなかった。やがて、それすらあまり楽しめなくなり、不快に近いものになっていった。私は飢えで体が衰弱したときにだけ、辛うじて食べるようになっていたのだ。そして数日前……」彼の声が途切れた。アバナシーは待った。丸一分近く、沈黙が流れた。

「約三日前、飢えで足がもつれそうになりながら、私は狩りに出た」ゴルトゥクの声は、アバナシーがこれまで聞いた中で最も静かなものだった。「小川で水を飲んでいる野生のイノシシを見つけた。流れる水の音のせいで、そいつは私に気づいていなかったし、もちろん私は風上にいた。私は槍を引き絞り、そして……私は……私は……」ミノタウロスの巨大な拳が握られたり開かれたりした。彼の額の血管がドクドクと波打った。沈黙が再び丸一分間続いた。

「何があったんだい、ゴルトゥク?」

「何も起きなかったのだ!」ゴルトゥクが勢いよく立ち上がった。その突然の動きと雷鳴のような大声に、アバナシーは激しい感情の爆発を予期していたにもかかわらず、ぎょっとさせられた。彼はごく短い間、片側へとはねのき、その拍子に自分のお茶のカップをひっくり返してしまった。カップは床に落ちて粉々に砕け散った。彼は自身の自制心の欠如に対し、熱い羞恥心が込み上げるのを感じた。恐怖を示すことで患者に恥の烙印を押してしまうのは、治療において決して好ましいことではない。少なくとも、机の下にあるボタン――バネ仕掛けの針が飛び出し、ゴルトゥクを圧倒して思考不能の状態でひざまずかせるためのもの――に手を伸ばさなかったことだけは救いだった。しかし、彼はその動揺を一度胸に仕舞い込んで姿勢を正すと、現実に起きた事実を交えた話でその場を繕った。

「すまない、ゴルトゥク。昨夜ワインを飲みすぎてね、今日は大きな音が頭痛に響くんだ。どうか座って、話を続けよう」

「先生を怖がらせるつもりはなかったのだ」彼はそう言いながら、ソファへと腰を下ろした。「申し訳ない」

「ああ、怖がってなどいないさ。ここで責められるべきは、エルフの素晴らしい辛口赤ワインと、昨夜『節度』という自分自身のアドバイスに従わなかった医者だけだ。それで、槍を投げる準備はできていたが……何も起きなかった、と言ったね?」

ミノタウロスは頷き、アバナシーと視線を合わせようとはしなかった。「私にはそれができないと気づいたのだ。だんだんと困難にはなっていたのだが、あの瞬間に、ついに不可能なものとなった。どれほど飢えていようとも、私はその動物を殺すことができなかったのだ」

「待ってくれ、そのことについては、これまで話したことがなかったね?」

「詳しくは話していなかった。狩りに少し手こずっているとは口にしたが」

「私はてっきり、運が悪くて何も捕まえられないという意味だと思い込んでいた。それは私の落ち度だ。もっと詳しく詳細を尋ねるべきだった」

「以前は詳細がそれほど明確ではなかったのだ。だが今では、獣を殺すことに対して何かが私を苦しめているのがはっきりと分かる。これまでの生涯で、私は何千頭もの動物を食べてきたし、そのほぼすべてを自身のこの手で殺してきた。それなのに今、突如として彼らを殺める気になれず、代わりに敵の肉を喰らう夢をみているのだ」

「ここで、いくつかの可能性を素早く除外しておこう。ここ数ヶ月の間に、何らかのアンデッドの生物と戦闘を行ったりはしていないかい?」

「少なくともここ一年、もしかしたらそれ以上、戦ってはいない」

「分かった。体に異常な噛み傷などは残っていないかい? 特に血を渇望するような感覚は?」

「どちらもない。それに、私の夢は常に食べることであって、今でも水やエールを渇望している。そこはありがたいことに何も変わっていない」

「冒険の途中で、新しいアイテム、特に指輪やアミュレットの類を手に入れたりはしなかったかい?」

「いくつか売却したものはあるが、手元に残したものは何もない」

「誰かから呪いをかけると脅されたことは?」

「そんな奴がいれば、その場で殺していただろうな」

アバナシーは頷いた。「よし、それらはすべて除外できた。ただ、君の知らないうちに誰かが呪いをかけていないかどうかを確認するために、念のため専門家を紹介するかもしれない。このケースにおいては、その調査に金をかける価値は十分にあると思う。しかしゴルトゥク、これは君にとって深刻な健康問題だ。自分を飢えさせるわけにはいかない。あまりに長く空腹でいればパフォーマンスに影響が出るし、君の職務においては、一瞬の判断ミスが命取りになる。これは命に関わる問題だ」

ミノタウロスは頷いた。「動きが鈍くなり、いくつかミスも犯した。危険な状態だった」

「少し時間をくれ」アバナシーは何かを探してカルテをめくった。「ここにあるね、君が足首を怪我した際、肉屋から肉を買うことについて短く話し合ったが、君はそのアイデア自体がひどく不快だと答えている。あの時は、それ以上深く掘り下げなかったな」


ミノタウロスの顔に嫌悪感の表情が浮かんだ。「一部の文化では、性的な交際に対価を支払うことが許容されている。また別の文化では、それが哀れ、あるいは悪趣味とみなされることもある。ミノタウロスにおいては、自分の食べ物を殺してもらうために他人に金を支払うことは、恥ずべき行為なのだ」

ったため、彼女はゴルトゥクの診察が終わるのを待つしかなく、その間もその思考を頭の中で何度も何度も巡らせていた。

やがてミノタウロスが出てくると、アバナシーがその後ろに続いて現れたが、これは非常に珍しいことだった。彼が患者を受付室まで見送ることは、ほとんど皆無だった。「ルシンダ、ゴルトゥクに私の自宅の住所を書いたメモも渡し、そこに明日の日付と『午後九時』という時間を書いておいてくれ」 ルシンダの口が呆然と一瞬開いた。アバナシーは極めて平然とした様子で彼女を見つめたが、その視線はなぜか、彼女の動揺に対する不承認を即座に表現していた。

「かしこまりました、先生」彼女は正気を取り戻そうと努めながら言った。彼女はゴルトゥクの支払いを受け取り、両方のメモを彼に渡して、良い一日を、と見送った。彼が立ち去るやいなや、彼女はアバナシーのオフィスへと駆け込んだ。

「犯行現場のメッセージの一部が解けたと思います。いえ、とにかく、それについて何かを」 彼女の言葉は、急流のように彼女の口から溢れ出た。

「待合室に次の患者はいるかい?」 ルシンダは首を横に振った。

「では、私のオフィスに入りなさい」

「興味深いね。しかし、家族という状況においては、狩りをしていない家族のメンバーであっても、食事が共有されると私は想定している。それは合っているかい?」

「その通りだ。客人であってもその食事を共有することがある。お前たちの民が恥じることなく性と食べ物を共有するように、私の民もそうなのだ。タブー(禁忌)なのは、自分の食事を殺してもらうために対価を支払う行為そのものなのだ」

アバナシーは眉をひそめた。「冒険に出る際、どのように食料を調達しているんだい?」

「私は自分の肉をすべて自分で燻製にし、食料が尽きないように非常に十分な量を蓄えている。そしてもちろん、狩りをする。私は通常、傭兵として雇われているが、グループの中に深く知っている者、本当の友人がいれば、時折彼らの食事を共有するよう招かれることもある」

「なるほど。そして、しばらくの間、狩りの任務を引き継いでくれるような近親の家族が、君にはいないことも私は知っている」

「知っての通り、私は天涯孤独の身だ」

「では、しばらくの間一緒に滞在できるような、もう少し遠い親戚はいないかい?」

ミノタウロスはため息をついた。「同じような例えに戻るのは好まないが、もしお前の妻がもはやお前を興奮させなくなったとしたら、お前は従兄弟の家に行って彼の妻を利用させてもらうよう頼むか? 遠い親戚と同居したいという要求を簡単に説明することはできないし、もし真実を話せば、それは恥ずべきことなのだ」 彼はソファの隣にある小さなテーブルを、怒りを込めて指でトントンと叩いた。

「よし、ごく短い休憩を取ろう。だが、私たちはこの問題の解決策を見つけなければならない。食事を抜くことは、文字通り君の命に関わる、ゴルトゥク」 アバナシーは机の上に置かれていた小さな鈴を鳴らした。すぐさま、ルシンダがオフィスのドアを開けた。

「はい、先生?」

「ルシンダ、ヴィコドゥス夫人に関する情報シートを用意して、ゴルトゥクが帰る際に渡してくれ」

「かしこまりました」彼女は微笑んでそう言い、ドアを閉めてアバナシーと患者を二人きりにした。先生は以前彼女に、ヴィコドゥス夫人は呪いを感知して解く方法において非常に才能があると話していた。彼女には、自分の仕事を非常に真剣に受け止めるという、さらに優れた特質があった。偶然にも「解く」のに非常に費用がかかる呪いを突如として「発見」するようなタイプではなかった。ルシンダは彼のためのメモを用意しながら、ゴルトゥクに対して一抹の哀れみを覚えた。先生が精神的な健康問題に対して魔法的な説明を求めるのは、極めて稀なことだった。それはゴルトゥクの必要性が差し迫っているか、あるいはアバナシーの手が尽きているかのどちらかを意味していた。いずれにせよ、それは良い兆候ではなかった。彼女はメモを折り畳み、キャンドルに火を灯し、封蝋を数滴垂らした。患者のプライバシーを守るため、ルシンダは公にする目的ではないものには、アバナシーの公式な印章を決して使用しなかった。

彼女は封蝋を机の引き出しに戻し、その時、その日の朝早くに急いでそこに押し込んだ羊皮紙に目を留めた。それは彼女とアバナシーが調査していた犯行現場のメッセージの写しだった。明らかに、患者の目に触れさせてよいものではなかった。彼女はそれを適切にファイルするため、他の市警備隊《ウォッチ》関連の業務資料と共に取り出した。彼女は再びその言葉を目にし、その時、頭の中で突然何かがカチリと噛み合った。彼女は突如として腰を下ろし、片手を机に置いて椅子へと体を沈める勢いを緩めた。確信は持てなかったが、自分が今、ある発見をしたと彼女は信じた。アバナシーは患者の診察中の妨害を許さなか





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