オークとの危険な交渉
『良いコミュニケーションが良い交易をもたらすのか、あるいはその逆なのかという問いは、学者が決して飽きることのない議論の一つである。最も優れたコミュニケーション(議論の便宜上、これが最も速いコミュニケーションであると仮定する)は、常に富の中心地の近くに見出される。交易キャラバンを通じてメッセージを送ることは不当に高価なものではなく、信頼できる馬乗飛脚便を利用することも同様である。しかし、真に緊急のメッセージは空を移動し、それを運ぶ生物が強力でエキゾチックであればあるほど、そのプロセスはより高コストになる。巨大な鷲のような強力な鳥は、二つの地点間で多くのスクロールを運ぶことができ、ほとんどの都市には、スカイ・ロード・デリバリーのように、自都市と近隣の場所との間で毎日の配達を提供する会社が少なくとも一社は存在する。より大きな都市には、通常、雇うことができるペガサスの急使が少なくとも一人、あるいは時には見た目は似ているが空中での速度がより速く、はるかに賢いチョリマが存在することもある。グリフィンもこの目的で使用される。裕福な都市では、ワイバーンやスピンクスさえ利用可能かもしれない。最も裕福な国の首都では、真の富裕層はメッセージを目的地に届けるためにドラゴンに金を払うことさえできるのだ』――タイコロスの年代記より
他のオークの一人が何かを言い、短い会話が続いた。最初のオークはアバナシーを凝視した。「あいつは、お前を殺すまでにどれだけ待たなければならないのかと聞いてきた。私はもうそれほど長くはないと答えておいた」
「では手短にいきましょう、今夜は死にたくありませんから。街の人間は、あなた方が家畜を奪い、物資を運ぶキャラバンを襲撃していると言っています。それは本当ですか?」
オークは肩をすくめた。「食わなければならないからな。人間は鹿を狩る。俺たちは羊とキャラバンを狩る」
「あなた方が鉱山をかなり強固に要塞化したとも聞きました。ここで防衛線を構築するのに、かなりの時間を費やしたのではないですか?」
「そうだ。だからこそ、ここを奪いに来る者は誰もがここで死ぬことになる」
「そうかもしれません。そして、キャラバンが以前よりも速いペースで、毎週より多くの数が、増強された護衛を伴ってやって来ていることに、あなた方も間違いなく気づいているはずです。より多くの入植者がやって来ています。街は急速に成長しているのです」
「すべての物資キャラバンを襲撃する必要はない。たまに、守りの緩いものを襲うだけでいい。数が増えたからといって、それがどうした?」
「街の成長スピードは、あなた方の成長よりも速いのです。街が大きくなればなるほど、より多くの資金を持つことになります。そして、これほど近くにあなた方という脅威が存在する状態を許容する気はなくなっていくでしょう。やがて彼らは、この問題を永久に解決するために十分な資金を投じるはずです。あなた方全員を中に閉じ込めたまま、カタパルトを使って鉱山の入り口を粉砕するかもしれません」
「俺たちには、そのような事態を想定して計画を立てる時間があった。どうやら俺たちを脅して追い出せると思っているようだが、お前がしていることと言えば、今すぐ俺が温かいベッドに戻るのを邪魔していることくらいだ」
「もちろん、脅して追い出せるなどとは思っていません。あなたとあなたの一族は、この鉱山に多大な労力を注ぎ込んできました。我が家をただ捨てて、別の住処を探してさまようような真似をするはずがありません」
オークの目が細められた。「奴らが俺たちをここに置いておけないと言いながら、お前は俺たちが決して去らないと分かっていると言う。ではお前の計画は何だ、代わりに人間を追い出すとでも言うのか?」
アバナシーは咳払いをした。彼はゆっくりと手を口元に動かし、喉が渇いていることを示す大袈裟な表情を作った。「すみません、ここまでは長い道のりでしたし、たくさん話したものですから。腰のベルトにある水筒から水を飲みたいのです。私が手を伸ばしたときに、クロスボウを持ったお友達が私を撃たないよう言ってくれませんか?」
「手をゆっくり動かせ。そうすれば、あいつもおそらく撃ちはしないだろう」張り詰めた沈黙が流れた。アバナシーは再びその表情を作り、極めてゆっくりと左手を水筒へと下ろした。彼はそれを顔の位置までゆっくりと持ち上げ、紐をほどき、頭の数インチ上でそれを傾けて、水の流れを口の中に注ぎ込んだ。水の一部が地面にこぼれた。彼はしっかりと、長く水を飲み、オークたちの反応を観察しながら、何気ない様子を装おうとした。
「ありがとうございます。喉が渇くことほど辛いことはありませんよね?」
「クロスボウで目を撃ち抜かれる方が辛いぞ」オークは以前よりもさらに苛立っているように見えた。
「それを比較する機会が訪れないことを祈ります。ですが、本題に入りましょう。私はこの地域の地図を調べ、あることに気づきました。鉱山の近くにはどこにも井戸がありません。ここから二十マイル以内に水はありません。街が水源としている小さな湖を除いては――そしてそれは街の反対側にあります。あなた方は羊や物資キャラバンから水を得ることはできません。外で雨水を溜めることもできません。誰かが常に容器に毒を盛るか、遠くからそれを破壊する可能性があるからです。あなた方の部下は私を鷹のように監視していましたが、たった今、彼らは私よりも、私が飲んでいた水の方に注意を向けていました」
「俺たちのうち、渇きで死んだ者はまだ一人もいない。鉱山に移り住んだとき、水を手に入れるのが一仕事になることは分かっていた。俺たちはその仕事をし、水は十分に足りている」
「包囲戦が始まるまでは、でしょう。あるいは、あなた方がおそらく通っているであろう南西の小川の周囲に、彼らが防衛線を敷くまでは。私があなた方の立場なら、そこから水を得るでしょう。聞いてください、これから二つのうちのどちらかが起こります。私があなた方の満足する解決策を提案するか、あるいはあなた方が私を殺すかです。私を殺すのであれば、私に隠し事をする意味はありませんから、率直に教えてください。あなた方の水事情は、良くはありませんよね?」
「もっと良くすることはできる。そして今や、お前がそれを知った以上、そうだ、やはりお前を殺すべきだろうな」
「私を殺してもあなた方の水事情は改善しませんが、私を生かしておけば改善します。確かに、あなた方は鉱山を要塞化するために時間を費やしました。しかし、その仕事はもう終わっています。あなた方は今でも水を得るために多くの時間を費やしており、これからも水を得るために多くの時間を費やし続けるでしょう。街との衝突が激化するにつれ、彼らはあなた方が水を手に入れるのをますます困難にするため、あなた方は水を得るための仕事にさらに多くの時間を費やすことになります。この鉱山に移り住んだとき、街が急速に成長することなど知る由もなかったはずです。水を得ることなど、サドルに刺さった小さなトゲ程度にしか思っていなかったのでしょう。しかし今やそれはリスクとなり、そのリスクは増大する一方です。ですが、別の選択肢があります」
他のオークの一人が再び言葉を発したが、最初のオークは大声でそれを遮り、アバナシーに向き直った。「お前のアイデアが、お前が考えているのと同じくらい賢明なものであることを願うよ」
「私もそう願っています。決断を下す前に、最後まで話を聞いてください。ここから約六十マイル離れた、鬱蒼とした森林地帯に、洞窟群が存在します。私が見た地図によれば、その規模はこの鉱山よりも少し大きい程度ですが、それほど大きな差はありません。入り口は二つしかないため、非常に防衛しやすい場所です。森には獲物が豊富にいます。いかなる集落からも十分に離れているため、厄介な隣人に悩まされることもありません。そして最も重要なのは、その洞窟群の中を地下の小川が流れているということです。ただの水滴ではなく、あなた方の一族全員が望むだけの、清潔で冷たく、新鮮な飲料水を提供するのに十分な量です。水を捜し回る必要がなくなることで節約できる時間を使えば、あっという間に洞窟を要塞化することができ、ここよりもはるかに優れた環境を手に入れることができるでしょう」
「まるで夢のような話だな!」オークは冷笑しながら言った。「教えてくれ、なぜお前の一族は、その楽園にまだ住んでいないのだ?」
アバナシーは微笑んだ。「私もまったく同じことを考えました。話がうますぎる、そうでしょう? なぜ他の誰もまだそこに住んでいないのか? 実は、すでに先住者がいるのです。私の得た情報によれば、かなり手強い洞窟巨人がね。そいつがあまりにも巨大で恐ろしいものだから、他の誰もその洞窟に住み着こうとはしないのです」
「つまり、俺たちにその化け物と戦えと言うわけか。仲間を失い、傷を負わせ、生き残った者を今度はお前たちが殺す。そういう筋書きか?」
「いえ、むしろその洞窟巨人は我々が代わりに退治します。塒から狩りに出る洞窟巨人を一頭仕留める方が、強固に要塞化された場所に立てこもるあなた方の一族全員に強襲を仕掛けるよりも、我々にとってリスクが低いのです。極めて率直に申し上げますが、我々は報酬を支払われた仕事なら何でもこなします。しかし、私の仲間の多くはこの強襲に乗り気ではありません。それが非常に危険な戦いになることを知っているからです」
「ふん、それについてはお前の言う通りだ。なぜ街が自前の衛兵を送り込まずに、お前たちを雇ったと思う? お前たちは全員、ここで死ぬことになるのだからな」
沈黙が流れた。オークたちは互いに短く言葉を交わした。
「なかなか面白い話だな」オークは再びアバナシーに視線を戻した。「だが、所詮はただの作り話に過ぎないのではないか? 俺たちをまともな遮蔽物のない開けた場所へ誘い出し、お前の仲間たちが弓矢で仕留めるための罠かもしれない。仮にお前を信じるとしても――信じてはいないが――俺はここのボスではない。ただ、一番標準語が上手いというだけだ」
「私でもそう簡単には信じません」アバナシーは答えた。「ですから、提案させてください。馬に乗れる者を一人、私の話が本当かどうか確かめるために送り出してください。日の出前には戻って来られる距離です。そいつが私の言葉の真偽を教えてくれるでしょう。もし私が嘘をついていると報告されたなら、その時は私を殺してください。どうせ強襲が始まれば、私は死んでいたでしょうから。ですが、もし私の言った通りであれば、私は仲間の元へ戻って強襲を中止させます。我々が洞窟巨人を排除し、あなた方は安全に移転できるというわけです」
オークは鋭い視線を向けた。「これだけは肝に銘じておけ。もし俺の送り出した斥候が戻ってこなかったり、そいつの身に何か事故が起きたり、あるいは、お前の話が嘘だった場合、ただ殺すだけでは済まさない。たっぷり苦しませてから死なせてやる」
「異存はありません」アバナシーは穏やかに言った。オークは鼻を鳴らした。
「首領に話してくる。どう判断されるかは分からんぞ。お前の首をはねて街に送り返せと言うだけかもしれん。まあ、待っていろ」彼は鉱山の奥へ引き返す前に、他のオークたちに何事か告げた。アバナシーは緊張を悟られまいとしながら彼らに微笑みかけたが、彼らは冷徹な視線の刃を投げ返してくるだけだった。クロスボウの狙いは定められたままであった。
実際よりもはるかに長い時間に感じられたが、約二十分後、オークが戻ってきた。「今夜はお前にツキがあったようだな。首領が斥候を出す。判断はそいつが戻ってきてからだ。もっとも、これが何らかの罠だった場合、お前に苦痛に満ちた死を与えることは、すでに決定しているがな」
「それを聞いて安心しました。斥候を出すことについて、ですよ。もちろん、苦痛に満ちた死のことではありません」
「俺はもう一度寝る。他の連中は標準語を話せないから、話しかける必要のあるような言葉や行動は一切慎むことだ。おそらく奴らを怒らせるだけだからな」
「私はここで寝袋を広げて、斥候が戻るまで眠らせてもらおうと考えていました。四人ものオークの戦士に護衛されているのですから、ここ最近で一番安全な休息になりそうです」
オークはそれに対して思わず笑い声を上げ、他の者たちにも伝えると、彼らも同様に笑った。ただし、それが必ずしも愉快な笑いというわけではなかった。
「なら、眠るがいい。斥候が戻ってきた時にどうなるか、見ものだな」彼は鉱山へと戻っていき、アバナシーは寝袋を取り出した。最初は寝つけなかったが、やがて心を落ち着かせ、これから待ち受けるであろう大事な一日に思いを馳せ、澄んだ青い水をたたえた穏やかな湖と、その岸辺の近くを物憂げに泳ぐ美しい人魚の姿を頭に思い描いた。そうして、彼はいつの間にか眠りに落ちていった。
「立て、人間!」アバナシーはその言葉を完全には聞き取れなかったが、意識は一瞬で覚醒した。日の出にはまだ少し早かったが、空は白みかけていた。標準語を話すオークが彼を見下ろすように立っていた。
「斥候は?」彼はゆっくりと起き上がりながら尋ねた。
「すでに首領との謁見を済ませた」オークたちは激怒しているように見えた。クロスボウの銃口が再び彼に向けられている。「洞窟巨人は一頭だと言ったな。だが、斥候は三頭確認した。あれでは忍び込んでお前の言っていた小川を確認することもできん。お前たちに殺せる数ではない」
「何だって? そんなはずは――私は一週間前に自分でそこへ行ったばかりです。あり得ません!」
「新しい仲間でも作ったのだろう。いずれにせよ、首領はお前を殺せと言っている」
「いや、待ってください!」アバナシーは必死だった。「まだ何とかできます! 巨人たちと交渉して、自発的に立ち退かせる取引をしてみせます。あなた方の一族にとって、あそこが最高の場所であることに変わりはありません!」
オークたちが一斉に笑い始めた。アバナシーは論理的な思考では、クロスボウのボルトを避けることも、十分に速く走ることも、隠れ場所を見つけることも不可能だと分かっていながら、本能的にあたりをキョロキョロと見回す衝動を抑えきれなかった。
「落ち着け。お前が恐怖で漏らすか、あるいは命乞いをするかで、俺たちは賭けをしていたのだ。お前は両方やりかけたが、どちらも完全にはしなかった。だから俺の勝ちだ」他のオークたちは、まだ笑いながら、がっしりとした体格のそのオークに銅貨を投げ与えた。アバナシーは、怒涛のような安堵感と、いくばくかの羞恥心に包まれた。
「斥候の報告によれば、お前の言葉は真実だった。あそこは移住するにはほぼ完璧な場所だ。洞窟巨人の問題さえなければな。お前が本当にあれを殺せるというなら、移転するのが最善だと首領は言っている。ただし、俺たちがその洞窟に到着するまでの安全を保障するため、人質の交換を要求するとのことだ」
「もちろんです」アバナシーは、平穏と威厳を取り戻そうと努めながら言った。「合意の通り、私はこれから商会の元へ戻り、この強襲を中止させます。洞窟巨人を退治した後に再びここへ戻り、人質の調整をしましょう」オークが他の者たちに言葉をかけると、彼らは武器を収めた。
「行っていいぞ。ここに戻ってきたら、俺の名前を呼べ。誰かが俺を呼びにいく。クララックスだ。近いうちに戻ってくるのを待っているぞ」
「クララックス、あなたと交渉できて光栄でした。またすぐにお会いしましょう」
アバナシーは『黄金の狐』商会の野営地へと歩いて戻った。パーティーのリーダーは、投げナイフを研ぐ手を止めて顔を上げ、彼を睨みつけた。「どこへ行っていたんだ?」
「鉱山で一晩過ごしてきましたよ」アバナシーは何気ない様子で言った。「オークたちは、平和的に立ち退くことに同意してくれました」リーダーは研いでいたナイフを思わず落とし、アバナシーに第二の頭でも生えてきたかのように、ただ唖然と彼を見つめた。「ちょっとしたおまけがつきましてね。洞窟巨人を一頭、退治しなければならなくなりました。ですが、あの鉱山に強襲を仕掛けるよりは、はるかに危険の少ない仕事になりますよ」
オークたちが同意するかどうかも分からなかったため、アバナシーは誰にも自分の計画を話さず、許可も求めていなかった。だが、オークたちを説得することこそが最も困難な部分であると彼は知っていた。予想通り、パーティーのリーダーは衝撃と不信感から立ち直ると、洞窟巨人に挑むことにがぜん意欲を燃やした。彼らのグループは二日間かけて巨人の習性を観察した後、待ち伏せを仕掛け、矢の斉射と、それに続くパイクや槍による追撃で巨人を仕留めた。メンバーの一人が腕を骨折し、もう一人が肋骨に数箇所あざを作ったが、被害はそれだけだった。アバナシーは巨人の首を持ってクララックスの元へと向かった。
オークの首領は五人の人質交換を要求した。アバナシーが自ら進んでその一人となり、『黄金の狐』商会のメンバーは残りの四人が誰になるかを決めるためにくじを引いた。五人のオークは、商会が再び野営地を設営した場所の近くへと連れて行かれた。街には、オークたちが通るルートに人を近づけないこと、そして彼らの通行をいかなる方法でも妨げないよう事前に警告が出されていた。夜が明ける頃には、すべてが終わっていた。オークの騎兵が戻り、彼らのグループが洞窟に無事収まり、人質を帰還させてもよいと告げた。
冒険者パーティーは、事前に合意していた通りにアバナシーの報酬について投票を行った。最後の一人に至るまで、全員が彼に二倍の分け前を与えることに一決した。街は彼がそこに定住することを大いに歓迎すると明言し、硬貨の入った袋と、街の紋章が刻まれ、柄頭に小さな宝石が嵌め込まれた、見事な銀象嵌の短剣を彼に贈った。
『黄金の狐』のギルドマスターは、彼をフルタイムで雇い入れた。こうして、アバナシーの冒険者および交渉人としてのキャリアが始まったのである。
そのキャリアは、アバナシーがいくつかの素晴らしい経験をし、いくつかの説明のつかない現象を目にし、そして二、三の極めて異例な状況に身を置いた後に幕を閉じた。彼の最後の冒険にはそれらの要素がすべて含まれており、最終的にアバナシーは、古代の異界の存在から報酬を授けられることとなった。
「お前の知恵と意志によって、今日、ここで大いなる悲劇が回避された。そこで『澄徹のアバナシー』よ、お前に問う。もしお前が自分の人生について一つだけ変えられるとしたら、あるいは何か一つを手に入れられるとしたら、それは何だ?」
アバナシーは、頭に最初に浮かんだことを口にした。「そうですね、もっと多くの人々を救う手助けができればと、心から願っています」
白い光の明滅が一瞬、舞い踊った。「ならば、その通りになるであろう」
突然、その存在を光の輝きが包み込み、それが引いたとき、アバナシーの足元には『便覧』が置かれていた。「これを受け取るが良い」とその存在はアバナシーに言った。「最初は、そこに書かれた言葉や方法の多くが、お前にとって異質なものに思えるだろう。ある部分は迷宮のように感じられ、またある部分は完全に理解不能に思えるはずだ。だが、お前が懸命に努めるならば、その鋭い頭脳がいずれ重なる層を剥ぎ取り、この書物はそのすべてをお前に明らかにする。正しい者の手に渡り、適切に使われるならば、この書物は他者には決して真似のできない方法で、人々を救う力を与えてくれる。やがて時が満ちれば、お前は他の者たちに同じことを教えることができ、世界は永遠に変わるであろう。ほとんどの者にとって、これは価値のない無意味な記述の集まりに過ぎない。だが、お前の手にあれば、それは計り知れない価値を持つ。だからこそ、命に代えてもこれを守り抜くのだ」
まさにその通りであった。『便覧』は言葉で埋め尽くされており、その中にはアバナシーが知っている言葉もあったが、知らない言葉も数多く存在した。知っている言葉であっても、彼には理解できない方法で使われていることがしばしばあった。本文は、彼が実際には全く不案内な特定の概念について、すでに理解していることを前提として書かれているようだった。しかし、彼は諦めずにその本を何度も何度も学び、ノートを取り、推測を立て、仮説を検証し続けた。
次第に、それは彼にとって意味を成し始め、理解できるようになっていった。まだ学ぶべきことは多く残されていたものの、アバナシーは『便覧』が心の病について、そして、ただ自身の「語る技術」だけを用いて、他者がそれを克服するのをどのように手助けできるかを教えてくれているのだと理解するようになった。
それは何年も前のことであり、彼のオフィスや助手、魔法の寝椅子、さらには「話す石」すら手に入れる前の話だった。それ以来、彼は『便覧』のほぼすべてを理解するようになっていたが、それでもなお、それに関するメモを日記に書き留め続けていた。今、彼はこれほど凄惨な犯罪を犯し、あのようなメッセージを残す者が一体どのような精神の持ち主なのか、何か手がかりを得られないかと『便覧』を紐解いた。
数時間の調査の後、彼が得られた成果はごくわずかだった。『便覧』には、三人以上の人間を殺害した者についての記述は多かったが、二人だけを殺害した者に関する記述ははるかに少なかった。それでもアバナシーは、殺人鬼が三人目の犠牲者を出す万が一の事態に備えて、その内容をノートに書き写した。なぜ誰かがあのようなメッセージを残すのかについては、もう少しだけ深い洞察を得られたが、大抵において『便覧』は、彼の既存の仮説のどれもが妥当であり得ることを裏付けるにとどまった。
落胆しながらも、彼は『便覧』を極めて安全な保管場所へと戻し、オフィスに鍵をかけ、少しでも眠るために徒歩で家へと向かった。




