↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/42

拠点強襲 — 闇討ちと血戦の隠れ家

「探求の時代、最も論争を顧みられなかった発見の一つに……いや、ほとんどどの国へ行っても、最近亡くなった者の復活を祈る聖職者を見つけることができる。その真逆を見つけるためには、パロルヴィウム連合へ赴かねばならない。かつては互いに近接して暮らし、しばしば対立していた六つの荒々しい部族が、卓越していながらも露骨に悪名高い影のリアノンの指導力のもとで統合されたのがこの国である。彼女は優れた才能を持つ死霊術師であり、部族をまとめて近隣諸国を襲撃した。彼女の戦利品の大部分は、その黒魔術への理解を深めるための工芸品、古文書、そして家庭教師に費わされた。連合が正式に成立した要因の少なからぬ部分は、部族の指導者たちの誰も彼女に逆らう気になれなかったことにある。彼女の力が強まるにつれ、彼女を取り巻く噂も大きくなっていった。生き物ではないものとの淫靡な戯れといった噂は、ほぼ間違いなく政治的な動機によるデマだった。しかし、最近亡くなった大切な者たちに何らかの命を与えて最も重要かつ忠実な盟友たちに報いたという話などは、より信憑性が高そうに思われた。彼女は十年にわたり、慈悲や憐れみを示すことなく敵を恐怖に陥れた。ついに、強力な傭兵団の支援を受けた近隣の軍閥が連合を攻撃した。軍閥の軍勢が首都に迫ると、リアノンは兵士たちのために用意された神聖な墓地へ赴き、大規模かつ壮麗な儀式を行って、集められたすべての死者を蘇らせ、再び自分に仕えさせるに至った。彼女の最高幹部軍人たちは、彼女の死霊術には慣れていたものの、この死者に対する冒瀆には恐怖した。彼らは軍閥と取引を行い、リアノンを処刑することを条件に、即座に撤退して侵略を終わらせることで合意した。彼女の騎兵隊長は背後から彼女を剣で突き刺し、直ちにその死体をバラバラに切り刻んだ。リアノンには何らかの手段で死を欺くための安全装置が考案されていたという言い伝えが長年存在していた。そのため、彼女の首、胴体、そして四肢のそれぞれが別々の聖別された容器に入れられ、寺院内の霊廟に封印された。彼女の遺骸には絶えず祈りが捧げられており、一人の修女が祈りを唱え、その隣ではもう一人の修女が言葉を口の動きだけで真似ており、もう一人が何らかの理由で言葉に詰まったり声を失ったりした場合に備えてすぐに声に出して語れるように待機している。彼女たちは二人の修道士に守られており、必要であれば彼らも祈りを手助けすることができる。リアノンの死からほぼ二世紀が経過しており、それ以来祈りは途切れることなく唱え続けられているのである」

——『タイコロスの年代記』より


アバナシーはもう眠れなくなると、テントから這い出し、ベイツが小さな調理用の焚き火を設営していた開けた場所へとよろよろと歩いて行った。ゴルトゥクはまだ自分のテントの中にいて、クラリッサは焚き火のそばに座っていなかった。おそらくまだ眠っているのだろう。残りの面々は、二十フィート先の一点を凝視していた。アバナシーは腰を下ろし、皆が何に釘付けになっているのか確かめようとした。


「よし、もう少しだ」とルシンダが言った。彼女は自分の荷物袋からリンゴを取り出し、小さな切れ端に切り分け始めた。彼女は一欠片を取り、ゆっくりとしたアンダースローの投げ方で、それを遠くへ飛ばした。それが着地すると、黒い小さな塊が動き出し、リンゴの切れ端へと駆け寄った。それは一匹の黒いリスで、見たところまだ若い個体のようだった。リスは食べ物を拾い上げ、数秒ごとに立ち止まって、誰かがその獲物を自分から奪い取ろうとしていないか確認しながら、尻尾を激しく振りながらそれをかじり始めた。


「すごく可愛らしくない?」とルシンダが尋ねた。


「黒いリスなんて初めて見たよ」とベイツが言った。


「赤いのや、灰色のや、黒いのは見たことがあるわ」とヘルギが言った。「赤いのが私のお気に入りね」


「どれも味は同じだとヌールが言っているぞ」とレザが言った。


ルシンダは彼をジロリと睨みつけた。「ヌールは美しいけれど、この子を朝食にするわけないわよ」レザは降参するように両手を上げた。彼の肩にとまっているヌールは、リスに関心を示す様子を一切見せなかった。


「僕が本当にしたいのは、あいつをこちらに誘い込んで、背中に白い線をペイントすることだな」とベイツが言った。


「一体どうしてそんなことをするの?」ルシンダはリスにリンゴの切れ端をもう一つ投げながら尋ねた。


「第一に悪戯さ。街のどこかの高級な晩餐会にそいつを放り込んで、スカンクだと思い込んでみんなが恐怖に逃げ惑うのを見るんだ。ここでの生存率を上げることにもなるだろうしね」


「白いペンキなんて持ってきてなくて、リスにとってはそれが一番よかったかもしれないわね」とヘルギが言った。


「あんなに堂々と、こんなに近くまで寄ってくるなんて、今でも信じられないわ」とルシンダが言った。


「この場所は以前にもキャンプ地として使われていたことがあるんだろう」とレザが言った。「あいつも前にこれをやったことがあるのさ。君が最初のカモじゃないな」彼はルシンダに微笑みながら言った。


そのフサフサした黒い訪問者は、日中の時間帯における唯一特筆すべき出来事だった。街道から彼らに声をかけに来る者は誰もいなかったが、そこがよく使われている道であることは見て取れた。夕暮れが近づくにつれ、彼らは議論に参加できるようにゴルトゥクのテントの近くに集まった。


「レザと私は地図を確認し、今夜のどこかで探している場所を見つけられそうだと意見が一致した」とアバナシーは言った。「暗闇に乗じて忍び込み、さっさと入って出て、それから家路につきたいという誘惑に駆られるのは分かっている。だが、内部に何があるのか知らないまま手探りで飛び込むのは得策ではないかもしれない。到着したときに状況を評価するが、昼間に建物を調査し、その翌夜に襲撃しなければならない可能性もある」


「忍び込んでさっさと引き揚げ、今夜中に襲撃して、翌日の昼間に目撃されるリスクを冒したくないものだがね。だがもちろん、お前たちが言う通り、到着してから状況を見極める必要があるな」とゴルトゥクがテントの中から言った。


「心に留めておいてほしいのは、私たちが頼りにしているのは獄中の男の推測、しかも誘拐に加わっていない男の言葉だということだ。私たちが向かう場所にその女性が囚われているとは限らない。他に手がかりがない以上、それに従うしかないが、慎重に行こう」とレザが言った。


彼らはキャンプを片付けた。ゴルトゥクはテントから荷車へと素早く移動し、ヘルギが彼のテントを畳んだ。彼女は車軸をもう一度確認し、その状態に満足すると、馬に跨がった。彼らは再び街道に戻った。夜になっても、そこには数人の騎行者が行き交っていた。前の夜と同様に、挨拶の合図をいくつか受けたが、それ以外は特に注目されることもなかった。


真夜中の一時間前、彼らはより狭い道路へと移動した。こちらはあまり手入れが行き届いていなかったため、少しペースを落とさなければならなかった。それでも、バンプを越えるたびに、ヘルギの視線はちらりと荷車に向けられた。しばらく進んだ後、彼らは上り坂のように見える小道へと曲がった。レザがグループの元へと馬を走らせ、もうすぐ到着だと一人一人にささやいて回った。ついに小道が途切れ、彼らは足を止めた。


「見晴らし台のすぐ近くのはずだ」アバナシーは荷車の近くに集まりながら静かに言った。「あそこからなら、見つからずに昼間のうちに建物を視認できるはずだ。もっとも、ヘルギが乗馬たちを伏せさせなければならないがね。荷車もここに固定しておかなくてはならない」


「落ち着いたら、建物のほうへもう少し近づいて偵察するために、小道を少し戻るつもりだ。構わないかい?」とレザが答えた。


アバナシーは頷いた。「もちろん、気をつけてくれよ」


ゴルトゥクが這い出し、周囲を見回した末に数本の木を見つけて荷車をそれらに結びつけた。見晴らし台の端から誤って転落しないよう、誰もが気を付けながら月光の中を進んだ。レザは他のメンバーの数歩先を進み、全員が彼の足跡を追えるようにした。そしてついに、彼は急に立ち止まった。


「ここだな」と彼はささやいた。「これ以上は進めない」


「わかった。ここから誰に見られているか分からないから、夜が明けるにつれて馬たちを伏せさせる場所を探すわ」とヘルギは言った。「うまくいけば、ゴルトゥクと私で彼の乗騎を言う事を聞かせられるはずよ」


「五分五分だな」とゴルトゥクがぶつぶつ言った。


彼らは地面のクッションにするために寝袋を取り出し、横になった。レザは夜の中に姿を消し、二時間後に戻ってきた。


「作業するのに月の光があともう少しあればよかったんだがな」と彼は静かに言った。「だが建物は見つけた。思ったより小さい。集会スペースとしては少し窮屈だろう。寝泊まりするにしても、すし詰め状態でもなければ、中に十数人以上いるはずがない。いびきが聞こえたから、少なくとも一人は中に魂がいるのは確かだ」


「よくやった」とアバナシーは言った。「ゴルトゥク, もし中に十二人いるとしたら、今夜の襲撃についてどう思う?」


「奇襲の利点があるな。連らがまだ床についている間に三分の一はおそらく倒せるだろうし、もう三分の一はこちらに立ち向かう準備ができていないだろう。そいつらはすぐに片付けられる。問題は、建物の構造がどうなっているか分からないことだ。そもそも彼女がそこにいればの話だが、そういうものがあるなら、奥の部屋や物置のような場所に幽閉されていると予想される。あの十二人のうちたった一人でも、パニックになって彼女のところへ行き、誰がどうやって連れ去ったのかを喋られないようにその首をかき切るかもしれない」


「一方で、ドアを蹴破ったら、目を覚ましたばかりの怯えた男一人と、普通の鉄球と足かせをつけられた彼女が見つかるかもしれない」とレザが言った。


「その通りだな」とアバナシーは言った。「もしアンドレアが死ねば、無駄足を踏んだどころの話ではない。実際にテペシュを有罪にしてしまうかもしれない。誘拐事件に彼が関わっているように見せかけられたら、彼女の殺害にも彼が関わっていると確実に思われてしまう」


「それに加えて」とクラリッサが静かに言った。「あなたは彼の友人だ。だから、彼が彼女を始末するためにあなたをここに送り込んだと連中は思い込むだろう」


アバナシーは答えようと口を開いたが、何も言葉が出てこなかった。片手が自分の顔の横に上がり、もう片方もそれに続いた。彼の口から長く荒々しい息が漏れた。


「どうしてそれに気づかなかったんだ?」と彼は言った。「もしこれが失敗して、私やルシンダ、ヘルギ、あるいは私に関係する誰かがここにいたことが何らかの形で漏れたら、テペシュが彼女を死に至らしめるために私たちをここに送り込んだように仕立て上げられてしまうかもしれない」


「アバナシー, これで何も変わらないさ」とレザが言った。「アンドレアの死は常に最悪のシナリオであり、あなたにとってもテペシュにとっても損失となる結末だ。それは今も変わらない。彼女へのいかなるリスクも回避することが、常に私たちの計画だったはずだ」


アバナシーはゆっくりと頷いた。「大体はその通りだな、おそらく。だがこれで決まりだ。あの建物の中に誰がいて、どのように監禁されているのか、そもそも本当にそこにいるのかについて、もっと詳しくわかるまで待たなければならない。暗闇の中でドアを破れば私たちのリスクは減るが、不完全な情報では彼女へのリスクが増大する。だから、夜が明けてから分かることを見て、そこから判断しよう。明日の夜まで待たなければならないかもしれない。ともかく、夜明けまであと五時間ほどだ、前後はあるがね。最初の見張りは私がやるから、もう一方はヘルギ, 君が頼む。残りの面々はできるだけ睡眠をとってくれ。天気が晴れているうちはテントを使うリスクは冒したくない、今夜は寝袋だけだ」


彼はクラリッサの発言とレザの反論を消化する時間を必要としていた。いかなる救出劇もアンドレアの命を危険にさらすものだったが、もし計画が失敗に終わりそれが明るみに出た場合、自分の関与が友人に不利に利用されるかもしれないことについて、彼は本当に考えていなかったのだ。テペシュと自分自身を助けようとするあまり、自分の決断が二人を恐ろしき運命に突き落とす結果になりかねない。だがレザが言ったように、それは最初から変わらぬ事実だった。


彼はその葛藤と向き合い、やがてその思考を脇に追いやることで最終的に折り合いをつけた。彼に必要なのはクリアな頭脳であり、必要ならば大胆に行動しリスクを取る能力であって、自分の選択を後から疑うことではない。ヘルギをそっと起こす頃には、彼の心は短時間の睡眠をとれるほど十分に落ち着いていた。彼は見当識を失った状態で目を覚ました。ヘルギが彼の肩を優しく掴んでいた。あたりはまだ暗かったが、地平線にはわずかな光の筋が見え始めていた。彼は首を振り、彼女が他の者たちを起こすのを手伝うためにゆっくりと立ち上がった。


「馬をどれくらい後ろに配置すべきか判断できるだけの明るさが確保でき次第、あなたの乗騎から始めましょう」とヘルギはゴルトゥクに言った。「他の馬たちは静かに伏せさせることができると思うけれど、あなたの乗騎は音を立てるかもしれないから、他の人たちが起きてそれを聞く前に済ませておきたいの」


「あいつも伏せるには伏せるが、いつも自分のペースだ。どうなることやら見当もつかないな」とミノタウロスは言った。


それから間もなく、自分たちがどこにいるのか視認できるようになった。見晴らし台からは三つの主要な建物が見えた。一つは羊牧場の母屋であり、そのすぐ近くには小さめの寄宿舎と納屋があった。二つ目は反対方向にある別の住居で、所有者がある程度の富を持っていることを窺わせるが、大富豪というほどではない規模だった。三つ目が彼らの探している建物であり、おそらく『ブラック・マスクス』のものだと思われた。


ヘルギは見晴らし台の上を素早く動き回り、建物の周辺を動き回る誰からも馬が見えない場所を探した。やがて彼女はゴルトゥクに手招きして自分の乗騎を連れてこさせた。彼女は旅の途中でその動物と過ごす時間もあり、一度は毛づくろいもしたことがあったため、相手にとって見ず知らずの人間というわけではない。それでも、これは馬ではなかった。


彼女はその動物を伏せさせようと誘導したが、彼女のやり方は通用しなかった。彼はただ突っ立って、まるで彼女が頭を下にして足にアヒルを縛り付けた状態で逆立ちしているかのような、間抜けな目つきで彼女を見つめるだけだった。


「ゴルトゥク、私の加えている圧力が伝わっていないみたいだわ。私の手がどこにあるか見て、そこを優しく、けれどしっかりと押し下げて」彼女は動物に話しかけ続け、他の部位に優しい圧力をかけながら、ゴルトゥクに自分の場所を代わらせた。最初は何も起きなかったが、ゴルトゥクが圧力を強めると、その動物はついにだるそうに振り返って彼を見つめた。


「モオオ……?」と、まるで疑問符のような鳴き声を漏らした。そして気だるげに後腰を沈め、地面に横たわった。その鳴き声はそれほど大きくはなかった。ヘルギは急いで他の馬たちを連れてきて、手際よくそれらを伏せさせた。音を立てたのはクリヴィントンの馬だけで、それは苛立ちの短い鼻息だった。


一方、レザは自分たちが姿を見られずに目標を監視できるように、寝袋の位置を整え直していた。「用を足しておく必要がある奴は全員、今済ませておけ。この辺りの人間が起きたら、死体のようにじっとしていなければならないからな。それと、何か光る物を持っているなら、毛布で覆うかしまっておくかしろよ」と彼は言った。


それらが済むと、彼らは陣取った。案の定、最初に動きがあったのは羊牧場で、家畜の飼育という毎日の日課が始まった。羊たちの鳴き声が数多く響き渡り非常に騒がしかったため、物音を聞がれる心配はすぐに消え去った。もう一つの住居では何も起きていないようだった。狙いの建物からは、狭い煙突から小さな煙の立ち上りが始まってすぐ、一人の男が出てきて、小さな茂みの区画へ歩いて行き、一、二分ほどそこに向かって立った後、建物の中へと戻っていった。五分後、二人目の男が同じ儀式を繰り返した。次の時間の間に、彼らは合計六人を数えた。


「連中はかなり健康そうだな」とアバナシーは言った。


「装備を見る限りでは感心しないな」とレザが言った。「安っぽく見える」


ベイツはもう一つの住居を監視しており、あちらの建物の煙突からも煙が出始めていると報告した。


「六人なら好都合だな」とゴルトゥクは言った。「それに誰も魔術師のような格好はしていないから、魔法に対処しなくて済むといいが」


「もし彼女がそこにいればの話だが、近所の住人たちは気づいていると思うか?」とレザが尋ねた。


アバナシーは姿勢を少しずらし、より楽な体勢になろうとした。「それぞれの敷地は、彼女が大声でわめき散らしたりせず、中に夜間便器でもあれば、その存在が秘密のままでいられるくらいには離れている。この辺りの人間がブラック・マスクスを支持している、あるいはメンバー自身である可能性もあるから、秘密にしておく必要すらないかもしれない。私たちもそのうち何人かと対峙しなければならないかもしれないな」


「牧場の労働者崩れが何人いたところで、私たちの足手まといにはならんさ」とゴルトゥクは言った。


「もし連らがやって来て私たちの乗騎を取り押さえたら、それでおしまいだ」とアバナシーは言った。


「誰かに残ってもらって乗騎を監視してもらう必要があるな」とレザが言った。「ヘルギが適任なのは明白だが、正直言って彼女の剣を外すわけにはいかない。別の誰かでなければならない」


「私にできるわ」とクラリッサが言った。


「君には頼みたい特別な仕事があるんだ」とアバナシーは言った。「アンドレアは、見知らぬ男より友好的な女性の顔を見たほうが安心するだろう。彼女を見つけ出し、落ち着かせて、そこから速やかに連れ出してほしい」


クラリッサは頷いた。


「私にもいくつか手はある」とベイツが言った。「狭い建物内での接近戦ではあまり役に立たないが、誰かが乗騎の邪魔をしに来たときには間違いなく役立つ。ここで留守番しているほうが効果的だと思うね」


「それなら話は早い」とアバナシーは言った。「レザ、どうやって奇襲をかけるべきだと思う?」


「夜まで待てば、増援が到着したり、何らかの理由で彼女が別の場所へ移送されたりするリスクがある。六人しかいないと分かっている今、すぐに行動すべきだ。ドアを蹴破るのでは、連中に準備する時間を与えすぎてしまう。私が便所の茂みに隠れよう。次に誰かが用を足しに来たらそいつを排除し、それから開いたドアから突入すればいい」


「近づくところを見られさえしなければ、それでいけるはずだ」とゴルトゥクは言った。「昼食時に少し近づくまで待つべきだな。今すぐ茂みに用がある奴なんていないはずだ。アバナシー、この計画でよければ、身を隠す場所を探し、一つ一つの地点での動きを計画しよう」


彼らは見晴らし台から地形を観察し、できるだけ長い間姿を隠しながら建物に近づく方法を割り出した。開けた土地が多くて身を隠す場所があまりないため困難だったが、彼らは最終的に一つの計画に落ち着いた。


真昼の太陽が照りつける中、レザが先頭に立ってあちこちへ身を翻しながら動き出した。彼が数箇所先に進んだところで、他の者たちは二人一組になり、小さな木の群れ、それから大きな手押し車、そして積み上げられた干草の束へと移動した。レザが便所の茂みにたどり着いた時、他の面々は二十フィート離れた地面に伏せ、雨水樽と水飲みトラフにすっぽりと隠れていた。その二分間の移動の間に見つかっていたとしたら、建物側からの反応は一切なかった。


太陽の照りつける暑さの中、一時間近く地面に這いつくばっていると、ようやくドアが開getFullYear。クルミ色の肌をした、不揃いな革の鎧を着た男が大股で外に出てきて、鶏の脚の肉の最後のひと口を平らげると、骨を草むらの中に投げ捨てた。彼は鎧とズボンを整えながら茂みの方へ近づいてきた。身長はレザより数インチ高かったが、特に筋肉質というわけではなかった。レザは男がペニスを掴んでいる瞬間を待ち、両手にブレードを構えて一気に跳びかかった。右手で左から右へ斬りつけ、左手でその逆を行い、男の喉を二箇所で切り裂いて声帯を切断した。男は驚いてあえぎ声を漏らし、自分の武器に手を伸ばしながらよろめき後退した。レザは片手で男の口を塞ぎ、もう片方の手で腰を抱え、ゆっくりと地面へと這わせた。男は手斧を引き抜こうとしたが、振り下ろす前にだらりと力なく開いた指からそれが滑り落ちた。男が地面に横たわると、レザはもう一度斬撃を加え、それから立ち上がって他の者たちに合図を送った。室内の戦いにヌールは連れていけないため、彼はそれを空へと放った。


彼らはもはや身を隠すことを気にせず、素早く前進した。建物に到達すると、ゴルトゥクが先頭を切ってドアを蹴破り、レザがそのすぐ後ろに続き、他の者たちもそれに続いた。


ミノタウロスは幸運だった。彼が突入したまさにその時、誰かがドアの近くに立っていたため、彼は単に角を下げ、その勢いのまま男めがけて突撃した。男の着ていた錆びた鎖帷子は、ゴルトゥクの角の先端が肉を貫くのをほとんど防げなかった。二人は奥の壁に激突し、突然の急停止によって角は男の肺の奥深くへとさらに突き刺さった。男は陸に打ち上げられた魚のようにあえぎ、筋肉質な腕を振り回し、口からは血の泡がブクブクと湧き出た。彼はゴルトゥクを押し返そうとしたが、ミノタウロスはすでに両手を男に添え、突然頭を後ろに引き抜いた。ギザギザの角を引き抜く際により大きなダメージを与え、男は壁伝いに床へと滑り落ち、穴の開いた肺に血が満ちていく中で、あえぎ、むせ返った。


レザは奥の部屋へ駆け込もうとしている男を目撃し、三本のブレードを投げつけた。一本目は肩の間を捉えて一瞬動きを硬直させたが、男はまともなスケールメイルのチュニックを着ており、ブレードは完全に貫通しなかった。二本目のブレードは左耳をかすめ、耳たぶの小さな切れ端を削ぎ落として血を噴き出させた。三本目は、レザが信じられない思いと悔し涙を呑むことに、男の背中にすでに突き刺さっていた一本目のブレードに直撃し、脇へと弾け飛んだ。


男は素早く振り返ってショートソードを引き抜き、顔を歪めながらも歯を食いしばり、戦う意志を示した。彼は一気に距離を詰め、レザに戦闘用のブレードを抜く暇をほとんど与えなかった。レザは最初のスイングをかろうじてかわし、素早く突きを繰り出したが出し抜かれ、男は反撃を予想して攻撃の届かない位置へと身をかわした。


「お前の体に五つ穴を開けて、血を流しながらその穴を犯してやるよ」と男はしわがれた声で言った。


レザは素早くフェイントを掛けた。「まずは俺の鼻の穴からにしてくれ。広々としてるが、鼻毛がいい感じにくすぐってくれるはずだ」


男は素早く、明らかに戦闘経験があったが、レザの敵ではなかった。レザはすばやく突き、斬撃、フェイントを繰り出し、相手に回避と防御の姿勢をとらせた。大きく左への攻撃をフェイントで匂わせ、相手がそれを防ごうと過剰反応した隙に、レザは何度も右へと突きを放ち、複数の箇所で鎧を貫通させた。傷口から何筋もの血が流れ出し始めた。レザは下がり、代わりに出血が仕事をしてくれるのに任せて防御に徹した。半分ほど時間が経つと男の剣を握る腕が低く垂れ下がり、レザは止めを刺すために飛び込んだ。


ルシンダはテーブルに座っている男を見つけた。その上にはクロスボウ、半分かじられた鶏の脚とニンジンが乗った欠けた木の皿、そしてエールのジョッキがあった。彼はすでに立ち上がり始めており、背後では椅子が床にガチャンと音を立てて倒れ、両手がクロスボウに伸びていた。近接戦闘用の武器としては理想的とは言えない。彼女はアバナシーの脇をすり抜け、男めがけて跳びかかった。男はクロスボウを手に取り、それを持ち上げるところだった。毒に濡れたスティレットが彼女の手の中にあった。クロスボウは彼女の額をまっすぐ狙っており、男の指が引き金へと動いた。その瞬間、彼女が男に激突してクロスボウを揺らし、発射された矢は天井へと突き刺さった。彼女の勢いと体重は、革の鎧を貫いて肋骨の間にブレードを突き立てるのに十分すぎた。さらに念のため、左手に持っていた小さな盾を男の頭に叩きつけた。


「クソファイヤー!」と男は苦痛に叫び、床に倒れ込みながらあえいだ。彼はそれでも何とか手からスティレットを奪い取ろうと見事な抵抗を見せた。短いもみ合いがあったが、彼女が再び盾で殴りつけると男の握力が緩み、彼女が無理やり引き抜いた際にブレードで手首を切り裂かれた。盾による頭部への最後の一撃により、男は床の上でうめき声を上げ、血を吐き出しながら地面に倒れ伏した。床の上で出血多量に陥る中、毒が効き目を表し始めた。


アバナシーが対戦相手を選ぶより早く、小柄で頑丈な体格をし、あばた面で両手に小さな斧を持った男が彼に襲いかかった。彼はレイピアで受け流そうとしたが、その体格の割に男の動きは驚くほど素早かった。アバナシーは後退するしかなく、そうするためのスペースはあまり残されていなかった。対戦相手はレイピアなど気にも留めず、両方の斧を使って攻撃し、猛然と押し寄せてきた。


「ここに来たことを後悔させてやるよ、イグシルのちんぽ野郎が」と男は吐き捨てるように言い、突進してきた。


アバナシーは実力で劣っていることを察知したが、ドアから逃げ出す見込みはなく、数秒以内に背中が建物の壁に突き当たってしまう状態だった。その時、彼の足元がすくんだ。トランプの散らばった小さなテーブルにつまずいたのだ。パニックに陥った彼は「光(ライト)!」と叫び、ムハフィズの宝石から閃光が放たれた。地面に倒れ込みながら、彼はもう一人の男がほとんど目の前まで迫っているのを見た。目を眩ませる光が直撃した時、男はすでに突進してきていたのだ。男は斧を手放さないようにしながら、目を覆おうとしていた。男の足には驚くほど防具がほとんどついておらず、半身を起こしもがく中、アバナシーはできる限りの力でその両足を斬りつけ、突き刺した。男の左足が力尽き、片膝をついて、周囲に向けてやたらに斧を振り回した。しかしアバナシーは間合いの外にいて、レイピアの優れたリーチのおかげで、安全な距離を保ちながら男の脇の下を深く突き刺すことができた。一本の斧がガチャンと音を立てて地面に落ち、男は両膝をついた。アバナシーが彼の喉を突き抜くと、男は床にうつ伏せに崩れ落ちた。


ヘルギは標的へと突撃しながら、喉の奥からうなるような戦闘の鬨の声を上げた。彼女は他の者たちの様子を確認こ/していなかったが、それぞれが様々な程度で驚きから立ち直っていることは分かっていた。周囲からは戦闘の音が聞こえていた。だが、目の前の男はいまだにショックを受けているようだった。彼は、ショートソードを手にして自分に向かって飛ぶように突進してくる彼女を見た。彼女は部屋の散らかり具合や死体をかわし、彼を屠ることだけに全神経を集中させていた。男はぎこちなく剣を抜いたが、その直後に仲間のひとりが苦痛に満ちて死んでいく悲鳴を聞いた。彼は二歩後ろに下がり、両手を空中に掲げて剣を落とした。


「お願いだ、殺さないでくれ」と彼は目に涙を浮かべながら懇願した。


十代の後半に見え、見栄えが良いとは言えず、ぼさぼさの縮れた髪をしており、さらに彼女にはよく分からない何かがあった。彼女は攻撃が届く距離まで詰め寄り、彼の剣を蹴り飛ばすと、素早く彼を吟味した。それは彼の右ブーツだった。左の二倍か三倍の大きさがあったのだ。


「ブーツの中に何が入っているの?」彼女は刃を彼の喉につきつけながら要求した。


「内反足なんだ」と彼はうつむいたまま、憂鬱そうに言った。


彼女はまだ戦闘の怒りに満ちており、誰か他の人を手伝えるか確認するために目を宙に走らせつつも、彼に裏切りの兆候がないか警戒し続けていた。もちろん、彼を放置しておけば人質に危害を加えたり殺したりしかねない。彼女は彼を殺すか無力化するかしなければならなかった。彼女がもう一度ちらりと見渡すと、レザが負傷した敵からの遅くて不格好な攻撃を受け流しているのを見守っているゴルトゥクを除いて、他の者たちが彼女の方へ近づいてきているのが分かった。乱闘は終わっていた。


彼女は刃を向けたままにした。「あなたのどうなるかは、どれだけ役に立つか、そしてどれだけ正直に話すかにかかっているの。分かった?」


「はい、お姉様。ありがとうございます」と彼は涙を顔に滴らせながらしどろもどろに答えた。


「ここに囚人がいるわね。彼女は危害を加えられた?」


「いいえ! いいえ、お姉様。どんなことがあっても絶対に傷つけないようにと厳しく言われていました。噛みついたり、蹴ったり、逃げようとしたりしてもダメだと。もしそういうことになっても、やり返さず彼女のやりたいように受け止めるよう言われていました。腕に小さな切り傷がありますが、順調に治っており、ここに連れてこられる前についたものです。一日に二回、新しい軟膏を塗ってやっています。傷跡にも何にも残りません。他の連中が迎えに来るまでのあと二日間、彼女を見張るはずだったんです」


床に体が打ちつけられる音がした。レザの戦いが終わったのだ。


「彼女は今どこにいるの?」とヘルギが尋ねた。


「奥の部屋にいます、お姉様。拘束も緩められています。ロープ擦れができないように言われていましたから」


「今からそこに戻ったら、私は危害を加えられる? 奥で私を待ち伏せしている仲間は他にいる?」


「最初に確認してみないと正直なところは何とも言えません、旦那様。皆さんが誰を殺したのか把握していませんので。公平な戦いとはとても言えませんでしたしね」と彼は傷ついたような表情で言った。


「公平な戦いなんて、丸腰の双子同士のときだけよ」とヘルギは言った。「死者の数を数えて、全員ここに揃っているか確認しなさい」


彼は部屋の中をざっと見渡した。「ハーパーの姿が見えませんね、お姉様。奥に隠れているのかもしれません」


「不揃いな革の鎧を着て、前歯が一本抜けているか?」とレザが尋ねた。


「はい、旦那様、それがハーパーです」


「ハーパーは奥にはいない」とレザは言い、ドアの方へと向かった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。