破られた国境と、古びた幌(キャンバス)の秘密
「探求の時代、最も論争を呼んだ発見の一つに『真空』の発見がある。様々な状況下での厳密な検証という手法が流行し始めたばかりの頃であり、一連の実験を経て、博識な頭脳たちは真空の内部には何も存在しないという結論で概ね一致した。だが、少なくとも二つの主要宗教といくつかの少数宗教がこの概念に異議を唱えた。彼らは自らの神々があらゆる場所に存在すると信じていたため、神学的な観点から『何も存在しない場所』などあり得ないと主張したのである。折しも新発見の興奮に沸き立っていた学者たちには、そのような議論に付き合う気など毛頭なかった。感情は高ぶり、流血の事態に至る事件も数回発生した。かつてのバラ王国では、真空の実験をやめることを拒んだ学校が放火される事態まで起きた。ついに、アリ王立大学の摂政が、タサラスの女大司祭にこの件についての論争を挑んだ。論争を見届けようと集まった錚々たる顔ぶれの前で、摂政は開口一番、昨夜女大司祭の部屋から出ていくのを見かけた男は誰だったかと尋ねた。彼女は鋭くそれを咎め、昨夜は自分の部屋には誰もいなかった、一人きりだったと答えた。『それこそが、真空の中に存在する“誰もいない(nothing)”と同じなのです』と彼は名言を残した。『我々が真空には何も存在しないと言う時、あなたが部屋に誰もいなかったと言うのと同様に、あなたの神を除外しているわけではないのですよ』。摂政は見事に論争に勝利し、大学の前に彼の銅像が建てられた。その銅像は三百年近く保存されていたが、地震によって破壊された。頭部だけは保護され、現在はヴェスプッチアの博物館にて、真空を満たしたガラス箱の中に収められているという」
——『タイコロスの年代記』より
地上に下り立つと、彼らは少年の後を追い、木々の間を注意深く馬を引いて進んだ。少年の足取りはこの森林地帯に慣れ親しんでいることを示していた。明らかに彼はこれまでに何度も通った道を進んでいた。一行は街道から離れ、森のより深くへと進んでいった。途中、馬なら快適に通り抜けられる木々の隙間をゴルトゥクの乗騎がギリギリで通過するため、何度か立ち止まらざるを得なかった。二十分ほど進んだところで、少年は足を止めた。彼は一行の列を歩いて戻り、おおむね中央あたりで足を止めた。
「聞いてくれ」と彼は言った。「合図の光を出していたのは僕の妹なんだ。彼女はもう小屋に着いているはずだ。僕より一歳下で、こういうことにはまだ慣れていないから、優しくしてやってくれ」そう言い残すと、彼は急いで列の先頭へと戻り、さらに数分間一行を導いた。やがて彼らは小さな開けた場所に出た。
かつて誰かがそこに住んでいた形跡があった。崩れた煉瓦の山と、二本の丸太で部分的に覆われた穴が、井戸の唯一の残骸だった。似たような荒廃ぶりを見せていたのは、鶏か、あるいは豚を一頭飼えたかもしれない非常に小さな囲いだった。家自体はもともと小さなものだったが、片側が部分的に倒壊しており、シャンが正確に形容した通りの「小屋」と化していた。
「馬の世話をして、準備ができたら中に入ってくれ」とシャンは言った。彼はドアへ向かい、彼らには聞こえないほどの小さな音で一連のノックをし、それから普通のノックを二回叩いてからドアを開けて中に入った。
「本当に大丈夫なのか?」ベイツが、特定のだれというわけでもなく尋ねた。
「俺たちを殺したいなら、街道の開けた場所で始末していればよかったんだ。森の中の倒壊しかけた家に連れ込むなんて、余計な手間以外の何物でもないさ」とゴルトゥクが言った。
乗騎の世話を終えた後、アバナシーはドアを静かにノックして中に入った。家の残骸は単一の部屋になっているようで、頑丈なテーブルと、その周囲を囲むグラグラした不揃いの椅子が部屋を支配していた。部屋の奥にはクッションと寝袋の山があった。家が倒壊していなければ次の部屋へと続いていたであろう出入り口は、大雑把な本棚で塞がれており、その棚には様々な書物が半分ほど収められていた。シャンの脇には、彼よりもさらに小柄な少女が立っていた。彼女の身長はシャンより少なくとも三インチ低く、シャンの身長も五フィートを半フィート超えるか超えないかといった程度だった。彼女の肌は白かったが、太陽の下で多くの時間を過ごしていることを物語っていた。その顔立ちには優美な美しさがあり、レザは彼女が大人になるにつれて、それがより鮮明で際立ったものになるだろうと思った。
「みんな、僕の妹だ。名前はフェシオだが、みんなポーと呼んでいる」
「こんにちは、旅の人たち」彼女は気まずそうに体重をかけ直しながら言った。「ノロヴィアへようこそと言いたいところだけれど、あなたたちを全く歓迎しない人たちがいると分かっているのに、そんなことを言うのは白々しいわね」
「ポー、俺の名前はゴルトゥクだ」ミノタウロスは完全にかがみ込むわけではないが、不快そうに身をかがめて言った。「無礼を働くつもりはないんだが、天井が低すぎるし、俺の体重じゃその椅子を押し潰してしまう。どこか座れる場所はあるかい?」
「あらまあ、本当にごめんなさい」彼女は露骨に申し訳なさそうな顔をして言った。「床に座るのが嫌でなければ、寝袋とクッションはすごく居心地がいいわよ。ここには家具があまりないの。大きなものを森を通して運び込むのは大変だから。本棚も、私たちがこの広場で自分たちで作ったのよ」
「助かる」ゴルトゥクは、通り際に誰かや何かを壊さないよう注意しながら、そっと寝袋の場所へと向かった。ルシンダは服の中から尻尾を引っ張り出し、それをフリフリと振りながら安堵のため息を漏らした。
アバナシーは自己紹介をし、続いて他の面々を紹介した。「私たちの友人が誘拐されてね、彼女を救出しようとしているんだ。私たちがノロヴィアにいる理由はそれだけだよ。君のお兄さんが、検問所を迂回する方法を教えてくれると言っていたんだが」
ポーは頷いた。「森を通る道を知っているわ。もちろん兄が案内するけれど、途中で土の小道に出るわ。そこは主に違法な蒸留酒造りをしている人たちが使っている道だから、彼らも人目につきたがらないし、あなたたちを見かけたからといって兵士を呼ぶような真似は絶対にしないわ。それに暗いし、夜は自由な者の味方よ。そこから馬を飛ばせば、二十分後には本道に戻れるわ。兄が地図で教えてくれるわよ」
シャンの説明を聞きながら、アバナシー、ヘルギ、レザがテーブルに身を乗り出した。ベイツは本棚のあたりをぶらついた。ルシンダは微笑み、自分を何度も盗み見ていたポーの隣に腰掛けた。クラリッサは寝袋の上に横たわり、リラックスしたため息をついた。
「これ、すごく気持ちいい!」と彼女は声を上げた。ポーは微笑んだ。
「外の人にはたくさん会ったことがあるの?」とルシンダは、旅のルートについての議論を邪魔しないよう静かに尋ねた。
「あなたたちは『部外者』じゃないわ。『訪問者』よ。それに、以前にも何人か会ったことがあるわ。兄はもっと会っているけれど。私より長くこれをやっているから」
「私みたいな人には、会ったことがないんじゃないかしら」ルシンダは優しく言った。
ポーは顔を赤らめて一瞬視線を逸らしたが、すぐに立ち直った。「『人』のこと? 人ならしょっちゅう見ているわ。良い人もいれば、そうでない人もいるけれど。あなたはどこから来たの?」
「今はサファイア・シティに住んでいるわ。すごく快適よ。アバナシーの下で働いていて、そこにいる圧倒的多数の人たちが私に親切にしてくれるの。でも、私はケント保護領の生まれでね、そこでの暮らしは私にとってすごく厳しいものだったわ」
ポーは頷いた。「大変だったのね」と彼女は言った。「でも、今は良い場所にいられると聞いて良かったわ。もちろん同じことではないけれど、私たちもここで幸せというわけじゃないの。立ち去ることも話し合ったけれど、ここは私たちの家だし、今の現状に満足していない人たちもたくさん知っているわ。逃げ出すくらいなら、問題を解決したいの」
「立派で、勇敢な考えだわ」とルシンダは言った。「あなたのしていることがとても危険なことだとは分かっているわ。けれど、この……この不信感や憎しみは、どれくらいが指導者たちから来ていて、どれくらいが民衆に根付いているものなのかしら?」
ポーはため息をついた。「難しい質問ね。ある人たちにとって、憎しみは存在の骨組みの一部なの。他の人たちはただそれに流されているだけ。でも、本当に重要なのは法律よ。大胆な指導者が現れれば、国境を開いて誰かを攻撃することを違法とするよう法律を変えられるわ。それだけですぐに全員の考えが変わるわけじゃないけれど、変化への重要な第一歩にはなるはずよ」
「指導者を何人暗殺すればいいんだ?」話を聞いていたゴルトゥクが尋ねた。
ポーは首を振った。「いいえ。私たちは問題を解決するために暴力を使うことは信じていないの。私たちのグループは非暴力主義主義者よ。本棚を見れば、私たちにインスピレーションを与えてくれた人たちが誰なのか分かるわ」
「タレンドア・オークテンダーもその中に含まれているのかしら?」ルシンダが言った。
ポーは頷いて微笑んだ。「『剣を持つ者を止めなければならない時、その者に対して剣を取ることは、彼を止めることにはならない。ただ別の剣士に置き換わるだけだ』」
「みんな、問題が発生した——かもしれない」とレザが言った。「シャンに行き先をかなり詳しく伝えたんだが、裏道であっても何人かの人間に出くわすのは避けられないそうだ。俺の地図で小さな前哨基地として載っていた場所のいくつかが、地図が描かれてから発展しているらしい」
「なら、新しいルートが必要だな」とゴルトゥクが言った。
「このあたりには詳しいけれど、高い確信を持ってお勧めできるルートはないんだ」とシャンが言った。「この付近は、あんたらがやってきた方向とは違うんだよ」
「国境からそれほど近いわけでもないのに、なぜこんなに兵士が多いのかしら?」ヘルギが尋ねた。
シャンは首を振った。「兵士じゃないんだ。確かにこの検問所は通り抜けなきゃならないけれど、このへんで検問所はそれほど一般的じゃない。問題はただの一般人なんだ、自分の仕事で行き来しているようなね。このあたりの道は夜間でも使われているんだよ」
ゴルトゥクは鼻を鳴らした。「ベイツ、俺を透明にする呪文を知らないってのは本当か?」
ベイツは笑った。「ヌールすら透明にできないよ。それは全く異なる種類の魔法だし、私が知っている単純な手品よりも遥かに高等なものだ」
「魔法が使えるの?」ポーが興奮気味に尋ねた。「夜に他の人から見えないように、彼の周りを暗くする呪文は唱えられないかしら?」
「無理だな」ベイツは優しく言った。「私にはそんな技術も、夕暮れから夜明けまでその手の呪文を維持するような魔力もない」
シャンが突然テーブルを叩き、レザは反射的に刃物に手を伸ばしかけた。「隠しておけばいいんだ……ゴルトゥク、だったよな?」ミノタウロスは頷いた。「ゴルトゥクを人目につかないようにすればいい。魔法では無理かもしれないが、もっと単純なアイデアがある。いや、多少はシンプルというべきか。肉体労働と力仕事、そして少々の工夫が必要になるがね。でもあんたらなら何とかできると思う」
「一体何の話をしているの?」ポーが尋ねた。
「農産物運搬用の荷車だよ。キャンバス地の幌はほぼ完全に無傷だ」
「でも両方の車軸が折れているし、ここから少なく見積もっても——そうね、五百フィートはあるわよ」
「ここへ引きずってくればいい」とシャンは言った。「ここには備品や道具が少しある。もっと重要なのは、作業が見えるように火を焚けることだ」
「で、その荷車がどうしたって?」レザが尋ねた。
「森の中に壊れた荷車が放置されているんだ。もう数年間そこにある。『麦の王国』の誰かが農産物を運んでいて事故に遭ったか……まあ、何かがあったんだろうな。両方の車軸が折れていて、街道から外れた森の中にあるから誰も持っていかなかったんだ。どうやってそこへ行き着いたのかは謎だけどね。大きな荷車じゃないが、キャンバス地の幌がついていて、ゴルトゥクなら中に収まると思う。昼間に移動しても、誰にも見られずに済むぞ」
「俺の体重はかなり重いぞ」ゴルトゥクが言った。「その荷車についてよく考えてみろ。俺の重さに耐えられると思うか?」
「絶対とは言えない」とシャンは言った。「でも試してみる価値はあると思う。『麦の王国』の輸送車はたいてい頑丈だ。今日はレタスでも、明日はスイカを積むかもしれないんだからな」
「とにかく現物を見てみたいものだな」アバナシーが言った。「目的を果たせそうだと判断したら、ここへ連れてきて修理方法を考えよう」
「分かった」ゴルトゥクは天井に気を配りながら慎重に立ち上がった。「当然、引くのを手伝う必要があるな。馬に縛り付けられたとしても、木々の間の細かいカーブを曲がり切るには狭すぎる」
「彼の言う通りだ」とシャンは言った。「人力勝負になるな」
「荷車までの道を覚えているの? 暗闇の中で」ポーが尋ねた。
「覚えていると思うが、一緒についてきて手伝ってくれたら助かるよ」
「分かったわ、出かける前に焚き火場に火を点けておくわね」彼女は言って、急いで外へ出た。しばらくして彼女が戻り、ポーとシャンを先頭に全員で小屋を出た。最初は素早く動いていたが、小屋から離れるにつれて、兄妹はより警戒したペースへと落とした。途中で一度引き返して別の方向を試さなければならなかったが、最終的に荷車が置かれた小さな空き地にたどり着いた。
「ランタンを点けても誰かに見られないか? 近くに道路や家はあるか?」レザが尋ねた。シャンは首を振った。レザはランタンを点け、すぐ隣に立つヘルギと共に荷車を注意深く観察した。普通の布で補修できる程度の破れが数箇所ある以外は、キャンバスの幌はほぼ無傷だった。ゴルトゥクは内部のスペースを確認した。高さも幅もそれほどなかったが、ありがたいことに長さは十分だった。
「うつ伏せにベタッと寝そべらなきゃならないが、入り切れるな。気分が良いとは言えないだろうが。重さに耐えられるかどうかは、車軸をどれだけしっかり修理できるかにかかっておるな」
「あなたの乗騎なら引けると思うわ」とヘルギが言った。
「そいつは問題ない」ゴルトゥクはランタンを借りて車軸を詳しく点検しながら言った。彼は首を振った。
「試してみるのが悪手だと思う者はいるかい?」アバナシーが尋ねた。
「時間は食うが」とレザは言った。「昼間に本道を直接移動できるようになれば、取り戻せる時間だ。賭けではあるが、乗るべき賭けだと思う」
それ以上の議論はなく、彼らは荷車を動かす目的のために、できる限り車軸を固く縛り合わせる作業に着手した。進行方向への動きが一定で安定していないと、車輪が損傷したり完全に取れてしまったりする恐れがあったため、押し引きしながらゆっくりとしたペースを保った。ポーとシャンは先導して立ち回り、荷車が通れるだけの木々の隙間がある帰り道を探した。行きに要した時間の三倍の時間をかけて、彼らは小屋へと戻ってきた。
ピットの中の焚き火は、木を足すのに十分なほど勢いを増し、やがて車軸をより詳しく調べるのに十分な明るさになった。ヘルギとゴルトゥクは松明を持って荷車に近づき、破損具合を検査した。
「どちらの破損も、中央からかなり近いわね」とヘルギは言った。「しっかりときつく巻き付けることさえできれば、この荷車は数日間は機能するはずよ。理想を言えば、獣皮や革の帯が必要ね」
「小屋の中に、壁の穴を塞ぐのに使っている獣皮があるよ。寒い時に風を防いでくれるんだ」とシャンが言った。「必要ならそれを切り分けてくれ。また別のを手に入れればいいさ」
レザは礼を言い、すぐに作業に取り掛かった。彼は獣皮を中央から切り裂き、ヘルギと共にそれぞれ厚い帯状に切り出し始めた。シャンはアバナシーを小屋の中に連れ戻し、今度は幹線道路を中心に据えた地図を見せた。
「荷車は大正解だったわね。ありがとう」ルシンダがポーに言った。
「あんな風に放置されたままじゃ何の役にも立たなかったもの。シャンがちゃんとした使い道を見つけてくれて嬉しいわ。それに、あなたやあなたの友達が私の国を無事に通り抜けられるところをどうしても見たいの」
「私もだよ」
「私たちをよく知らないのは分かっているけれど、いつかサファイア・シティのあなたを訪ねに行ってもいいかしら? すごく素敵な場所みたいだし」ポーは期待に満ちた表情で言った。
「もちろんよ。もし訪ねてくることがあったら、アバナシーは見つけるのも簡単だし、私をどこで見つけられるかも教えてくれるわ。あなたたち二人にとって、すごく刺激的な経験になると思うわ」
ヘルギが荷車の試走OKを出すまで、ふたりはサファイア・シティの光景や体験について語り合った。ゴルトゥクが慎重に中へと這い入った。足から先に入り、うつ伏せになり、後ろ向きに進みながら潜り込んだ。彼の角の先端と、荷車の端を覆う後部の幌の間には、わずか数インチしか余裕がなかった。
「中はどうだ?」アバナシーが尋ねた。
「グランド・エメラルド亭のロイヤルスイートじゃないのは確かだな。うつ伏せで寝そべるのは愉快じゃないが、緊急事態が起きた時にここから脱出するには一番いい姿勢だ。筋肉が痙攣しない程度に、少し体を動かすスペースはある。これなら大丈夫だ」
ヘルギとレザは車軸と巻き付けた部分を確認するため、荷車の底へと回り込んだ。
「しっかり持っているみたいだわ」とヘルギは言った。「確信を持つための唯一の方法は、再び街道に出て、その性能を試してみることね」
「分かった。それじゃあ出発しよう」アバナシーは言った。「もし壊れるなら、街道を行き交う人々が少なく、すぐに身を隠せる夜間のうちであってほしい」
「ちゃんとした道路まで案内するよ」とシャンが言った。「でも、試行錯誤が必要になる。馬を連れていてもこの森の中を進む方法は知っているが、荷車が通れるほど広い道が頭に入っているわけじゃない。何とか道は見つけるさ、途中で何度かミスをするかもしれないけれどね」
「自分たちだけでやるよりは遥かにマシだ。だが、本当にそろそろ出発しないと」とアバナシーは言った。
「そうだな。ポー、君は残って……まあ、分かるだろう」
「もちろん」彼女はルシンダをぎゅっと抱きしめた。「お会いできて本当に嬉しかったわ。皆さん全員も」彼女は他のメンバーに向かって言った。
「ここから見送らせてもらうよ」とゴルトゥクの声が響いた。「ここから這い出すのは一苦労だからな」
彼らは互いの無事を祈り、シャンが森の中へと案内を始めた。彼は三十歩ほど先を歩き、レザはその中間を進むことで見失わないようにした。前と同様に、ゴルトゥクの乗騎が荷車を引っ張っている以外は、全員が徒歩で馬の手綱を引いていた。何度かシャンは引き返し、前へ進んではならないと告げた。森が濃すぎるか、地面が険しすぎたのだ。時間はかかったものの、彼はついに一行を一本の道路へと導き出した。それは明らかに手入れが行き届いており、舗装こそされていないものの、土はしっかりと踏み固められ、路面は平らだった。
「ここでお別れだな」とシャンが言った。「地図で見せた場所を覚えているかい?」
アバナシーは頷いた。「ここから先は大丈夫だ。検問所を迂回させてくれて感謝する。君は勇敢な男だ」
シャンは少し視線を外し、恥ずかしそうにした。「勇敢さの本当の試金石は、私たちの指導者たちを入れ替えることだけど、まだそこまでの準備はできていないさ。任務の成功と、皆の無事を祈っているよ」
彼らは礼を言い、馬に跨がりながら別れを告げた。彼らが前進し始めると、彼は木々の陰へと姿を消した。彼らはゆっくりとしたペースで進み始めた。ヘルギは荷車のすぐ脇を馬で走り、問題を示すような音が聞こえないか耳を澄ませていた。レザはいつものように先頭を行き、アバナシーはそのすぐ後ろに続いた。ルシンダは荷車の反対側に配置され、通りかかる者たちの目からほとんど見えないようにされた。荷車の耐久性に対する楽観的な見方が強まるにつれて、彼らのペースは少し上がっていった。
道中で何人かの旅人とすれ違った。軽く挨拶に手を挙げる者もいれば、そうでない者もいた。脅威になり得るか品定めする以外、誰も彼らに大した注意を払わなかった。夜明けの一時間ほど前、アバナシーは野営に適した場所を探し始めるよう告げた。彼らは道路から少し奥まった場所で、まさにその目的のために作られたかのような開けた空間を見つけた。
「荷車があって幹線道路を使えるとはいえ、万が一に備えて、やはり夜間に移動したい」とアバナシーは言った。「私たちに向けられる目が少なければ少ないほどいい、特に荷車が壊れた時のことを考えるとね」
「半分は恐怖で、半分はそれを願っているような気分だな」ゴルトゥクは乗り物の中から這い出しながら言った。彼は周囲を見回した。「職務を怠るつもりはないが、どれほど巧みに荷車を配置したところで、キャンプの中が見通せる死角ゼロとはいかないからな」
「私も同じことを考えていたよ」とレザが言った。「今日の夜の見張りはお前はパスするのが一番だ。他の連中で何とかできる」
ゴルトゥクは頷いた。「同じ理由で、太陽が昇る前に自分のテントに入りたかったところだ」彼らは野営地の準備に取り掛かり、プライバシーをある程度確保できるように荷車を配置した。最初の見張りについたレザは、ヌールを放って自由に狩りをさせ、空を満喫させた。やがて太陽の光が闇を切り裂くように這い出し、彼は彼女が輪を描いて飛び、獲物を探し求めたあと、まるで怒れる神の手のように圧倒的な勢いで空を急降下して襲いかかる姿を見つめるのだった。




