言葉なき合図と、森の隠れ道
「パラストリアの『竜の口』は、誰もが期待する通りの壮大さを誇り、約束通りのものを提供してくれる。すなわち、炎で満たされた巨大な坑道である。豊富な石炭の埋蔵量で知られるパラストリアだが、ある夜、地下坑道で起きた事故により石炭の鉱脈に火が移ってしまった。翌朝、鉱夫たちが作業にやってくるまで、火は誰にも気づかれずに燃え続けた。その頃には坑内の火災はさらに広がり、燃える石炭から生じる煙と有毒ガスにより、数分以上内部にとどまることすら危険な状態となっていた。消火活動が試みられたものの、現場レベルで対応できるような手立ては一切効果をなさず、政府がその資源を投入した頃には、火はあまりに広く、そして石炭の鉱脈の奥深くへと拡大しており、消し止めることは不可能となっていた。坑道は封鎖され、炭鉱キャンプは撤去された。火が地下を通って他の鉱脈へ広がるのを防ぐため、坑道の周囲には溝が掘られた。やがて、下部の石炭が燃え尽きるにつれて、坑道の上の地面が崩落し始めた。こうしてできた噴火口のような窪みからは、現在燃えている石炭の量に応じて、揺らめく炎や猛り狂う業火を目にすることができる。大地からは蒸気が立ち上り、空気には不快な臭いが漂い、坑道の近くの地面は触れると温かい。この一連の光景は人々に竜の息を連想させるが、『竜の口』へ旅する人々のほとんどが本物の竜の息を経験したことはなく、また経験したいとも望んでいないと考えるのが妥当だろう。この坑道は十数年にわたって燃え続けており、あと数十年は燃え続けるのに十分な石炭が存在すると信じられている。これを見るために荒野へ旅することを厭わない人々——そしてどうやらそのような人々には事欠かないようだが——には、火が燃え尽きる前に楽しむことをお勧めする。悟りを開かせてくれるわけではないが、本能的なレベルで、一見の価値がある壮観である」
——『タイコロスの年代記』より
アバナシーは見当識障害と激しい空腹感を覚えて目を覚ました。部屋に窓はなかったが、ドアの下から光が差し込んでいるのが見えた。脚に誰かの手足が押し当てられていた。ヘルギがベッドの隣に横たわっていた。彼はどういうわけか一晩中眠りこけていたことに気づいた。
ヘルギを起こすのは忍びなかったが、彼は猛烈にお腹が空いており、あまりに長い時間横になっていたため体が強ばり、閉じ込められているように感じていた。ベッドからそっと抜け出そうとしたが、彼女はすぐに身動ぎした。彼が起き上がり、脚を床につけようと向きを変えると、彼女は少しだけ顔を向けた。
「気をつけてね」
「そうするよ」彼は静かに答え、ゆっくりと立ち上がった。足取りはしっかりしていた。試みにゆっくりと一歩を踏み出し、さらにもう一歩踏み出した。まだ頭痛の微かな余韻は残っていたが、それ以外は体調に問題はなかった。
「すっかり治ったみたいだ。それに、本気で腹が減っている。今何時かは分からないが、何か食べに酒場へ行ってくるよ」
「ゆっくりね」と彼女は言った。
「約束するよ。君はもっと寝ていなさい」彼は服を着て、静かに部屋を出た。廊下の窓からは、陽が上りきっていない朝の光が見えた。彼は壁の近くを歩いたが、寄りかかる必要はなかった。受付を通り過ぎ、通路を抜け、おそるおそる階段を下りた。酒場に入ると、そこそこ賑わっていた。彼は仲間たちの姿を探したが、誰も見当たらなかった。
朝食の匂いが立ち込めていた。彼はカウンターに座り、卵とハムの盛り合わせ、パン一丸、そして蜂蜜を注文した。最初の一口二口を夢中で貪り、それから自分のペースを落とすことを思い出して落ち着いて食べた。食べ終わると、彼は自分の限界を確かめるように少し早足で部屋へと戻った。平衡感覚は完全に戻っており、日光が目に沁みることもなかった。出発の準備は万全だった。
自分の部屋に着く手前で、遠くでレザの部屋のドアが開くのが目に入った。青いピチッとしたドレスを着たエルフの女性が現れ、背後で静かにドアを閉めた。そのドレスには袖がなく、彼女がすれ違いざまに掠めた腕には、立派な筋肉がついているのが見えた。彼女はアバナシーを意に介さなかった。数瞬後、再びドアが開き、二十代前半の若い人間の男性が部屋から出てきた。彼のシンプルな白いチュニックの襟元には汚れがついており、手にはブーツを抱えていた。アバナシーの姿を認めると、彼は慌てて向きを変え、便所の方向へと向かっていった。アバナシーは微笑み、自分の部屋のドアを静かに開けた。少なくとも、昨夜の楽しい思い出を作った者がいたというわけだ。
九十分後、全員が馬小屋に集まり、馬に跨っていた。レザの強い勧めで、全員(アバナシーを除く)が前日のうちに武器やキャンプ道具を念入りに点検していた。ノロヴィア州には、彼らを雨露から守ってくれる宿屋など存在しないのだから。
アバナシーが鐙に足をかける際、ヘルギはすぐ側に立っていたが、彼は何の問題もなくスムーズに跨がった。彼女はルシンダが乗馬するのを見て、彼女が尻尾をチュニックの背中に押し込んでいることに気づいた。
「それ、苦しくないの?」彼女は尋ねた。
ルシンダは顔をしかめた。「楽しくはないけれど、痛くはないわ。掻くに掻けない痒みがあるみたいな、うっとうしさの方が強いかしら。日の入り頃にもう一度聞いてみて」
全員が乗馬を終えると、アバナシーは彼らを見回してため息をついた。
「これを聞いて気分を害する者がいることは分かっているし、申し訳なく思っている。だが、私がこれを言っているのは敬意……いや、愛からであって、どうか怒らないでほしい。ただ、もし考えを改めて今すぐ家に帰りたい者がいるなら、私個人としても、そしてグループの残りのメンバーとしても、その決断を支持したいと言いたいんだ」
一瞬の静寂があった。何人かはうつむき、何人かはアバナシーを見つめた。ゴルトゥクやルシンダを見る者は一人もいなかった。その時突然、嫌がるニワトリを強引に詰め込んだ山角笛を吹き鳴らしたかのような、低く大きな音が響き渡った。今や全員がゴルトゥクに視線を注いでいた。
「俺が朝食に食べたものを拝みたくないのであれば、さっさとここを出発した方がいいぞ」とミノタウロスは言った。
「品がないな」レザは呆れながら言って、馬を進めた。「どこへ連れて行ってもこれだ」
「神々よ、お救い給え!」ベイツが突然叫び、馬に拍車をかけて軽足で進ませた。彼はゴルトゥクのすぐ隣にいたのだ。他の者たちも後に続き、彼らは間もなく氾濫原村を離れ、ノロヴィア州との国境を目指して進んでいった。
すれ違う人々からの視線は以前よりも厳しくなり、ある老人は面と向かって低く呪いの言葉を吐き捨てるほどだった。午後の遅い頃、反対方向から一人の女性が近づいてきた。彼女の馬は軽い装甲を纏っており、彼女自身も同様で、腰には剣が付けられていた。三十歳にも満たない、素朴な顔立ちの女性だった。
「おんら、行く方向を間違えているぞ」声が届く距離まで近づくと、彼女は言った。
「そうかい?」ゴルトゥクが尋ねた。「なら、俺たちはどちらの方向へ進むべきだと思うんだ?」
「おんらが今向かっている方向以外のどこへでもだ」女性はきっぱりと言った。彼女は目を細め、レザとゴルトゥクが身を固くして戦う構えを見せていることに気づいた。「待ちな、落ち着けって」彼女はゆっくりと両手を上げた。「私はノロヴィアの者じゃない。ただ親切心で助言してやっているだけだ。そこはおんらみたいな奴らにとっちゃ安全な場所じゃない。それでも行くって聞き出さないなら、道を塞ぎはしないがね。だが黙って通り過ぎたら、私の良心が痛むんでな」
「ありがとう」アバナシーが馬を前に進めながら言った。「お気遣いに感謝します。状況は重々承知しています。長居するつもりはありませんし、誰の邪魔にもならないよう行動するつもりです」
「なら、幸運を祈るよ」女性は言った。「言っておくが、夜間は幹線道路も見張られているからな。噂じゃ、もっと小さな道だって怪しいもんだ。気をつけて行きな」彼女の馬は彼らの脇を通り過ぎ、彼女はそのまま走り去っていった。
「あの女、別の道を通って国境へ先回りし、警報を鳴らすつもりでしょうか?」レザが尋ねた。
「仮にそうだとしても関係ないさ。俺たちが越える場所には誰もいないはずなんだからな」ゴルトゥクが答えた。
「ただの『麦の王国』の人間で、向こうに用事があったか、身内に会いに行くだけだと思うよ。裏があるようには見えなかった。心配はいらないさ」とアバナシーは言った。
彼らは先へ進んだ。日没の一時間前、手入れの行き届いていない荒れた小道へと足を踏み入れた。時折伸び切った枝に擦られながら、馬が不意に小さな危険を踏み抜かないよう、慎重に歩みを進めた。三十分ほど進むと、そう遠くない前方から水音が聞こえてきた。まもなく、彼らは一筋の小川にたどり着いた。
「ここを渡る」とレザが言った。「ノロヴィア州の国境は、この小川を数百フィート越えた先だ。こんな荒野に見張りなんていやしないよ」
残されたわずかな日の光を頼りに細心の注意を払いながら小川を渡り、対岸で道らしきものがないか探し始めた。やがてヘルギが、踏み固められた痕跡のある道らしきものを発見した。
「ここを越えたのは、私たちだけじゃないかもしれないわね」彼女は言った。
「あるいは、見張りが常駐していなくても、時々巡回に来る場所なのかもしれん」とベイツが言った。
「手持ちの情報はこれだけだし、方向もおおむね合っている。ここを進もう。当然だが、馬は引いて歩くことになる」アバナシーは言った。「レザ、二十歩ほど先を偵察してくれるか?」
「ああ。ヘルギが俺の馬も一緒に引いてくれるならな」とレザは馬から下りながら答えた。
「お安い御用よ」とヘルギが言った。レザは前方へ忍び足で進み、ひと呼吸置いてから、彼らは馬を引いて一列になって後に続いた。普段はレザと共に先頭に立つゴルトゥクが、最後尾の警戒を引き受けていた。
彼らは月明かりに感謝しながら、心もとない小道を足重に進んだ。三時間ほどその道を辿ったが、ついに道は途絶えてしまった。右手には木々の間を通る、本格的だが非常に荒れた道が続いていた。左手には重なり合った鬱蒼とした藪があり、押し分けて進むしかなさそうだった。正面は木々が密集しており、自分たちだけなら容易に通り抜けられるかもしれないが、馬を連れていては亀のような歩みになってしまうだろう。
他の面々が追いついた頃には、レザはすでに幾つかの計算を終えていた。彼はアストロラーベと地図を収めた。その手にはかすかに光を放つ石が握られており、それをポーチの中へとしまい込んだ。
「ここからそう遠くない場所に小道がある。右の道を進めばその道に出るはずだ。交通量はほとんど、あるいは全くないはずさ。俺たちの行きたい方向へ連れて行ってくれる。左の藪を進めば屋根から瓶の箱を落としたような大音が響くし、正面の密林を進めばゴルトゥクの馬が立ち往生する。俺たちの馬だって怪しいものだ」
「引き返すという選択肢がない以上、右の道を進もう」アバナシーは言った。「その道に出られたら、馬に跨がってペースを上げられる。ただし松明は禁止、私話も禁止だ」
三十分後、その小道は彼らを小さな土の道へと導いた。レザはヘルギから自分の馬を受け取って跨がり、他の者たちが後に続く前に先行した。すれ違う者がいた場合にも目立たないよう、ゴルトゥクが道の端、最も人目につきにくい位置に配置された。
それから数時間、順調に進んでいたが、突然レザが足を止めた。月明かりの中に彼がヌールを放ち直すのが見えた。前に誰かを見つけたというあらかじめ決めておいた合図だった。彼らは警戒しながら進み、彼に追いつくと、ゴルトゥクの姿をできる限り隠すように取り囲みながら徐々に歩を進めた。前方の道がカーブしており、間もなくその方向から松明の反射光が見えてきた。レザは全員を停止させた。
突然、男の軽やかな声が意図的に大きく響き渡った。彼は歌い始めていた。
「可憐なメイドは掃除好き
屋根裏から地下室まで
使用人みんな知っていた
彼女の働きぶりがエッチなのを」
「自分たちの存在を知らせようとしているんだ」レザが低く囁いた。「一騎のようだな」彼はもう数瞬待ち、それから前進を開始した。残りの者たちも後に続いた。
「靴をきれいに並べても
服の下には何も着ず……」
松明の光の中に、一人の乗り手の姿が見えてきた。質素な服を着て鎧はつけず、ベルトに結ばれた短い紐から棍棒を吊り下げていた。若く、少し痩せた男だった。彼はまるで彼らがそこに存在しないかのように、意図的に視線を下と前方へ向けたまま、歌い続けた。
「……階段のてっぺん磨くとき
執事に見えたよチリチリ毛」
通り過ぎた後、レザは何度か振り返ったが、男が振り向いたり歩調を変えたりした気配はなかった。彼の歌声は一定のペースで静かに遠ざかっていった。
「誰かや何かに鉢合わせて、恐ろしい目に遭うのを恐れていたんだな」とレザは言った。「俺たちも注意すべきだと言いたいところだが、すでにできる限りの警戒はしているからな」ヌールが彼の肩の止まり木へと戻ってきた。そのくちばしには小さな何かがもがいていた。
さらに二時間が経過したが、それ以上の遭遇はなかった。ヘルギは馬をレザの隣、先頭へと進めた。
「休ませながら進んだけれど、馬たちを今夜は休ませる必要があるわ」
「だが夜明けまでまだ数時間ある。その時間を使って前進したいんだ」
「今朝は早くから動き始めたし、馬たちも疲れているのよ。それに、ある人たちにも今日は十分無理をさせたわ」彼女は静かに言った。
レザは口を開き掛け、それから不意にそれを閉じた。「あいつから何か言ってくるとばかり思っていたが、あんたの言う通りだ、休ませてやらないとな。キャンプに適した場所を探すよ」
「見ておいたわ。ちょうど道から百歩ほど外れた場所に、モミの木の密林を通り過ぎたの。身隠しにちょうどいい低木もあるわ。昼間の間、人の目から隠してくれるはずよ」
「分かった、確認しよう」彼とヘルギは馬を止めた。「少しだけ戻るぞ。ヘルギが良いキャンプ地を見つけてくれた。馬も一日中走りづめだったからな、休ませてやる必要がある」
「私だって少し休みたいわ。長い一日だったもの」とルシンダが言った。
ヘルギが先頭に立ち、レザがすぐ後ろに続いた。彼らはゆっくりと街道を外れ、下草をかき分けるようにして進んだ。馬から下り、草むらの中を慎重に手綱を引いて進み、ようやく木々の生い茂る場所へと辿り着いた。少し奥に入ると、街道の姿は完全に遮られて見えなくなった。
「言うまでもないが、焚き火は禁止だ」とアバナシーは言った。「ランタンなどの明かりが必要なら、テントを設営する最小限の時間だけ使うように。調整が必要なら、数時間後に日が上ってからにすればいい」
彼らはできる限りの野営の準備を整え、馬の世話をした。日が上った後に姿を隠しやすくするため、ゴルトゥクが最初の見張りについた。木々が日差しを遮ってくれたためによく眠れた者もいれば、体内時計に抗えず、真っ先にヘルギが目を覚ました。
正午までには全員が起き出し、火も流れる水もない中でできる限りの工夫をして過ごした。皆ほとんど口を開かず、街道の交通量を測るために耳を澄ませていた。会話は静かな囁き声で交わされた。ベイツはアバナシー、ルシンダ、クラリッサに、身振り手振りで意思疎通を図るのが習慣となっているカードゲームを教えた。それは彼らの現在の状況にうってつけだった。
午後も半ばを過ぎた頃、レザは見張り当番以外の者も、眠れなくても身体を休めるよう提案した。「今夜は夜明け近くまで押し進まなければならないからな」と彼は言った。
日が傾き始めると、彼らは残された光を利用してキャンプを撤収し、荷物をまとめた。再び街道に出る危険を冒せる程度に暗くなるまで、彼らは小さなグループに分かれて静かに話し合いながら佇んでいた。昼間の交通音はごく微かだったが、開けた場所に出る瞬間は一分一秒がリスクだった。
二時間ほど進んだ頃、ヘルギは道路の整備状態が幾分良くなっていることに気づいた。彼女はレザに、交通量の多いエリアに差し掛かっているのではないかという懸念を伝えた。彼も同意し、一行からさらに距離を置いて先行した。それから二十分も経たないうちに、レザは馬を停止させた。彼が掲げた拳の影が月光を遮っていた。
残りの者たちも立ち止まった。そしてヘルギが、首を少し傾げながら彼の位置まで馬を寄せた。
「あなたも見たの?」彼女は静かに尋ねた。
「確信はない。たぶん、な」とレザは言った。
アバナシーも彼らの隣に馬を寄せ、前方を見つめた。
「森の奥で一瞬光が跳ねた——気がする」レザが囁いた。アバナシーは頷いた。すると突然、彼らのわずか八十フィート前の木々の間から眩しい光が放たれ、数秒後に消えた。
「超自然的な生き物の類かい? ウィル・オー・ウィスプとか?」とアバナシーが言った。
「あるいは合図かもな。『獲物が近づいている、攻撃の準備をしろ』という」とレザは言った。
「合図にしては下手くそね、私たちが簡単に気づけたんだから」とヘルギが言った。
レザは肩をすくめた。「どうしたい、アバナシー?」
「まあ、選択肢は二つしかない。進むか、引き返すかだ。この国にいること自体が我々にとって危険であり、街道で過ごす一分一秒がリスクだ。前の光は害のないものかもしれないが、引き返して移動時間を延ばすのは確実に危険だ。レザ、あと三十フィートだけ進んでみてくれ。どんな理由があろうとそれ以上は進むなよ。何に対峙しているのか、もっと見極められるか試してほしい。嫌な予感がしたら、すぐに引き返してくるんだ」
レザは頷き、ゆっくりと馬を進めた。アプローチの半分ほどまで差し掛かった時、再び光が微かに点滅した。だが、三十フィート近づいた位置からでも、光の光源を特定できるような音も姿も掴めなかった。彼が周囲を目で走らせていると、左側の森の中からごく微かな音が聞こえた。彼は投擲ナイフを一本抜いた。
「しっ!」彼は音のする方へ向き直し、手首を引いていつでも投げられる構えをとった。
「街道から降りろ!」森の境界から、アルトの男声が大きな囁き声で響いた。レザは躊躇した。ヘルギが言った通り、これが伏兵ならあまりにも拙劣だった。「傷つけないでくれ、ゆっくり出るから」声にはかすかな震えが混ざっていた。レザは木々との境界線を注視した。一人の人影が浮かび上がった。細身で背はあまり高くなく、両手を高く掲げていた。近づくにつれて、レザはその姿を詳細に捉えることができた。それは十代半ばの少年だった。身体が出来上がっておらず、栄養不足なのか、あるいは華奢な学究肌のタイプなのか、体格の厚みがなかった。服は質素な仕立てだったが、レザの目から見る限り、しっかりと手入れされていた。
「暗闇の森の中から声をかけたりすると、殺されるぞ」レザは厳しく言った。
「一行にミノタウロスを連れてこの国に乗り込んでくる方が、よっぽど殺されるリスクが高いさ」少年は怒りも見せずに言い返した。「あんたらは危険な状態にある。今すぐ街道から降りるんだ。検問所からそう遠くないし、時々偵察を出してくるんだから」
レザは鞍の上で身を硬くした。「検問所までどれくらいだ?」
「ちょうど半マイルほど先だ」
「何人いる?」
「時と場合によるが、あんたらが期待しているような二人組みの監視所なんかじゃない。奴らの陣地にはいくつかの防御工事も施されている。突撃して打ち破ろうなんて考えるなよ。偵察に見つかるまでここで無駄話をするか、それとも今すぐ仲間を安全な場所へ退避させるか、どっちだ?」
「具体的にどこへ連れて行くつもりだ?」レザが尋ねた。「このクソみたいな国の奴らは全員、俺たちのうち少なくとも二人を死に追いやろうとしているんだぞ」
「全員じゃない!」少年は熱を帯びた声で言い返し、レザを驚かせた。「みんながみんな、そんな奴らばかりじゃないんだ。森の中に小さな小屋がある。そこへ案内して、地図を使って検問所を迂回する方法を教えてやるよ。馬を引いて歩くことになるし、擦り傷の二、三箇所は覚悟しなきゃならないが、兵士たちと戦うよりはマシだ」
レザは罠だった場合の代償について少年に釘を刺そうとしたが、直感がそれを思いとどまらせた。少年は自分のしていることに誇りを持っており、彼を侮辱すれば差し出された助けの手が引っ込められてしまうかもしれない。
「分かった。俺は……俺たちは君を信用しよう」とレザは言った。「だが、仲間たちに君を俺への脅威だとみなさせないことが重要だ」
少年は短く笑って彼の言葉を遮った。「あんたの肩の鳥だけで、僕なんて殺せそうだけどね」
「見かけが全てなんだ」レザは言った。「手には何も持たず、みんなに見えるよう体の脇に下げておけ。絶対に俺の背後に回るな、一秒たりともだ。分かったな?」
「なら、二十フィートほど戻る間、僕があんたの馬の前に乗った方が手っ取り早くないか?」
レザは一瞬考え込み、全体を再考した。そして再び直感に従った。「乗りな」彼は手を下へ伸ばした。少年を自分の前の鞍の上に引き上げると、彼らはパカパカと馬を進めて戻った。そのような体勢で戻ってきたにもかかわらず、少年の姿を見た仲間たちがいつでも攻撃できるように身構えているのは明白だった。レザはグループの手前六フィートほどのところで馬を止めた。
「みんな、落ち着いてくれ」彼は言った。誰も警戒を解かなかった。「半マイルほど先に検問所がある。かなりの数の兵士と、いくつかの防壁があるらしい。無用な戦いは避けるべきだ。この少年が森を通る安全なルートを教えてくれると申し出てくれた。信頼できそうだ」
「名前は何というんだい?」アバナシーが尋ねた。
「シャンです」と少年は言った。
「シャン、私はアバナシーだ。もしあの兵士たちに見つかったら、私のように人間であってもミノタウロスと旅をしている場合、どうなるんだ?」
「状況によります」シャンは言った。「公式には即座に罰金を科されて国外追放です。でも捕まえる相手によっては、もっと酷いことになるかもしれません。兵士なら罰金をポケットに入れることも多いからまだマシな方ですが……どっちにしろ、捕まらないに越したことはありませんよ」
「ということは、君が私たちを助けて捕まった場合、君も罰金を払わされて追放されるか、あるいはもっと酷い目に遭うということだな」アバナシーは彼をじっと見つめながら言った。
「そうなるかもしれません」とシャンは言った。「木の枝から吊るされて踊ることになるかもしれない。でも、消えることのない恐怖を抱えて生きるくらいなら、恐怖の中で死んだ方がマシです。僕は自分の国がこんな風であってほしくないし、そう思っているのは僕だけじゃない。戦場に出たら一分も持たない僕だけど、流れを変えるためならできる限りのことをしたいんです」彼の声には激しさと誇りが満ちていた。
アバナシーは頷いた。「とても愛国心に満ちた、気高い考えだ。私たちは君に命を預けるよ、シャン。感謝する」
「正しいことをしているだけです」とシャンは言った。「正しいことをして感謝される必要なんてないはずですから。でも、もう動かないと。森の境界までついてきてください。そこに着いたら馬から下りて歩くことになります」彼はレザの馬からすばやく滑り下り、街道から離れて歩き出した。全員がアバナシーを見た。彼は木々の境界線へと馬を進め、他の者たちもそれに続いた。




