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巨躯の気遣い — ミノタウロスは血の海を清める

「現代の時代において、ウルマン帝国ほど富が集中した場所は存在しない。他の多くの国々よりも小国でありながら、シナモン、ナツメグ、茶といった豊かな恵みと、利子を支払う余力のある者へ自国の金庫から多額の資金を貸し出すという歴史的な抜け目のなさによって、膨大な財を掌中に収めている。若きオルヴール皇帝が即位した際、最初に行った命の一つが、世界中から羨望の的となるようなものの建造であった。それには正気を疑うほどの財が費やされたが、完成した時点でも帝国の金庫には未だ多くの富が残されており、そしてそれは他に類を見ない奇跡の産物となった。すなわち、飛空馬車である。


買い手となる魔法使いの卵が最初に教わる呪文の一つは、概して物体の浮遊(レビテーション)である。これは練習と熟達次第で拡張できる技術であり、より重い物体を、より長い時間にわたって浮かせるようになるためでもある。真の術者であれば、小さな物体を百年近く浮遊させ続けることも可能だろう。オルヴール皇帝は神秘の術の達人、魔法学院、そして魔導士ギルドに使いを送り、彼の規定に合わせて切り出された木材のうち、少なくとも五十年間浮遊するようにエンチャントされたものに対し、莫大な報酬を支払うと告げた。これらの木材から、名工たちは二十人が乗れる優雅な馬車を組み上げた。木屑でさえも接着され、車両の建造に再利用されたと言われている。


馬車は馬の群れよりも少し速い程度で巡航したが、旅における最大の強みは地形を一切気にしない点にあった。道路を辿る必要はなく、浮遊高度である七十フィートを超える障害物に直面しない限り、二点間を最短距離で進むことができた。首都と帝国の主要都市との間を日に数回往復した。座席の価格は高価ではあったものの、手が出ないほどではなかった。前方の二席は外交官や来訪した要人、王室の随行員のために確保されていた。各便の最後の二席は一般の抽選に割り当てられ、帝国の最も偉大なプロジェクトが持つ威光が、すべての臣民の手の届くところにあることを示すためだとオルヴールは語った。


本著者が乗物内部からの景観について語ることは叶わないが、頭上を通り過ぎる様をただ眺めるだけでも、それはまさに壮観と言える。多くのウルマン人は、どれほど頻繁に目にしていても、それを見るたびに今なお畏怖の念に満たされると口にしている」

——『タイコロスの年代記』より


酒場のドアが開き、白髪交じりの髪をした非常に身なりの良い男が静かに入ってきた。惨劇や死体を目にしても、驚きや狼狽を見せる様子は一切なかった。彼はカウンターのいちばん奥に腰を下ろし、一言も発しなかった。店の主人は彼に酒の革袋を運び、静かに二言三言と言葉を交わした。


「ここに長居するのは危険かもしれない」とレザが言った。「あの男たちに仲間がいるかもしれないし、地元の警備隊がこの一件をよく思わない可能性もある」


それを聞いて店の主人が咳払いをし、カウンターの裏から出てきた。彼は腰から深く丁寧にお辞儀をした。


「皆様、どうか私の愚かな不手際をお許しください。私の店でこのような事態が起きてしまったこと、おんらに合わせる顔もございません。ドア前が片付くとすぐに、店の小僧のジャックを町警備隊のもとへ走らせ、それから妻の叔父のもとへ向かわせました——カウンターにいるのがそれです。警備隊より先に叔父が到着したという事実だけで、警備隊の仕事の質はお察しいただけるかと。あの無頼漢どもは以前から他の客にも絡んでおりましたが、警備隊は一度として止めるために指一本動かしませんでした。もっとも、普段は嫌がらせ程度で済んでいたのですがね。実際に拳を交える事態になったのを見たのは今回が初めてです。ですがまあ、うちにはそれほど……つまり、あいつらに絡まれていた連中のほとんどは……その、大半が……」主人は気まずそうに言葉を濁し、ゴルトゥクの方に目を向けてから床へ視線を落とした。


「あの男たちはもっと大きなグループの一部なのか? ここに復讐を企むような家族はいるか?」ヘルギが尋ねた。


「普段は六人だけです。あの案山子のような男をどこから引っ張ってきたのかは分かりませんが、あいつらで全員ですよ。家族に関して言えば、一人にはこの町に兄弟がおりますが、皆様に挑もうとはしないでしょう。酒から目を覚まして店を出る方法を見つけるのが先決ですからな。もう一人の親族はこの町から十マイルほど離れた場所におりますが、誰かが気に留めて知らせを届けたとしても、連絡が届くのは明日のいつ頃かになります」


「どう思う?」ルシンダは不安そうな視線をヘルギに向けながら尋ねた。


「本音を言えば」アバナシーは少しだけはっきりとした声で言った。「馬の上で揺らされたら、頭蓋骨が真ん中から割れてしまいそうだ。またな」


「俺はまだもう一戦交える余裕があるぞ」ゴルトゥクが言った。「ここで休む必要があるなら、俺が部屋の見張りをしよう」


「俺も同感だ」レザが言った。「だが、肩の切り傷を処置しないと化膿するぞ」ゴルトゥクは無造作に指で触れた。皮膚には血がこびりつき、今も一定の雫が滴り落ちていた。店の主人はカウンターへ走ると、強い酒の瓶と布切れを持って戻ってきた。ゴルトゥクは礼を言い、傷口を清めた。


ちょうどその時、ドアが勢いよく開かれ、全員が武器に手を伸ばした。


剣を抜いた三人の男が入ってきた。二人は若く、身なりも健康そうで、手入れの行き届いた革鎧を身につけ、手にした剣の state も良好だった。三人目の男は少し太り気味で、少なくとも二十歳は年上であり、所々錆の浮いた鎖帷子を着て、使い込まれて全盛期を過ぎた傷だらけの剣を持っていた。


「戦いはとうに終わった、剣を収めろ!」店の主人が男たちに向かって言った。「ただの町の警備隊です」と彼は一行に告げた。


男たちは刃を出したままだったが、少し身構えを解いた。二人はゴルトゥクをじっと見つめていた。年嵩の男が全体の状況を見渡し、口笛を吹いた。「小僧が夕食中の俺を引っ張り出しに来て、下で大喧嘩が起きていると言っていたが。……この有様は言葉以上だな」


「幸いにもお客様方が自衛できましてね」店の主人が言った。「ご覧の通り、危険は去りました」年嵩の男が武器を鞘に収めると、部下のふたりもそれに従った。


「当ててみようか」男はミノタウロスを上下に素早く一瞥しながら言った。「ランリグ・テメスが事の渦中にいたな」


「勿論です。彼がすべての引き金を引きました。客の一人——あそこで嘔吐物にまみれて倒れている男ですが——彼らに構わず放っておいてくれと、コインの入った袋まで差し出したのですよ。この目で見て、耳で聞きました。ですがランリグは聞く耳を持ちませんでした。彼は執着していた……要するに、喧嘩を売りたがっていたのです」


「で、そいつは今どこに? 逃げおおせたのか?」


「隊長」若い男の一人が、吐き気を必死に抑えながら、万が一に備えて口元に手を当てて言った。「隊長、あいつが鎧を他の誰かに売ったのでもない限り、あなたが踏みつけているのがそれだと思います」年嵩の男は足元を見下ろし、グループのリーダーだったものの残骸を目にした。


「これはまた凄惨なことだな」彼は畏怖と嫌悪が混ざり合った様子でそう呟き、体液の溜まりから足を引き抜いた。「戦争以来、こんなものは見たことがない」


「この町に治療師か医者はいるか? こちらの二人が傷を負っている。針縫い師の手におえる代物じゃない」とヘルギが言った。


「そうだな、傷の具合にもよるが、手助けになりそうな薬草師ならいる。だが、話が進みすぎているな。ミラーソンはカウンターの裏から見たことを話してくれたが、ここで何が起きたのか全体像を知る必要がある。現在、話を聞けるのはお前たちだけだ。部下と俺で、別々の部屋でお前たち一人ひとりから事情を聴取させてもらう」


「馬のキンタマくらえ!」


いきなり酒場の主人が怒鳴り散らした。「させるかよ、この馬鹿野郎ども! 何年もの間、あのならず者どもがこの町で傍若無人に振る舞うのを野放しにしておいて、ようやく誰かが奴らをくたばらせたら、今度は被害者に言いがかりをつけるつもりか? 俺の客にだと? 状況はさっき説明した通りだ。二人はいまだに床に倒れ込んでるってのに、尋問したいだと? これ以上一言たりとも口を出すんじゃねえ!」


酒場の主人であるミラーソンは、背が高いわけでも筋肉質というわけでもなかった。特別な威厳を漂わせているわけでもなく、先ほど謝罪していた時の方がよっぽど彼らしくはあった。しかし、彼の怒りは本物であり、見張りの一人はその迫力に押されて実際に一歩後ずさった。


「おい、ちょっと聞きな」顔を真っ赤にしながら、小太りの男が言った。「客が逃げ出したり店が滅茶苦茶にされて腹が立つのも分かるし、これほどの血と死体に見慣れていないのも理解できる。それらは全部考慮に入れてやっているんだ。だがな、俺はお前の店に来て酒の注ぎ方に口を出したりはしない。俺の仕事に口を挟むんじゃない!」


誰もその接近に気づかなかったが、カウンターに座っていた身なりの良い男が静かに歩み寄ってきていた。「甥の夫が取り乱すのも無理はありません、隊長。彼の動揺に対して忍耐強く接してくださり、感謝いたします。ですが、ミラーソンの説明と矛盾する証言を誓って立てる者がいない限り、この犯罪の被害者たちが医療を受けたり、必要ならベッドで休むのを妨げる理由はありません。それでは無意味に彼らの生命を危険に晒すことになりますよ、ヘトル軍曹」


「なんで町の警備隊より先に弁護士が現場にいるんだ?」ヘトルは顔をさらに赤くしながら尋ねた。


「今夜寝る時にでも、自分で自分に問いかけてみてくださいな」酒場の主人は熱を帯びた口調で吐き捨てた。


「私はただ、姪に会い、ミラーソンが私に——そして警備隊にも、ですよね?——出してくれる半額割引を楽しむために立ち寄っただけですよ。まあご想像の通り、この惨劇の現場に足を踏み入れた後は強い酒が一杯必要になりましたがね。ですが、私の法律の知識が正しいと確信できる程度にはシラフですよ。それに、尋問中に彼らの誰かに死なれたくはないでしょう?」


「これ以上死体が増えるのだけは御免だ」警備兵は折れた。「分かった、仲間を解放してやれ」彼はヘルギに向かって言った。「薬草師はカラス小路にいる。ミラーソンの小僧に案内させよう。事情聴取はひとまず見送る。明日の朝、他の客にも話を聞くが、ランリグがよそ者に喧嘩をふっかけたことくらい、想像を絶するようなことじゃない。ついに牙をむく相手を間違えたようだな。まあ、何はともあれ、ぬるい小便一杯ほどの価値もねえかもしれんが、うちの町でこんな目に遭わせて本当にすまなかったと思っている。俺たちはまともな人間なんだ。もっとも、こんなことの後じゃ信じてもらえなくても無理はないがな」


彼はミラーソンの方を振り返った。「後片付けは大変だな。訓練された兵士でさえ、こんな光景を見たら気を失うことがある。詳しい話はまた明日しよう」そう言って彼は背を向け、部下たちも後に続いた。


ドアが閉まると、身なりの良い男は小さな安堵の息を漏らした。「私はせいぜい二流の弁護士ですが、幸いなことに、ヘトルはそれほど切れ者ではありません。この町に数少ない元兵士の中で、手足が四本とも揃っていたという理由だけであの職に就けたような男ですからね。とにかく、彼からこれ以上心配されることはないと思いますが、もし何かあればミラーソンが私を呼びに寄こすでしょう」


「ありがとうございます、おじ様」ルシンダが言った。「本当に助かりました。ご想像の通り、少し動揺していたものですから」


「ああ、感謝する」アバナシーはゆっくりと体を起こしながら言った。「まだ少し眩暈がするが、君は……君は本当に見事だった」


「気になさらないでください。ミラーソンとその妻が世話を焼きすぎて休ませてくれないなんてことがなければ、ゆっくり休んでください。ところで、私の姪はどこに?」彼は酒場の主人に尋ねた。


「状況が悪化した時に、妻と給仕の女の子たちを地下室へ降ろしました。小僧と俺でここをある程度片付けるまで、そこにいるように言ったんです。俺が一ヶ月間悪夢にうなされるからといって、あいつらまでそうなる必要はないですからね」


弁護士は頷いた。「君は良い男だ。彼女に私からの愛を伝えてくれ」そう言って彼は立ち去った。


ベイツが少し動き始めていた。所々で嘔吐感を催してはいたものの、呼吸は落ち着いてきていた。彼は目を開け、ランリグ・テメスの残骸をじっと見つめていた。


「よかった……もう吐き出すものが何も残っていなくて」彼はかすれ声で言った。「口の中のひどい味を除けばだが」


「うちの特製ドリンクがあるんだ。砂糖大根で甘みをつけ、生姜をひとつまみ効かせた水さ。酒をやめようとしている奴らや、妊婦にも人気でね。体に障ることもないし、その不快な味も洗い流してくれる」ミラーソンはそう言いながらカウンターへ急ぎ、ベイツのために小さなカップにそれを注いだ。


「薬草師のところへ行った方がいいかしら?」ルシンダが尋ねた。


「いや」ベイツが言った。「薬なら持っている。アバナシーの意識がはっきりしている限り、彼は大丈夫なはずだ。だが、彼の様子からは目を離さないでくれ」


「分かった」ヘルギが言った。「だが、できるだけ早く便所へ行った方がいい。出血してはいけない場所から血が出ているなら、適切な処置が必要だ。それと、今夜は絶対に仰向けで寝るなよ」


ベイツは頷き、ミラーソンからカップを受け取ってゆっくりと一口飲んだ。飲み物は吐き戻されることなく腹に収まり、彼は心から安堵した。


「みんな休みが必要だ」ゴルトゥクが言った。「今夜は俺が見張りをしよう」


「まだ完全に危険を脱したわけじゃない」レザが言った。「この町を離れるまでは安心できないな。お前が前半の夜を見張り、俺が後半を引き受けるというのはどうだ?」


ミノタウロスは頷き、それから動きを止めた。「考えてみれば、二十分ほどここを頼めないか? 死体を運ぶのは、酒場の主人より俺がやった方がずっと楽だろう」


「もちろんだ」レザが言った。


「滅相もございません、皆様は被害者なのですから——」ミラーソンが言った。


「頼んではいない」ゴルトゥクは静かに言った。「それに俺たちは被害者じゃない。奥さんと息子さんにはあなたが必要だし、一晩中地下室にいるわけにもいかないだろう。死体が片付けば、それだけ早く家族の元へ戻れる。血と肉片はできる限り処理してくれ。死体は俺が運び出す」


そんなやり取りが交わされている間、ヘルギはアバナシーを支えて酒場から連れ出し、宿屋への階段をそっと登らせた。カウンターの裏にいた男は、痛ましい表情を浮かべていた。


「話は聞きました。本当に大変でしたね」男は言った。「何か手伝えることがあれば、遠慮なくお申し付けください」


「ありがとう」ヘルギはアバナシーを彼らの部屋へ導きながら言った。彼女は彼をベッドへ着かせ、靴を脱がせた。「念のために、すべてが無事だと確認できるまでしばらく起きていてもらわないと」彼女は言った。「頭の怪我の直後に寝てしまって、二度と目を覚まさなくなった親戚の親友がいるの」


「嘘をついても仕方ないが、痛むな。それに平衡感覚もまだ戻っていない。それと、頼むからこの忌々しい明るさをどうにかしてほしい。だが、脳震盪を起こしているような感じではないな」


「二日酔いと比べてどう?」彼女が尋ねた。


「それより酷い」彼は即座に答えた。「ずっと酷いな」


「じゃあ、しばらく起きていてもらうわ。あなたをうまく守れなくてごめんなさい。あなたが素手の男と戦っているのに気づいて、あの特別なレイピアならすぐに片が付くだろうと思ったの。でも、あの男は何らかの訓練を受けていたわね」


「ああ、俺が身を引いて床で昼寝を始めた後は、レイピアがちゃんと仕事をしてくれたよ。だが確かに、あいつが素手だったのは偶然じゃない。一種の専門家だな。俺が傭兵団にいた頃、ボクサー……いや、賞金稼ぎの拳闘士がいたんだ。だが、そんな腕立つボクサーでさえ、素手で戦闘に入るような真似はしなかった」


「ベイツが彼のために魔法を残しておくべきだったかもしれないわね」ヘルギが言った。


「奴も俺と同じ過ちを犯して、素手の男なんて大した脅威じゃないと思い込んだんだろう」


彼らはしばらく会話を続けた。彼の事務所がある通りの名前や、最初のデートで行った酒場の名前といったヘルギの突然の質問によって会話は中断されたが、彼女は彼が眠っても安全だと納得するまで質問を重ねた。彼女はローソクを吹き消すと、彼と一緒にベッドに入った。


彼は彼女に腕を回した。


「おやすみ、ヘルガ」彼は言った。彼女の体が瞬時に硬直した。


「冗談だよ、大丈夫だ! 愛してるよ、ヘルギ」


「頭に別の衝撃を受けたくないなら、冗談はベイツに任せてちょうだい。さあ、もう寝て」

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