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【惨殺】喧嘩を売る相手を間違えたごろつきたちの末路

大激変の時代の終わりに生まれ、紛争の時代に即位した国王テレミドゥス四世は、耐えがたいほどの悲しみを目の当たりにしてきた。彼は世界中から多くの哲学者を宮廷に招き、「人生の意味とは何か」という問いの解明を支援した。つまり、なぜこれほど多くの人々が、果てしなく無意味に思える苦難に耐えなければならないのか、その目的は何かという問いである。年月が経つにつれ、彼の答えを求める欲求は切迫した see ものとなり、忍耐力は減退していった。ついに最後通牒が近づいていることを察した哲学者長が彼のもとを訪れた。他の者たちは勤勉に研究を重ねているが、縮小したとはいえ今なお賑やかな首都の中心にあり、金碧輝煌な宮廷の贅沢さの中にいては、このような儚く形のない問いの本質を真に熟考することはできない、と彼は語った。完全に澄み切った精神状態に達するには、単なる市内の修道院ではなく、外部の領域から隔絶された小さな集落という自分たちだけの場所が必要であると。こうしてテレミドゥス四世は、シルヴィアヌスの沿岸のすぐそばにある小さな島に、新たな集落シェレヴナの建設を命じた。そこには哲学者たちのための素朴な家々、図書館、大集会所といくつかの小集会所、食堂、そして公衆浴場が建てられた。また、よろず屋などの生活支援サービスを提供する建物や、そうした職務に就く労働者のための宿舎も作られた。それぞれの建物には、建設された順序に基づいて番号が割り当てられた。道路が存在しなかったため、通り名は存在しなかった。踊り子と白ワインを好むと言われていた哲学者長は首都にとどまり、時折シェレヴナを訪れては同僚たちの進捗状況を確認した。王が望む回答を生み出すことはついぞなかったものの、シェレヴナは叡智を追求する中で雑念を避けるあらゆる修行主義の思想家を引き寄せた。正面に番号が塗られた建物が増えるにつれ、それらの建物が他のどの建物と関連しているかを示すため、右側に番号を塗る習慣が始まった。したがって、薬草医の店には、その薬草医が患者を診る建物の番号が緑色で、自宅の番号が黒色で、その下には従業員の自宅の番号が塗られている、といった具合であった。住居では、血縁者が住む他の住居を示すために赤色の番号が使われた。この習慣は、シェレヴナに通りが建設され命名された後も(驚くことではないが、最初の二つの通りは第一通りと第二通りであった)続き、今日に至っている。

――『タイコロスの年代記』より


その夜、彼らはポプラの木立の下でキャンプを張った。夜行性の生き物たちが活動する気配以外、音はほとんど聞こえなかった。ヌールが短い狩りに出かけると、彼女がいなくなるやいなや、一匹のズル賢い狐が焚き火の近くの生ゴミの山へと駆け寄り、大きな骨を咥えて暗闇の中へと走り去っていった。


夜が明けると、彼らは荷物をまとめて旅を再開した。旅の道中では常に路上で人とすれ違ってきたが、そのほとんどはゴルトゥクをちらりと盗み見するか、時折ぽかんと眺める程度だった。しかし前日あたりから、露骨に、そして嫌悪と敵意の入り混じった視線を向けてくる者が増えていた。ノロヴィア州との国境が近づいており、そこから先は街道を堂々と進むことができなくなる。


国境の手前での最後の立ち寄り先は、雨期には危険な増水を見せる小川に隣接する街、氾濫原村(フローデッド・メドウズ)だった。そこには評判の良い宿があるはずで、レザは人知れずノロヴィア州へ密入国するにはそこが最良の拠点だと判断していた。彼らはちょうど黄昏時が始まりかけた頃に到着した。


「ここで合っているの?」ヘルギが『濡れた雄鶏(ウェット・コック)亭』と名付けられた看板を指さしながら訊いた。そこには背泳ぎをしようとあがく雄鶏の絵が描かれていた。周囲の建物の多くと同様、この建物も頑丈そうな木と石の柱の上に立っていたが、他の建物が二〜三フィートほど嵩上げされているのに対し、この建物は地上六フィートの高さにあった。


「俺が入って確かめてくる」とレザは言った。彼は正面の階段を上り、短時間中に入った。そして再び外に出てくると、上がってくるよう手招きした。「ここが宿屋だ。どうやら店主は単に風変わりな幽黙の持ち主らしい」


建物の内部は整然と装飾されており、彼らが訪れてきた他の麦の王国の店舗でよく見られた農具の展示や農作物の絵ではなく、風景画や上品な裸体画が選ばれていた。帳簿の前に立つ三十代後半の男は、短袖のほとんど汚れのない白い麻シャツを着て、満面の笑みを浮かべていた。


「お仲間の言う通りですよ、おんら。ここは女郎屋なんかじゃありませんよ」と男は陽気に言った。


「ああ、悲しや切なや」とベイツが言った。「ちなみに、それは宦官の愚痴の定番だがね」


「そいつは昔から聞いちゃいませんでしたね」と男は言った。「おやじが六歳の頃に教えてくれたジョークですよ。数年後まで本当の意味は分かりませんでしたが、大人の前でそれを言うと必ず笑わせられるってことは知ってました。時にはお駄賃に銅貨をもらえたりしましてね」


「部屋を手配したいのだが」とアバナシーが言った。


「たくさんありますよ、それも上質なやつが。重要な十字路からそう遠くないんで、商人や旅人が大勢通りかかるんです。それに四日前にフェレット使い(フェレットマイスター)が街を通ったんで、ここから矢の届く範囲にネズミ一匹いませんや」彼はゴルトゥクにサッと視線を送った。「それと、うちの内装のこだわりは旦那にとって好都合ですよ。ベッドはどれも小さな石柱の上に載ってるんで、旦那が乗っても壊れやしません。うちで一番でかいベッドなら旦那にも合うと思います、まあ少々きついかもしれませんがね」


「それは実に幸運だ」とゴルトゥクは言った。「今夜は本物のベッドで眠れるのなら大歓迎だ」


「部屋に落ち着いたら、食事にしたいのだが」とレザが言った。


「あたしの後ろの左側にあるドアが屋根付きの渡り廊下に通じてて、隣の建物に行けます。街で一番美味いメシを出しますよ、一番の目玉は羊肉のパンですがね。温かいパン生地の中に、熱々の羊肉、タマネギ、ジャガイモ、スパイスがギッシリ詰まってます」


アバナシーは礼を言い、部屋を手配して皆に鍵を分配した。「二十分後にここで落ち合おう」と彼は言った。彼らは荷物を置き、身なりを整えるために各自の部屋へと向かった。


「ベッドは試してみましたかい?」ゴルトゥクが戻ってくると、カウンターの男が訊いた。


「試した。十分なものだ」とミノタウロスは言った。


男は顔をほころばせた。「素晴らしい。お役に立てて光栄です」


「私はあまりお腹が空いていないの」クラリッサがアバナシーに言った。「それに、傷跡になる前にこの切り傷を処置できる人が街にいないか、見ておきたいわ」


「ああ、それならうってつけの人がいますよ。日が暮れてから一時間ほどは店にいるはずだから、急げば間に合います。ミリセント・トゥルーハートという名で、尊敬されている針縫い師(ニッター)です。道を教えましょう」と男が言った。


「ああ、行ってくるといい」とアバナシーは言った。「指示をしっかり聞いて、暗闇で迷子にならないように気をつけるんだぞ」


「ありがとう」とクラリッサは言った。カウンターの男が彼女に道を教え始めると、他の者たちは彼の後ろのドアをくぐった。渡り廊下の長さはおよそ二十フィートほどで、完全に壁で囲まれていた。あらかじめ聞いていなければ、単なる長い廊下を歩いていると思い込んだことだろう。反対側のドアには下に降りる階段があった。わずか十フィート先には四段の上り階段があり、その先にある大きな木製のドアを開けると、かなりの広さの酒場へとつながっていた。数多くのテーブルと、よく磨かれた松の木で作られた頑丈なバーカウンターがあり、壁には様々な野獣の頭部が飾られていた。


彼らは壁際のテーブルを見つけて腰掛けた。座席は丸い木柱に取り付けられたオーク材の頑丈なもので、どうやらこれが地元の流行りのようだった。レザが別のテーブルで大きめの座席を見つけ、ゴルトゥクのために運んできた。ゴルトゥクは礼を言った。気乗りのなさそうな微笑みを浮かべた親切な給仕の少女がやってきて、飲み物の注文を取るまでに時間はかからなかった。彼女はメニューが記された二枚の薄い木板をテーブルの上に置いた。


「ここに針縫い師がいて幸運だったな。聖職者には及ばんが、傷跡を消すには最高の選択肢だ」とベイツが言った。


「あの子は私が見る限り見栄っ張りな性格ではないけれど、クラリッサはあの傷を特に気にしていたからね」とルシンダが言った。


「羊肉のパンの大きなお皿を一つ頼んで皆で分けて、それから各自で好きなものを注文するっていうのはどうだい?」アバナシーが提案した。


給仕の少女はすぐに飲み物を持って戻ってくると、料理の注文を取って自分の仕事へと戻っていった。彼女は礼儀正しいものの非常に手際が良く、そこそこ混み合った店内に一人で手際よく対処していた。


「あ!」ベイツが突然声を上げた。「そうだ、実にいいぞ! 最高のアイデアを思いついた」ヘルギの目がわずかに細められた。「氾濫による増水を避けるために建物全体が柱の上に建てられている話だが、それがこれまでの地元のデザインにも反映されていたのを見たろう? そこでだ、婦人用で、かかと部分が石や木の柱になっているハイヒールの一群を作ったらどうだろう? ここなら一財産築けると思うんだが、どう思う?」


「そうね……私なら、ヒールは細くないと嫌かな」とルシンダが言った。「大きくて不格好に見えるヒールは嫌だし。それに当然、色も常に重要だから、石や木の種類次第ね」


「私は特別な機会にしかヒールは履かないから」とヘルギが言った。「意見を聞く相手としては不適切ね。だけど、ここはまだ『麦の王国』の中だということを思い出してちょうだい。ファッションが重視されているようには見えないわ」


「そうだが、旅人たちがいるじゃないか! 地元の雰囲気を自分用や土産物として持ち帰りたがる通りすがりの人々のことを考えてみろよ」とベイツが言った。


レザの目が素早くまたたき、手がテーブルの下へとゆっくり動いた。ヘルギの手も彼の手に続いたが、彼女は彼と向かい合っていたため、振り向かない限り何が彼の注意を引いたのかは見えず、彼女は振り向かなかった。


ゴルトゥクはレザが見つめた先を見上げ、それからアバナシーの目を短くじっと見つめた。アバナシーはヘルギの隣に座っていたため、同じく後ろが見えなかった。「七人だ。話を続けろ」彼とレザは、入口がよく見える側の席をあえて選んでいたのだった。


アバナシーは、同じく隣に座っていて状況が見えていないルシンダと会話を始めた。彼は表情を平然と保ち、穏やかなトーンで話し続けた。レザにパニックの様子はなかったが、顔は正面を向けつつも目は左側を注視していた。店内の全体の音量が上がり、アバナシーは新しい話し声を聞き取ることができた。鎧や武器の触れ合うジャラジャラという音、何足ものブーツが床を踏み鳴らす音が聞こえてきた。ゴルトゥクは大杯からゆっくりと一口飲み、まるでルシンダがしている会話に耳を傾けているかのように、依然としてアバナシーを見つめていた。クリヴィントンの顔には好奇心があらわれていたが、それ以上の感情は見られなかった。


突然、店内の音量が二、三段階ほど下がった。アバナシーの経験上、それはしばしば良くない兆候だった。そして、彼の背後からさらに多くのブーツの足音と甲冑の擦れ合う音が近づいてきた。


「グレート・グレイソンの亡霊にかけて」大きな声が響いた。「ミラーソン、貴様は本当に雄牛(ブル)を酒場の中に入れたのか?」店内はさらに静まり返った。「俺は言ったんだ」その声が繰り返した。「貴様は本当にクソ雄牛を酒場の中に入れたのか、とね」


「一体どうやって止めろって言うんですか?」バーテンダーが怯えたように答えた。「それに、あの客も他の客と同じように銅貨を払ってくれるんですよ」


一組の足音が近づき、一人の男が彼らのテーブルの脇に立った。その姿は全員の目にはっきりと映った。身長は少なくとも六フィートあり、顔のあばたを露わにしたオープンフェイスの兜をかぶっていた。前歯の二本は部分的に折れていた。彼は足元まで伸びる汚れの目立つスケイルメイルのコートを着て、左腰に長剣をさしていた。


「普通、気に入らない余所者に出くわした時は『お前さん、この辺の者じゃないな?』って言うんだが、今回ばかりはその問いじゃ全く言葉が足りんようだ」彼は蔑みの視線で一人ひとりを眺めながら言った。


「私たちは余所者ですが」とアバナシーが言った。「危害を加えるつもりはありませんし、私たちを嫌う理由もないはずです。今夜はここで寝て、明日の朝には出発するだけですから」


「まあ、俺や手下が貴様らを無視して、そのまま仕事を続けさせてやってもいいんだがな」彼は顎を掻きながら言った。


「そうしていただけると大変ありがたいです。この道を引き返す予定はありませんので、二度とお目にかかることもありませんよ」アバナシーは嘘をついた。


男の仲間が二人、彼の脇に並んで立った。一人はかなり背が低く太っていたが筋肉質で、安い革鎧の隙間から上腕二頭筋が隆起していた。ベルトの輪には作りの良いメイスが吊り下げられていた。もう一人は女性で、アバナシーの見立てでは、かつてはハッとするほどの美女だったのだろうと思われた。しかし、彼女の顔はギザギザの傷痕で覆われ、片方の耳は削ぎ落とされ、片方のまぶたの半分は斬り取られていた。彼女の革鎧はより上質で、胸元には何らかの紋章が刻まれていた。両腰には短剣を収めるのに十分な長さの鞘が下がっていた。


「いいか、貴様らを放っておくことの問題点はな、貴様らの後にもまた別の余所者たちの集団が来るってことだ。その次も、またその次もだ。で、貴様らみたいな連中がここに来てまともな民に迷惑をかけるのを防ぐ唯一の方法は、来づらくしてやることなんだよ」男が言った。近くに座っていた数名が、ゆっくりと席を離れ始めた。


「お言葉ですが、旦那、私たちはすでに十分出鼻をくじかれておりますよ」とベイツが言った。


「彼が言いたいのは」とアバナシーが口を挟んだ。「私達は角を立てず、友好的に、あるいは少なくとも無礼のないように速やかに通り過ぎるつもりだったということです。すでにあなた方をお気に障らせてしまったということは、私達の意図した通りにならなかったということです」


「友好的に?」背の高い男は嘲笑した。「まあ、それなら今からでも遅くはないんじゃないか? こうしよう。俺の仲間と貴様らで、みんな友達になろうじゃないか。嘘偽りがないならな。友達になりたいんだろ?」


「もちろんです」とアバナシーは言った。


「本当にそう信じたいところだ」と背の高い男は言った。「だが、貴様らの連中が俺や仲間を見る目がな、とても友好的な目つきに思えんのだよ。みんな随分と真面目な顔をしてやがる。怒っているようにさえ見えるな。……もしお前のところの奴が笑ってみせるなら、信じてやってもいいんだがな」


さらに二人が近づいてきた。一人はリーダーと同じくらい背が高かったが痩せ型で、もつれた金髪と落ち窪んだ頬をしていた。防具は革の胸甲と不揃いな脛当てるだけで、背中にはクロスボウを背負っていた。もう一人はかなりの男前で、彫りの深い容姿と引き締まった筋肉を持ち、街の平均よりも明らかに上質な町着を纏っていた。


「どうだ? その雄牛男(ブルマン)を俺のために笑わせることができると思うか?」リーダーは醜い笑みを浮かべて訊いた。


アバナシーはゴルトゥクではなく、レザの方を見た。しばらく彼の主治医を務めてきたアバナシーには、レザのその表情が何を意味するかが分かっていた。アバナシーは流血なしで事態が収まるシナリオを必死に頭の中で探したが、すでに自分の制御を超えていることを悟っていた。


レザは咳払いを一つした。「そいつは昔、画家を殺したことがあるんだ。そのミノタウロスはね」


背の高い男はレザに視線を向けた。「それが自慢のつもりか? 吟遊詩人の首を絞めたって言うようなもんだぞ。一体どこのどいつが、わざわざ絵描きなんか殺すってんだ?」


「その男が絵を描いたからさ。そいつが『笑おうかな』と考えていただけの時の顔をね」


背の高い男はゆっくりと拍手をした。「ほう、お前がお笑い担当ってわけか。じゃあ俺のために笑ってみせろよ、道化師さんよ」


レザは殺気立った眼光で男を睨みつけた。「笑ってるさ」


「へっ、それなら」背の高い男は言って、ルシンダの方を向いた。「お前が俺を納得させるしかないようだな……赤ん坊の飛び糞(とびくそ)め、尻尾が生えてやがる! 一体全体どうなってやがるんだ?」


アバナシーが立ち上がると、ごろつきの集団は武器に手を伸ばし始めたが、リーダーが手を挙げると動きを止めた。


「何か言い分があるのか……お友達?」


「私たちはあなた方をなだめようと善処してきましたし、急ぎの旅で角を立てるつもりはないと何度も申し上げてきました。ですが、もしあなたが無礼を働き続けるというのであれば、穏便に解決できるはずの状況を悪化させるだけです。それはあなた方にとっても、私たちにとっても利益になりません」


「お前、レイピアを差してるのか?」背の高い男が訊いた。


「差していますが」


「マジで? レイピアだと? 死んでもレイピアなんて手に持ちたくねえって女を俺は何人も知ってるぞ」彼は隣の女に向き直った。「アルゴラ、お前ならレイピアなんて使うか?」


「マン毛でも掻くのに使うくらいかね」と女は言った。仲間たちが大爆笑した。


「ほらな」背の高い男は再び含み笑いを噛み殺しながら言った。「レイピアなんかじゃ尊敬は買えんのですよ。で、人から舐められたら最後、脅しなんて何の意味もなさなくなるんだよ」


「待ってください、私が解決できます」ベイツが言った。彼は女を見た。「アルゴラ、と言いましたね?」彼女は答えなかった。彼は手をゆっくりと挙げ、手のひらを開いて布袋を見せた。


「金なんぞ出しても無駄だぞ、小僧」背の高い男は言った。彼の顔は突如暗くなり、不機嫌に歪んだ。


「おや、いいえ。コインは一文の役にも立ちませんがね。ですが、この粉なら彼女のマン毛の痒みを和らげるのに間違いなく役立ちますよ」女の顔が真っ赤になり、手が下へと動き始めた。彼女の仲間たちも、リーダーさえも同様に動いた。ヘルギが立ち上がりかけ、アバナシーがレイピアに手を伸ばし、レザの手がテーブルの下から上がり始めた。だが、ベイツはすでに動いていた。彼は布袋を背の高い男に向かって投げつけ、呪文の言語で三つの言葉を唱えた。袋は突如として燃え上がり、その中身――粉末状のマスタード、胡椒、細かく砕いた数種類のハーブ、そして擦りガラスの混合物――が、嫌がらせをしてきた連中の顔面で爆発した。


「目が!」痩せた男が叫び、他の者たちも咳き込みながら手で顔を覆った。レザの手は目にも留まらぬ速さで動き、ナイフや小さな刃物が彼から飛び放たれた。一枚がリーダーの頬を貫き、彼はそれを引き抜いて激痛に咆哮した。二枚が傷痕の女を襲い、一枚は首に、もう一枚は右肩に突き刺さった。彼女は反射的に首の刃を掴み、さらに激しく息を詰まらせたが、引き抜く手前で思いとどまり、膝から崩れ落ちた。刃の一枚は、すでに視界を完全に奪われて戦闘から脱出しようと後退していた痩せた男の腹に刺さり、彼は椅子につっかえて仰向けに倒れた。


残る二人のごろつきはドアのところに陣取っており、駆けつけるかもしれない地元の警吏の侵入を防ぐと同時に、彼らを呼びに行こうとする客の退出を遮っていた。数人の仲間がすでに重傷を負っているのを見て、彼らは武器を抜いて乱闘に加わろうと駆け寄ってきた。ゴルトゥクは豪快な咆哮を上げ、まっすぐに突き進んだ。レザは湾曲した短刃を抜いて彼の脇を駆け抜けた。編み込まれた長い髭と茶髪を持つ最初の一人が、ゴルトゥクの顔面に向かって棍棒を振り下ろした。ミノタウロスはすでに頭を低く下げており、そのギザギザの角が敵の腹部に深々と突き刺さった。突進の勢いのまま、二人は絡み合った状態で前方へと吹き飛んだ。二人目の男はレザよりも丸々一フィート背が高く、長い手足を持ち、レザが受け止める見込みの薄い両手剣を構えていた。レザは巨剣から逃れるように身体を捻り、大弧を描いて振るわれた剣を巧みにくぐり抜けると、相手の膝裏に刃を深く突き立てた。ゴルトゥクは突進を止め、巨体にかかる負荷で巨大な首の筋肉を隆起させながら、頭を勢いよく跳ね上げた。串刺しにされた男は地上二フィートまで持ち上げられた後、床に崩れ落ち、血を吐きながら息をあえがせた。怒涛の踏みつけ一発で、ミノタウロスは男の気管を粉砕した。レザの相手は剣を握りしめたまま床に倒れていたが、接近戦ではその巨大な武器も役に立たず、小柄なレザがすぐに彼の上に乗り、耳から耳へと首を切り裂いた。


「俺のが先に床に落ちたぞ」ゴルトゥクは大きな乱闘の方へ振り返りながら言った。


「僕の相手の方が背が高かった」レザは跳ね起きて後に続いた。


ベイツは男前の男と交戦していた。防具を着けていないことから彼を術者だと判断し、魔法を編まれる前に始末しようと考えたのだ。彼がトンファーを振るったが、相手は驚異的な速度で身をかがめて回避した。片手で目を擦りつつも、もう一方の手でクリヴィントンの手首を払いのけ、攻撃をことごとく逸らした。突然、男はしゃがみ込んで足を円状に振り払い、クリヴィントンの足を払い倒して仰向けに転がした。


太っちょで筋肉質の男は血を少々吐き、目を赤くしていたが、戦うには十分見えているようだった。彼はリーダーの前に立ち、ヘルギと急速に交戦した。ヘルギは短剣を使い、短い振りによる斬撃と突きを交互に繰り出した。彼女には間合いの優位性があり、スピードでも勝っていたが、男は彼女に受け止めざるを得ない強力の一撃を叩き込んできた。メイスが彼女の剣に激突し、腕に衝撃波が走り、肘から下が痺れてしまった。剣の握りが弱まるのを感じ、彼女は後退した。


「冷たくするなよ、お嬢さん」相手は言った。「こっちへ戻ってきてキスでもしてくれや」


「自分の手にクソをひり出して、拍手でもしてる方がマシだわ」彼女は答え、二人の間の距離をさらに広げた。


ルシンダはリーダーの極めて一時的な隙を突くつもりだったが、巨漢の男が彼を庇い、ヘルギが突如防戦一方になったのを見て、突入した。彼女の尻尾が男の顔に向かって閃き、男はそれを避けるために頭を素早く横に動かした。ほんのわずかな隙だったが、彼女はその隙にスティレットで男の手首を刺すことができた。男は彼女に悪態をつき、攻撃に応戦しようとメイスを持ち上げた。彼女は盾を構えつつ後ろに跳んだ。そのような重い一撃に対して盾がたいした防御にならないことを知っていたからだ。振り下ろされた一撃に対し、彼女は右へ跳び、盾を使って相手の武器を横へとわずかに弾いた。彼女は一瞬で彼を二度刺した。一度は腕を、もう一度は鎖骨の一インチ下を。


アバナシーも同様にリーダーを攻撃するつもりだった。リーダーが無力化されるか殺されれば、他の戦闘員たちも戦闘を見直すかもしれないと考えてのことだ。ヘルギが退き始めた時、彼はレイピアを手に彼女の前に出たが、ルシンダがすでに筋肉質の男と交戦しており、互角以上に渡り合っているようだった。その時、彼は床に倒れているベイツと、彼に飛びかかろうとしている男前の男の姿に気づいた。アバナシーは剣先を素早く振って男を牽制し、その間にベイツは呻き声を上げながら横へ転がろうとした。もう一人の男はニヤリと笑い、アバナシーの攻撃をかわしながら、クリヴィントンの腹部に素早い蹴りを入れた。食べたばかりの食事があふれ出し、彼は胎児のように丸まって動けなくなった。


傷痕の女は未だ膝をついたままで、首にレザの刃が刺さった状態でありながら見事な自制心を見せていた。クリヴィントンの劇薬によって咳き込み、息をあえがせながらも、彼女は戦闘の音から未だ目を眩まされてよろめき去ろうとしている痩せた男の方へと這い寄った。彼女は手を伸ばし、男の腹からレザの刃を引き抜いた。中身と熱い血液が彼女の顔に吹き散った。男は悲鳴を上げて膝から崩れ落ち、彼女はベイツを探して周囲に目を配った。


ヘルギは短剣を逆手に持ち替えた。彼女はそのスタイルでの戦闘スキルをほとんど持っていなかったが、筋肉質の男にそれを見抜く術はなく、警戒すべき要素が他に増えれば、ルシンダが彼に対抗できる好機が生まれるかもしれなかった。彼女は男に向かって一歩踏み出し、拙い突きを繰り出した。男はそれを易々と回避したが、その動作によってルシンダへ向けられた彼の攻撃は数インチ横へと逸れ、メイスは彼女の耳元を空しく風を切って通り抜けた。今度は刺す代わりに横に一閃させると、男の額にしとどに傷を切り開き、クリヴィントンの猛毒によってすでに侵されていた男の両目を、たちまち流れる血で塞いだ。


アバナシーは素手になった相手に再び突きを繰り出したが、男は後退するどころか前方へ跳び込み、レイピアの剣先をくぐり抜けてアバナシーの手首を片手で払い退けつつ、もう一方の手でみぞおちに強烈な一撃を叩き込んだ。アバナシーの息が途切れ途切れの喘ぎとなって漏れ、彼は身体を折り曲げかけた。相手は間髪入れずに鋭いアッパーカットを叩き込んで彼の頭を跳ね上げさせ、こめかみに激痛が走り、視界がぐるぐると回転し始めた。


「まだ名前も付いてないような穴を、お前に開けてやるよ」男は叩きつけるべく右腕を突き出しながら吐き捨てた。アバナシーはレイピアを手放して床に倒れ込みながら、「踊れ(ダンス)」と言うのに十分なだけの空気を吸い込んだ。剣は突如として意志を持ったかのように跳ね起き、素手の男の右肩を貫いた。男は驚愕の声を上げて後ろへと跳び退いた。剣は再び襲いかかり、先ほどと同様に男は前方へと跳び込んで剣先をくぐり抜けた。しかし、今度は払い退けるべき手首も、打ち据えるべき敵も存在せず、レイピアは人間の手で扱われている時にはあり得ない軌道で空中で旋回した。刃は男の右腕を貫き、彼が急いで柄を掴もうとした時には、すでに引き抜かれて彼の掌をかわしていた。


リーダーは息と視力を十分に取り戻し、自分を庇っていた巨漢の横をすり抜けて乱闘に加わった。ヘルギは効き腕の痺れを払い落としており、再びその腕で戦うのに十分なほど感覚が戻っていた。剣を抜いたリーダーの姿を目にし、彼女は筋肉質の男にもう一度不格好な一撃を見舞ってから、短剣を元の効き手に持ち替えた。


大型ハンマーを構えたゴルトゥクが戻ってきた。彼は内臓を押さえようともがいていた痩せた男の前に立ち、短くも強力な一撃でその頭蓋骨を叩き割り、完全に動かなくさせた。傷痕の女はレザの刃をミノタウロスの頭に向かって投げつけたが、刃は頭ではなく彼の肩に突き刺さった。彼はより大きな振りで、今度は下から上方へと打ち上げ、破断する肋骨の音が戦闘の狂騒の中でも聞こえるほどの衝撃で、女の身体を一瞬浮き上がらせた。意識が遠のき始める中、彼女の最後の行動は、首からレザのもう一枚の刃を引き抜いて投げつけることだった。しかしショック状態によって狙いが狂い、彼女の瞳から光が消え去ると同時に、刃は椅子へと突き刺さった。


レザは、右腕を力なく側面に垂らした素手の男と交戦した。レザはスピードを緩め、レイピアよりも脅威を感じさせないように振る舞った。彼は男に絶好の隙をいくつか与え、男がその隙を利用しようとレザと正面から対峙した瞬間、ムハフィズが背後からの素早い一閃で男の右ふくらはぎを切り裂いた。男が倒れ始めると、レザは踏み込んで胸元へと刃を押し込んだ。役目を終えたムハフィズは、ガタガタと音を立てて床に転がった。


巨漢の男はルシンダに向かって再びメイスを振るったが、その動きは重々しく、彼女は易々と横へと身をかわした。彼女は再び突きを繰り出したが、今度はリーダーの剣によって攻撃を弾かれた。ヘルギはその隙を突いて一撃を叩き込もうとしたが、リーダーは即座に体制を立て直して彼女の攻撃を防ぎ、正対した。筋肉質の男は効き腕ではない方の手で目の血を拭おうとしたが、額の傷からは血が噴き出し続けていた。彼はルシンダに向かってメイスを振るおうと腕を上げたが、突如として深呼吸をし、一歩後退した。ルシンダの腕が目にも留まらぬ速さで伸び、武器を持つ彼の腕を突き刺した。メイスが床に叩きつけられ、彼はさらに一歩後退した。ルシンダは再び横に切り払い、彼の頬を口元まで切り裂いた。


ルシンダのスティレットに塗られた毒が身体を巡り、数箇所の傷口から大量の血を流しながら、男は片膝をついた。彼女は刃を鞘へと滑り込ませると、盾で男の頭を叩きつけ始めた。三度殴打されると、男は足を痙攣させるだけで動かなくなり、うつ伏せに倒れた。


リーダーとヘルギは何度か刃を交えたが、自分がグループの中で生き残っている唯一の人間であることに彼は突如として気づいた。頬の穴から朱色の血を一定の滴りで垂らしながら、彼は壁へと後退しようとしたが、ルシンダはすでに彼の死角に潜り込んでいた。彼女は再び刃を抜いており、鞘の中の毒液で塗り直されたばかりの刃で、彼が旋回する前に背中を二度刺した。彼は攻撃を諦め、ヘルギとルシンダの攻撃を防ぐために剣を使った。


「雄牛男(ブルマン)! お前に決闘を申し込む!」退がり続けながら攻撃を受け流しつつ、彼は叫んだ。レザが今、彼に向かって近づいていた。「お前だけだ、雄牛男(ブルマン)! 俺とお前の勝負だ!」


「受けて立つ!」ゴルトゥクが咆哮した。


「聞いたろ!」リーダーは言った。「下がりな。俺とこいつの一挑一だ」彼は後ろへと下がり続けた。ヘルギは追撃せず、ルシンダもヘルギに倣った。彼女たちは武器を彼に向けたまま、防御の姿勢を保った。レザは湾曲した短刃を滑らかに動かし続けながら、彼へと忍び寄った。


「レザ! こいつは俺の獲物だ!」ゴルトゥクが叫んだ。


レザは動きを止めた。「一理あるな」 彼は床でまだ痙攣していた巨漢の方へ移動すると、その頸動脈を切り開いた。ヘルギとルシンダは、アバナシーとベイツが地面に倒れている場所へと戻った。ふたりとも意識はあったが、ベイツはまだ胎児のように丸まったままであり、アバナシーは喋ることも起き上がることもできない状態だった。


ゴルトゥクは大型ハンマーの頭を地面に降ろし、両手でそれを保持した。息を荒らげながら、リーダーは言った。「俺が勝ったら、ここを立ち去らせてもらうぞ」


「お前が勝ったら、去り際の賞品として俺の死体からコインの袋を持っていって構わんぞ」ゴルトゥクは言った。


「なら、始めようか」リーダーは言った。


「腰を下ろして、お前がここまで来るのを待っていた方がいいか?」ミノタウロスはそう尋ねると、傷痕の女が肩に突き刺した投擲ナイフを引き抜き、レザの近くの床へ投げ捨てた。


リーダーはゆっくりと進み出で始めた。「お前の戦いぶりは見られなかったな」彼は言った。「お前の連れがやったあの卑劣な罠のせいだ。ところで、あのクソ小僧はどこへ行った?」床に倒れているベイツを見つけると、彼はその方向へ向かって血を吐き捨てた。「よし、自分の吐瀉物に詰まって死に晒すといい」


「お前よりも大きいものの欠片を、俺は自分のクソの中で見つけたことがあるんだが?」ゴルトゥクは身動きひとつせずに言った。


「お前より酷い臭いのものなんて想像もできなかったが、今お前がそれを口にするまではな。そのハンマーなら牡牛だって粉砕できるだろうよ」近づきながらリーダーが言った。「だが、それを振り回す速さは大したことなさそうだな」


「特に速くはないな」ミノタウロスは答えた。「俺がお前の脳みそをオートミールに変える前に、一回くらいは俺を斬ることができるかもしれんぞ」男は平然を装って含み笑いをしようとしたが、代わりに血を吐き出すことになった。彼は刃を構えたまま、さらに忍び寄った。彼はすでにゴルトゥクのハンマーの間合いに入っていたが、ハンマーの頭はまだ床に置かれたままで、ミノタウロスはそれを持ち上げようとする素振りも見せなかった。男はまだ自分の刃で斬りつけるほど近くはなかったが、どんな反応を示すか確かめるために短く素早いフェイントを数度入れた。反応は無かった。


彼はさらに一歩踏み込んで再びフェイントをかけたが、それでも返答はなかった。突然、彼は前方へ跳び出し、全霊の振りのために刃を後ろへ引き絞った。しかし、彼の筋肉は反応が遅く、動きは鈍重だった。それでも、ミノタウロスが受け止めるためにハンマーを持ち上げる時間などあるはずがないと確信していた。彼の四肢は重く感じられたが、全身の力を込めて振り下ろした。


ゴルトゥクは突如として足でハンマーの頭を前方へ押し出すと同時に手首を外側へ旋回させ、武器の打撃面を床からリーダーに向かって円形に跳ね上げた。このようなやり方では彼の力の半分の伝達すら叶わなかったが、この企ては奇襲であり、かつ相手の体勢を崩すためのものだった。そして案の定、自らの一撃を叩き込む前に、リーダーのスネは上方へ描かれたハンマーの軌道に捕らわれ、彼は床へと派手に転倒した。


「今は笑っているわよ」ルシンダが男を嘲笑するように叫んだ。「私の毒があなたを少し鈍らせているみたいね。おかげで顔が大きなお手製スマイルになっちゃうわ」


男は起き上がり、揺れながら片膝で立った。


「毒を使ったのか?」ゴルトゥクが尋ねた。


「新鮮で完全な一服よ」ルシンダは満足げに言った。


「貴様の先祖の魂に、クソでもぶっかけてやる!」リーダーは口の端の血に白い泡を混ぜながら、ルシンダに向かって絶叫した。


ゴルトゥクは首を振った。「もう無意味だな」相手が不鮮明な足取りで立ち上がったのとちょうど同時に、彼はハンマーを空中高くへと持ち上げた。彼は全精力を込めて振り下ろし、男の頭部は突如として硬い床に落ちた卵のようになった。殻はひび割れて砕け散り、中の液体が周囲一面に撒き散らされた。ハンマーの衰えぬ下方への力は彼の胸郭を引き裂き、肋骨はくくり罠が逆再生するように弾けて開いた。武器は腹部を通り越して骨盤を四箇所で粉砕した後にそこに食い込み、内臓が床へと溢れ出た。まるで二十フィートの高さからスイカを数個落とし、その惨状のほぼ中央に男の下半身を配置したかのようだった。


ごろつきたちがドアを塞ぐのをやめると、客の大半は戦闘から逃げ出していた。数人は事の成り行きを見極めるために隅にバリケードを築いていた。ゴルトゥクが相手の残骸から武器を引き抜くと、彼らは静かに姿を現し、建物から出て行った。


全員がベイツとアバナシーの周りに集まった。ベイツは再び吐いたものの、それ以外は動かなかった。アバナシーは両手で自分の目を覆っていた。


「アバナシー、頭から出血していないか確認する必要がある」レザは彼の隣に膝をつきながら言った。


「ここはすごく眩しいんだ」彼はろれつが回らない声で答えた。


「ほんの一瞬だけ目を見せてくれ。その後は残りを検査している間、また覆っていて構わない」


「分かった。僕たちは負けたのか?」


「いいえ。でも、数日間は負けたような気分になるでしょうね」レザは彼の耳、鼻、口、そして目に血がないか確認した。納得すると、彼はベイツの方へと身を乗り出した。青年の呼吸は荒く、目は閉じられていた。


「クリヴィントン、君の手の中に僕の手首を置くよ」レザは言った通りにした。「僕の言っていることが分かるなら、握り返してくれ」かすかな握り返しがあった。


「ふたりとも意識はある。アバナシーは脳振盪を起こしているかもしれないし、単にひどい頭痛かもしれない。ベイツの方は、痛みと呼吸困難で喋れないのだろうが、腹部への殴打だから内臓出血の可能性も常にある」レザは首を振った。「とにかく、これが僕の推測だ。あいにく、この規模の痛みに効くものを持っている可能性が一番高いのはベイツ自身だ。ルシンダ、彼のザックを探って何か見つける気はあるか?」


彼女は首を振った。「私は錬金術師の助手であって、錬金術師じゃないわ。下手をすれば薬より害になるかもしれない。私が安心して与えられるものなんて、せいぜい軽度の気休め程度よ。リスクを冒す価値はないわ」


「もしあと三十分で改善が見られないなら、地元の人間を探してここへ連れてくるわ」ヘルギが言った。「ひとまずは警戒を怠らないようにしないと。他にも——」


背後でドアが開く音が聞こえ、彼女の声は途切れた。

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