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旅の知識と無礼者――怒れる老馬車主と静かな不屈


「『本書において筆者がついに修正できなかった顕著な脱漏の一つは、ハスター帝国に関する直接の記録が欠けていることである。もっとも、言っておくが、これは努力の不足によるものではない。厳重に閉ざされた国境を持つという同帝国の評判は、伊達ではないのだ。気まぐれな旅行や通過は禁止されており、入国の正当な理由を明確に説明できる者であっても、長期間にわたる審査と申請手続きにさらされ、多くの者が拒否される。本書が同帝国について報じている内容は、訪問したと主張する他者から聞き取った情報のみで構成されている。皇帝は存在せず、代わりに七年の任期をずらして務める七人の最高評議会が統治している。毎年一人の任期が満了し、去り行く評議員の後任として市民によって一人の新メンバーが選出される。すべての市民は十五歳から二十二歳までの間に三 years の市民奉仕を行うことが義務付けられており、そのうちの一年間は軍事訓練に当てられる。すべての成人市民は軍の一員とみなされ、必要に応じて出頭を命じられることがあり、さらに毎年一週間、追加の訓練に赴かねばならない。他の種族に対して不寛容でも敵対的でもないが、ハスター人は自分たちを他のあらゆる人間より優れていると考えている。彼らは他の種族を人間とは完全に異なるものとみなしており、自分たちを松の木と比較しないのと同様、エルフと比較することもない。彼らは第一に帝国へ、第二に家族へ、そして神がいるならば第三にその神へ尽くすことが義務であると教えられているが、神を信仰することは控えめに禁じられているとの示唆もある。市民は自身の強みを試し、絶えず向上することが推奨されており、そのためゲームやスポーツは高く評価され、頻繁に行われている。地域間の対立が帝国への忠誠心を低下させるのを防ぐため、ゲームやスポーツのチームが特定の都市や地域を代表することはない。帝国は攻撃的で権威主義的かつ軍事主義的な国家であると主張する者もいるが、実のところ過去一世紀間に帝国が戦った唯一の戦争は、ヴェスプッチアによる失敗に終わった侵略の試みを撃退したことだけである。ハスター帝国について知るべきことは確実にまだ存在するが、遺憾ながら読者がそれを本書のページに見出すことはない』 ――『タイコロスの年代記』より


クラリッサは、ヘルギに指示された通りの場所で彼らを待っていた。宿屋から道沿いに百メートルほど進んだ場所で、薄い青色のマントを羽織っていた。天候は暖かかったが、鬱蒼と茂る木の葉の屋根が朝の光を遮り、少し肌寒さを感じさせた。馬たちがゆっくりと小道を歩を進めてくると、彼女は近づいてきた。


「で、この子が例の少女か」レザは鞍の上で身を乗り出し、鋭い視線を彼女に向けた。


「私です、旦那様」とクラリッサは言った。


「当面は『麦の王国』を進むことになる。大きな都市はあまりないし、俺たちのルート上には一つもないぞ」彼は彼女に告げた。


「そのほとんどが、きっとここよりは大きいと思います。何にせよ、私の置かれていた状況よりはましです」


「俺はレザだ。見知らぬ奴にはかなり警戒するタチだが、アバナシーが仕切っていて、お前を連れて行っていいと言っている。俺たちのグループに注目を集めず、問題を起こさず、アバナシーの指示に従う限り、お前と俺はうまくやっていけるはずだ」


「クラリッサです。こんな場所から連れ出してくださいして、皆さんに心から感謝しています。皆さんの遠征を危険に晒すようなことは絶対にしないと誓います」彼女は彼を見上げて言った。レザは頷いた。


「クリヴィントンが自分の馬に同乗させてくれると言ってくれたの。彼は……冗談を言うわ」とヘルギが言った。「知っておいた方がいいと思って」


「ありがとうございます。それで、冗談を言うクリヴィントン様というのはどなたですか?」


ベイツが彼女に向かって手を振った。「ねえ、ドラゴンは好き?」


「ドラゴンですか? ええ、好きだと思いますが」と彼女は言った。


「良かった、だって僕はこれから――」


「黙るんだ! お前は口を閉ざして、お嬢さんが馬に乗るのを手伝うんだよ!」レザが大声で一喝した。クラリッサは混乱した様子で黙り込んだ。


「分かったよ」彼は馬から飛び降りた。「さあ、上るのを手伝うから、出発しよう」クラリッサの乗馬動作は、クリヴィントンのやや不器用な補助よりも軽やかだったが、彼女が鞍に収まるには十分だった。彼は彼女の前に身を引き上げ、アバナシーに向かって手振りをした。


彼らは森林の小道を進み始めた。正午までには開けた場所に出る予定であり、夕方遅くには、サファイア・シティが城壁の外側に主張する半径二十五マイルの限界線に到達するはずだった。市はこの領土に対して最小限の統制しか行っていなかったが、軍事侵攻を試みる者がいた場合に備えて緩衝地帯を必要としていたのだ。いくつかの道路や小道、わずかな前哨基地、いくつかの検問所、そして稀な巡回が存在したものの、ほとんどの開発やリソースは城壁内、あるいはそのすぐ外側の一、二マイルに集中していた。


出発してから約一時間後、彼らは反対方向から歩いてくる家族とすれ違った。男一人、大人の女性二人、十代後半のたくましい少年、そして六歳を超えないくらいの男の子だった。彼らはうつむいて無言ですれ違ったが、幼い男の子だけは、ゴルトゥクの姿を見るまで一人ひとりに手を振っていた。男の子の口が開いたり閉じたりし、再び開くと、突然両手を振りながら「わーっ!」と大きな歓声を上げた。女性の一人が駆け寄って彼を抱き上げ、もう片方の手を彼の口へと伸ばしたが、ゴルトゥクは棍棒を取り出し、幼い男の子に敬礼を送った。再び歓声が上がり――というよりは歓声の一部が上がり、残りは彼らを連れ去る女性の手に押し潰され、家族は急速に足早に去っていった。


木々が疎らになり始めた頃、彼らは前方に乗馬した一団がいることに気づいた。葉に遮られなくなった正午の太陽が、誰かの鎧に反射していた。ゴルトゥクは列の先頭にいるレザの隣に馬を寄せた。両グループが近づくにつれ、互いに歩調を緩めた。シンプルな茶色のローブを着た柄の大きい男が他のグループの先頭を走っており、レザはそれに合わせてペースを上げた。彼らは十五ヤードほど離れた場所で停止した。


「ごきげんよう、旅人さん」と柄の大きい男が言った。頭が薄くなりかけた色白の人間で、四十代半ばといったところだった。彼のグループには他に六人おり、同じ紋章が描かれた盾を持つ鎧を着た男三人、顔にベールをかけた豪華な青いローブの女性、そして同じ茶色のローブを着た十五歳ほどの少年だった。


「ごきげんよう」とレザは言い、鎧からの眩しさで視界が妨げられないよう顔を背けた。


「お持ちの気品ある鳥にお祝いを言わせてください」男はヌールを感心したように見つめながら言った。


「ありがとう。あまり大声で言わない方がいい、図に乗ってしまうからね」レザはニヤリと笑って言った。


男は礼儀正しく笑うと、尋ねた。「森の中の状況はいかがですか? 私たちはこの道を通ったことがないのです」


「道はよく整備されている。奥へ進むほど樹冠が日差しを遮るから、時折突き出ている根や落ちた枝に注意する必要があるな」


「それと宿屋は? 安全ですか?」


「部屋に引きこもっている分には十分安全だ。バーの近くで夜遅くまで起きていると、お好み以上に刺激的かもしれないがね。名前をつける気すらない街道沿いの宿屋に期待する通りの場所さ」


「まあ……それなら問題なさそうですね。こちらが目撃した情報でお返しできればよかったのですが。私たちは保護領に近づきすぎて視線を感じたため、大急ぎで進路を修正したのです。それ以外は、ちらほらと旅人とすれ違ったくらいで、特に何事もありませんでした」


「そういう知らせこそ俺の好みだ」とレザは言った。「便りがないのは良い知らせ、だな」


「まさにその通りです! では、私たちはそろそろ失礼します。情報ありがとうございました、友人殿」


「どういたしまして」とレザは丁寧に頷いた。「良い旅を」


「あなた方にも」小太りの男は振り返って仲間に頷き、彼らは通常の速度に戻った。レザの一団もそれに倣った。街道を進みながら、レザは時折後ろを振り返ったが、もう一団はペースを維持したまま、すぐに森の中へと飲み込まれていった。


「あの青いローブの女性、すごく謎めいていましたね」とクラリッサが言った。


「魔法使いだな」とベイツが言った。「彼女のローブにいくつかの符節が刺繍されているのが見えた。ベールをかけていた理由は分からないが――単なるお洒落か、変装かもしれないな」


「魔法について詳しいの?」


「だから僕がここにいるんだよ。魔法についてそれほど無知ではない人間の中で、急な呼び出しに一番都合がつくのが僕だったのさ」彼はニヤリと笑って言った。


彼女は答えなかった。「つまり、僕が熱中してやっていたことが別にあったわけじゃなくて、魔法の知識をかじっていたから一団に誘われたってこと。でも実際は、魔法使いというより錬金術師寄りなんだけどね。それでも、いくつか覚えていることはあるよ。願わくば、だけど」


「それなら、あなたの記憶が試されるような事態にならないことを祈るべきですね」と彼女は言った。「あ、ごめんなさい、言い方が良くなかったわ」


「いや、君の言う通りだよ。僕がその奥義を思い出そうと苦戦しない方が、関係者全員にとって好ましい。オウガをカエルに変えようとして、間違えて君をカエルに変えてしまったら、どれだけ格好悪いか!」


静まり返るばかりで返事がないため、ヘルギは鞍の上で振り返り、顔色を少し悪くしているクラリッサを見た。「言ったでしょう、彼は冗談を言うのよ」と彼女は少女に声をかけた。クラリッサは返答として引きつった笑みを浮かべた。


さらに数時間が経過し、レザはアバナシーの横に馬を寄せた。「馬と僕たち自身を少し休ませた方がよさそうだ」と彼は提案した。


「いい考えだ」とアバナシーは答えた。彼は馬を小道から外れさせ、他のメンバーに付いてくるよう身振りで示した。「短い休憩にしよう!」と大声で呼びかけると、皆が馬から降りてそれぞれの用を足し始めた。レザはヌールを解き放って狩りをさせた。アバナシーは目でその鳥を追おうとしたが、すぐに視界から消え去った。


少しして、レザは地図を取り出し、ゴルトゥクを呼び寄せた。「さっき交渉したあの一団だが、彼らがどのルートを進んでいたのかは分からないが、保護領に近づきすぎたと言っていた。ルートを再確認して、僕たちが正しい道を進んでいるか確かめたいんだ」


「良い考えだ」とゴルトゥクは言った。「だが保護領は交易や小規模な一団には開かれている。渡航許可証が必要なのは十人以上の部隊だけだ」


「とはいえ、エルフという生き物はあまり人を歓迎する性質じゃないし、近寄りすぎるのは避けたい。僕たちには『麦の王国』を通過する日々がまだ何日もあるから、そこでは問題なく進めるはずだ」


「ああ、新鮮な食べ物と田舎者たちの退屈な物語に溢れた日々か。僕は実はかなりワクワクしているんだ」とベイツが言った。


レザは彼に視線を向けた。「田舎者? 君はこれまでに『麦の王国』の人間と会ったことがあるのか?」


「ああ、もちろんだよ、全員が田舎者じゃないことくらい分かっている。大雑把な括りとして言っただけさ」


「当ててやろうか」とレザは畳みかけた。「君は『麦の王国』の人間と一度も会ったことがないか、会ったとしても全員が商人だったはずだ」


「まあ、実際のところ……言わせてくれ――そうだね、君の言う通りだ。商人一人。もしかしたら……二人かもしれない。ほんの短時間だけどね」


「彼らが商人だからこそ、抜け目なくならざるを得ないんだ。ただの田舎者に過ぎない商人は、あっという間に破産してしまうからね」


「当たり前だね」


「当たり前か」とレザは皮肉を込めた声で繰り返した。「『麦の王国』で物事がどう動いているか、教えてやろう。まず、君が会った商人という人々――彼らは極めて専門化された人間だ。作物を育てることはしない。子供の頃に畑で少し雑用をしたかもしれないが、七歳か八歳までには適性を見出され、高度に仕立てられた教育プログラムへと移される。その後は、農家と作物を売る契約を結ぶ時以外、農場に足を踏み入れないかもしれない。王国は、農家から徴収できる手数料の割合を規定しているから、彼らの仕事は買い手から可能な限り高い価格を引き出し、十分な生計を立てることなんだ」


「それは知らなかったな」とベイツは言った。「絶対に全員が田舎者というわけじゃないんだね」


「ふん、だがそれは始まりに過ぎない」とレザは言った。ヘルギは静かにため息をつき、手背を無意識にかきむしった。「商人の中にも優秀な者とそうでない者がいる。作物に対して最高の価格を引き出せると証明された商人は引っ張りだこだ。農家であれば、法律上、商人に規定以上の手数料やボーナスを提示することはできないから、自分を差別化する唯一の方法は――法的な意味でだが――より高品質な作物を持つことだ。だから農家の仕事は、既存の作物の品質を極限まで高めるか、自分しか提供できない新しい品種を育種することになる。それにはかなりの知識が必要だ――そう、それも専門知識だが、単なる田舎者の手に負えるものではない。そして勿論、そこにはある種の芸術性も含まれている」


「田舎者じゃないんだね。理解したよ」とベイツは何度も頷きながら言った。


「さて、次は物流の話だ」とレザは続けた。ルシンダの尻尾が彼女の左耳を軽く叩き、彼女は何か面白い見ものがないかとあたりを見回した。


「君が商人だとして、何人もの異なる農家と契約を結んでいるとしよう。作物はすべて回収され、一箇所に集められなければならない。そうして同時に積み込み、売りに行くためだ。だが作物が放置される日数が増えるごとに、日に日に傷んでいく。さて、君は抜け目ない交渉術の訓練を受けてきた。売る予定のすべての地域で、売るすべての作物の過去十年の価格履歴を叩き込んである。競合が同等の作物をいくらで売っているかという情報を得る方法も知っている。だが、物資を移動させることは君の訓練には含まれていない。そのために、物流に特化した教育を受けた人間がいる。それは言葉通り、複雑な仕事なんだ」


「年に数回、価格交渉をする人間を派遣して、後から別の人間が商品を届けるようにした方が合理的じゃないか?」とクリヴィントンが尋ねた。ゴルトゥクは、自分の牧草地に近づいてくる見知らぬ者たちを見つめる雄牛のような声を漏らした。


「いや、いい質問だ」とレザは言った。「いいぞ、彼は学んでいる。知性のある質問だ。例えば、君がサファイア・シティに乗り込んで、今日から三ヶ月後に二百ブッシェル小麦を納品する価格を決定したとしよう。あいにく『麦の王国』を病害が襲い、商人が結んだすべての契約を満たすだけの小麦が得られなくなった。これは一部の顧客が小麦を手に入れられなくなることを意味する。最初の問題は、『麦の王国』が契約違反を極度に嫌うことだ。その理由の一つが第二の問題で、顧客が小麦を手に入れるために他の誰かと交渉し始めてしまうからだ。そして、もし病害が『麦の王国』だけに留まらず、地域全体に広がったらどうなる? 小麦の供給は減り、需要は増えるため、価格は急騰する。だが君は三ヶ月前にすでに価格を固定してしまったから、今さら値上げすることはできない。長くなったが、これが君の質問への答えだ。短く言うとどうなるか分かるか?」


「彼らは田舎者ではない?」


「彼らは田舎者ではない。その通りだ。確かに彼らのやり方は素朴だし、農業と物流を除けば学問の大中心地であったこともなく、芸術や軍事力で知られているわけでもない。少しぶきっちょで、体格が大きく、ぽっちゃりしている。だが彼らは馬鹿ではないんだ。彼らの王国全体が巨大な企業であり、一人ひとりに果たすべき役割がある。勿論、底辺には本物のスキルや適性を欠いた人間もいる。どこの王国でも、誰かが便所を掃除しなければならないからね。だが、俺たちが関わるのが田舎者の集団だというその考えは捨てろ」とレザは少し苛立った様子で言った。


「十分に勉強になりました」とクリヴィントンは、この会話に切望していた終止符が打たれることを願いながら、誇らしげなトーンで言った。


「実のところ」とヘルギが言った。「彼らに軍事能力がないというあなたの意見には異論があるわ。彼らの武装力が最小限の訓練しか受けておらず、装備に乏しく、比較的少数であることは事実よ。でも、なぜだか分かって?」


「本当のところ、分からないな」とレザは言った。


「よし! これは素晴らしい話だぞ! 話してやれ、ヘルギ」とゴルトゥクが大声で言った。


「百……二十年ほど前、主にオウガとオーク、数体のトロール、そして極めて恐ろしいヒル・ジャイアントで構成された略奪団がいたの。彼らは田舎で略奪を働き、主に防備の甘い小さな町を荒らしていたわ。彼らは大した略奪品が得られないことに気づき、自分たちに加わるよう人間の傭兵会社を雇ったの。その連中の大半は海賊やならず者で、報酬さえ良ければ何でもする奴らだったわ。その大軍勢を得て、彼らはより価値のある獲物を奪い始めたの。『麦の王国』の領内に偶然侵入した彼らは、人口の多い大きな集落へと向かう途中で、いくつかの小さな町を襲ったわ。当時の国王は……ええと……」


「キズニッチとかいう名前だ」とゴルトゥクが言った。


「そう、そうよ。確か……ルスラン・キズニッチだったと思うわ。とにかく、彼は『麦の王国』と交易を行っていた近隣のあらゆる国の指導者たちへ、一番足の速い使者を派遣したの。彼は襲撃について知らせ、『今後二週間の食料配送は保証するが、それ以降は、あまりにも多くの農民がこれらの略奪者から身を守る民兵として召集されているため、配送が遅れるか、完全にキャンセルされる可能性がある』と伝えたのよ」


「麦の王国は契約を破るのを嫌うと言っていなかったか?」とクリヴィントンはレザに訊ねた。


「そして彼の言った通りだったわ」とヘルギは言った。「彼らには契約を破るつもりなんて毛頭なかったのよ。二週間もしないうちに、七つの異なる国からの軍隊がその地域に押し寄せ、略奪者を一人残らず虐殺したわ。ヘフ公国の長弓兵がヒル・ジャイアントの眼の窩(あな)を射抜き、脳みそまで矢を貫通させたの。彼はその切断された首をルスラン王に贈り物として差し出したわ。そして、到着した時と同じくらい素早く、それらの軍隊は一軍残らず自分たちの国へと戻っていったのよ。ルスラン王が賢明にも理解していた通り、自分の食料供給を妨害されたい者なんて誰もいなかったの。翌年、彼は自分の王国の貿易に最も強く依存していたいくつかの国と、正式な保護協定を結んだのよ」


「そんな話は聞いたことがなかったな」とレザは言った。「天才的だ」


「僕が続きを話してもいいか?」ゴルトゥクがヘルギに尋ねた。


「え?」と彼女は言った。「ああ、ええ、私は話し終わったわ」


ミノタウロスはニヤリと笑った。「『麦の王国』は、防衛を誓った国々の敵にさえ食料を供給しているんだ。それらの国の一つの特使が、当時王座にいたキズニッチ(誰だったかは忘れたが)にその問題を提起した時、国王はこう答えたのさ。『お前たちの敵が、丸々と太って満足しているのと、飢えて必死になっているのと、どちらがいいかね?』とな。それ以来、その問題が再び持ち上がることはなかったのさ」


「あの諺の由来はそこから来ているの?」ルシンダが尋ねた。


「そうだよ」とゴルトゥクは答えた。


「分かったよ」とクリヴィントンが言った。「僕が無知だったことを潔く認めるよ。最初は少し退屈で理屈っぽい会話だと思ったけれど、実際にはとてもためになった。皆と旅に出て新しいことを学びたいと思っていたから、この講義はまさにうってつけだったよ」


「僕が冒険の旅を懐かしく思う数少ないことの一つだね」とアバナシーが言った。「本当に多くのことを学べるから」


彼らはもう少しの間休憩を楽しんだ後、旅を再開した。すでに、前方の地平線には作物が広がっているのが見えていた。


「こちらの食べ物は、本当に噂通り美味しいのかしら?」とルシンダが誰にともなく声を張り上げた。


「生の食材はね」とアバナシーが答えた。「彼らの料理は調理された品として凝ったものは少ないけれど、作物がとても新鮮で風味が豊かなので、わざわざ別の料理に加工する必要がないんだ」


遠くに、自分たちと同じ方向に向かって進む馬車が見えた。すぐに追いついたが、その理由は明白だった。馬が老いて骨と皮ばかりだったからだ。荷車には破れた服やその他の布切れが山積みになっていた。荷車の上に座っている男は、馬が若く見えるほど年老いて見え、風雪に晒された肌、曲がった背中、荷車の中のものよりわずかにマシな程度の服、手入れのされていない長い白髭、そして不機嫌そうな表情を浮かべていた。彼らが近づくと、ムチのしなる音に続いて罵詈雑言の嵐が聞こえてきた。


彼らのほとんどは一瞥もしぐさに通り過ぎたが、ヘルギは馬の足を緩めて彼を見やった。やがて老人は彼女を睨み返した。


「なんぞ用でもあんのけ?」


「老いの惨状を眺めていただけよ。人道的な処置としては、安楽死させてあげることね」


「へっ、こいつは湿った屁ほどの価値もねえが、俺自身がこのクソ重い馬車を引っ張るわけにはいかねえからな」


「馬のことじゃないわよ、このくそじじい」レザは馬のペースをわずかに落とした後、促して先へ進ませた。アバナシーはすぐにこの会話がろくでもない終わり方をするのを察し、馬を完全に反転させた。


「自分が街の金持ち女だからって、俺より偉いとでも思ってんのか? 俺はお前なんか怖くもなんともねえぞ」


「それは、あなたが死という甘美な解放を歓迎するだろうと私が思っているからよ」と彼女は冷酷に言った。


「おい待てよ、さっき喋った時は気づかなかったが……お前、街の女なんかじゃねえな。あの『馬とヤる連中』のひとりじゃねえか、ああん?」それはヘルギの民族に対するよくある差別的な侮蔑語だった。アバナシーは馬をギャロップさせ、素早く彼女の隣に並んだ。


「私のことを『馬とヤる奴』と思ってくれて構わないわ」彼女はきわめて落ち着いた、冰のように冷たいトーンで言った。「私がこの腕をお前の『ケツの穴』に突っ込んだら、まるで馬に犯されてる気分になるでしょうからね」


男はアバナシーを見た。「あんたは、この女の顔から馬の精液を拭い取りに来たのか?」


「いいえ、僕は彼女があなたを傷つけるのを止めに来たんです。あなたが口を開くたびに、その可能性が急速に高まっていますからね。だから、おとなしくしていると約束してくれるなら――あるいは約束しなくてもいいから、ただ黙っていてくれるなら――僕たちは急いでいてこんなことに付き合っている時間はないのだと、彼女を全力で説得しますよ」


「時間を作ってでもやらなきゃいけないことだってあるわ」とヘルギは言い、視線を老人に固定したまま離さなかった。


「でも本当に目的地へ急ぐ必要があるし、新しい王国に入った途端に高齢者を処刑し始めるわけにはいかないだろう」と彼は気長に諭した。


他のメンバーはすでにかなり先へと進んでいた。


「戻って助けるべきでしょうか?」とベイツが尋ねた。


「アバナシーが彼女を宥められないなら、君にどんなチャンスがあるっていうんだ?」とレザが尋ねた。


「みんなから遅れているよ」とアバナシーは優しく言い、一行の残りを指さした。


ヘルギは振り返り、彼をじっと見つめた。「分かったわ」と彼女は言った。そして老人に視線を戻した。「よくお聞き。私はムチの音をとてもよく知っているの。どれだけ道を進んでいようと、その音が聞こえたら、すぐに馬をギャロップさせて戻ってきて、お前にそのムチを食わせてやると約束するわ。アバナシー、私が冗談を言っているわけじゃないって彼に説明してあげて」


「彼女は冗談があまり好きではありませんし、この件に関しては恐ろしいほど本気です。僕はトラブルを避けたいので、彼女を刺激しないことを強くお勧めしますよ。もし刺激してしまえば、彼女がその約束を実行するのを止めるために僕が言える言葉など何一つないと保証します。そして彼女は文字通り、まるで食べ物であるかのようにあなたにムチを飲み込ませるつもりです」


ボロ布売りの老人は土の上に唾を吐き捨てることで返事としたが、ヘリギとアバナシーがいる側の車体には吐かなかった。それ以上、彼は何も言わなかった。


「これで解決ですね」とアバナシーは言った。「仲間に追いつきましょう」


ヘルギは何も語らず馬の速度を上げ、アバナシーがそれに続いた。彼らが一行に合流しても、誰も口を開かなかった。それからの二十分間、彼らは沈黙のまま進んだ。アバナシーは、ムチがしなる音に微かにでも似た音が聞こえてこないことを心から祈っていた。










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