暴漢退散と旧友の面影――森の宿屋に沈む不穏な夜
「『数の都市』――筆者が訪れたあらゆる目的地の中で、これほど適切な異名を与えられた場所はない。クロケット・ペン・ガワンは生まれつき数字に強く、若き日はダーストルの主要な金貸しの元で帳簿の記入や貸借対照表の作成を手伝って過ごした。多くの顧客が事業資金を借り入れたものの失敗に終わり、債務を返済できず不快な結末に直面していた。クロケットは妄想の中で、大規模なグループの全員が事業のリスクを分担し、失敗しても誰一人として破滅せずに済む仕組みを思い描いた。勿論、リスクを引き受ける見返りとして手数料を徴収するのだ。有能な人間が各事業のリスクを査定し、リスクの度合いに応じた前払金を借入人から確保しなければならない。クロケットは雇い主から資金を借り入れ、まさにそのような事業を立ち上げた。資金を借りる者に対し、手数料と引き換えに、事業が失敗した場合でも個人の集合体がローンを返済することを保障したのである。わずか十八ヶ月で、彼は十人の従業員を抱える好調なビジネスを作り上げた。次いで彼は、株式を売却するという概念を商業へと拡大した。腕利きの商人は、自分の事業のシェア(株式)を買いたい人々から事前に資金を集め、旅や取引が完了した際には、購入されたシェアごとに利益の一部を配当として受け取ることができる。ダーストルの街は株式の利益に極めて微小な税金を課し、五年でかなりの富を得た。その頃にはクロケット自身がダーストルの労働者の半数以上を雇用するようになっており、町はその感謝の意を表して正式名称をペン・ガワンに変更した。一箇所に多額の資金とリスクを冒す人々が集まったことで、クロケットはペン・ガワンに幾つかの娯楽賭博施設を開設した。富裕層向けのものもあれば、控えめな資力を持つ人々向けのものもあった。彼の店舗の一つである『イーブン・オッズ』は、毎年の渡り鳥が街の上空を通過する正確な時刻から、公爵の次の子供の性別(妻が妊娠しているかどうかに関わらず)に至るまで、文字通りあらゆるものに賭けを受け付けるブックメーカーであった。街は賭博の利益に微小な税金を課し、さらに富裕になった。最終的にクロケットは、人々に賭けの対象をさらに提供することで賭博からより多くの金を得られることに気づき、一騎打ち、戦車レース、剣闘士の戦い、さらには全裸での組み打ち競技(真の勝者は観客であるとよく言われた)のための競技場を建設した。人々はショーを求めてペン・ガワンに押し寄せ、クロケットはあらゆるタイプの客を収容するために流行の宿屋や簡素なホステルを建設した。ペン・ガワン市はクロケットが最初の事業を立ち上げてからわずか二十年で自治権を与えられて都市国家となり、彼が直接統治することはなかったものの、ペン・ガワンでは彼の承認なしに何事も起こらなかった。ペン・ガワンは数字の上に築かれた都市であった。今日では、特定の格闘試合のオッズを知るために賭博場に行く必要はない。花を売る少女や靴磨きに声をかければ十分だ。彼らはきっと同じくらいよく知っているのだから」
――『タイコろす年代記』より
実際のところ、部屋は彼らが想像していたほど壊滅的な状態ではなかった。調度品は乏しくベッドは少しボコボコしていたが、清潔で害虫や虫の気配はなかった。乗馬によるアバナシーの様々な痛みに反して、二人は短く控えめな行為を交わし、二人ともしばらく昼寝ができるほどリラックスした気分になれた。
二人は夕食のためにグループの残りのメンバーと落ち合った。食堂のエリアのテーブルのほとんどは埋まっており、宿主もその妻も客の要望に応えようと忙しく動き回っていた。ゴルタックはアバナシーに隣に座るよう手振りで促した。
「少しは休めたかい?」と彼はミノタウロスに尋ねた。
「ああ。言った通り、もっと酷い場所で寝たこともあるからね。大きな課題だったのは、彼らの……」彼は言葉を詰まらせた。「まあ、夕食の席での会話にふさわしい話題じゃないな。ここでは大半のものが体の大きい者の快適さのために作られていない、とだけ言っておこう」
アバナシーは身を乗り出して囁いた。「夕食はどうするつもりなんだ?」
「何か好きな食べ物を教えてくれればそれを注文するよ。届いたら君にあげて、それから荷物の中の干し肉を食べれば、宿屋の夫婦の気分を害さずに済む」
「うずらの丸焼きがあるらしい。それなら食べたいな」
ゴルタックは頷いた。
「ヌールはどこ?」ヘルギはレザを見ながら尋ねた。
「部屋で休んでいるわ。彼女は人混みや騒音にも対処できるけれど、ここに連れてくる理由は特にないでしょう。リラックスできる安全な場所があるのだから、休ませてあげる方がいいわ。それに、もし私の部屋にネズミの問題があるなら、寝る頃には解消されているでしょうね」
アバナシーは宿主夫婦に盗み聞きされないよう、名前は出さずに低い声でクラリッサの件を持ち出した。全体的な意見としては、当面彼女が同行することに誰も反対しなかったが、レザはその考えに完全に気乗りしているわけではなかった。
「考えてみれば、私たちが全員揃って一緒に食事をするのはこれが初めてね」とルシンダが言った。
「道中になれば、嫌というほどそうすることになるさ」とレザは言った。「もっとも、探しているものが早く見つかるといいのだが」
「それでも」とルシンダは言った。「楽しいことをして、この機会を記念すべきだと思うわ」
「夕食を注文するのは楽しそうだね」とベイツが言い、宿主の妻が自分たちのテーブルに向かってくるのに気づいた。その注文が片付くと、ルシンダは再び自分の提案を取り上げた。
「真面目な話よ。楽しいアクティビティで、大胆な冒険と素晴らしい仲間の始まりを祝おうじゃないの」
「ルシンダ、何か考えがあるのか?」とアバナシーが尋ねた。
「よく分からないけれど。一人ずつ冗談を言うのはどうかしら?」と彼女は明るい表情で言った。
「ルシル神の女司祭を妊娠させるにはどうすればいい?」とベイツが尋ねた。一瞬の沈黙があった。
「神父の格好をするの?」とルシンダが言った。
「酒を飲ませて酔わせる?」とゴルタックが言った。
「彼女の女神があなたの前に現れ、聖なる子を授けるよう命じたと伝えるのかしら?」とレザが言った。
再び短い沈黙の後、ベイツは首を振った。「違うな。ただ彼女とヤるんだよ」
ヘルギは呆れて目を丸くした。ルシンダは笑いと喉の詰まりの中間のような声を漏らした。ゴルタックは一瞬完全に黙り込んだ後、突然お腹から響くような大声で笑い出し、他のテーブルの人々を振り向かせた。彼らはどっちにしろ数分おきに忍びやかに彼らを凝視していたのだが。
ようやく笑い終えると、彼は彼らを見て言った。「それで、しゃべるゼラチンコンテナがバーに入ってきてエールを注文したんだ。するとマスターが『二十銀貨になります』と言ったのさ」
「ジョークはやめた方がいいかもしれないわね」とヘルギは言った。
「そうだな」とレザも同意した。
「くだらん!」とベイツは言ってゴルタックの方を向いた。「ぜひ続けてくれ」
幽黙の質は低下し続けた。迫り来る頭痛を防ぐため、ヘルギは呆れて目を丸くするのをやめ、代わりに指の関節をぽきぽきと鳴らすことにした。彼女の番になると、馬に特化しすぎて他の誰にも全く理解できない冗談を言ったが、それこそが彼女の狙いだった。
「これでジョークは終わりよ」と彼女はきっぱりと言った。
「ほら、なかなか……まあ、少しは楽しめたじゃない」とルシンダは気丈に言った。
「何杯か飲んだ後にまたやればいいさ。一番面白いジョークはいつだってそういう時に出るものだからね」とベイツが言った。ヘルギはアバナシーに視線を送った。
「さて、明日の計画についてもう少し話し合った方がいいかもしれないな」と彼は言った。「急いで出発したし、みんなの尽力のおかげでギリギリで素晴らしい情報を得ることができた。全員が同じ場所に集まっているうちに戦略を練ろう」
会話は翌日の詳細へと移り、やがて追加の飲み物と共に料理が運ばれてきた。テーブル席はすべて埋まり、バーカウンターに二つの空席が残るのみとなっていた。一つのテーブルでは、かなり真剣な様子でカードゲームが行われていた。アバナシーが参加者たちの身体言語を素早く観察した限りでは、互いに見知らぬ同士である可能性が高かった。あみ込みにされた血のような赤髪を持ち、左目に眼帯をしたエルフの女性が、目の前に最も多くのコインを積み上げていた。
分厚いプレートメイルの鎧を着た男が、千鳥足でアバナシーたちのテーブルへとやってきた。息だけでなく汗からもしこたま酒の匂いが漂っていた。傭兵のような装備を身につけており、レザの手が突然テーブルの下に落ちた様子から、彼がこの見知らぬ男をまともな脅威とみなしているのは明白だった。
「あんた、大した巨漢の糞野郎だな?」男はゴルタックの背後に立ち、そう言った。ゴルタックは干し肉を大きく一口かじった。「ミノタウロスとは何回か戦ったことがあるが、あんたほどでかい奴はいなかったな。いい腕をしてるんだろうな」
「俺たちは戦いに来たんじゃない、友人よ。粗末な食事とまずまずの酒を楽しみに来ただけだ」レザは冷ややかなトーンで言った。
「俺だって戦うために来たわけじゃないさ」男は短いボサボサの髭を無造作にかきながら言った。「だが、どういうわけか向こうから俺を見つけてくるんだよ」
アバナシーが口を開かけようとしたが、ゴルタックははるかに大きな声でそれを遮った。「悪いが、今夜はそういうのに付き合っている時間はないんだ」
「付き合う時間だと? 何に付き合う時間がないってんだ、牛男?」
「俺に武器をとらせようとするお前の挑発にさ」ゴルタックは酒を大きく煽って言った。「お前は自分の位置が俺の背後だから優位に立っていると思っていて、俺のような巨体が自分より素早く動けるはずがないと信じ込んでいる。だが、俺がそのまま後ろに倒れ込むだけで、俺の体重でお前もろとも床に押し潰され、俺の角でお前の体にいくつか穴が空くことになる。お前が血を流して死んでいく間、地元の治安判事たちがやってきて、お前が仕掛けたという目撃者がいるにもかかわらず、俺がミノタウロスだという理由で俺を逮捕しようとする。こんなちっぽけな糞溜めのような村じゃ、警備兵の腕も知れているから、俺は彼らをひどく傷つけることなく最初の十秒で二人ほど叩きのめす。彼らの隊長は、俺が朝一番に街を出て行く限り逮捕しないと突然決め、俺も最初からそのつもりだから同意する。彼らが去った後、俺はお前のポケットを漁り、それからお前の死体を豚に投げ与えるのさ」彼は大酒杯をテーブルに音を立てて置いた。「普段なら大いに楽しめるんだが、見ての通り、今夜は仲間と重大な話をしている最中でね。お前の分厚い頭蓋骨に穴を穿つ時間はないんだ。だから、バーに行って宿主に自分がいかに俺を言い負かしたかを語るか、そのまま俺の後ろに立ち続けて豚の餌になるか、好きな方を選べ。五秒経ってもまだそこに立っているなら、お前がどちらの決断を下したか俺にも分かる」
ベイツを除いて、誰の手ももはやテーブルの上には出ていなかった。酔っ払いはそれを察知し、ゴルタックの体格を改めて見定め、鼻を鳴らした。
「いい勝負になったはずなんだがな」男はそう言うと、バーの方へと千鳥足で去っていった。ゴルタックは再び酒を飲み始めた。
「なんて嫌な奴!」ルシンダが言った。「そういうことって、よくあるの?」
「どういう結末になるか説明できるくらいには、よくあることさ」ゴルタックは答えた。驚いたり苛立ったりしている様子があるとしても、それを表には出さなかった。このやり取りの間、彼は食べ物や飲み物から目を逸らすことすらしていなかった。
「うわあ」とベイツが言った。「それ……めちゃくちゃ強烈だったね」
「暇で退屈なら、付き合ってやることもあるんだがな」とゴルタックは言った。「だが、おじいさんから百回も聞かされた昔話みたいなものさ。全部聞いたことがある話で、どう終わるかも最初から分かっている」
「一度も出し抜かれたことはないの?」
「背後から一撃喰らわせたり、かすり傷を負わせたりできるくらい素早い奴は、過去に何人かいたよ。だが結局は、二人して床に転がり、俺の絶大な体重が鍛冶屋のふいごに金床を落としたみたいに相手の肺から息を吐き出させて終わるのさ。皮肉なことに、俺に一番ダメージを与えたのは正面から挑んできた奴らだよ」
ベイツは感銘を受けて首を振った。「あんたが俺たちの味方で本当によかったよ」
「俺はアバナシーが探しているものを見つけるのを見届けるためにここにいる。お前たちも同じなら、俺たちは味方同士だ」
「正直に言うとね」とレザが言った。「あなたがあの男をひき肉にしてくれるんじゃないかと、ほんの少し期待していたのだけれど」
ミノタウロスは低く笑った。「後ろじゃなくて横に倒れて、お前に処理させようかと一瞬考えたんだがな。お前がすばやいのは分かっている」
レザは肩をすくめた。「私に剣を教えてくれた女性のモットーが『先手を取れ』だったから、そういう訓練を受けたのよ。結果的に良い助言になったわ」
「たとえ私たちが勝利するとしても、あなたたちの誰かが――つまり、私たちの中の誰かが怪我をするような状況は避けたいものだな」とアバナシーが言った。「誰かを危険に晒すのは私の本意ではない」
「『家を出ることは危険に直面することであり、家の中に留まることは屋根の運命を共にすることである』。私の祖母がよくそう言っていたわ」レザが答えた。「祖母はひどい屋根の家に住んでいたんだと思うけれど、格言としては今でも通用するわね」
「賢い女性だな。それでも、リスクは最小限に抑えるよう努めよう、いいかい?」
突然、別のテーブルで騒動が起きた。カードゲームのテーブルだった。エルフの女性が立ち上がり、勝ち金を回収しようとしたところ、革鎧を着た褐色の肌の男がカードを落とし、彼女の手首を掴んだ。男が「誰も……」と言いかけた瞬間、彼女は手首をひねってグリップを逆転させ、ごく自然な動作で男の指を一本へし折った。その後はただ絶叫が響き渡るばかりだった。彼女は他のプレイヤーたちを一人ずつ見回したが、彼らはまるで慈悲深い神がそこに存在の意義でも書き記したかのように、自分のカードをじっと見つめていた。彼女はコインを拾い集め終わるとそのまま立ち去り、それと行き違いに宿屋の妻が氷の破片をいくつか手ぬぐいに包んでやってきた。
「代金はいらないよ」と彼女は言った。「バーの奥で気休め程度の痛み止めポーションも売ってるからね」男の尊厳が追いつき始めたのか、彼の絶叫は深くて荒い息遣いへと変わっていった。
「テイナのおっぱいにかけて! カードで遊ぶのすら危険なんだな」ベイツが言った。
「教訓はそこじゃないわよ、坊や。教訓は『人に触れるのは危険だ』ということよ」とレザが言った。
「パーソナルスペースを侵されると、純粋な反射神経で反応してしまう人がいるんだ。特に過去にトラウマを抱えている場合はね」アバナシーが付け加えた。
「屋根の運命と共にする方が、だんだん魅力的に思えてきたよ」とベイツが言った。
「夜中に姿を消す計画でも立てているのかしら?」レザは彼をじっと見つめながら尋ねた。
「滅相もない! あなたたちに守られていれば絶対に安全だって分かってるよ」彼は満面の笑みを浮かべて言った。
「この店はトラブルに巻き込まれる機会が多すぎて、私たちの目的にはそぐわないわ。皆は好きにすればいいけれど、今夜はもう引き上げて、明日は朝早くに出発することを提案するわ」ヘルギが言った。
「刺激ならもう十分すぎるくらいよ」とルシンダが言った。「一日中サドルに揺られていたんだもの、今は眠るのが何より魅力的だわ」
「ちょっと用事を済ませてから、部屋で合流するわ」とヘルギはアバナシーに言った。
「分かった、僕は夕食の会計を済ませておくよ」
ヘルギが彼らの部屋に戻ってくると、彼女は言った。「明日の朝、どこで合流するかあの少女に伝えておいたわ」
「良かった。彼女を助けてあげられそうで嬉しいよ」
「私もよ……私の優しい人」ヘルギは小さく笑いながら言った。
アバナシーは苦笑しながら首を振った。「まあ、もっと酷い呼び名をつけられるよりはマシかな」
そう言うと、二人は眠る支度を整えた。
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アバナシーが見る悪夢は、彼がそれを見る時、ほぼ例外なく三つのパターンのいずれかに当てはまっていた。
一つ目は、三年間にわたり恋人関係にあったリディアに関するものだった。その関係は八年以上前に、概ね円満に終わっていた。裕福な家庭の出身である彼女には、大学に通い始めるまで、家を出る際には常に女家庭教師が付き添っていた。彼女がその家庭教師の太ももの上部に常に細身の短剣が隠されており、両脇の下には小さなサムブレード(指ナイフ)が忍ばされていたことを知ったのは、大学に入ってからのことだった。リディアは学業には真面目に取り組んでいたが、箱入り娘の金持ちの子供の例に漏れず、世間知らずで現実世界についてほとんど何も知らなかった。悪夢の中で、彼女は一人で暗い路地に誘い出されるか、あるいは大人数のならず者たちに襲われ、アバナシーが虚しく抵抗する中で被害に遭うのだった。八年も経った今、なぜ未だに彼女の夢を見るのか、彼にはさっぱり分からなかった。
二つ目のパターンは、彼が冒険者として過ごした短い経験への回帰だった。これらの悪夢の中では、彼の有名な交渉の試みが破滅的な結果を引き起こすのだった。些細な非礼が重大な侮辱となり、単純な行き違いが戦争へと発展した。彼の冒険者パーティ全体が彼の目の前で屠られていくのだった。そして、彼は決まって最後に命を落とした。
三つ目の悪夢は、自分の患者たちを助けられないという焦燥感を中心に展開していた。時に、彼は物理的に喋ることができなくなっていた。ある夢では、「話す石」が失われるか壊れていた。何度かは、治療院で大惨事が起き、建物全体が自分の周りで崩落することもあった。彼が最も忌み嫌っていたのはこれらの悪夢であり、自分を頼りにしてくれる人々をこれ以上支援できなくなる夢だった。
彼はまさにそのような悪夢から目覚め、冷や汗をかいていた。見慣れない周囲の状況を認識するまでに少々時間を要した。そして、恐ろしいほどの恐怖と共に、自分の悪夢が現実のものであるという事実に思い至った。彼の治療院は閉鎖され、おそらく永久にそのままであり、彼がしていたように患者たちを助けられる者は誰もいないのだ。彼は突然込み上げてきた叫び出したい衝動を抑え込んだ。
ヘルギは彼の隣でまだ眠っていた。彼女を起こそうかとも考えた。そのことについて話すのが自分のためになると分かってはいたが、明日の朝、彼女がしっかりと体を休めていることの方が重要だと判断した。彼は目を閉じ、息を整え、眠ろうと試みた。彼が再び眠りにつくまでに、かなりの時間を要した。




