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守秘義務の代償――証言台に倒れしセラピスト

「『山の城塞』は歴史ある建造物であるが、その正確な築年数については議論が分かれている。その最たる住人であるコルバー皇帝は、建設が数千年前から始まったという自国民の説を支持している。城塞はベレボー山の麓にある強固な岩肌を削り出し、穿たれて作られた。最初は原始的な道具と単純な魔法によって掘られた、食料品を保管するための小さく涼しく乾燥した洞窟に過ぎなかった。後年になると、山の麓に広がる実り豊かに耕作された土地で働く村人たちが、敵の襲撃から身を隠す場所となった。迷彩のために山肌の一部を貼り付けた木板で入口を覆ったのである。道具と技術は進化し続け、やがて村の長老とその家族の住処となった。砦と呼べるほど十分に岩が掘り進められた頃には、一人の武閥がその地域一帯と谷を支配するようになっていた。文書記録における最初の記述は『建設の時代』、ある香辛料商人が『ベレボー山砦』への年間納入実績を記した帳簿に登場する。数世紀前には他のあらゆる建造物と同様に『城塞』と呼ぶにふさわしい規模となったが、コルバーの人々は今日に至ってもなお拡張を続けている。国教、国家の理念、果ては王の血統さえも時代とともに移り変わってきたが、『山の城塞』においてただ一つ不変であり続ける指導原理が存在する――堀り続けよ、と」――『タイコロスの年代記』より


審問の朝、アバナシーは頭にクモの巣が張り付き、口の中に綿が詰まったような感覚で目を覚ました。寝つきが悪いことは分かっていたので、ハーブの調合薬を飲んでいたのだ。脳のスイッチを落とすという目的は確実に果たしてくれたものの、二日酔いのような不快感が残り、口と喉はカラカラに乾いていた。


彼が神経質になっていたのは、テペシュを心配する気持ちもあったが、それ以上に、裁判所が患者との守秘義務の主張を認めない可能性があるとキュリオンから警告されていたためだった。サファイア・シティの法制度の歴史において、それに該当する前例は存在しなかった。判事から非常に難しい立場に追い込まれる可能性は十二分にあった。


彼はお茶を温めるために火を起こした。朝食は抜くことにしていた。胃の中では蝶が乱舞するように収まりがつかず、今にも吐き出しそうな気分だったからだ。前夜のうちに、プロフェッショナルとしての威厳を最も演出できる服装を選んでおいた。お湯が沸くのを待つ間、彼は機械的な動作で着替えを進めた。


馬車が裁判所に到着する頃には、濃いお茶を2杯胃に流し込んでいた。神経の緊張も相まって、頭はほぼ完全に冴え渡っていた。受付にいたぽっちゃりとしたセルヴィアンに名前を告げると、中央法廷(プライム・コートルーム)への簡潔な順路を教えてもらった。いくつかのベンチと小さなデスクが置かれた小さな控え室に辿り着き、指示通りデスクに座っている制服姿の執行官に名前を伝えた。


執行官に先導され、アバナシーは中央法廷へと通じる深みのある黒に染められた大きなオーク材の二重扉の前に立った。それぞれの扉にはサファイア・シティの裁判制度の紋章が刻まれていたが、これは完全には適切と言えないデザインであったため、時折物議を醸す対象となっていた。市には一度として王が存在したことはなかったが、その紋章には明らかに王冠を戴いた王が笏を手にし、天秤の前にひざまずく姿が描かれていたのである。法の下の平等を象徴することを意図したものだったが、それぞれ異なる理由から、紋章に王が描かれていることに不満を抱くグループが複数存在していた。


執行官が鎖帷子のガントレットで扉を3回叩くと、法廷の内側にいる別の執行官たちによって扉が観音開きに開いた。アバナシーが足を踏み入れると、最前列のベンチに座っていたキュリオンの姿が目に入り、彼は静かに手を振った。扉はこれほど巨大な木材からは想像もつかないほど静かに閉じられ、彼は傍聴席を静かに歩いて最前列に滑り込み、自身の法廷弁護士の隣に腰掛けた。


審理は床から18インチ高く設置された壇上(ダイアス)で行われることになっていた。壇上の大理石の床には裁判所の紋章が彫り込まれていた。壇上には三角形の配置で3つのエリアが設けられていた。頂点に位置し、傍聴席と対峙しながら他の2つのエリアからもはっきりと見渡せる場所には、証人席が配置されていた。丸みを帯びたハイバックの椅子は側面までを包み込むような形状で、車輪が付いており、180度回転させることができた。証人の身元を保護する必要がある場合には、椅子を壇上の反対側に移動させ、背もたれを傍聴席に向けつつも、残り2つのエリアからは視界に入るよう配置される仕組みになっていた。右下には陪審員席があった。前後2列で計7つの席が設けられていた。陪審制は一般犯罪において一般的であり、時には一般市民が被告人となる重大犯罪でも採用されることがあった。左下には判事席があり、壇上よりさらに2フィート高く作られていた。判事の椅子は、君主の玉座を連想させることなく権威の漂いを醸し出すよう細心の注意を払って設計されていた。こちらもわずかに回転できるようになっており、判事が証人、陪審員、あるいは傍聴席に直接向き合えるようになっていた。特定のケース、例えば市政府の上層部が関与する事件などの場合、今日のように3人の判事が判事席に着くことになっており、陪審員は配置されないことになっていた。


キュリオンは薄い笑みを浮かべた。「本気でこの方針を貫くつもりかい?」彼はトーンをニュートラルに保とうとしていたが、不満の色は隠しきれていなかった。キュリオンは、法律業界において不釣り合いなほど高い割合を占めるエルフの一人だった。人間の判事であれば50年前の判例を引き出すのが精一杯かもしれないが、エルフの判事ともなればその判例を引用し、当時の法制度の背景を説明し、同時代の判決を参照した上で、下手をすれば自分自身がその最初の判決を下した当事者であることさえあり得た。あらゆる種族に優秀な判事や法廷弁護士は存在したが、エルフはそのキャリアゆえに別格の敬意(とそれに相応しい高額な報酬)を集めていた。キュリオンは2世紀におよぶ法制史のキャリアを誇っており、アバナシーに対して、彼がやろうとしていることは成功する見込みが極めて低いと容赦なく告げていた。彼の砂色の金髪は金の装飾品で固く留められ、後ろで小さなお団子にまとめられていた。その顔立ちはエルフの基準からすると年齢の割にやや使い込まれた印象を与え、いくつかの小じわが刻まれていた。グレーの瞳は非常に厳格で、法廷弁護士というよりは闘技場の闘士に相応しい角張った顎孔をしていた。


アバナシーはため息をついてうなずいた。「これを選ぶか、それとも自分の職業そのものを諦めるかの二択なんだ」


「どちらにせよ、その二択を迫られることになるかもしれないがね」エルフは答えた。「前に伝えた通り、裁判所が君のアプローチを受け入れるとは思えない」


「私にできることをやるしかないよ」法廷弁護士はうなずき、二人はその後黙って座っていた。すでにこの件については十分すぎるほど話し合っており、これ以上付け加える言葉はなかった。10分ほど経った頃、裁判所書記官が壇上に上がり、杖で大理石を叩いた。素早く3回叩いた後に一の間、そして同じようにあと2回。室内は静まり返った。


「これより、サファイア・シティ中央法廷は、テペシュ・ゴールダンに対する告発についての審理を継続し、被告人の処遇および起訴を許可するか否かを決定する。告発内容は誘拐、殺人未遂、および市への奉仕期間中における重大な犯罪行為である。主審判事は、正義なるフィオナ・ストーンウォール判事殿、正義なるアラノア・バイトス判事殿、および正義なるソーンキープのトーマス判事殿である。傍聴席は起立されたい」


全員が起立し、3人の判事が順に入廷した。バイトスはエルフであり、中央の椅子に着いた。他の二人は人間で、ともに中年の男女だった。女性は漆黒の髪に厳格な顔立ちをしており、男性は小太りで、陽に当たりすぎたかのような赤ら顔をし、今にもニヤリと笑い出しそうな口元をしていた。彼らが着席すると、書記官は群衆に着席するよう指示した。


サファイア・シティの法制度における注目すべき特徴は、正義に対する市の利害が、専任で職務にあたる複数の人物のうちの一人である検察官によって代表される点にあった。彼らは主席検察官に報告を行い、主席検察官自らが市の最も重要な事件を担当した。しかし、政府の特定のメンバーが重大な犯罪で告発されたケースにおいては、各市議員は限られた時間内で任意の弁護側証人に対して質問する権利を行使することができた。理論上、これは検察官が政府の高官に恩義を感じていたり、単に恐れていたりする可能性に対処するためであり、市議員であればそのような恐れを抱かないと考えられていたからだ。当然のことながら、これは法を犯したライバルや、ライバルの味方を懲らしめようとする議員によって悪用されることも時折あった。しかし、政府の上層部にいる人間が重大な犯罪で裁判にかけられることは稀であり、市政内部での深刻な対立も比較的少なかったため、実際の悪用が滅多に起こらないことから、この習慣を改定しようという関心はほとんどなかった。


キュリオンはアバナシーの方へ身を乗り出し、極々ごく微かな囁き声で言った。「主席検察官の隣に座っているのはエデルマン議員だ。トラブルになるかもしれないぞ」アバナシーは首を伸ばしたが、自分の席からではその男の姿をあまり確認できなかった。彼は法的地位が曖昧な分野で働いていたこともあり、ある程度は市の政治を追っていた。そしてエデルマンが長年にわたりテペシュと何度も衝突してきたことくらいは知っていた。


「エデルマンは目立ちたがり屋でね」キュリオンは言った。「結婚式では新婦に、葬式では死体になりたがるような男だ。これはかなりのスキャンダルだから、徹底的に利用するつもりだろう」


アバナシーは最前列の特別な傍聴席に、法廷弁護士の隣で座っているテペシュの姿を見ることができた。「殺人罪で起訴されているのだと思っていましたが?」


「死体がない以上、どの鳥が鳴くか確かめるために木を揺さぶるしかないのだよ。理論上は彼女がまだ生きている可能性もあるため、血のついたナイフだけでは殺人未遂までしか立件できない。誘拐罪は彼女の失踪に基づいており、彼が妻を襲う動機についての十分な立証ができない場合の保険(バックアップ)だろう。この手続きが進むにつれて、起訴内容の変更を申請することさえあるかもしれない」


書記官が咳払いをした。「裁判所はオリヴァー・フェアマインドに対し、証言を命じる」オリヴァーはテペシュの財務顧問であることが明らかになり、主席検察官は過去数ヶ月間における特定の資金移動に関する情報を求めた。彼は、テペシュが使途不明とされる巨額のコインを準備するために、投資において異例な行動を取ったのではないかと示唆しようとしているようだった。テペシュの法廷弁護士による反対尋問の後、約1時間が経過した。財務顧問は退廷を許可され、書記官が再び壇上の中央へと踏み出した。


「裁判所は《清澄なる》アバナシーに対し、証言を命じる」アバナシーは立ち上がり、ゆっくりと壇上に向かって歩きながら呼吸法を開始した。書記官が証人席を指し示した。彼は思索を巡らせ、心拍数を整え、頭の中を澄み渡らせて集中させながら、ゆっくりと腰掛けた。


「《清澄なる》アバナシー、お前は重罰のペナルティのもと、これから行う証言が真実であり完全であることを、この裁判所の御前に誓うか?」


「誓います」彼は答えた。


書記官は主席検察官に視線を向けた。「進めてよろしい」


主席検察官はまず、アバナシー自身や彼が市に滞在している期間、そして彼の仕事に関する基本的な質問から始めた。彼は証拠として、テペシュがアバナシーという人物と会うためにシルバーデールに滞在していたことを示す、いくつかの公式スケジュール表を提示した。


「これらの会合は、あなたとのものでしたか?」


「自分自身のスケジュール表がないため、それらの会合のすべてが間違いなく行われたと確証を持って申し上げることはできません。例えば、彼が直前でキャンセルした可能性もあります。ですが、はい、それらの会合が私とのものであった可能性は高いです」


彼はアバナシーに、テペシュと知り合ってどれくらいになるか、彼を友人だと思っているかを尋ねた。それから、テペシュが彼の患者であるかどうかを尋ねた。


「倫理上、テペシュが私の患者であるか、あるいは患者であったかについて、確認することも否定することもできません。それは私が提供を義務付けられている守秘義務の一部です」


「具体的に誰によって義務付けられているのかね?」主席検察官が詰問した。


「私の職業を規律する倫理規程です」アバナシーは穏やかに答えた。


「君の職業の性質はいまだに謎に包まれている。金を払って話を聞いてもらう――そんなものは聞いたこともないし、そう思っているのは私だけではあるまい。君の言うその倫理規程とやらは、一体誰が書いたのだ? 誰がそれを強制している?」


「誰が書いたかは存じ上げません。強制について言えば、私は処罰を恐れて規程に従っているわけではありません。患者が私から受けられる最高レベルのケアを確実に受けられるようにするために、規程に従っているのです」


主席検察官は一息置き、ゆっくりと言った。「では、君の言ういわゆる倫理規程に違反したところで、君に対する結果は絶対的に『何もない』というのが君の証言かね」


「私の証言は決してそのようなものではありません。もし私が倫理規程に違反すれば、患者からの信頼を失うことになります。彼らは私に心を割り、自由に話してくれなくなるでしょう。結果として、彼らを助ける上での私の効果は薄れてしまいます。そして最初から私を訪ねて来なくなる者も出てくるでしょう」


「つまり、この裁判所が求める情報を提供することは、人々が君に抱く感情を変えるかもしれないというだけだな。だが君は誰からも罰せられない。君のその……異常な……事業を継続することを禁止されるわけでもない。そうではないかね?」


ここで、アバナシーの法廷弁護士が立ち上がった。


「動議(ポイント・オブ・オーダー):証人は、議論されている質問に答えることが自身の生計を脅かすと明確に述べております。サファイア・シティ憲章は、すべての市民に対して合法的な商業活動に従事する権利を保障しています。彼に守秘情報を漏洩するよう強制することは、彼の権利に対する直接的な侵害となります」


主席検察官は即座に反論した。「市は、証人が職業と呼べるものを保持しているという証拠すら提示されておりません。彼の説明した内容は、悪く言えば詐欺であり、良く言っても彼の『話を聞く』サービスなど、キャバレーのダンサーや娼婦から得られるものと変わりません。彼は自らをドクターと自称してさえいますが、彼が何らかの医療技術を有しているという証拠もありません。この証人は信用詐欺師(コンフィデンス・マン)であり、求められている証言を逃れるために裁判所を欺こうとしているのです!」


エルフの判事が、判事席の各椅子の前に置かれた小さな鈴を鳴らした。法廷内は静まり返った。「検察官は、この証人を『信用詐欺師』とラベル付けする前に、彼が市に対して尽くした功績を思い出すよう勧告する」


主席検察官は、まるでゴキブリを無理やり呑み込まされたかのような表情を浮かべた。「申し訳ございません、判事殿。私の表現は思慮を欠いていたかもしれません」


判事は厳格な眼差しで彼を見つめ続けた。「我々から証人に質問を行い、その後、この点について我々自身で協議するために一時休廷とする」彼はアバナシーの方を向いた。「君はギルドや専門組織に所属しているのかね?」


「所属しておりません、判事殿。私が施していることは、様々な医療ギルドや組織が行っていることとはあまりにも異なるため、それらに加入する意味が見出せなかったのです」


「君と同じようなサービスを提供している同僚を訪ねたり、文通を行ったりはしているのかね?」


「しておりません。私と同じことをしている人物を他に存じ上げません」


「君に資格や認定を与えたり、業務を監視したり、君に対する苦情を調査したりする統括団体は存在するのかね?」


「市の通常の法的枠組み以外には、私の知る限り存在いたしません」


「あなたには固定の営業場所があり、その場所はあなたが提供するサービスを行う目的で市からライセンスを受けていますか?」


「はい、判事殿。シルバーデール地区にオフィスを構えております。何年もの間、同じ場所で営業しております。そこで通常の業務時間を維持し、助手を一人雇っております。私は患者にお喋りによる療法(トークセラピー)を提供するという明確な目的のために、市からオフィスの営業ライセンスを受けております。市は私の仕事内容を十分に把握しております。お察しの通り、私はノロヴィア州の殺人事件において市警備隊(ウォッチ)から顧問として要請を受け、その件で貴重な援助を提供いたしました」


エルフはうなずいた。彼は他の判事たちに向き直った。「同僚の諸君、証人に対して他に質問はあるかね?」


黒髪の女性がアバナシーに語りかけた。「あなたは自身の職業が医療の性質を持つと主張しています。きこりになるなら、単に斧を手にして木を伐り始めれば済みます。ですが医療の性質を持つあらゆる仕事には、初期の訓練が必要です。一掴みのハーブを調合し、それを摂取した者に何が起こるかをただ静観するような真似は許されません。あなたはどこでその技術の実践を学んだのですか?」


「私はその主題に関する専門書を与えられました、判事殿。それは極めて詳細で包括的なものでした。それを研究し、その複雑さを理解するまでに1年以上を要しました。今日に至ってもなお、そこから新しい知識を得ております。その後、他の誰もがそうするように、注意深い実践を通じて専門的なスキルを向上させてまいりました。私の仕事は人々を助けることであり、包み隠さずに申し上げれば、私はそれを極めて適切にこなす能力を有しております」


「仮定の話として」女性は言った。「もしあなたの患者の一人が、今日ここに来て、この建物をあとにした私を殺害する計画を立てているとあなたに明かした場合、あなたの守秘規程によってそれを議論することが妨げられるというのが、あなたの証言ですか?」


「まったく逆です。患者が過去に行ったことについて話した内容を明かすことはできませんが、他者に危害を加える即座の計画に対してはそれは適用されません。もし患者が他者の身体的健康に対して信憑性のある脅迫を行った場合、私はその人物、そして必要であれば当局に通知することを義務付けられています」


「感謝します」彼女は言った。彼女は他の判事たちに視線を送ったが、彼らは首を振った。「証人への質問は以上ですので、短時間休廷いたします。10分後に再開できるよう準備しておいてください」


判事たちが立ち上がると、書記官が叫んだ。「全員起立!」全員が立ち上がった。「審理を中断する。個人的な用に充てる時間を10分間与える」彼はアバナシーに向き直った。「証人は証言台を離れてよい」


アバナシーは不安気な表情を浮かべる法廷弁護士の隣に座りに行った。「ここまではどうだった?」


キュリオンはため息をついた。「よくやったが、判事たちは君の職業を正当なものとは認めないだろうと危惧している。ギルドや同僚についての質問……彼らは君を認識された職業に従事する者ではなく、例外的な異物(アノマリー)として見ていることを示唆している」


「もし私の職業を認めなかったら?」


「そうなれば、守秘義務の権利を主張するために残されていたごくわずかな希望も潰え去る。私たちの唯一のチャンスは、サファイア・シティ憲章で保障された労働の権利によって、その守秘義務を維持することが許されると主張することだったのだから」


「そうか……どうやら泥沼化しそうだな」アバナシーはパニックを感じ、目を閉じ、呼吸と心拍数をコントロールしようと抗った。


「まだ私の忠告を聞き入れて、彼らの知りたいことを話すという選択肢もあるのだぞ」キュリオンは穏やかに言った。アバナシーは返事をせず、身体と心を平静に保つことに集中し続けた。彼は自分を安らかな状態へと導き、そこに留まることに集中した。書記官が審理の再開を告げると、彼の目がカッと見開かれた。彼は再び証言台へと呼び出され、未だ誓約下にあることを念押しされた。


小太りの判事が咳払いをして、アバナシーに語りかけた。「我々はあなたの主張に関する事実を慎重に検討した。あなたが『お喋りによる療法(トークセラピー)』と呼ぶ目的のために、市からライセンスを受けた営業場所を有しているのは事実であるが、その敷地内で行われていることの正当性を判断するのは建築ライセンス局の仕事ではない。例えば、現在市から『死者を復活させる』目的でライセンスを受けている建物が存在する。荒唐無稽な目的のために付与されたライセンスは、言明された目的を市が認可または承認したことを意味するものではない」


彼は再び咳払いをした。「さらに、あなたが提供する仕事がいかなる場所、いかなる組織や政府によっても認められているという証拠を、あなたは提示できていない。あなた自身の証言によれば、自分と同じ仕事をしている者を他に認識していないとのことだ。専門的な能力に対するあなたの唯一の拠り所は、単一の専門書の独学に過ぎない。ノロヴィア州の殺人事件におけるあなたの貢献について裁判所は称賛するが、あなたの援助は『お喋りによる療法(トークセラピー)』によって構成されたものではなく、それゆえ我々はその援助をあなたが主張する職業の管轄外であるとみなす。あなたが提供する仕事が社会の利益になるかどうかを判断するのは裁判所の仕事ではないが――個人的な立場から発言させてもらえば、利益になり得るとは信じているがね。にもかかわらず、動議(ポイント・オブ・オーダー)に対する我々の判断は、あなたは職業に従事しておらず、したがってサファイア・シティ憲章の労働の権利条項に基づく保護の主張は退けられる、というものだ」


アバナシーはキュリオンに視線を送った。エルフはただ首を振るだけだった。


「主席検察官、取り調べを再開してよろしい」判事は言った。主席検察官が立ち上がった。「エデルマン議員から、この証人に質問する権利を行使するとの申し出がございました、判事殿」


判事はうなずいた。「議員の発言を認める。質問は簡潔にまとめられたい」


エデルマンが立ち上がった。「感謝いたします、判事殿」彼はアバナシーに向き直った。


「テペシュ・ゴールダンは現在、あるいは過去において、あなたの患者でしたか?」


「私の専門的倫理規程により、回答を禁じられております」アバナシーはブレない声で答えた。


「テペシュはあなたに結婚生活についての相談をしましたか?」


「もしテペシュが患者であったなら、専門的な状況下で行われた会話についてコメントすることはできません。しかし、守秘義務が適用されない専門外の状況で行われた会話についてであれば、話すことができます。その文脈において、そのような話し合いは行われませんでした」


「テペシュは妻が不倫をしているのではないかと疑っていると、あなたに話しましたか?」


「個人的な会話という文脈において、そのような話し合いは行われませんでした」


「テペシュは妻を失踪させることや、殺害することについて話したことがありますか?」


「個人的な会話の中で、彼がそのような発言をしたことは一度もありません」


エデルマンは判事たちに視線を向けた。「この件に関する法は非常に明確です。強制証言を免除される関係性は、親と子、聖職者と信徒、兄弟姉妹、あるいは配偶者のみです。この証人に対して、単に『個人的な文脈において』だけでなく、私の質問に完全に答えるよう命じることを謹んで要求いたします」


黒髪の判事が、厳格な眼差しでアバナシーを凝視した。「証人は質問に答えなさい。さもなければ厳しい制裁が適用されます」


「判事殿、患者の守秘義務を破ることは、セラピストとしての私の効力を削ぐことになります。私は患者の信頼を得て、己の仕事において成長し続けるために長い時間を費やしてきました。私は裁判所とその権威に対して最大限の敬意を払っております。ですが、いかなる理由があろうとも――たとえ当裁判所による制裁であろうとも、己の仕事を妥協し、患者の信頼を裏切るつもりはありません」主席検察官が発言しようと立ち上がったが、アバナシーはその言葉を遮って続けた。「さらに、機密情報が必ずしも否定的な情報であると決めつけるのは非論理的です。私は患者の人生の全体像を把握することなしに治療を行うことはできません。ですから、仮に患者が妻をとても愛していると私に明かしたとしても、それもまた機密であり、皆様に開示することはできません」


「つまり、正しく理解できているとすれば――正直なところ、我々の誰も理解できているか怪しいものだが」エデルマンが言った。「あなたが言いたいのは、実際には被告を弁明するのに役立つ情報を保持しているかもしれないのに、裁判所が彼を無罪放免にするのを手助けするどころか、口を閉ざしているということかね?」


エデルマンが言い終わる前に怒号が飛び交った。テペシュに有利になる可能性を微塵も示唆されたくない主席検察官は、エデルマンの肩に手を置き、彼を力任せに座席へ押し戻しながら、議員は時間を超過しており質問は撤回されたと宣言した。キュリオンも立ち上がって発言しようとしていたが、自分の声が届くようになるまで喧噪が収まるのを待たねばならなかった。


「動議(ポイント・オブ・オーダー)を認められたい。わずかな例外を除き、存在しないこと(悪魔の証明)を証明することはできないというのが確立された先例です。私の依頼人が被告の妻を最後に目撃された時から行方不明届が出されるまでの間、常に被告と目を合わせ続けていたわけではない以上、無罪を証明する証拠を秘匿することなど不可能です。したがって、議員の告発は不当(アウト・オブ・バウンズ)であると裁判所に判断を求めます」


女性の判事は議員に厳しい視線を向けた。「今後は主席検察官に発言をお譲りなさい。あなたの質問は不当(アウト・オブ・バウンズ)です」彼女の声には怒りの色が滲んでいた。「《清廉なる》アバナシー、警告しておきます。質問に答えるという裁判所の命令に従わないのであれば、厳しい罰が下されます。我々はこの法廷で重大な犯罪を捜査しているのです。法廷弁護士?」


キュリオンが再び立ち上がった。「はい、判事殿」


「先生、あなたの依頼人が当裁判所の命令を尊重しなかった場合、市が彼の過去の協力に対してどれほど感謝していようとも、その代償は悲惨なものになることを厳しく諭しなさい」


「私はこの事態を一つの可能性として想定しておりましたので、あらかじめ彼と話し合っておりました。私が繰り返し説得を試みたにもかかわらず、彼の意志は非常に固いものでした。今この場におきましても、私の彼への助言は、裁判所の命令に直ちに、かつ全面的に従うべきだというものです」キュリオンは彼に悲しげな視線を送った。エルフは彼が意志を変えないことを知っていた。


「法廷弁護士の賢明な助言に感謝いたしますとともに、当裁判所の権威に対する敬意を改めて表明いたします。ですが、患者の守秘義務を維持し、己の倫理規程に従うという私の意志は揺るぎません」


判事は苛立ちをみせたが、その声にはわずかな哀れみも含まれていた。「我々に選択の余地を残さなかったな。《清廉なる》アバナシー、当裁判所の法的な命令に従わなかったことにより、あなたを法廷侮辱罪とみなす。直ちに効力を発揮し、あなたが要求された証言を提供するまでの間、あなたの営業場所のライセンスを取り消す。その物件の法的な所有権まで取り消すことはできないが、その場所において『お喋りによる療法(トークセラピー)』その他のいかなる医療行為を行うことも禁ずる」


アバナシーは息を呑み、法廷にざわめきが広がった。エデルマン議員が素早く声を上げた。「公的な市会議員の立場として、裁判所が彼の市民権聴聞会をも命じることを要求いたします」


「荒唐無稽だ!」キュリオンが叫んだ。「この男は我が市の最良の市民たちを毒牙にかけた殺害者を阻止したのだぞ。それなのに議員は彼の市民権を脅かすつもりか?」


「死んだ者は死んだままだ」判事は言った。「当裁判所は本件における被害者とされる人物の状況について立場をとらないが、彼女が今なお生存している確率はゼロではなく、無駄に費やされる1分ごとにその生存の可能性は減少していく。あなたの依頼人の功績にこの処罰で報いるのは胸が痛むが、然るべき機関によって彼の市民権に関する聴聞会を召集するよう命じる。その聴聞会が開始されるまでの間、今から24時間以内に彼はサファイア・シティから追放される」法廷は騒音の坩堝と化し、判事は何度もベルを鳴らした。


アバナシーが自分を落ち着かせるために用いてきた手法のどれも、その瞬間には何の役にも立たなかった。彼は証言台の椅子の上で前屈みになり、嗚咽し、吐き気に抗った。自分を必要としている患者たちのこと、自分の突然の消失が彼らにどのような影響を与えるかを考えた。キュリオンが何か言っていたが、頭の中で激しく波打つ血の音のせいで聞こえなかった。頭蓋骨を叩くような動悸がした。胃がひっくり返り、熱い嘔吐物が口から噴き出して大理石の壇上に散らばった。彼はそれを抑え込もうと苦しんだが、内臓のすべてが口から吐き出されそうになり、腹筋が痛ましく収縮した。ヘイズ(霞)の中にいるようで、周囲で何が起こっているのかほとんど認識できなかった。キュリオンが判事たちと議論し、判事たちがそれに答えていたが、アバナシーにとって言葉はすべて支離滅裂な混ざり合いに過ぎなかった。頭がクラクラして平衡感覚が失われ、椅子から滑り落ちそうになるのを感じた。なおも空嘔吐しながら、彼は床の嘔吐物の水たまりを半歩ほど跨ぎ、壇上の乾いた場所にうつ伏せに倒れ込んだ。法廷の騒音は彼の上を通り過ぎる音の波に過ぎず、言葉は何の意味もなさなくなった。


アバナシーは、レザが自分の脇にいて、優しく仰向けにさせようとしていることに徐々に気づいた。幻覚を見ているのだろうか?彼の聴聞会には誰も同行していなかったはずだ。ルシンダは来たいと主張していたが、アバナシーは自分が患者を迎えるためにそこにいなくても、信念としてオフィスを開けておきたかった。ヘルギも同席を望んでいたが、これから自分がしなければならないことを知っていたアバナシーは、彼女との快適な生活を考えることで自分の決意が鈍ることを恐れた。躊躇いと多少の傷心とともに、彼女は来ないことに同意してくれたのだった。レザはベルトからフラスコを取り出した。彼は片手でアバナシーの頭を固定し、少量の水を彼の口へ優しく注ぎ入れた。アバナシーはむせることなくそれを飲み込むことができた。


レザはさらに顔を近づけ、アバナシーの耳元で直接囁いた。「これを飲め」ここ数分間でアバナシーが初めて理解できた言葉だった。レザの手には、ペースト状の非常に小さな球体が握られていた。彼はそれをアバナシーの口に押し当て、飲み込むのを見届けてから、再び少量の水を与えた。


アバナシーは空嘔吐を抑え込もうと格闘した。所々で個々の言葉が聞こえるようになった。誰かがヒーラー(治療師)を呼んだようだった。胃が落ち着き始め、呼吸に意識を集中させ始めたとき、彼は突然自分がとても温かく、心地よい感覚に包まれていることに気づいた。心拍数がより落ち着いたレベルへと低下していった。まだ意識は霞んでいたが、悪い気分ではなかった。周囲の状況を見失うのではなく、意識はありつつも、あらゆる負の感情から完全に切り離されている状態だった。平衡感覚にはまだ自信が持てなかったが、部屋の回転は収まっていた。彼が立ち上がろうとすると、レザが素早く彼を掴み、身体を支えて立ち上がらせた。


「ヒーラー(治療師)がこちらに向かっています」書記官がアバナシーに言った。


「その必要はない」レザが答えた。「彼は大丈夫だ。裁判所からの退出が許可され次第、彼を家に連れて帰って食事をとらせる」


書記官は判事たちに視線を送った。小太りの判事が口を開いた。彼の常の笑みを含んだような表情は消え、重々しいものになっていた。「証人の退出を許可する。当裁判所は彼に対して判決を下したが、悪意によるものではない。彼の速やかな回復を祈る」


「感謝いたします、判事殿。すぐにピンピンさせてみせますよ」レザは言った。彼はアバナシーが壇上から降りるのを手助けした。キュリオンが一番下で待っていた。


「ここで話す意味はない」レザは言った。「家まで連れて行くのを手伝ってくれ。そこで対策を練ろう」


アバナシーはそれなりに歩くことができたが、レザとキュリオンが彼の両脇に立ち、腕を組んで、ゆっくりと法廷をあとにした。


「どうしてここに来たんだ、レザ……?」彼は呟いた。


「歩いてきたのさ」レザはニッと笑って答えた。「今日お前が取り調べを受けると知って、応援したくてね。集中を乱したくなかったから、一番後ろの席に座って見守っていたんだ」


「ヌールはどこだ?」


「外の繋ぎ柱にいる。たぶん誰かの馬を死ぬほど怖がらせているだろうな。ところで、ここを左だ。東側の出口から出る必要がある」


彼らは建物をあとにした。アバナシーは肌に当たる日光を感じ、それが彼を今以上に温かい気分にさせた。大半のものの周囲には光の輪(ハロ)のような輝きがあり、圧倒されるほどではないものの、見過ごすことはできないものだった。レザは繋ぎ柱からハヤブサを回収し、キュリオンが馬車を呼んだ。二人はアバナシーが馬車に乗り込むのを手助けし、彼を座らせてから自分たちも乗り込んだ。


アバナシーの家に到着する頃には、彼はすっかり落ち着いており、あらゆる感情から完全に切り離されていた。音、触覚、匂い――それらすべてがより強く感じられ、その多くが実に心地よかった。彼はレザが自分に何らかの薬を与えたのだと短く理解したが、気にしないことに決め、馬車から降りる際にキュリオンの手助けを受け入れた。


「ルシンダを呼んでここへ連れてきてほしい」レザはキュリオンにささやいた。エルフは頷き、再び馬車に乗り込んだ。レザはアバナシーを家の中に連れ入れ、ベッドに寝かせた。アバナシーは、その気になれば眠りに酷似したものへと落ち込んでいけることに気づいた。彼は一瞬それについて考え、レザがブーツを脱がせ始めると、自分の意識を漂うヘイズ(霞)の世界へと委ねた。


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