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休眠竜の覚醒と秘密の招待状


「世界中で犯罪がほぼ普遍的に利益を生むのに対し、処罰が利益を生む場所は世界に二つしか存在しない。そしてそれらは、恐らく互いに正反対の極致にある。パストゥール列島の流刑地であるパストゥール第5島(パス・ファイブ)と、ボレアス公国である。パストゥール列島の5番目の島は、その苛烈な環境で知られている。常に風が吹き荒れ、容赦なく冷え込み、雨がやんだと思えば雪や稀に雹(ひょう)が降るばかりである。地表は岩だらけで、土壌は不毛で凍結に近い状態にある。島に生息する小動物はごくわずかで、そのおよそ半数には毒がある。この苛酷な環境で生き残れる植物や樹木はほんの数種類に過ぎない。主な栄養源は、パストゥール列島全域で繁茂しているように見える菌類の一種と、昆虫、そして毒のない動物たちである。パストゥール政府はごくわずかな犯罪を『救いようのないもの』と認定しており、公正な裁判のためのパストゥール認証プロセスを満たした世界中のいかなる裁判所も、そうした犯罪を犯した被告人に対し、パストゥールに年間管理料を支払うことと引き換えに、パストゥール第5島(パス・ファイブ)への流刑を言い渡すことができる。居住者の大半の平均余命は4年である。この流刑地は、パストゥール列島の年間収入のほぼ半分を叩き出している。

対照的に、ボレアス公国は自国の主権のもとで他国に罰を提供するような真似はしないが、そこにはウィドレン教団の至高神殿が存在する。教団は特定の神を崇拝してはおらず、様々な精神的手段を通じて心の潜在能力を開花させることを信条としている。その至高神殿においてのみ、教団の中で最も崇敬される導師たちに《消滅の儀式》の執り行いが許されている。その名が示す通り恐ろしいこの儀式は、対象者の記憶と人格を完全に、かつ永遠に消去し、母国語の理解能力だけを残す。彼らは新しい名前を与えられ、過去のことを一切知らないまま、作物や動物の世話をする素朴だが人道的な農場で残りの人生を過ごすことになる。教団はこの儀式に高額な費用を請求するが、文化や宗教が生命を重んじるあまり、どんなに凶悪な犯罪であっても処刑など考えられないような地域では、今なお高い需要を保っている。また、長年にわたり何人かの政治犯がこの儀式を受けたという噂もあるが(権利を主張しようとしたロスタ王の庶子はその最たる例である)、教団側はその疑惑を猛烈に否定している」

―――『タイコロスの年代記』


アバナシーはまるで休眠竜(トーパー・ドラゴン)のように深く眠りこけていた。過去二日間の出来事による精神的な疲労が残っていた上、夕食から戻った後、ヘルギによって肉体的なエネルギーを最後の一滴まで絞り取られていたからだ。彼の眠りは夢さえ見ないほど深かった。しかし今、彼は温かい湯気に満ちた、心地よく穏やかなドワーフの蒸気風呂のことを考えていた。蒸気が彼の蒸気風呂の底、下腹部のあたりに心地よく集まってくる。やがて蒸気風呂のイメージは消え去ったが、温かい感覚は残り、敏感な部位へとうっとりするほど集中していった。


彼がうっすらと目を開けると、ベッドの端から足首と足を投げ出すようにして、自分に対して直角に横たわっているヘルギの姿が目に入った。彼女の口は、彼の男根の上で温かく湿り気を帯びながらゆっくりと上下に動いており、覚醒したことで、それがどれほど至福の感覚であるかを彼は完全に自覚した。不意についた息の音が彼の覚醒を知らせ、ヘルギが彼の方を見上げた。彼女は微笑むと、両膝を前に移動させて足をベッドの上に載せ、臀部を優しく上へと反らせた。彼女は口の動きを速めながら、彼の表情の


変化を見つめた。彼女が舌を伸ばし、下唇の輪郭を越えて蠢かせると、その強い刺激に彼は歓喜の声を漏らし、両手を何度も強く握りしめた。


彼の目は、彼女の素肌の裸体と高く持ち上げられた後頭部から腰にかけてのラインを食い入るように見つめた。昨夜、彼女がその体勢をとり、ベッドシーツを両手で掴み締めながら、自分が後ろから突き上げられるのを受け入れていたことを思い出していた。ヘルギは彼の最初の女性ではなかったが、お互いを満足させる方法を学んでいくにつれ、彼女が最高の相手になるだろうと彼は予感していた。彼女は野生的で、ほとんど怒りにも似た情熱を持っており、彼の身体に残るいくつかの噛み傷がそれを証明していた。しかし、今しているように、そうした攻撃性の後に優しく官能的に彼を甘やかすこともあった。


突如、彼女は軽く唸り声を上げながら彼の上に飛びかかり、その身体を彼に押しつけ、両手で彼の顔を挟み込んでから唇を重ねてきた。二人の口はしばしの間組み合わさり、それから彼女は彼にほんのわずかな噛みつきを与えてから、彼の上に跨がるために身体を完全に起こした。頻繁に馬に乗る者らしく、彼女は力強い太ももをしており、腰をひねるだけで小さなストロークも、彼の大部分が外に出てしまうような長いストロークも自由自在に繰り出し、再び滑り落ちてきた。彼はすでに彼女の唾液で濡れていたが、彼女自身の愛液の湿り気もはっきりと感じ取ることができた。


パートナーが上に乗っている時にリズムを作る手助けをするのに慣れていたため、彼は本能的に彼女の腰を掴んだ。しかし、彼女はストロークに変化をつけ、二人をクライマックスへと導く一定のペースを保ちつつも、時折それを変えて彼に予測させず、心地よい驚きを与え続けた。それを台無しにしたくなかった彼は、手を彼女の胸へと滑らせ、両手で包み込むようにして優しく持ち上げた。右手の親指と人差し指で彼女の乳首を慎重に押し、彼女の顔の反応を確かめた。彼がもう少し強くつまむと、彼女は唇を舐めた。ゆっくりと力を加えると、彼女の喘ぎ声はより大きくなった。もう一方の乳首にも強い圧力をかけると、彼女は野卑な罵り文句を叫び、より激しく彼に腰を打ちつけ始めた。


突然、彼女の左手が股間へと滑り落ち、激しく動き始めた。彼女の発声はひとつの一続きの途切れのない喘ぎ声へと変わり、やがて戦吼にも似た絶叫でクライマックスを迎えた。彼女の内部の筋肉が固く締めつけられ、アバナシーは一瞬意識を失いそうになったが、思考を集中させ、彼女の激しい絶頂の嵐を耐え抜いた。


荒い息を吐き、汗の筋が胸から体幹へと流れる中、彼女は突然降りて仰向けに横たわった。彼は時間を無駄にすることなく彼女の上に乗った。彼は彼女の両膝を押し合わせ、それを彼女の胸に押しつけることで、内部へ押し進むたびに密着度を高め、より深い挿入を可能にした。両手を彼女の頭の脇のベッドに押しつけ、彼は彼女へと腰を打ちつけ始めた。


しばらくすると、彼女は膝の下に手をすべらせて自分の乳首に手を伸ばし、彼がストロークを続ける間、それを強く押しつけた。彼は身を乗り出して彼女にキスをし、片手で彼女の顔を撫でた。彼の体重は自らの両膝と彼女の下肢に分散されており、両手は少しの重みを支えつつ、主にバランスをとるために置かれていた。一分後、彼女は息を呑みながらキスを深め、「もっと強く、頼むから!」と言った。彼は腰の後半部分をより素早く動かせるよう、身体の重みをさらに彼女へと移し、より強い力で彼女へと打ちつかった。彼女の頭は横に揺れ、彼の手を二度噛んだが、彼はほとんど痛みを感じなかった。彼女はすぐに高まっていく悲鳴を上げ始め、彼は彼女が要求した通りの力で叩きつけるため、残されたすべての力を振り絞った。突然、彼女の口から甲高い短い声が幾度も漏れた。それは哀愁を帯びたトーンでありながらも大きかった。彼女の絶頂は、戦吼というよりは叫び声に近い音とともに訪れた。


内部の締めつけは、最初の時と同じかそれ以上に強烈だった。彼女が絶頂に達するのを見る興奮も相まって、それはアバナシーの耐えられる限界を超えていた。彼の腰は素早く突き動き、彼が脈打ち始めるのを感じ取ると、彼女は再び頭を巡らせて彼の手首を舐め始め、舌を走らせて音を立ててキスをした。数瞬のうちに、彼は彼女の体内で弾け飛んだ。昨夜あれほど絞り取られた後だというのに、自分の中からこれほど多くのものが溢れ出てくることに驚きながら、激しく喘いだ。最後のひと雫が身体から抜け出ると、彼は膝を開いて彼女の足を伸ばさせ、その上に横たわることができるよう、あと一分ほど腰を動かすのが精々だった。


彼は彼女の額に軽くキスをしたが、まだ息が荒すぎてそれ以上のことはできなかった。彼女の呼吸も速かったが、彼ほど途切れ途切れではなく、より規則的だった。まるで自分のペースを守り抜いてレースを終えたばかりのランナーのような音だった。対する彼の呼吸は、キャンプ場で寛いでいたところを意図せず熊に追いかけられた男のようだった。昨夜と同様に、どちらの体力に優れているかは一目瞭然だった。

「起こしてしまってごめんなさい」やがて彼女は言った。


「今の段階で君が謝るようなことなんて何もないと思うけれどね」


「ただ、今日はずっとここにいられないの。もう正午まであと1時間だし、免れられない義務があるのよ」


「君の代わりに私がその義務を無視しようか?」彼は笑みを浮かべながら言った。


「そうできたらいいのに。でも残念ながら、今はあなたと別れなければならないわ。最近の私たちの会合は急な思いつきばかりで、誰かに頼み事をせずにそれを行うのは時々難しいの。これからのデートは、できれば事前にスケジュールを組むようにしましょう。あなたとまた一緒に時間を過ごせたら嬉しいわ」


「私だって絶対にまた君に会いたいよ。誰かが私を殺そうとしていない時なら、私のスケジュールは普段、前もってしっかり組まれているからね」


「素晴らしいわ」彼女は言い、彼が察して自分から転がり降りるまで、左側を優しく持ち上げた。彼女は体を洗うために彼のバスルームへと姿を消し、それから床に散らばった自分の服を探すために現れた。


「その衣装は昼間に着るとかなり目を引くだろうね」アバナシーは言った。「昨夜の私のアテンションを引いたのは確かだ」


彼女は笑った。「近くに馬を繋いであるの。10分も歩けば鞍袋に着替えが入っているわ。馬に乗るのにもっと適したものをね。この衣装は、あなたに乗るためだけのものだったのよ」


「あるいは私を殺すため、か。自分がいつ再び動けるようになるのか分からないよ。本当の暗殺者はやっぱり君なのかもしれないな」


「ええ、2分後には動けるようになっているといいのけれど」服を着ながら彼女は言った。「私を外に出してもらう必要があるから」


彼は溜息をついた。「どうしてもと言うなら、そうしないとね」本物と誇張が混ざり合った呻き声を上げながら、彼はベッドから抜け出してローブを羽織った。再びドレスアップした彼女の姿を見て、彼はいっそ彼女をベッドを引き戻したい衝動に駆られたが、彼女が出かけなければならないこと、そして自分がローブを羽織るエネルギーを残していただけでも幸運だったことを知っていた。彼は彼女を玄関まで見送り、鍵を開けてから、長いキスを交わすために彼女を引き寄せた。彼の腕の中で、彼女はまるで失われていた自分の一部が今まさに再び接合されたかのように、温かく素晴らしく感じられた。


彼女はキスを絶つ前に、小さな一歩を引いた。「もう行かなくちゃ」彼女は言った。


彼は頷いた。「明日は診察室に戻る。スケジュールを確認して、詳しいメッセージを送るよ。また君に会えるのを今から楽しみにしている」


「私もよ。素晴らしい夜をありがとう、アバナシー」彼女はドアを開け、日差しの中へと踏み出した。アバナシーは彼女が角を曲がって姿を消すまで、できる限り見送っていた。外に配置されていた《ウォッチ》の隊員は、二人とも気づいていない振りをしながら、さりげなく別の方向を向いていた。


彼女が視界から消えるとほぼ同時に、彼は強烈なお腹の空き具合を自覚した。食べ物を作ってくれる近所のカフェまで歩くのと、家に残って自分で食事を用意するのと、どちらがよりエネルギーを消耗するか彼は考えようとした。最終的に、彼は一日中一人で家の中にいたくはない、外へ出て人のいる場所へ行きたいのだと判断した。彼は素早く体を洗い、軽装に着替えてから家を出た。


今度は、隊員はドアが開く音を聞きつけたという動作を大袈裟にしてみせた。


「ああ、おはようございます、ドクター」彼は言った。「よく眠れたようで何よりです。ホンネル隊長から伝言のお手紙を預かっております。今日あなたがお姿を現したらお渡しするようにと言われておりまして」


「ありがとう」アバナシーは手紙を受け取りながら言った。彼は封を切り、素早く目を通した。それは呼び出し状というほど厳格なものではなかったが、単なる招待状以上のものだった。犯人逮捕を祝うプライベートなパーティーが今夜催される予定であり、アバナシーとルシンダの不在は目立ってしまうため、隊長は二人とそこで会えるのを楽しみにしている、という内容だった。8時に馬車が二人を迎えに来るという。アバナシーはかすかに溜息をついた。


「ああ、忘れそうになりました。あなたのアシスタントにも同じ手紙が渡されているとお伝えするよう言われておりました」隊員が付け加えた。


「ありがとう。これで彼女に使いを出す手間が省けたよ」アバナシーは豊富なメニューと静かな個室のコーナーがある地元の食事処へと歩いた。極度に空腹だった彼は、残りの一日をどう過ごすかを考えながら、普段よりも多く食べた。彼は毎週ある程度の時間を体作りに割いていたが、もしヘルギ・ピュアブラッドと付き合い続けるつもりなら、もっと運動量を増やす必要があるのは明白だった。とはいえ、身体の痛みとこれから満腹になろうとしているお腹を抱えていては、今日がそれを始める日ではなかった。彼はレザと話せたらと思ったが、倫理的な観点から、治療関係の境界内で静かに育まれたものであったとしても、公然とした友人関係を築くことはできなかった。彼は『診断手引き』をめくって時間を潰すことも考えたが、診察室に行くのであれば、患者を診るのと何ら変わりがなかった。


その時、ルシル神殿なら自分の暇な手を数時間ほど役立ててくれるかもしれないと思いついた。彼は受けた治療に感謝しており、金銭的にそれを示すつもりではいたが、ちょっとした奉仕活動をするのも自分にとって良いことかもしれない。彼は食事を終え、満腹の腹には少し揺れすぎる馬車に乗った。


神殿自体は、見せひけがましくなることなく人心を鼓舞させるものだった。大きさは中規模で、高価な輸入資材ではなく地元の石で作られており、一流の建築家や技師の仕事を必要としないシンプルなデザインだった。建物の頂上には非常によく彫刻されたルシルの銅像(裕福な信徒の遺産からの贈り物)があり、多くの石が磨き上げられていたため、一日のどの時間帯であっても、屋根からの光が像に反射し、ひときわ眩しく輝くようになっていた。


アバナシーは自分を治療してくれた聖職者を見つけ、さらなる感謝の言葉と短い会話の後、神殿側は喜んでアバナシーを、ちょうど神殿の墓地を維持管理していた小さな信者グループと一緒に働かせることにした。樹木の剪定、雑草の除去、墓石の清掃と研磨、そして新しくやってきたジリスの人道的な引っ越し作業が必要とされていた。最後の作業だけを避け、アバナシーは太陽の下で数時間を過ごし、言ったことの倫理的な影響を考慮することなく見知らぬ人々と会話を楽しんだ。痛む筋肉は彼の突然の奉仕活動に悲鳴を上げたが、自分のしていることに心地よさを感じていた。


身づくろいをして服を着替えるためにようやく帰宅する時間になった時、彼がアドバイスを与えるのを一人の人間に留めることができていた。その男は、最初のデートの前に交際する予定の女性全員と事前に会うことを母親が要求するのは不適切だと、はっきり告げられる必要があった人物だった。労働によって彼は腹が減っていたが、パーティーで食べ物が出されることを知っていたため、帰宅しても何も食べなかった。


ホンネルの手紙には、「好きな服を着ておいで。だが、きちんとした装いをした方が一番楽しめるだろう」と書かれていた。アバナシーは心地よい服装をしていた方が一番楽しめるだろうと思ったが、ホンネルの筆跡には珍しいトーンがあり、まるで彼が笑みを浮かべながら手紙をしたためたかのようだった。アバナシーはそのアドバイスを受け入れることにし、白の長袖シャツの上に黒いシルクのベスト、あつらえの黒いリネンパンツ、そして帽子のリボンに黒いカラスの羽が挿されたパール色のエルフ製ハットに決定した。


迎えの馬車は時間通りに到着した。中にルシンダがいるのを見て、彼は嬉しい驚きを覚えた。


「お洒落ですね、ボス」彼女はニッコリと笑いながら言った。


「ありがとう」彼は中に足を踏み入れながら言った。「ホンネルの手紙でそう提案されてね。君にも同じことが書かれていなかったかい?」彼はドアを閉め、馬車がガタリと動き出した。

「いいえ」彼女は眉をひそめながら言った。「私への手紙には、動きやすい服装で来るように書いてあったわ。今日は一日中忙しくて他に服を調達する時間がなかったから、ロンダの試合を見に行った時と同じ格好を適当に着てきたのよ」

「まあ、目を引く装いだな。きっと大丈夫さ」


「で、お休みの間は何をしていたんですか?」彼女は訊ねた。


「昨日はホンネルと二時間ほど過ごし、今日はルシル神殿の墓地の清掃を数時間手伝っていたよ」


「へえ、だからヘルギ・ピュアブラッドは必死になってあなたを追跡していたのね? 一緒に墓地の清掃に行ったの? とてもロマンチックね」彼女は尾の先で彼の肩をチョンとつついた。


「ヘルギは私の身を案じてくれていただけだよ」彼はそっけなく言った。


「ええ、私がどれだけ『彼は無事で聖職者に治療してもらった』と主張しても、彼女はあなたの家に行くと言って聞かなかったわ。相当な心配ようね」ルシンダは「相当な」という言葉を引き延ばし、同時に眉を吊り上げて言った。


「彼女は私に好意を寄せてくれているんだ」彼は座り直しながら認めた。


「墓地の掃除をしたり隊長と過ごしたりしていない、残りの四十時間あまりの間に彼女と会えなかったのは残念だったわね」


「この話題を収めるつもりはないようだな。それならはっきりさせておこう。そうだ、ヘルギは私の様子を見に来て、昨夜は二人で食事に出かけたよ」


「ほらね? 大したことじゃなかったでしょ。それとも、大したことだったのかしら」彼女はくすくす笑いながら言った。


「前にも言ったが、私は雇用主として――」


「はいはい、でもあなたはここ二日仕事をしていないでしょう。私たちは診察室にいるわけじゃないわ。今回は完全にプライベートな機会よ。それに私が訊いているの! あなたが何をしていたか訊いて、その答えが『ヘルギ・ピュアブラッド』ならそう言えばいいのよ。情報を無理やり押しつけられているわけじゃないんだから」


「一理あるかもしれないな。ところで、君への招待状にこのパーティーがどこで開催されるか書かれていたかい?」


「いいえ。ただプライベートなパーティーで、あなたと同乗するようにとだけ書かれていたわ。連れを伴うのは推奨されていないという印象を受けたけれど」


「私もだ。御者に訊くこともできるだろうが、ここまで来たらどこに向かっていようと進むしかないな」





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