強い酒と血の詩編
「多様で相容れない価値観が混在する世界において、犯罪という概念は決してみな共通のものではない。ある王国では、冷酷な殺人罪を犯せば即座に首切り役人のもとへ送られる。またある王国では、名誉のためにそれが求められ、法によって認められることもある。クシュジェイド共和国では、法の気まぐれにより、反逆罪を完全に立証するためには、検察側がその反逆行為とされる行いが不当であり、なおかつ王国に何ら改善をもたらさないものであったことを示さなければならない。君主の悪口を言っただけで反逆とみなされる王国もある。しかし、すべての国において、死刑に値する重大な犯罪として満場一致で認識されている違反行為が一つだけ存在する。それが『瞬間移動』である。『魔法輸送条約』の下では、死刑制度を支持しない国であっても、瞬間移動の施術者を死刑執行のために他国へ引き渡すことに同意している。魔法を用いて瞬間移動を行うこと自体が違法であるだけでなく、自ら進んで瞬間移動させられることも同様に罪となる。この条約は、瞬間移動によって容易になった数々の暗殺事件やその他の重大犯罪により、数十年間に及ぶ混乱が続いた『飽食の時代』を経て批准された。魔術師たちは寝室や玉座の間のような機密区域を防護する呪文を編み出したが、あらゆる危険を避けて完全な幽閉生活を送れる君主など存在しなかった。瞬間移動が善のために利用できることは疑いようもないが、実際には悪事を企む者たちにとって強力すぎる兵器となってしまったのだ。高額な料金を支払える顧客を喜んで瞬間移動させる、いわゆる『ポーター(転移屋)』と呼ばれる者が今も存在すると噂されている。この著者はまだ一度も出会ったことがないが、もちろん周囲に聞き回ったりはしていない」
――『タイコロスの年代記』より
その日の午後、彼がキャンセルすることになった予約は一つだけだった。サファイア・シティにあるいくつもの賭博場を渡り歩く住民となっていた、一人のトロールだ。最初は単なる娯楽に過ぎなかったが、今では完全なギャンブル中毒に陥っていた。アバナシーは予約を守れなかったことに罪悪感を覚えたが、ルシンダに頼んで、そのトロールを最も早い空き枠に滑り込ませてもらうようにした。左肩の痛みが気になり、残りの患者を診るには格別の集中力が必要だった。仕事に取りかかる前、彼はヘルギのアドバイスに従い、手の傷口をヒーラーに正しく洗浄・治療してもらっていた。かなりの激痛を伴う処置であり、今でも時折うずくような痛みが走っていた。
それでも彼はなんとかやり遂げた。ようやく仕事が終わると、ルシンダは少しの間彼の怪我を心配して世話を焼いたが、彼は彼女を安心させてその日の挨拶を交わした。そして夕食の準備をするために帰路についた。
ゴルトゥクの状況は、彼に倫理的なジレンマをもたらしていた。ミノタウロスが食事を摂れない(あるいは摂ろうとしない)状態は、文字通り彼の生命を危険に晒していた。患者は差し迫った危機に瀕している。しかし、患者と懇意になり、自宅に招くというのは明らかに一線を越える行為だった。それは医師と患者という繊細な関係性のバランスを損なう恐れがある。だがアバナシーは、ゴルトゥクが死んでしまっては関係のバランスも何もないという結論に達し、彼を夕食に招待することに決めたのだった。
そのミノタウロスは以前、家の客人であっても、家主が仕留めた生物であれば一緒に食すことができると話していた。だからこそアバナシーは、獣を狩り、客人としてゴルトゥクを自宅に招いて夕食を共にするという一時しのぎの措置に出たのだ。ゴルトゥクは最初その招待に驚き、次に感謝し、それから少し躊躇いを見せた。しかし最終的には、アバナシーが彼を説得したのだった。持続可能な解決策には遠く及ばなかったが、この問題に取り組むための数日間の時間を稼ぐことはできるはずだった。
アバナシーはミノタウロスが一回の食事でどれだけの量を食べるのか正確には知らなかったが、相当な量だろうと推測していたし、ゴルトゥクは特に空腹であるはずだった。彼は残された時間で、できる限りの肉を調理した。ベストを尽くしたものの、仕上がりは少し歯ごたえが硬くなりそうだった。
ドアを激しく叩く音が聞こえた。ゴルトゥクの時間通りの到着だった。アバナシーがドアを開けると、ミノタウロスはすぐに手を差し出してきた。その手には古びているが頑丈な黒いボトルが握られていた。
「我が家へ招いてくれたことに感謝する。感謝の印として、この贈り物を捧げよう」言葉遣いが格式ばったものなのか、それともその場の思いつきなのか、アバナシーには判別がつかなかった。
「お招きできて嬉しいよ」彼はボトルを受け取りながら言った。「どうぞ中へ」ゴルトゥクが足を踏み入れると、ほぼ同時に、彼の口の周りに小さな唾液の粒が形成され始めた。
「肉の素晴らしい香りがするな」
「では、すぐに夕食にしよう。これは食事と一緒にいただくものかい?」アバナシーはボトルを軽く揺らしながら尋ねた。
「いや、違う。そのボトルの中には、とても古く強力な精霊が入っているのだ。彼は私に三つの願いを叶えてくれた。私はすでに二つ使ってしまったが、お前が三つ目を使ってもいいぞ」
アバナシーは目を丸くした。「ゴルトゥク、これはあまりにも貴重な贈り物だよ」
ミノタウロスは笑い、口から唾液の飛沫がいくつか飛び散った。「瓶の中に古く強力な精霊(スピリット=蒸留酒)が入っているのは本当だが、それは飲むためのものであって、願いを叶えるためのものではない。ただの冗談だ」
アバナシーは微笑んだ。「新鮮な料理を前にして、いい気分になっているようだな。さあ、テーブルに座って料理をお腹に収めよう」二人はアバナシーのダイニングルームへと歩き、ゴルトゥクが腰を下ろすと、椅子が抗議するようにギシッと音を立てた。アバナシーの確信では持ちこたえそうではあったが、椅子自体はあまり乗り気ではないようだった。アバナシーはボトルのコルクを抜き、お互いのマグカップに半分ずつ注ぐと、肉を運んできた。
ゴルトゥクが料理を絶賛し、家主へさらなる感謝を述べたこと以外、まともな食卓の会話はなかった。ほとんどの時間、ゴルトゥクは食べ続け、そのペースと量はアバナシーの予想をはるかに上回っていた。彼は肉を補充するために何度も台所へ戻った。アバナシー自身も少し食べたが、危惧していた通り少し硬く、ヘルギが警告した通り風味に欠けていた。スパイスを効かせたことで多少はマシになったが、ヨロイマジロが食事の第一選択肢になることは絶対にないだろう。しかし、ゴルトゥクは歓喜に満ちた没頭ぶりで肉にかぶりついていた。
アバナシーが彼の食事を遮ったのは一度だけで、自分たちが何を飲んでいるのかを尋ねた時だった。「ミノタウロスの間で好まれている蒸留酒だ。発酵させた穀物と花を混ぜ合わせ、少量の血を加えている。花は心地よい味わいをもたらすが、穀物はかなりのパンチがある。血は明日の朝の回復を助けてくれるぞ」と彼はニッと笑って言った。
前述のパンチは、やってきた時には強烈な左フックのように感じられた。アバナシーはもはや肩の痛みを感じなくなっており、それは恵みではあったが、部屋が時折ゆるやかに回転し始めていた。彼はもう一つ成し遂げなければならないことがあったため、残された集中力をかき集めた。ゴルトゥクのペースはかなり落ちており、アバナシーは彼が満腹に近いのだろうと推測した。
「ゴルトゥク、僕は……君は素晴らしいよ。このお酒は……本当にすごいな。とても……いや、本当に、一緒に飲んでくれてありがとう。だが、僕は……僕の相談に乗ってくれないか?」
ゴルトゥクは重々しく笑った。「お前が今抱えている問題は、休息によってしか解決できないぞ」
「まあ、そうだな、僕は……今夜はよく眠れそうだ。肩を痛めてね……あのヨロイマジロと素手で戦ったんだ、知ってるかい? 上に飛び乗ったんだよ。肩を痛めた。でも今は感じない。うん。今夜の眠りを妨げることはないさ」
「お前の狩りの話を聞かせてほしいものだな」とミノタウロスは言った。
「ああ、良い話なんだ。直で奴に飛び乗ってね。手を切られたが……捕まえたのさ。だが、いや、話は別にあるんだ。まず第一に、肉だが……口に合っていたならいいんだが、もし僕らが……本音を語るなら、僕には少し歯ごたえが硬すぎた。調理の仕方を間違えたのかもしれないが」
「いや、ヨロイマジロの肉というのは元々そういう食感なのだ」ゴルトゥクが言った。
「そうか……よかった。僕の手際が悪かったわけじゃないんだな。だが……」アバナシーは部屋がますます不安になるほどのペースで回転し始めたため、両手をテーブルについて身体を支えた。「だが、僕にはやっぱり硬すぎる。僕は……手元にあるこの肉を全部は食べきれない。それに捨てるのは間違っている。だから、君に……」彼は意識を集中させるために言葉を区切った。次の言葉をきちんと言い切りたかったのだ。「残りの肉を家に……君の家に持って帰ってはくれないだろうか……もし捨ててしまったら、僕は……あの動物を殺したことに罪悪感を覚えてしまう。それに、僕には少々硬すぎるんだ」
「命を無駄にしてはならん。とても寛大な申し出だ、ありがたく受け取ろう。この肉は一切無駄にはしない。さあ、今度は君の狩りの話を聞かせてくれ」
「ああ、なかなか面白い話だよ。ドラゴンか何かが出てくればもっと格好がついたんだろうがね。吸血鬼とかさ。でも真実のままを話すよ。女の子も登場するんだ、彼女が本当に……素晴らしい子でね」
アバナシーは自分の話をした。少なくとも、泥酔状態の語り口で。彼らはそれからしばらく語り合ったが、やがて彼は静かに睡魔に引き込まれ、席についたまま意識を失った。ゴルトゥクは満足げな声を漏らすと、寝室を探して家の中を見回した後、アバナシーを優しく抱きかかえて運んだ。医師をベッドに横たえると、台所に戻って余った肉を包み、調理の火を消し、出がけに確実にドアの鍵をかけて立ち去った。
~----~
昨夜の酒に入っていた血は、結局のところ何の役にも立っていなかった。効いているとしても、全く足りていない。アバナシーの頭はガンガンと激しく痛むわけではなかったが、まるで万力に挟まれ、一分ごとに少しずつハンドルを締め上げられているかのように感じられた。意識を集中させれば左肩の痛みの残り香を感じることもできたが、頭痛が他のあらゆる感覚を追いやっていた。吐いてしまおうかとも考えたが、吐き気があるわけではないと気づいた。部屋は回転していなかったが、ゆらゆらと揺れていた。彼は身体を起こして座り、静かにベッドから出た。床がその場にとどまってくれていたのは幸いであり、彼はほとんど何事もなく台所まで行き着くことができた。突如として襲いかかってきた壁にぶつかり、低い声で悪態をついたことくらいだ。
肉はすべてなくなっていた。彼は安堵の溜息をついた。二日酔いにはなったが、昨夜やろうとしていたことはやり遂げたのだ。彼の家から遠くない市場に露店を構える薬草師がおり、深酒に対する治療法を幾つも知っていた。アバナシーはできる限り身なりを整え(賢明にもヒゲを剃るのは見送った)、市場へと向かった。薬草師は歯が何本か抜けた口でニヤリと笑い、何を飲んだのか説明するよう求めた。アバナシーが「ミノタウロス」という言葉を口にした途端、老人は背を向け、薬草を集め始めた。五分後、老人はそれらを粉末状にすり潰し、水を入れたマグカップに混ぜ合わせ、一気に飲み干すようアバナシーに告げた。
味は少々不快だったが、耐えられる程度だった。彼は口直しの甘いものを求めて別の露店に立ち寄り、果物を一つ買った。その時ふと、自宅の砂時計を見ていなかったこと、そして市場にもそれが見当たらないことに気づいた。診療所へ急がねばならなかった。遅刻していないことを願うばかりだった。幸いなことに、薬草の調合液はすでに効果を発揮し始めているようだった。頭痛は依然として健在だったが、痛みは和らいでいた。それ以上に重要なのは、地面も周囲の景色も正しい場所で静止したことだった。これで足取りも確かに、素早く移動できる。
診療所に近づくと、玄関のドアの前に《ウォッチ》の制服を着た女性が立っているのが目に入った。一瞬のパニックが彼を襲い、それが確実に頭痛を悪化させた。
「中で何かあったのですか?」到着するなり彼は尋ねた。
「鍵がかかっています。ノックしましたが返事はありませんでした。いずれにせよ、看板にはまだあと一時間は開かないと書いてありますが」彼女は彼の全身を素早く見定めた。「とにかく、あなたが『澄徹のアバナシー』ですか?」
「そうです。何か問題でも?」
「私が話すことを許されているのは、新しいメッセージが届いたこと、そしてホンネル隊長があなたにすぐ確認してほしいと望んでいるため、一緒に行こうということだけです」
「新しい……人が殺されたのですか?」彼は恐ろしい予感を抱きながら尋ねた。
「言えることはすべて言いました。ついてきてください」
「わかりました、助手に置手紙を書かせてください」彼はポケットに残っていた買い物リストの裏に素早く何かを走り書きすると、ドアの下に滑り込ませ、女性に向き直った。「馬は連れてきているのですか?」
「いいえ。歩いて二十分ほどの距離です。こちらへどうぞ」彼女はきびきびとした足取りで歩き出した。
自分の居住区で何か起きたのだろうかと思い巡らせながら、アバナシーは後を追った。シルバーデイルに住む重要人物を思い出そうとしたが、思い浮かばなかった。少し辺ぴな場所であり、地位のある人物が好むような壮大な邸宅は(存在するとしても)ごくわずかだった。
十分ほど歩くと、近くにあるアイアン・ボグの境界へ向かっていることが分かった。市の郊外に位置するそのエリアには、広大な沼地の一部と鉄鉱山が含まれていた。鉄はサファイア・シティで初期に発見された資源の一つであり、そのためアイアン・ボグで巨万の富を築き、そこに豪華な邸宅を建てた者たちがいた。昔、行き過ぎた採掘会社が落没穴を作り出し、地上にあった二棟の建物を呑み込み、地下で六人の鉱夫を押し潰して死なせる事故が起きた後、政府は乱掘のペースを抑制した。しかし現在でも、アイアン・ボグには稼働中の鉱山が存在していた。
彼らの目的地が、非常に見事に調度された邸宅であったことにアバナシーは驚かなかった。敷地の上に一軒だけぽつんと佇み、立派な生け垣が敷地の外壁を成し、家そのものの周りには高いフェンスが内側の境界として取り囲んでいた。二階建てに過ぎなかったが横幅が広く、両端にはさらに一階分高く伸びるタワーが備わっていた。鮮やかに塗装された木材が、外観の大きな特徴となっていた。
敷地の外門は開け放たれており、制服を着た《ウォッチ》の隊員たちが何人もその前にたむろしていた。アバナシーの案内役は彼らを通り抜け、二人の隊員が配置された内門をくぐり、厚いチェリーウッドの玄関ドアを通過した。内部では小規模な人だかりが動き回っており、《ウォッチ》の制服を着た者もいれば、市の紋章を身につけた者、何の標識もない者もいた。この注目の集まりようからして、またしても殺人事件が起きたのだと推測するしかなかった。
彼は廊下を進み、台所と食堂を通り過ぎて、タワーの一つへと案内された。二階分の階段を上って三階に辿り着いたが、そこは部屋一つの空間になっているようだった――書斎か、あるいは執務室か。部屋には半ダースほどの人間がおり、そのうちの一人がホンネル隊長だった。
「ご苦労、下がってよろしい」とホンネルはアバナシーの案内役に言った。彼女は敬礼し、階段を下りていった。「新しいメッセージがある」彼はアバナシーの視線を部屋の奥の壁へと向けさせた。彼が立っている場所からは、文字をはっきりとは読み取れなかった。「そして、不運なことに、それに伴う死体もだ」
「誰が殺されたのですか?」とアバナシーは尋ねた。
「ドナス・レイガーだ」
「ドワーフですか? それは新しい傾向ですね」アバナシーは思いを巡らせた。「建築業界というのは、ライバルが殺人に走るほど苛烈なものなのですか?」
「まだその可能性を排除はできないが、望みは薄いな。レイガーの会社はサファイア・シティで最大というわけではないが、業績は良好だった。最近では市から学校を数校建設する仕事を受注したばかりだ。およそ物議を醸すようなプロジェクトではない」
「人間が二人、そしてドワーフが一人。犯人には種族のこだわりはないようですね」とアバナシーは言った。「ですが、三人とも裕福な男たちだ。明確なパターンが存在します。これらの現場のどこかで、盗難事件は起きていないのですね?」
「一切ない」
「となると、富裕層や権力者を憎んではいるが、自身も十分に裕福であるため盗みには興味を示さない者を相手にしているのかもしれません。あるいは、盗みを罪だと考える者か。富は人を腐敗させると感じており、彼らを殺人の標的にたらしめた要因だとみなすものには一切関わりたくない、と考えている人物の可能性もあります」
「富裕層や権力者を憎む者だと? それではろくに候補を絞り込めないな」とホンネルは言った。
「いいえ、ですが犯人について得られた最初の本質的な情報です。それはつまり、暗い路地や貧しい界隈の警護に人手を割く必要がないということも意味します。これは富裕層を殺害し、何らかの方法で彼らの自宅に侵入して手を下す人物なのです」
「言わんとする事は分かったが、人手の割り振りに気を揉むのは私に任せてもらおう。私にとってより有益なのは、メッセージに対する君の意見だ」
「もちろんです」彼は少々不機嫌そうに答えた。「拝見しても? いや、その前に――遺体はどこに?」
「妹がここに同居していてな。彼女が彼を見つけた時、酔い潰れて眠っているのだと思い込み、庭師と共に彼を下の寝室まで運んだそうだ。彼女によれば、彼はあの椅子に座り、ぐったりと力なく背を丸めていたらしい」彼はオークの小さな机の後ろにある、見事な造りの革張り椅子を指さした。
「彼が死んでいると気づくまでにどれくらいかかったのですか?」
「ベッドに横たえた後、靴を脱がせたところで彼がイビキをかいていないことに気づいたそうだ。息を確認し、それから悲鳴を上げたというわけだ」
アバナシーは首を振った。「耐えがたい惨劇ですね。それで、被害者の鼻孔は?」
「前の被害者たちに見られたような褐色の物質の痕跡はない。毒――あるいは何であれ――を盛られた後に自分で鼻を掃除し始めたか、あるいはこの被害者は別の方法で殺されたかだ」
「それは重要な点です。犯人が手法を変えているか、被害者の種族ゆえに異なるアプローチを選んだかのどちらかですね。分かりました、ではメッセージを」
ホンネルは手を差し出し、アバナシーが壁に近づいて文字を調べるのを促した。それもまた例のオークの戦化粧で書かれているようだった。
我らが業は予言されたり
奴らが学ぶことは永久になし
我らが敵に安らぎを与える者
土へと還ることとならん
「骨のある文章とは言えませんね」しばらく考えた後、アバナシーは言った。「最初の二行は基本的な挑発のようです――犯人が何をしようとしているのかあらかじめ教えられているというのに、私たちはそれを止める方法を学ぶことができない。後半については、私たちがまだ誰を相手にしているのか分かっていない以上、彼らの敵が誰なのか、あるいは誰が彼らに安らぎを与えているのかを知る術がありません。ですが一つ言えるのは――この二つの文章を書いたのは、同一人物ではないかもしれないということです」
「筆跡の専門家がすでにここに来たが、その意見には否定的だったぞ」とホンネルは言った。
「ああ、壁に文字を書いたのが誰か、という意味ではありません。その言葉を元々紡ぎ出した人物のことです。これらは基本的に詩です。最初の詩はより直接的なトーンですが、隠された意味が含まれていました――私たちがまだ解明できていない『HED』と、解明された『ボディ・ダイズ』です。それをこの二つ目の詩と比べてみてください。私に見える限り隠された意味はありませんが、トーンはより……そう、詩的です」
「同一人物が、意図的に異なるスタイルを用いて両方のメッセージを作成した可能性はないのか?」
「そうかもしれません」とアバナシーは言った。「すみませんが、そのメッセージについて私から言える考察はそれくらいです。手がかりになるようなものを何一つ与えてくれません」
「医師よ、一つ尋ねさせてくれ。前のメッセージではさらに二件の殺人を予告していた。そのうちの一件がここにある。もし私たちが奴を見つける前に、予告通り犯人が再び襲撃してきたら、それで終わりになると思うか? 予告通りの三件の殺人を終えて、奴は手を引くのか?」
アバナシーは少し間を置いた。「私の見立てでは、イエスです。もしメッセージが嘘ならば意味をなしません。なぜわざわざ書く必要があるのでしょうか? 誤導という可能性も常にありますが、私には自分の声を聞いてほしいと思っている人物のように見えます。犯人の意図は、自分が書いた言葉通りに行動することにあると信じます。もしもう一件の殺人の後に手を引いたとして、五年後に再び殺人の衝動に駆られた時、奴はその衝動を抑えられるでしょうか? おそらく不可能です。ですから、一生涯の誓約というわけではない、というのが私の意見です。また、犯人は自身の言葉を世界全体ではなく、この街に向けたものと考えているかもしれない点も心に留めておいてください。ここで殺人を終えた後、別の街へ移動して恐怖に陥れる可能性もあります」
ホンネルはさらに不快そうな表情を浮かべた。「まさに私が危惧していたことだ。狂った殺人が解き放たれ、サファイア・シティが奴を止められなかったことを誰もが知ることになる」
「その考えがあなたを悩ませる理由は分かります。ですが、あなたには優秀なチームがついていますし、最後の殺人の前に犯人を捕らえられることを願いましょう。まあ、私たちが最後の殺人になると仮定しているだけの話ですが」
ホンネルは鼻を鳴らした。「気が済むまで部屋を見てまわるといい。ただし何も荒らすなよ。何か気づいたこと、特にメッセージについて何かあれば、昼夜を問わずいつでも私を呼びに寄こしなさい」
アバナシーは静かな視線を彼に向けた。「私自身が直接伺うか、あるいは信頼できる助手のルシンダを遣わすかもしれません。彼女には全幅の信頼を寄せていますので」ホンネルがその意図を汲み取ったかどうかは表に出さなかった。彼はただ頷き、別の人物に近づいて会話を始めた。
アバナシーはしばらく部屋を調べることに時間を費やしたが、奇妙に思えるものはほとんど見つけられなかった。いずれにせよ、犯人の精神状態や正体につながるような手がかりは皆無だった。最初の予約が何時だったか判然としなかったため、彼は急いで自分の診療所へと戻った。




