007 上には上の苦労があって
―――アルバニア王国の王城内、会議室。
そこに集うのは、この国の政治を担う国王や将来の王位を継ぐかもしれないその子息たち、大臣やその他官僚たちである。
王国の名がつくのだから、王政ではあるのだが…それでも、国のトップの暴走が無いようにするための大事な政治のかじ取りのために必要なものだ。
そして今、この場の議題に上がっているのは、今年度の従魔召喚に関してのモノだった。
「それで、魔物被害を食い止められそうな期待の星は、今年はどれぐらい出たのか」
「挑んだものの80%…そこから、魔物との戦闘へ向けた学科に就いたものを含めると、もう少し数が減りますな」
「ふむ…そこからさらに戦闘訓練を行って、実戦に行けるまでは…」
「およそ3か月が平均かと」
この世界の人々を襲う、魔物。
その魔物に対抗するための手段である、従魔たち。
その二つの均衡は今のところ、従魔側の数が多い…その強さも上回るものが多いからこそ、人の世の平定が保たれているのだ。
だがしかし、そのバランスはあやふやな物であり、万が一と言うことがあるだろう。
「ゆえに、出来るだけ安定させたいが…量は普通か。ならば、質はどうだ?」
「そこは安心できるかと。グレートコングや大王ホース、フライトペーパーなど多種多様で、状況に応じて臨機応変に対応できるものが多いようです」
「おお、例年だと偏ったりするからな…飛べるものが多かったり、海を行くもの、大地のみのものなどあるが…バランスが取れているのは素晴らしい」
陸海空、その戦力が充実すれば非常時にも備えやすい。
「それと、特異な物の報告が一つ…今年の従魔の中には、人の言葉を話せるものも存在しております」
「ふむ、それがこの報告の中にある…アラクネの、ハクロと言う者か」
「初回の模擬戦で、全従魔に圧勝とか、どれだけの力があるんだ?」
そんな中で、従魔に関して報告に上がってきたのはハクロに関してのモノ。
「こちら、かの賢者が考案し、現在校内の監視システムにも利用されている記録水晶にも彼女に関しての姿が偽りなく、映し出されております」
そう言いながらその場に出されたのは、小さな水晶玉。
かつて、とある賢者が考案した結果、生まれたとされるマジックアイテムの一種であり、近くにある情報を映像記録としてある程度の期間保管できるもの。
これのおかげで、たまになぜかある学園内での、貴族間の婚約に関しての虚偽報告による破棄騒動が激減したともされるのだが、学園内での他の問題事にも対応できるように監視システムとしても利用されている。
また、魔物に関しても情報を得るための道具として利用されるなど、様々な目的で多く利用されているのだ。
「この映像記録に…これが、そのアラクネか」
「従魔…何だよな?なんて…美しい」
映っていたのは、構内の記録映像の中で動くハクロの姿。
白蜘蛛に腰を掛けているような美女の姿に、その場に集っていた者の中で初見の者たちは目を奪われ、情報を早く得て確認していた者でさえも、一時心を奪われそうになる。
いや、単純に彼女の持つ美しさだけではない。
【このぐらい、私の姉たちの方がもっと物理的に重かったので問題ないです】
ブォォンッツ!!
【ウホボウォンッツ!?】
ドッゴォォォォォォォンッツ!!
「うっそだろまじかぁ!?あのでっかい従魔が、軽々とぶん投げられたんだが!!」
「アレは、王国の第2従魔騎士団団長も持つ従魔と同種の…どの怪力ゴリラが!?」
「パワーだけじゃなく、かなり素早いな。それにこれは模擬戦だからこそ本来の力ではないのかもしれない」
明確にわかる、並外れた力。
人では無い従魔という存在であることを理解していても、あの細腕から生み出される力や、目にもとまらぬ速さなど見せつけられる。
「凄まじいな…隣国では今年度、竜種も出たというが、それと互角過ぎるだろ…」
「いや、竜種でもないのに何なのだと言いたい」
「それでいて、あの美しさも…賢者の言葉に天は二物を与えず、イケメンや美女には三物を与えるくせに、と言うのがあるが…まさにそれか」
色々とツッコミどころがあるのはさておき、ハクロの存在はかなり大きいだろう。
「主も従魔騎兵団学科に登録した以上、彼女が今後魔物との戦いにて大きな戦力になるのは間違いないでしょう。とんでもない逸材が今年度得られたと考えれば、国の将来を思えばかなり良かったのではないでしょうか」
「だが…そうなると今度は、その扱いか。国での待遇次第では他国に移る可能性も捨てきれず…」
魔物との戦いで従魔は使えるが…今度は、人同士での争いもある。
その中で桁外れに強い従魔がいたほうが人間の軍隊よりもはるかに優れており…彼女のように桁外れなものがいた場合は、さらに厄介なことになるだろう。
「ひとまず今は、様子見しかなさそうか…」
「他国でも既に、情報を得て接触を考えている者がいてもおかしくはない。魔物に対抗するための国の大事な戦力と言うのもあるから取られないように警戒もしておけ」
過度の接触をした結果、とんでもない愚物に成り果てた歴史もまた存在しており、その事例も考慮してその場の結論が出る。
厄介事の香りもするため、下手に触ることを避けるのであった…
「…ところで、彼女に婚約者はいるのでしょうか?」
「はぁ?従魔だぞ。人間じゃあるまいし…いや、まさか…」
「…しまった、タイプだ」
国も認める重要性
さて、それがどのような影響を与えるのか
それと同時に何か別の厄介事も…
次回に続く!!
…ちょいちょい、転生物のテンプレのようなものが混ざっていたりする




