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006 スルーされがちなことでもあるが

 各々の従魔の力もある程度把握され、コレで今後の従魔学科内での教育内容は決まる模様。


 どれだけの力があっても、その主がしっかりしなければ宝の持ち腐れと言うのもあって、きちんと合わせたものになるらしい。


「で、俺の場合は基本座学が多めか…知識を付けろってことだろうな」

【大丈夫ですよ、主様。主様が例え馬鹿になっても、私はしっかり動けますので】

「馬鹿になる気は無いからね?」



 従魔同士の模擬戦を制したハクロの力から見るに、単純に主を鍛えるだけでは意味がないと思われたのだろう。


 しっかりとその力に見合うだけの知恵も付けなければいけないのもわかっている。




 過去の事例では、強力な従魔を得て天狗になって…そのまま物理的に、夜空の星になってしまったという話も有るため、その力に慢心してはいけないのである。


「とはいえ、今日は皆の従魔は疲れただろう。この模擬戦で誰も大怪我をしなかったのは良いが、従魔騎兵団学科として、最も重要なことは…戦いの後の休息だ!!」


 各々が自分たちの従魔をいたわる中、グラビディウス教師がそう口にした。




 模擬戦なのでそこまで全力では無かっただろうが、それでもお互いに違う力でぶつかり合った以上、多少の疲労はあるモノ。


 それは魔物との交戦時にも言えることで、一時撃退してもすぐにまた出てくる可能性があり‥それゆえに、休むべき時に全力で休んで疲労を取れるようにしなければいけないのだ。




 だからこそ、本日の後半は従魔との休息…まだ出会って日が浅いからこそ、ゆったりとした時間を共に過ごして、お互いに良く知るための時間となった。



「と言いつつも、言われてみれば確かに俺たちの従魔に関して」

「知らないこともあるよなぁ…」

「というかルドラ、お前のその従魔、ハクロさんの方が一番底知れないんだが」

「それを俺に言われても困るんだが…」


 模擬戦での実力が見えたとて、それが従魔の何を知れるのかまでは限られた部分しか見えない。


 だからこそ、こういう時間でじっくりと…



【ギャウギャウギャウウウ】

【ええ、そうですか、そちらのほうは火炎袋があると…】

【ゴルルンブウ!!】

【ふふふ、さっきは不覚を取ったが、次は負けないと…ええ、その次があっても私が勝ちますよ】



「…なぁ、そういえばさっきから思っていたことがあったんだが、良いか?」

「何だ?」

「ハクロさんって、従魔だろ?それはまぁ良いとして…何で、他の従魔と普通に会話が成り立っているんだ?」

「え?」

「あ、言われてみれば確かに…?」



 従魔の存在は、他の世界から呼び出されるもの。


 だからその言語自体は別々の世界のものであり、通じるものは無い。


 召喚者である主との間には多少なりとも気持ちがつながっているという話もあるが、それでも言語の壁は厚いのだ。


 だが…それを考えると、ハクロがかなり不可解なものになっている。


「なぁ、ハクロ。そういえばそもそも、なんで言葉が通じているんだ?」


 召喚した当初から、思いっきり言葉が通じていてうっかりしていたゆえに、盲点だった。


 そう思い、ルドラはハクロに問いかけた。


【え?…んー、逆に何故、皆さんが分からないのでしょうか?みんな普通に話してるはずですよね?】

【ギャウウウ?】

【ウゴウホンッツ】


 ルドラからの問いかけに対して、こてんっと首をかしげるハクロ。


 他の従魔たちも、むしろなぜ彼女のようにわからないのかと言うように、同じ仕草を見せる。




「…召喚される従魔は、基本的にその世界の生活に対して不自由が無いように、召喚されたその瞬間に主に情報が入りこむ様に、従魔自身にもある程度自然に入り込むという話がある」

「先生…」


 どうやらその回答に関して、グラビディウス教師は答えを持っていたようだ。


「彼女が、いや、他の従魔たちが我々の言葉を理解して、指示に従ってくれるのは、その恩恵もあるという研究もあるらしい。実際に、今の召喚陣になる前の形式だと言葉も何も通じないものもいたそうだ」

「へぇ、なるほど」

「今の形の召喚になったから、従魔たちと話が通じるのか」



 考えてみれば、確かにその通りである。


 魔物たちへの対抗手段として呼び出す相手が、こちらの話も通じないものだと、下手をすれば本末転倒なことになりかねない。



「だが、それでも日常生活に支障がないレベルの会話能力になるかと言えば、そうでもない。従魔は獣のような鳴き声を上げても、我々の言葉と異なるものなのだが…」

【普通に話せている私は、どこかおかしいと】

「いや、これに関しては前例がないわけでもない。特に竜種の類だと、たまにだがあるらしい。…しかし、人の肉体に近い形とはいえ、こうも話せるものなのか」


 グラビディウス教師の言葉に、その場が沈黙する。


 奇妙な話でもあり、謎が多いハクロに対して、より一層考えるべきことが増えたというべきか。


【…まぁ、考えていても仕方がないですよ。私は私であるとしか言いようがないですし、今は主様の大事な従魔なのですからね】


 やれやれというように、その場の空気を変えるためか動き、ハクロがルドラをそっと抱きしめながらそうつぶやく。


 つい最近の反省もしてか、後ろに回り込んでの抱き着きのために、窒息死は無いだろう。


 後方の滅茶苦茶柔らかいものが気にならないわけではないが…とりあえず、考え込んでいても今の状況では何もわからないので、一旦皆気にしないことにしたのであった。



「ああ、そうだ。従魔たちも模擬戦で汚れているだろうから、洗い場でしっかりと洗うのも良いぞ」

「おお、そりゃいいな」

【確かに、ちょっと汗臭くなりそうですし良いですね!主様、私も水浴びしてきます!!】

「それも…え、いや」

「「「ちょっとまてぇぇい!!」」」


 他の従魔たちに混ざって、そそくさと水浴び場に向かおうとしたハクロ。


 そんな彼女に対して、全員慌てて止めようとする。


 何故ならば、他の従魔はまだ獣の姿だから良いとして…ハクロの場合、蜘蛛の下半身も有れども、美しい美女の姿も有しているがゆえに、思いっきり公衆の面前での素肌を晒しかねない事態になっていたからであった…



【えー、私は人じゃなくて従魔ですし、問題ないですよね?】

「「「大・問・題しかねぇよぉ!?」」」

この蜘蛛、言葉うんぬんよりも常識の方をどうにかしたい

その思いは間違いなく、この場の皆が考えているであろう

スケベ心よりも、皆の常識のほうが勝っていたようであった…

次回に続く!!


…羞恥心を叩き込むにはどうしたらいいのか

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