045 筋肉の魚
―――道中の騒動はさておき、どうにか無事に林間合宿の目的地に、ルドラたち…従魔騎兵団学科の生徒たちは、その光景を目にしていた。
実戦を含みつつも、多少は遊びの目的もあったので、そのあたりは甘く見ていた部分があっただろう。
だがしかし、現実は砂糖のように甘くはなく、苦いかと言えば…どちらかと言えばこの場に合わせるならば海水のようにしょっぱいものだった。
【ウギョォオオオオオ!!】
【ギョェェェッヅ!!】
絶叫する気持ち悪い声を上げながら、海の中から飛び出す、魚の魔物たち。
海の中にいるからこそ、陸地よりも討伐されにくいのか、その数は非常に多い…はずだった。
そう、今彼らの目の前にいる、従魔ですらない者たちさえいなければ。
「ギョギョギョギョォオオオウ!!今日は久しぶりの、お客様のために!!」
「てめぇらまとめて海のモクズ、いや、モズク、いやいやいや、流れ着いた倒木なんかにしてやんよぉ!!」
【【ウギョオォェェェッヅ!?】】
「…あのー、先生。気のせいか、筋骨隆々な手足を生やした魚の化け物が、人の言葉を話しながら魔物たちをぶっ飛ばしているように見えるのですが」
「ああ、残念ながら気のせいではないぞ。あれが昨今の魔物たちによる海の侵略に憂いを嘆き、自ら立ち上がった…信じたくないが、魔物ではないガチの自然の海産物の、マッスルウォーズと呼ばれる亜人種族の類だ。…人なのかどうなのかはさておき、魔物では無いから注意しろよ」
「すみません、魔物以上に魔物している魔物にしか見えないのですが」
「魔物のゲシュタルト崩壊、起きてないか?」
襲いかかろうとしてきた魔物たちが今、目の前でムキムキな手足の生えた魚たちにぼっこぼこにされているが、あれが王国の学園出発前の説明で聞かされたキンニクムキムキウオ等に該当するという摩訶不思議な海の生物たちらしい。
魔物ではないうえに人に敵意は無く、海を守ろうとする心が熱すぎる魚介類だそうだ。
【…なんというか、凄まじいですね、主様】
【あんなやつら、遺伝子とかいうのを弄って生み出されて、そのまま海に出された人間共の生物兵器以上に、不気味な姿をしているぜ…】
【従魔の皆さまも、それぞれの世界で見たことが無いような、奇想天外すぎる海洋生物に目を丸くしてますわね】
多種多様な、様々な世界から召喚される従魔たちであっても、どうやら目の前の光景は信じがたいものらしい。
ハクロ達が目を丸くしている間にも、魔物たちはぼっこぼこにされて…気が付けば、既に全滅していた。
「ふぅ…おおっと、これはこれは、失礼しましたな。アルバニア王国の従魔騎兵団学科の生徒諸君。我々、マッスルウォーズは、あのような海の魔物たちを見るとぼっこぼこにしたくなるものでな、林間合宿で魔物との実戦を望まれる皆さまの獲物を取ることまではしないように、注意しますぞ」
「安心しなされ。あの程度で、海の魔物たちは全滅しません。皆さまのお相手を行う者は、また出てくるでしょうぞ」
フンスゥッっとポージングを決めながら、そう語るマッスルウォーズの方々。
しっかりと人間たちとの共存を望んでいる集団でもあるようで、この海辺の町でも中々人気のある一団でもあるようだ。
…まぁ、そんな饒舌に話されても、最初のインパクトの強さで皆すぐに反応できないが。
とにもかくにも、幸先がかなり微妙だったが、ようやく林間合宿が始まろうとするのであった…
濃い奴らが出てきたけど、出オチではない様子
まぁ後々もりもりと…次回に続く!!
…人魚もありだったけど、こっちの方が印象が強いかな
でも最近の異形関係のを見ると、テンプレになりつつあるような…




