044 理不尽の殴り返し
『ギガス・アルケミアオーガ』
ギランの本来の、大魔王としての姿。
世界そのものを殴り飛ばせる、規格外レベルの剛腕と、様々な鉱物を精製し武器として瞬時に扱うことができる巨大な錬金術師の鬼。
死した廃鉱山を蘇らせることもでき、鉱山の守護鬼として祀られることもあった。
『クトゥルフ・スキュラ・ベータ』
リリスの本来の、大魔王としての姿。
異界の■■■が、■■するために送り込んだ、■■を有した2番目の先兵。
だがしかし、肝心のその世界で■■を剥ぎ取られたため、常に情報が欠落している。
それでもなお、世界の■■に干渉して知識を得ることが可能なため、異なる世界のモノを扱える。
―――
「…流れ込む情報がきついけど…これが二人の大魔王の姿か」
【あ、そうだぜ。こっちの方が様々なものに強いから転じたわけだが…】
【すぐに皆さまの異常を解決する方法を見つけ、実行したのですわ】
ずずんっと音を鳴らしつつ、見上げて首を痛めないようにする配慮なのか、ルドラを手に乗せているハクロに向き直り、彼女たちはそう説明する。
【ノミにしかけられていた物…これ、ちょっとした威圧で消し飛ばせますからね。でも、数が多いので一人一人掴んでやるよりも…】
【あわせてぶちかましたほうが、一気に消し飛ばせるもんよ。おっと、我が君、一応これでも手加減はしているぜ】
【わたくしたちのこれ、ちょっと間違えると皆さま物理的にも消し飛びますもの】
さらっとえげつない情報を言わないでほしい。
彼女たちの実力を知る以上は、シャレにならないことができるのはわかる。
まぁ、それはそうと今の大魔王大合唱咆哮で、従魔たち全員の動きは止まり、暴走は防げたようだ。
ノミに仕掛けられていたらしいものが消し飛んだのは良いのだが…それはそうと、別の方の問題もある。
「あばばばっ…で、でかっ」
「ししびびび、うごけなっつ」
「思いっきり無差別攻撃になってなかった?」
【全員、私たちの威圧で麻痺しちゃったようです】
威力が強すぎるのも考え物。
単なる咆哮、されども三大魔王と呼ばれる大魔王たちの放つものは桁違い過ぎたようで、守られていたルドラ以外の全員が、動けなくなっていた。
【わたくしたちの、■■■…ああもう、喋りにくいです■■】
【リリスの場合、ちょっと特殊な大魔王ですから、理解できないというか、欠落したものがあるのは仕方がない事ですよ】
【まぁ、我が君にわかりやすく言えば、オレたちが単純に格上だから、その威圧で皆痺れて動けなくなったというだけだがな】
びりびりと痺れまくっている他の人たち。
全てがハクロ達よりも格下であれば、今の咆哮だけで身動きが取れなくなる効果があるようだ。
一応、咆哮を感じないようにしたり、あるいは格上の攻撃もものともしないような猛者であればこんなことにはならないようだが…あいにくながら、そのようなものはこの場にいないということだ。
ただ、動けなくなったのもあって、従魔たちの暴走も無事に収まったが…
「いつまで、この状態なんだ?」
【えーっと、その…すみません、わからないです】
【オレたちの元居た世界でも、この咆哮そこまで効果が無いのが多かったからなぁ…数分ぐらいで、ちょっとした隙を作るだけのものだったし】
彼女たちのもとの世界、どれだけヤバかったのか。
【ついでに言えば、一種の呪詛的な部分も含みますからね、今の咆哮】
「ん?つまり、何かしたのか?」
【ああ、元凶の元へ届くようにしたからなぁ…三大魔王のこの一撃は…】
…同時刻、聖公国アヴァロニスト。
今まさに、荷造りをして逃走に備えた動きをしていた大司教ゲスモンド一味は、混乱に陥っていた。
「た、大変だ、医者を呼べぇぇぇ!!」
「げ、ゲスモンド様が、一瞬で風船のように膨らんではじけ飛んだぞ!?」
「なんだ、なんの呪いだ!?でも生きているぞぉ!?」
「やべぇ、粛清騎士団が全速力でやってきている!!」
「粛清でもなんでもいいから、この見てられない血肉の塊と化したこいつをどうにかしてくれぇーーーーーっづ!!」
突然苦しみだしたかと思えば、次の瞬間には変わり果てた大司教。
何事かすぐに理解できず、それでいて大司教ゲスモンドだったものは、苦しみを味わい続ける。
そして粛清騎士団の手によって捕縛され、治療を施されたが…元々やってきたことが重罪過ぎたのもあり、治すこともほぼ不可能と結論づけられ、後に神の手によって直々に断罪が下された愚者として、記録に残るのであった…
呪詛効果がちょっとだけ
ちょっとの幅がえげつなくないかって…やっちまったものだから仕方がない
そんなわけで、次回に続く!!
…元凶無事にご退場っと




