043 三大咆哮
―――あと少しで、目的地まで到着である。
【同時に、飛ばした盗賊たちの着弾も…うまくいったようだぜ】
「無事に着弾したかどうか、晴れていたら狼煙で送ってくれって手紙があったからな」
見えてきた、海辺の町の手前にある小さな町。
何の変哲もなさそうな場所だが、あそこで聖女様御一行と分かれるポイントになっており、あそこからはより一層厳重な護衛達がいるそうで、今後の道中の安全も約束されているようだ。
【でも、無事でよかったですよね、この道中。最後の賊たち以降は平気ですよ‥‥かゆっ】
【ノミはちょっと嫌ですわね。わたくしはある程度粘液で自己防衛できますけれども、皆さまあそこで一度、洗ったほうがよろしいのではないかしら?】
「それもそうだよなぁ…くっそ、あの賊たちめ、いらない置き土産を…」
かいかいっと全員かいているのだが、いかんせん解決するには洗うしかないだろう。
あの賊たちが確実に、厄介なノミを纏っていたようで、どれだけ不潔だったのか文句を言いまくりたい。
…まぁ、言う前にまず、聞けるかと言う話でもある。心も体も、物理も精神もまとめて、バッキバキになっていたからなぁ。
「というか、リリス、粘液で保護できるならちょっとほしかったな」
【全身覆うタイプなので、剣や盾が滑り落ちますわよ】
残念ながら、人が扱うには都合よくいかないようである。
何にせよ、かゆみもあと少しでどうにかなる…そう思っていた時だった。
【グォ?グ、グググググッォオオオオオオ!!】
「うあっつ!?どうしたシーザーコング!?」
【バルルルルゥウウウウウウ!!】
【馬之助!?】
「っつ!?な、なんだ!?」
【従魔たちが、暴れだし始めましたよ!?】
他の生徒たちと従魔の中で、急従魔たちが暴れだした。
今までゆったりとした旅路で平穏さをかみしめていたのに、平和が全速力で逃亡したとしか思えない。
【何だよいきなり!?従魔が暴れっ…っつ!?】
「ギラン?」
【ぐっつ…!?】
周囲で急に暴れ始めた従魔たちに驚かされる中、ギランも急に動きがおかしくなる。
【これは…ああ、そういう事か!我が君、緊急時だから解放させてもらう!!ハクロ、リリス!!お前らも急げっ!!】
【っつ!?いきなり何を…ああ、そういうことですか】
【我が主、わたくしたちが暴れないように、動かさせてもらいますわ!!】
「ちょっ、皆何を…まさか!!」
【【【---偽装種族解除】】】
何事かと驚く間に、彼女たちは以心伝心したように、動きを合わせる。
その言葉を、ルドラは知っている。
いや、この場で急に使うのは何事かと言いたいが…少なくとも、彼女たちは今、この異変に素早く対応するために、動いたのだと理解する。
「これってやっぱり…大魔王の姿か」
――――――ズゥンンッツ!!
ルドラがつぶやくと同時に、ハクロ達の姿が切り替わった。
白き蜘蛛姫の姿が、漆黒のドレスを纏った、白銀の王冠を有した巨大な蜘蛛の女帝へ。
赤い大地の肌を持つ鬼が、噴き上がるマグマのような、巨大な火柱から這い出るような炎の巨人へ。
妖艶な海の魔女が、深淵に沈み込んだかと思えば、出てくるのは異界の雰囲気を身に纏った外なる神の様な姿へ。
【…大魔王形態、『アラクナー』】
【大魔王形態、『ギガス・アルケミアオーガ』】
【ーーーーー■■■■、『クトゥルフ・スキュラ・ベータ』】
【【【三大魔王、ここに主のもとへ】】】
重厚な地響きを響かせつつ、姿が切り替わったハクロ達。
その圧倒的な威圧感に、周囲から一瞬、音が消え去り…
【主様、耳を少し塞いでください】
【ちょっとばかり刺激的だぜ】
【■■■■…ああもう、わたくしの■■がうまくで■■ですわね】
そっとルドラを手元へ引き寄せ、その耳を塞ぎつつ、すぅっと息を吸った次の瞬間‥‥
【【【オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッヅ!!】】】
びりびりと大地が、空が、何もかもが震えるような咆哮が響き渡る。
ただの大声ではなく、全員の全身を貫く、痺れるような刺激が伝わっていく、
そして静まり返った後には…その場にいたすべてのモノは、動けなくなっていることに、思考が追いつくまでしばしかかるのであった…
【…ゲホッ、コレ、喉きっついのが…】
【はあ、久しぶりに叫べてすっきりしたぜ】
【一緒にそろってやるのは久しぶ■■■ね…ああもう、■■は奪われてないのに、話■■いですわよ…】
合体技の様子
各自の大魔王形態が気になりつつも…次回に続く!!
…シンプルなものだけど、これはこれでえげつなく強い




