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039 悪の華は巻き添えに

…あと少しで、林間合宿の目的地へ着く。


 だがしかし、その前のちょっとした港町まで…どうやら、聖公国アヴァロニストの聖女様御一行と道が同じらしい。


 救助した縁もありつつ、行先がほぼ同じなのであれば、護衛も兼ねたほうが良い。


 もちろんただではなく、しっかりとした商談が教師と騎士の間で行われ、正式な依頼になっているので倫理的な問題は無い。




 しいて問題を言うのであれば…



「…え?工作されていた可能性があるって?」

【そのようですわね。何やら香るものがあったので、少し馬車を探らせてもらったら…国家指定禁止薬物の一種、『魔吸引香』がでましたわ】

【なんだそりゃ?】

【確か…本来は、魔物を罠へ誘い出すためのモノでしたわね】



 魔物の襲撃に関して、彼らは生きとし生けるものを狙ってくる。


 その勢いはすさまじいが、ならばそれを利用してやれということで、開発された道具の一種であったらしい。


 お香のように特殊な香りが出るものであり…人間には無色無味無臭の安心安全なもので、魔物たちを例えば剣山を張り巡らせた落とし穴に誘導したり、あるいは従魔の中でも火力が高い者たちの元へ引き寄せ、まとめて滅ぼすなどの目的で、最初は利用されていたようだ。




 だがしかし、人間とは愚かなものだというように、悪用方法を色々と思いつく人が出てしまった結果…罠としては役に立つのだが、いかんせん人を貶めるための道具としても優秀過ぎたために、国際的に使用が禁止されるものになったのである。



【見つけにくいように、隙間に仕掛けてありましたわね。ふふふ、わたくしの触手ならばどのような場所でも問題なく潜り込めるので意味はありませんでしたが…】

「そんなものが仕掛けられていたってことは、聖女様は狙われている可能性があると」

【その通りですわ】


 ルドラの言葉に対して、うなずくリリス。


 しかし、ならば誰がそんなものを仕掛けたのか。


「そもそも、魔物への有効手段にもなる聖女を狙う馬鹿野郎がいるのか…?」


「…ありえなくない話ですね。心当たりがありますし…」

「あ、聖女様」


 皆と話している中、ふと会話に混ざってきた聖女様。


 今は少し休憩時間であり、皆周囲に警戒をしている中で、どうやら聞こえてしまったようだ。


「というか、心当たりがあるって、どなたにですか?」

「恥ずかしながら、聖公国でも完全に清廉潔白とはいかない方々もおりまして…その中の不浄な者として有名な方がいるので…おそらくは、ゲスモンド大司教かと」


 聖女様曰く、聖なる名を持つ国だとしても、それでもどうしようもない人は出るとのこと。


 その中でも最もやばいので有名なのがその大司教だとか。


「一言で言うのならば、ド級の外道ですわね」

「思いっきりストレート過ぎて捻りも何もない」


 むしろすがすがしいほどの言いきりである。


「流石に放置するわけもなく、近々粛清騎士団が動き出すという話も有ったのですけれども…どうもその前に、国に捨てられる前に巻き添えを出してやろうとする動きをしているという、そんな外道な噂も聞いてますわね」

「うわぁ…自分が捨てられそうになったら身を守るよりも、周囲を巻き添えにしていくタイプか…」

【絶対に、相手にしたくないですね】


 そこまでわかっていながら、なんで大司教と言う立場にまでなれたのか。


 そこには何かと政治的なというか、人間の負の側面が垣間見えそうだが、深く踏み込んでもろくでもない予感しかしない。



 とにもかくにも、今はそんな外道の工作に警戒をしておくほうがよさそうであった…

邪魔者を消すというよりも、面倒事を増やすタイプ

こういうのもかなり厄介と言うかなんというか…次回に続く!!



…ダイナマイトや包丁でも例えられるけど、本当に扱う人次第なのもある


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