035 本人のあずかり知らぬところで、動くものもあるもので
―――アルバニア王国には、港がある。
その場所こそが、王国内の学園の生徒たちが、暑い季節には赴く林間合宿の場。
とはいえ、そう気軽に行ける距離でもなく、特に従魔騎兵団学科の場合は従魔たちと言う特大のお荷物もあるわけで…
「なので、馬車で移動しつつ、従魔もその横を並走して二日かけて向かうようだ」
【重い荷物を馬車に任せての行軍予行演習にもなっているようですね】
どういう移動手段があるのかと思いきや、ほぼ自力での移動。
荷物に関しては馬車で運ぶようだが、この世界においては魔物の存在があるため、道中で襲われないように護衛も兼ねて向かうことになるらしい。
【私はともかく、ギランとリリス、二人とも足は速かったですっけ?遅い場合は、馬車に乗せられますけれども】
【問題ないぜ。お前がこの面子の中で一番速いだろうが、馬よりは早いからな?】
【ふふふ、わたくしも水辺の方が良いですけれども、陸上でもそれなりに動けますわよ。粘液を出して、ぬめらせて滑れば、もっと早いですし…】
【いやそれ、後続が盛大にスリップ事故を起こすから駄目ですよ】
騎乗がメインの従魔が多い分、陸地で駆け抜ける速度は馬鹿にならず、移動に関しては問題ない。
道中で魔物による襲撃の可能性は否定できないが、その時はその場で即座に実戦となるだけで、そこまで問題ではない。
しいて問題を一つ挙げるのであれば…
「時間がそこそこかかるので、食料品が馬車の方にぎっしりになって、人間よりも食べ物狙いの方で魔物以外に野生の獣や盗賊の襲撃もあることかな…?まぁ、獣ならまだいいけど、相手が盗賊の時は…」
【可能な限り、形を残しての撃退…え、何かおかしくないですかね、これ】
単純に言えば、まともな盗賊がかかっていい相手ではないが…魔物相手に使う力を人に向けた場合、悲惨な状況が広がるしかないからと言うのが理由である。
物騒な気がしつつも、彼女たちならば楽にできるのは間違いないと、畏怖を少しだけ抱くルドラであった…
―――林間合宿への準備が着実に進む中、その一方で別の動きもあった。
その動きを、ルドラたちは知らないが、密かに同じ海の方向へ向かっている一団があったのである。
一応は、国に通達の連絡はしており、その周囲には護衛もしっかりとそろっている状態。
そうたやすくは問題を起こさずに、何事も起こることは無く、平穏無事に終わるはずだっただろう。
けれども運命は不思議なもので…交差するときは、迫っているものであった…
さて、いよいよ目指す海
でも何やら不穏な気配もあるような
面倒ごとにならなければいいが…次回に続く!!
…リリスのぬめぬめ走行は機会があれば描写したい
でも集団だと巻き添えがあるから難しいのがなぁ…良い方法ないかな




