036 ゆったりのんびりボックリと
…海へ向かうまでの道中、従魔たちと進む旅路。
魔物がいるこの世界では、道中に襲撃に遭うこともあるが、これだけの集団であればそうそうやられることは無い。
と言うか、むしろ過剰戦力過ぎるがゆえによっぽどのことが無い限りは安全が確約され過ぎているということで、護衛費用節約も兼ねてこっそりと後をついてくるような商人の群れも存在するらしい。
「まぁ、寄生行為は思いっきり違法手段でもあるからこそ、走り込みでの体力づくりも兼ねて、そこそこの速度で振り切るらしいけれど…大丈夫?疲れない?」
【大丈夫ですよ、主様。私たち、こんなのへっちゃらです】
すたこらさっさのさっと軽快な走りで駆け抜けているが、これでもまだ控えめに走っている方。
全速力を出せばそれこそ、一気に海に到達できるかもしれないが、周囲の地形状況の把握や魔物以外にも盗賊に対しての警戒、もしくは非常時の連絡体制などの事情も相まって、皆にペースを合わせているが…
【むぅ、ハクロばかりずるいですわね。従魔としての本領と言うか、我が主をずっと背負うのなら、交代してほしいですわ】
【そうだぜ。俺も我が君を担いで駆け抜けたいぜ】
【駄目ですよ。そもそも、この面子の中で、主様を背中に乗せてなら、私が一番適任ですからね】
【【むぅ】】
ハクロの言葉に対して、言い返せるものが無いのか、口をとがらせるリリスにギラン。
でもまぁ、確かにアラクネの蜘蛛部分の背中に騎乗することができても、下半身が触手でも上半身が中心部に位置するスキュラの彼女や、ほぼ人型のオーガでは騎乗とは相性が悪いのかもしれない。
おんぶや抱っこ、担ぎ上げ等の手段が無いとはいえ…絵面的に少々、普段使いはしにくいだろう。
あと男としてのプライド的に、ちょっと不味い感があるのと、周囲からの目がヤバくなりそうだからそっちの方の対策ができるまではやめておいた方が良いとルドラは思っているが…どうあがいてもどうにもならなさそうなので、半ばあきらめていたりした。
【いっそ、我が主がこう、手のひらサイズの小ささなら違和感はないと思いますけれどもねぇ】
「妖精になれと?いや、無理でしょ」
【変化の魔法をちょっと弄って…いえ、止めておきますわ。これ、昔やらかしてやばいもの出したことがありましたし…】
「やばいものって何をやらかしたんだよ」
そんな怪しい薬に手を出すような真似をしたくはない。
過去に何を出したのかはさておき、そんな怪しいものに頼る気もない。
「まぁ、とりあえず今はこのままで…」
―――ボゥンッツ!!
「っと!?」
【この音は…】
突然響いた音に対して、すぐさまその場にいた全員が周囲に警戒を行う。
何かの攻撃、いや、違う…
「…信号弾!!各国共通の、緊急事態連絡用のだ!!」
「どこかで魔物の襲撃!!」
「信号弾の音は…あっちだ!!」
魔物がはびこるこの世界ならではの、超緊急用連絡手段の一種。
その場に従魔を従えるものがいるとは限らないがゆえに、成功率が低いとはいえ、今回出したものは幸運だろう。
何故ならば今、この場には従魔を従えている者たちが、その数がいつもより多い。
「でもまずは、人命優先!!」
【急いで、向かいますよ!!】
他の生徒たちも急ぐ中、ルドラたちも例外ではない。
ぐぃんっと一気に景色が切り替わるほどの速度で、現場へ急行するのであった…
のんびりした旅路とはいかず、事態はすぐに動く
訓練している生徒たちだからこそ迅速に
そしてハクロ達だからこそ、よりマッハで…次回に続く!!
…分かりやすい物の方が、直ぐに伝わりやすい




