033 新たな部屋
正直言って、従魔が増えることに関しては、そこまで問題もなかった。
基本的には一人一体しかいない従魔だが、何らかの原因で数が増えることだけならば、過去に例がなかったわけではない。
分裂、繁殖…今回のような召喚による追加に関しては無いとはいえ、それでも従魔の数が増えることを、想定していないわけではないのだ。
「そのこともあって、寮室が移動することになったけど…より大きな部屋かぁ」
【過去、超大型従魔が使役されたこともあって、想定されていたようですね】
【タイラントペングィン…ふむ、このサイズならオレたちが大魔王になっても負けず劣らずのやばい奴だったようだな】
【しかし、皆でこの部屋ですのね。仕切りは作れますけれども、まとめられている感じですわねぇ】
従魔が増えたのもあって、今回ルドラにはある別の寮室が割り当てられた。
そこはかつて、アルバニア王国最大の超大型従魔が出た時に作られた部屋であり、多少の掃除が必要とはいえ、それでもかなり広々と使えるようになっていた。
(…まぁ、まとめられている理由は簡単なことだけどね)
この部屋に来る前に、ルドラに告げられている真の理由。
その理由はリリスが言うように、まとめてみられるように…本当にヤバいものたちを迅速に制御できるようにするため。
『いや本当に、ガチで面倒をどうか』
『大魔王クラスなのは、既に上の方に知れ渡っておりますので』
『怒り狂って暴れられた時が、一番不味いので…』
(…国のお偉いさんらしいどこかの大臣とか軍務卿とか、そういう人たちが来るとは思ってなかったな)
秘密と言うのは簡単なものではなく、既にある程度の情報は国が知っている模様。
まぁ、あんな大暴れやらそういうものを隠し通せるわけがないのはわかっているが、それでも全部をルドラにどうにか制御してほしいとは、少々重すぎないだろうか。
「…ま、仲良くしてくれたらいいか…と思うんだけどな」
リリスとギランの二人が来る前に、ハクロに他の大魔王に関して話を聞いたことがあったが、あの時の印象的に三人ともお互いに仲が良さそうなわけでもない。
下手すれば何かの拍子に、大魔王大乱戦大スマッシュブラザーズとかいう、三大魔王大決戦のリスクも考えると、一緒に面倒を見れた方が迂闊な争いごとの火種をすぐに消しやすい。
まぁ、別のリスクとしては、もしもそんなことになれば真っ先に巻き添えになるのが一番近くにいる人物になり…ルドラ自身が犠牲になりかねないというのもある。
「そこを考えてもなお、国としては穏やかに付き合いたいねぇ…」
【どうしましたか、主様?】
「いや、何も」
ハクロ達に余計な心配を抱かせる必要はないだろう。
気にしたところでどうにもならないというか、やらかす可能性が増えるのでやめておくというべきか。
【それならそれで別に良いとして…仕切り、私たちの個室分だけひとまず作っておきましょうか】
【そうだな、オレの場合は鍛冶道具一式も持ち込みたいが、下手すると熱がな…】
【わたくしは、大きな壺があればその中が部屋になりますので、そこまでいらないですけれどもね】
ひとまずは各々、自分たちの好みの場所を作るために動き始めるのであった…
「にしても、本当にでかいなこの部屋。タイラントペングィンのペンペン丸に与えられた部屋と言うけど、実物はどれだけだったのやら…」
【今はもう、いないのか?】
「騎士の方が、魔物にやられてお亡くなりになったんで、従魔も元の世界に戻ってしまったらしい」
いくら従魔が強くとも、主を守り切れずに失い、そのまま戻ったと聞く。
「かなりの巨躯を誇りつつも、周囲一帯を凍らせて自身は楽々と滑って体当たりを仕掛ける超高速氷上従魔だったらしいんだけど…見たかったな」
【どんな戦闘風景だったのか、気になるな】
【そんな従魔を相手にして、主の方を亡くさせるとはどういう魔物でしたの?】
「灼熱の光線を撃ちだす眼玉…ゲイザーの類だったらしいよ。氷が瞬時に溶けて動きが鈍ったところを、焼かれたらしい」
…相性が悪い相手との戦闘だったと聞く。
そうでなければ、今もなお見られていたかもしれないと思うと、ルドラは少し残念に思うのであった。
「ちなみに、資料は残っていたりする。この『巨大従魔100選~君は潰されずに済むか 潰されたいか~』と言う本が作られているよ。今もなお更新されているとか」
【潰されたいかって、そんな好き好んでやる方いますの?】
【今もなお更新…え、これ下手すると私たちも将来載る可能性が?】
【…ありかな?】
新しい部屋はさておき、一応上は認識している模様
何にせよ、このまま新しい部屋で活動しつつ次回に続く
…タイラントペングィンはまた別の機会に




