閑話 他の生徒たちが思うコト
―――従魔騎兵団学科の生徒たちは、思うことが無いわけでもない。
魔物たちと相対し、生涯ともにする相手が…従魔が非常に重要なのは理解しているだろう。
そしてその従魔がどのようなものが出るのかまでは、召喚するまではわからないが、それゆえに一生に一度の出会いとして、その関係を大事にするのは当然のことである。
「だぁ・がぁ・しぃかしぃいいい!!何であいつには、3体の従魔がそろっているんだよぉ!!」
「しかも人外とはいえ全員もれなく方向性の違う美女の容姿を持っているって、どういう確率で得ているんだコレはぁ!!」
「不正が行われたと言いたいのに、召喚陣で不正ができないらしいから正当な方法で行われたとしても納得いかねぇえええええええええ!!」
…まぁ、そんなことを理解していても、思春期真っ盛りな男子生徒たちからすれば、ルドラが3体の従魔を得たことに関してはいろいろ言いたくなることがあるだろう。
そんなわけで今、ルドラを抜いての状態で夜の男子寮の集いが行われていた。
なお、当の本人に関しては、この集いに誘われていないために、寮室でぐっすりと爆睡しているので、そんなことは知る由もない。
「ああでも本当に良いなぁ‥‥戦えないならまだマシだったかもしれないけど、バリバリに戦闘をこなせる面々と言うのが、見た目以外にも良すぎるだろ」
「というか、追加されたスキュラとオーガ…リリスさんとギランさんもやべぇよ!!何あの魔法に怪力!!ハクロさんショックの次に、再び同じようなものがあるとはだれが予想できたかぁ!!」
容姿以外にも、持つ能力の方で嫉妬する者もいるだろう。
なお、この間に彼らの従魔はそれぞれの部屋で爆睡しているので、主の妬み嫉妬恨みつらみその他諸々の怨嗟を聞きようがない。
「はあぁ…羨ましいよぉと思っても、彼女たちの矢印が向くことはあるまいて」
「でも、本当に良いんだよなぁ。リリスさんは魔法で色々やれるし、ギランさんまさかの鍛冶師だったし」
「見ろよ、この間の模擬戦で全員の鎧をぶっ壊しかけたお詫びとして、直してもらったやつ。前のやつよりも、しっくりしているうえに、色々良くなっているんだぜ」
「おお、良いな。こっちは剣も直してもらったがかなりの業物に…いや本当に、従魔がこんなことできるのもすげぇな」
単純に業物と言うか、良いものを貰えば悪い気にはならない。
なんやかんや言いながらも、彼らとて従魔騎兵団学科の生徒たち…将来的に確実に、魔物たちと渡り合うための騎士道を精神に宿すのであれば、単純に妬みや嫉妬を抱え込んで負の側面に向けるだけではいけないことも理解している。
それでもなお…男の子としての思いとしては、やはり消しきれないのだ。
「ああもう、あれだけいるならやっぱり一人は欲しいよぉ…模擬戦後でズタボロなところを、ハクロさんによしよしと甘やかされたい」
「ギランさんも良いぞぉ…あの姉御肌な人は、うっかりすると距離感バグってドキドキしそうで」
「リリスさんも良いだろ。あの触手にからめとられて、一緒に壺の中へ」
「「「え、お前そういう性癖なん?」」」
「何で引かれるのさ!?」
和気あいあいとしつつ、ぼろっと何かこぼしつつ、男子寮の夜は更けていく。
「ふわぁ…っと、やべぇな、そろそろ寝ないと授業でうっかり寝そうだ」
「おっと、そうなると先生たちに叱られる未来しかねぇ…いや、でもその先生が、ハクロさんたちだったらどうよ」
「ぜひどうぞ」
「むしろ全力で叱ってください」
「本望です」
「「「やっぱりお前…」」」
「うぉい!?何でそこだけ団結するんだよぉう!?」
とにもかくにも、これはこれで健全な男子生徒たちの集いはお開きを迎えるのであった…
「…そういや、ハクロさんたちも今、どう寝ているんだろ?」
「普通にベッドで寝ているとか?」
「いや、ほぼ人型に近いギランさんならともかく…いや、彼女たちの体の構造的に普通の寝床は無理だろ」
…その考えは間違ってはいない。
ハクロは天井からハンモックで、リリスは部屋の片隅の壺の中で、ギランは自分のサイズに合わせた鋼のベッドで寝息を立てているが…彼女たちが寝ぼけた時に一番危ないのはルドラだったりするが、それを彼らが知るのはもう少し先である。
力を得た代償と言うべきか、もっとも死に近い場所と言うべきか…
羨ましいわけがない
まぁ、それはそれとしてまとも(?)な人が多い
人間性が駄目な奴がいるとすれば…次回に続く
…人外娘の寝床は良さそうに見えて、うっかりがあったら結構やばそう




