024 面倒事が駆け込んで
―――さて、子供たちとの交流も終わったその日の夕暮れ。
本来であれば、ゆっくりと夕食から風呂へ、そして就寝し明日の授業へ‥の流れの予定だっただろう。
「ついでに、きちんとレポートも書く必要があると…うーん、ハクロが子供たちに埋もれましたっと」
【かなりざっくり省略しすぎじゃないですか?】
さらさらっと書いたが、今のは軽い冗談である。
と言いたいが、本当にその通りなので冗談ともいえない。
何にせよ、大したこともなく平穏に就寝までの準備が着々と進んでいた…その時だった。
【ん-、今日のハンモックはどうしましょうか…緩く手足が入るようにか、ふんわりした感じになるようにか、はたまたは裸になっても大丈夫なものか…】
「一番最後のだけおかし、いっ!?」
【…主様!?】
ハクロの言葉にルドラがツッコミを入れようとした瞬間、一瞬何かの痛みがあったかのように彼が頭を押さえた。
「っつ…、あ、ああ、大丈夫…ハクロ。何か一瞬だけ頭が痛かっただけで」
【え?それ本当に大丈夫ですか?図書室の人間の医学本だと、脳梗塞だとか卒中だとか、やばい話が色々あって怖いんですけれども!?】
「大丈夫大丈夫、本当にほんの一瞬で…って‥あれ?」
すぐに痛みが治まったようで、ルドラはハクロを安心させようとした。
しかし、その瞬間、ある違和感に気が付いた。
「…あれ?おかしいな、なんだこれ…なんの知識だ」
【はい?】
頭の中にあったのは、知らないはずの知識。
そう、例えば召喚陣でハクロを呼んだ時のように、大魔王の姿になった彼女の情報が流れ込んできたときのように…
「種族名称が、『オーガ』に『スキュラ』…」
【オーガ、スキュラ…まさか!?】
ルドラの頭の中に流れ込んでいたのは、知らないはずの何かの姿。
その言葉を聞いて、ハクロの顔色が変わる。
【主様!!私を呼んだ時の、召喚陣、あれいまどこにありますか!!】
「えっと、確か召喚の儀式の後は、大保管室に保管されていると聞いたような…」
基本的に召喚陣は紙で書かれたものを使用し、召喚後は廃棄処分される。
だが、ハクロのような色々と特例が生じた場合は、一時的に保管されることがある。
原因を追究し、しっかりと次年度に何かが無いように研究するための資料として、残され…終わった後は廃棄予定であった。
【大保管室…どこにありますか?】
「確か、召喚に関する研究を行っている、研究所とかだったかな?ここから少し離れた場所で、従魔に関しての情報も色々と記録し保管している場所だとか…」
【…そうなると…ええ、なら祈るしかないですね、何もないことを】
「え”」
何か今、物凄く不穏なことを彼女はつぶやかなかっただろうか。
「何もないことをって…もしかして今、何か起きている可能性があると?」
【おそらくは…で、ですが多分、大丈夫ですよ。彼女たちなら、私より人間との付き合い方は慣れている…はずです?多分、恐らく、きっと…】
「絶対に何かもっと、厄介な話だよな!?しかも言い淀み方的に、嫌な可能性が大きすぎないかな!?」
手を合わせ、希望的観測に祈るようなハクロの言動に不安を抱くルドラ。
どうやら今、とんでもない面倒事が生じたようであった…
異例の事態があった時に、保管され研究される
だが、それが今回の原因になった様子
さて、何が起きてしまったのか…次回に続く
執筆時点(2026/7)、外が暑い通り越して熱い…




