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023 子供は風の子全力の子

ーー魔物たちの、街中襲撃事件から少しばかり時間が経過した。


 季節がゆっくりと歩んでいき、暑さが少しずつ強くなる今日この頃…従魔騎兵団学科の生徒たちは、とある授業に挑んでいた。


【ブモオオオオオオオオ!!】

【ガォオオオ!!】


「わぁ、すっごいすっごいすっごぉぉい!!」

「大きな従魔も小さな従魔もたくさんだぁ!!」



 従魔たちのサービスの咆哮に対して、喜んでいるのは子供たち。


「うわぁ、キラキラした目で見られると、ちょっと気恥ずかしいかも」

「でもわかるなぁ、あの位の小さい時だと、憧れたりするよねぇ」

「純粋なまなざしが、めっちゃ痛い…」



 そんな反応を見て、従魔の主たちである生徒たちも、ぼそりと言葉を漏らす。




 そう、本日の授業は従魔騎兵団学科の学ぶ中では、それなりに重要なコミュニケーションの時間。


 魔物たちを討伐する立場にあるとはいえ、従魔の姿もまた人から外れているからこそ、守られているのに恐れてしまい、トラウマを抱える人が出る可能性だってないわけではない。


 恐れられると、それはそれで士気に関わる可能性も大きくあり得るため…従魔への恐怖心が生まれないようにと、このような交流の場が設けられることがあるのだ。



「うわぁ、お姉ちゃんもなんかすごい!蜘蛛なのに、綺麗!」

「どうなっているの、これ、人が腰かけているとかってないの?」

「なんかいい、こういうのに何か、扉開きそう…」


【あはは…あの、ちょっと、皆さん乗り過ぎ…私、潰れます…!!】


「ハクロに群がっているなぁ…」


 もちろん、従魔としてハクロも例外なく参加しているが、子供たちの山に埋もれている模様。


 一応、力だけであれば他の従魔たちよりも強いので、子供程度の体重であれば本当につぶれることはないだろうが…なんというかこう、よくやっているというか。









【ぜぇ、ぜえ…い、今ならわかりますよ、私の姉たちの気持ち…妹たちに群がられておねだりされまくっていた実際の感覚って、こうなんですねぇ…】

「おつかれ、ハクロ…メッチャ人気だったじゃん」



 軽い従魔たちの紹介や、ちょっとしたレクリエーションも終えた頃には、既にハクロは疲労困憊になっていた。


【何でここ、こんなに子供が多いんですかぁ!!】

「何でって言われても、国立の孤児院だしなぁ。まぁ、国立と言っても正確に言えば、他国共同協定経営のところだけどね」

【…他国共同協定経営?】

「そうだよ。…魔物たちの襲撃によって孤児になった子供たちを守るために、各国が共同で経営している場所なんだ」




…従魔と言う魔物への対抗手段があるとはいえ、場所によっては間に合わず、被害が出た場所が数多くある。


 そしてどういう場所の犠牲者として一番に上がってきやすいのは…子供たちなのだ。


 人を襲う魔物たち、だからこそ親たちは子供を守ろうとして自ら盾になり、失われることがある。


 命がけで守ったからこそ、生還者としては子供が多いのだが…ゆえに、残された子供たちの場所がどうなるのかが問題になる。



 それは国を問わずに問題視された結果、お互いの既得権益や政治的思想などがぶつかり合うことがあるとは言え、子供を守るための孤児院を各国が共同で経営する協定が結ばれているのだ。



「戦争をしている国々もあったりするけど、そういうのにも関係なく経営している場所。それゆえに、あっちこちで子供が集められた結果があの子供の山だよ」

【そうですか、魔物たちの襲撃で…】


 子供の数が多い…つまり、それだけ被害もあるという事。


 普段の生活の中ですぐには見ることが無いのかもしれないが、こういう場所で改めて実感させられる魔物による被害。



「だからこそ、ここに来る子供たちを減らすためにも‥‥今後、しっかり戦わないといけないのさ」

【…】


 


 あれだけの子供たちに慕われた後だからこそ、思うところがあるのか、ルドラの言葉を真剣な表情で聞くハクロ。


【…ふふふ、ええ、主様の覚悟があるのならば、私もしっかりと魔物の殲滅に力を出しましょう。大丈夫ですよ、いざとなれば大魔王の姿で、全部まとめてつぶせますし】

「流石に規模がヤバくなるから、それは本当の最終手段でお願い」


 やろうと思えば、彼女ならばできるだろう。


 だがしかし、あの大きな姿で全力で動くと、確実に魔物以上の被害が出る可能性もあるため、本当にとっておきの最終手段でやってもらうことにしたのであった。


「しかし、ハクロは本当に慕われていたけど…子供苦手なの?なんかちょっと、引きつっていたようだけど」

【あー…いえ、そんなことは無いですよ。ただ、姉たちの苦労も思い出しただけで…いや、本当に昔の私、ちょっと黒歴史消したいですね…】


 姉に対して、何をしでかしたのだろうか。


 

【本当に、出来心だったんですよ。私も苦手な物、姉たちの傍若無人ぶりにちょっと怒って、同じかなと思って…やめてください、お姉様たち、ウナタコギムシの樽漬けだけは…ああっ…】

「…とりあえず、トラウマっぽいなら思い出さなくていいよ。というか、なんだその怪生物っぽいの…」



こういう地道な交流も必要な物

人ならざる者たちだからこそ、しっかりと恐れも払拭はしておきたい

…ハクロのトラウマはさておき、次回に続く

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