022 オニナルモノタコナルモノ
―――空がひび割れ、大地が砕け、何もかもが終わりの世界。
もはや終末を待つだけの、未来無き世界だが…今ここに、既にその先を失った者たちもいた。
【‘ゴゲッベッツ…オ、オノレ大魔…王ニナルハ…】
【うるせぇ、黙れ】
ドグシャァァ!!
【【【ゲベバアアアアアア!!】】】
振り下ろされた金棒の一撃によって、瀕死の重傷だった者たちもまた、直ぐにその命の花を散らしていく。
【ああ、うぜってえなぁ…まったく。あの蜘蛛女がいなくなったら、大魔王の座を狙ってさらに挑む馬鹿が増えたとは】
はぁぁぁっとため息を吐きながらも、ぐりぐりと念入りに金棒で潰し、二度と復活しないようにしておく。
この世界においての死は、終末を迎えつつあるせいか単純なものではなく…壊れた生が与えられないようにするための慈悲でもあるのだ。
【ええ、確かに面倒ねぇ】
そんな彼女に同意するように、ぬるりと何もない場所から現れた別の者。
その彼女の手の中には、ドロドロに溶解した挑んできた者たちの残骸があった。
【そっちもか】
【そうよ。三大魔王の一角がいなくなったとならば、自分がその場に、あるいは他の大魔王も凌駕してさらに上に行ってやると意気込んできた者たちが増えてきているもの。ええ、愚かにもわからないのもあって、かつてのゴミたちのように…】
【確かになぁ…もしや、世界が終わりつつあるのならば、そのようなものに成り果てていくのだろうか】
【物凄く嫌な想像をさせないで】
ふと思いついた言葉を聞き、ぶるりと身を震わせる。
もうこの世界にはいないはずの、自分たちの手で滅亡させた存在…それになるとは思いたくはない。
だが、それに近いものが出つつあるということは、もしかするとあの時点で既に世界は終焉を迎えようとしていたのだろう。
【何にしても、滅亡しつつあるこの世界での高みを目指すのもむなしくはなってきたな…そういえば、あの蜘蛛女はどこへ行ったか分かったのか?】
【十分よ。どうやら召喚されて、別の世界に流れたようだけど…ふふふ、この程度の術式なら簡単に後追えるわね】
いなくなった、大魔王の一人。
その座を狙っての争いが大きくなっている以上、このままいてもいいことは無い。
いや、そもそもこの滅びゆく世界の中で過ごすこと自体に価値はなく…ならば、答えは一つしかない。
【…なら、追うか。あいつの人間嫌いからして、あっちはあっちで滅亡していそうな気がしなくもないがな】
【そうねぇ、あっちがもう滅びていても、こっちよりはマシかも】
にやりと笑みを浮かべ、ふふっと笑い声を漏らしながら、彼女たちは準備を進める。
この滅亡していく世界の中で、見切りをつけて旅立つために…
【あとは、お婿さんいないかしらねぇ。夫がいたほうが、生きているのが楽しいっておばあさまに聞いたことがあるし】
【そっちかよ?まぁわからなくもねぇがなぁ…】
…あとは、ほんのちょっと下心を持った、大魔王たちが動くのであった。
下心ある魔王だっていいじゃない
そうつぶやいても答える者はいない
さて、滅びの世界から…次回に続く
…夏の暑い時期、朝マジで気を付けましょう




