閑話 とある異界の記録者
―――人とは何なのか、疑問を抱いたことがあるだろう。
だが、その答えはこの世界では得られない。
何故ならば…
【…既に大昔、滅亡したと聞くからな】
違う、滅ぼされたというべきか。
それとも、彼女たちの優しさゆえに、滅亡を迎えつつあるこの世界から先に旅立たせてもらったというべきか。
その真偽はわからないし、真に何があったのかということを探るすべは、その世界の記録者には無い。
ただ一つだけ言えるのは、この世界において人間と言う存在を知っているのは、魔王よりもさらに上の存在たちのみのこと。
【そして同時に、魔物だけの世界でありつつも…崩壊の道へ向かうだけか】
この記録を書いているのは、何故なのだろうか。
それは過去にいた人間の記録を見て、ふと考え、付け始めたものである。
日時、感情、その時見聞きしたものや、他者によって異なる観点…様々な記録が面白そうだからということで、真似しているだけのモノだ。
真に人間たりえる記録には及ばず、それでもいないのであればこれがこの世界においての、最後に付けられる記録になるのかもしれない。
【話に聞く、三大魔王ならば…何か聞けるだろうか】
魔王たちの上の存在、大魔王。
その中でも飛び切りのものとして挙げられる、三大魔王…大魔王ならば三大「大」魔王と付きそうなものではあるが、語感が悪いからだろうか。
とにもかくにも、今は無き人間に関して、知っているかもしれない存在であれば、この記録はどう受け止められるか。
大地を砕く、鬼神は高らかに笑うだろうか。
水底から見つめ引きずり下ろす、深淵の主は静かに笑うだろうか。
【---あるいは、この世界のすべてを見る気を失せ、自らの目をほぼ潰した蜘蛛の姫はどう笑うか】
考えていても、理解できるものではない。
大魔王の考え何ぞ、その力にも及ばない虫のような、小さな力しかもたぬものには読み解けない。
だが、それは同時に、大魔王たちにとっては深い孤独をもたらしているだろう。
自身を理解し、そしてともにいるような相手がいない、例え強大な力の持ち主だとしても…結局は、魔王の座にあろうとなかろうと、一人でしかないのだから。
そう思いつつ、滅亡しつつあるこの世界の中で、記録を書き記していくものは新たに綴り、残していく。
願わくは、この記録が世界を渡り、どこかへつながって読み解いてくれるものが現れてくれることを。
あるいは、孤独な魔王たちに対して、その手を持つ者が現れんことを。
そうして今日も、この記録はゆっくりと書き記されていくのであった…
…蜘蛛の目の数って、普通は8個ぐらいらしい
まあ、そんなことはどうでもいいかと思いつつも、次回に続く!!
…世界は多くあるけど、中には滅びゆくものがあってもおかしくはない




