016 荒れ狂え、歌え
【ぐぅっ…主様、メッチャきついですよ!!】
「そりゃ数が多いからね…戦闘は避けたいのに、なんで大量に出てくるんだよ!!」
【グギャギャギャアアアア!!】
【ゴゲェェェエッヅ!!】
「って、言っている傍から今度はコカトリスか!!ハクロ、あのブレスは」
【浴びたら不味そうな感じしかしないので、直ぐに絞めます!!】
いうが早いが、ルドラの言葉よりも早くハクロは動き、糸ですぐさま迫ってきた魔物の首を縛り上げ、そのまま引きちぎる。
大量に出現する魔物たちの発生源らしい場所を見つけたとはいえ、直ぐ後にルドラたちを取り囲んだ魔物の大群。
戦闘を避けるように指示が出ていたが、この状況では戦わざるを得ない。
仕方がなく、それでいて隙を見て逃げ出せるように機を伺っていたとはいえ…魔物たちの猛攻が行く手を阻む。
「というか、流石に街中を襲っていた分を考えても、こっちに来る量がおかしいというか…もしかして、集中して送られてきているとか?」
【その可能性は大いにあり得そうなのが嫌です…!!】
バジュンッツゴギィッヂ!!
【ゴゲエエェブ!?】
今も迫ってきた別のゴブリンが、ハクロの糸に巻き付けられ、モーニングスターの鉄球代わりに利用されて振り回される。
【こうなったら…奥の手を使うしかないでしょうか】
「え、そんなのあるの?この状況どうにかできたりとかするのか?」
【…あるといえばあるんですけれども…それを使うと私、色々と抑えられなくなるので…でも…】
うううーっと悩むような声を出しつつ、考え込む表情をしながら、迫りくる魔物たちに糸を飛ばして縛り上げ、動けなくして、丁寧に引きちぎって投げ飛ばす。
色々とはっきりしないが、どうやらハクロはその手段を好まない様子。
ならば、ここはもうどうにかしてこの場所から逃げる手段を突き詰めていくしかない…と思った、その時だった。
【ああもう、どうしようも…っ!!不味いです!!】
わしわしと髪の毛をもしゃもしゃにしながらも、ハクロが何かに気が付く。
「どうしたの、ハク…ろっつ!?」
彼女の様子に問いかけようとした瞬間、ルドラの身体に一気に負荷がかかる。
それは、ハクロがとんでもない加速でその場を離れようとしたからこそ起きたもの。
普通の状態であれば、ルドラ自身にそこまで負荷がかからないようにハクロが考えて動いているのだが、この動きはなりふり構わないもの。
何が彼女を、そうさせたのか。
ブラックアウトしそうな光景の中、ルドラが見つけたのは迫りくる光線。
おそらくは遠距離から狙った、ゲイザー系の魔物が放ったもの。
至近距離では狙撃前に叩きおとされるか、あるいは回避されるので…それを嫌って、気が付かれるギリギリまで溜めたもの。
それゆえに、その威力は申し分ないほど仕上げられ、ゴリゴリと周囲の建物を巻き込んで破壊して迫りくる。
光線ゆえにその速度も尋常ではなく、多少ならば回避できたとしても…
「…ダメだ、直撃する」
【っ…!!主様、この後、私が色々やらかすかもしれないので、そこは許してください!!】
もう間近に光線が迫り、照らしてくる中、ハクロが叫ぶ。
次の瞬間、光線の直撃と共に…その光を押し戻すほどの業風が吹き荒れる。
それは強烈な威圧であり、圧倒的な強者が自然と放つもの。
着弾の爆発すらも飲み込むような、大規模な力が、その場に解放されたのであった…
…さて、何が起きたのか
実況者の方に、しっかりと告げてもらいましょう…
次回に続く




