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012 嵐の音

…すやすやと寝息を立てて爆睡しているハクロ。


 彼女の体の構造的に普通のベッドで寝るのは難しく、ならばどうやって寝ているのかと言えば、部屋の上に蜘蛛の巣を張り…ハンモックのようにして寝ているのである。


 その下でもルドラがベッドで寝ており、今の時間帯は寮の誰もが寝静まっているだろう。


 いびきがうるさいものに関しては対策が取られているため、その音は響かず、静かな眠りが領内に浸透していた。





【…ん?】


 だがしかし、ふと耳をピクリと動かし、ハクロが目を覚ました。



 すぐに思考が眠りのあやふやな状態から、警戒へと移る様子は、ふだんのほわほわな彼女を見ていては想像しづらいが、その切り替え程度ができないわけではない。


 周囲を見渡して直ぐ近くではないことを認識しつつも、その耳は音を拾った。



【…あ、これ確実に物凄く嫌な予感しかしないですね】


 そうつぶやき、ハクロはすぐに動きやすい服装へと着替える。


【主様、起きてください。何か厄介な…】




フィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッヅ!!

【!?】

「うわっ、なんだなんだなんだ!?」


 ルドラを起こそうとした途端、瞬時に鳴り響く轟音。


 それは今、この場所に災厄が訪れようとしていることを知らせるのであった。














「魔物の出現!?街中に!?」

「うっそだろおい!!こんな時間、いや、魔物の襲撃はいつあってもおかしくはないけど」

「騎兵団もいるようなこの場所に、どこから来た!?」


「落ち着け生徒諸君!!慌てては情報を正しく受け取れないぞ!!」


 突然の警報…国によって定められている超警戒警報の轟音に、たたき起こされた生徒たちが直ぐに運動場へ集い、情報の確認を行っていた。




 突然の非常事態とは言え、それでも届けられる情報は正確な物。


 しかし、それでも得られた情報を聞いて戸惑わないわけがない。


 何しろ、この街中に突如として、魔物たちが襲撃を仕掛けてきたというのだ。



 外から来たのならば、周辺を警戒しているであろう騎士団が気が付かないわけがなく、何者かが内部から招き入れた可能性が高い。



「ゆえに今、警報音で危機を呼びかけ、人々の避難を呼びかけている!!従魔騎兵団学科の生徒たち、戦闘経験が足りないのはわかっているからこそ、無理に戦ってほしくないが、従魔のいない人々も街中にいるため、彼らの避難の手助けを頼む!!」


 魔物に対抗するための手段、従魔。


 この場に集う生徒たちは従魔を召喚できたものが多いが、それでも学園の外を見れば召喚できないままの人も当然いる。


 それゆえに今、この魔物溢れる街中へ出ていくのは危険が伴うが、従魔がいない人々の命を守るためには、他の従魔の力を持つ人々に力を借りなければいけないだろう。




「なお、だからこそ戦闘は極力避け、全力で避難の手助けを行うよう!!今、城からも既に騎兵団の精鋭たちが出動しているため、何かあれば近くの彼らを頼れ!!」


 模擬戦闘で経験を積んでいても、実戦経験は少ない。


 そこも考慮して遠慮なく逃げる時は逃げ、頼る時は頼るように指示が下る。



「ハクロ、お前が強くても俺たちはまだひよっこだ。いざとなれば、指示通り逃げることを最優先にするぞ」

【了解です!!主様のご命令なら全力で世界の果てまで逃げられますからね!!】



 ルドラの言葉に対して、びしっと答えるハクロ。


 彼女がどれほど強くとも、この世界においての魔物との戦闘経験が少ないのは言うまでもなく、模擬戦と実戦でも違いがある。


 だからこそ、ルドラたちも避難誘導を手伝いつつ、戦闘を極力避ける判断をするのであった…



…暴れだした魔物たちの影

この状況でいかにして人々の避難を行えるのか

さて、何かの欲望や陰謀も…次回に続く!!

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