011 嵐の種
―――学園のある街中、その中は色々な人々が生活しているだろう。
従魔を持つ持たないに関わらず、皆ゆったりと今の平穏な生活に対して文句は持たない。
このアルバニア王国の生活のしやすさを見ても、他国から比べると高い平均値を叩きだしており、しいていうのであれば王族全員が従魔を得られていないと言うことぐらいか。
まぁ、その程度ならば問題はない。
従魔を持った騎士たちによる、従魔騎兵団もそれなりの数が存在しており、いざと言う時の魔物の大群にも対応できるように、日常から避難訓練や避難経路の確保なども行われているのだから。
他国でも、魔物に対するための戦うすべだけではなく、逃げる手段としては色々と存在しており、戦えない者は戦えないなりに、手段は確保しているのである。
だが、それとは別に…魔物から身を守る手段が存在しているのであれば、魔物をけしかけて、人々を襲う手段が無いわけでもない。
「…それで、これがその一つか」
「ああ。侵攻手段として研究されている…魔物を利用した混乱を引き起こせるマジックアイテムだ」
悪意によって、より一層危険な手段はさらなる改悪を招くだろう。
その例になるかのように今、街の奥深く、誰も気が付かないような路地裏にて集うものたちがそう口にする、
「自然発生する魔物が、どのようなものなのか研究途上ではあるが…これは、人為的に魔物を生み出し続ける道具だ。正確に言えば無から呼び出せず、適当な場所から魔物を引っ張ってくる転送装置だがな」
「それはそれで凄い発明じゃないか?魔物を対象にしないで、人を対象にしたほうが、どこかの国の街中で、制圧できるだけの規模の兵団を呼び出したりできるだろうに…」
「それがそうも甘くなかったらしい。研究班が人間で試しに実験したら、転送先でぐっちゃぐちゃになっていたようだ。どうも、転送時の負荷がヤバすぎて魔物の肉体じゃないと耐えられないとのことだ」
「うわぁ…」
思いついたはいいが、実際にやると酷い結果になるもの。
だからこそ、目的以外では使えないものだということで、ものがものだけに出すのはためらわれる。
「だが、今回我らが上の方の一人が実験したいということで…この国のでやることが決定したか」
「ああ、この街中ならばそれなりの人口や従魔がいるからな…今年度、新たに増えたそうだし、戦力を減らす目的もあるらしい」
「そういや、噂で聞いたな。なんかすごい従魔も出てきたとか。見ろよ、裏で出回ってきたものだが…」
「おい、今は雑談じゃなくて、セットを進めろ。稼働前にとんずらこきやすいように、しっかりとやらねぇと今度はお前らがぐちゃぐちゃになるぞ」
「「「すみませんでした!!」」」
無駄を省き、さっさと彼らはそのマジックアイテムを仕掛けていく。
自分たちが巻き添えになったら困るので、しっかり逃げられる場所にまで逃げきってから、稼働するように丁寧に仕掛けて…いたつもりだった。
けれども、人の悪意は底知れず。
事前に説明していた内容が、それ通りに進むだけではない。
カチンツ!!
「ん?お、おい、なんかスイッチが入ったぞ!?」
「はぁっつ!?まだ半分も出来ていないだろ!!これで稼働するわけが…」
突然鳴り響いた音に、驚く男たち。
まだこれでも準備不足なので、直ぐに稼働するわけがないかもと思っていたが…それは間違い。
何故ならばすでに、準備は済んでおり、彼らは後は片づけられるだけの運命にあったのだから。
【グォォォォオオオオオオオオオオオオンッツ!!】
「んなぁっ!?ま、魔物!?おい、まだ転送準備はできてな」
ーーバグンッヅ!!
「…よーし、捨て駒共が起動に成功したな」
…町中から離れたとある場所にて、最後に見えたマジックアイテムの光景を…たった今、魔物に喰らわれた男に付けてきたマジックアイテムからの最後の映像記録を見て、そうつぶやく者がいた。
「さて、どのぐらいあのマジックアイテムで魔物が出るか…あとは、アルバニア王国の従魔たちの強さを見せてもらおうか」
今の映像が途切れたとて、他に確認するだけの手段は用意してある。
すぐに操作を行えば、次の映像がいくつも映し出され、混乱の広がる様子が観察できるだろう。
「それに…彼女がどのようなものなのか、気になるからな」
そう言いながら映し出されている映像の中の一つを見て、そうつぶやく。
そこに映し出されていたのは、既に何かの気配を察したのか、動き始めるハクロの姿であった…
悪意はゆっくりと花開く
牙を剥き、そして人々を襲っていく
その中をどう対応するのか…次回に続く!!
…さぁ、良いところへ来たぞ




