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009 たまには頭も使って

 さて、従魔騎兵団学科は何も、全ての授業が戦闘訓練に充てられてるわけではない。


 戦術には当然知識も、それを活かすだけの応用力も必要であり、どのような手があったのか過去に探ることも必要だろう。


 ゆえに、算術、歴史、戦術学…その他座学もまた、学園の学生として修める必要性があるのだ。




【そんなわけで、主様たちが学んでいるときは、自由行動なのは良いですけれども…んん-暇になりますね】


 てとてとてとと構内を歩きながら、ハクロはそうつぶやく。


 主たちの座学の授業中、基本的に従魔たちは手持無沙汰になるもの。


 各々は寮室にておとなしく待機していることが多いのだが…ハクロの場合は人に近い体や理性があるために、寮の外を自由に出歩けていた。



 

【んー…でも、そういえばこの世界に召喚されてまだ知らないことも多いですし…図書室に行ってみますか】


 文字も読めないことはなく、知識があるほうが良いのは従魔も同じこと。


 特にハクロの場合は、こういう人の文明に触れて利益を得やすくもあるため、活用しないわけがない。




 そう考え、ひとまず何が良いのか本を探り…一つの本を彼女は選んだ。


【『魔物学』…そのままですが、結構分厚いですね】


 百科事典…いや、それ以上に分厚さを誇る書物は、魔物に関してのもの。


 この世界において人の敵であり、従魔によって対抗できるものではあるが、それでも未だに謎が多い。


 それゆえに、様々なものが魔物に関しての研究を行っているが、考え方が統一されているわけでもないために、むしろ謎が謎を呼び、それをさらに調べまくった結果…魔物に関しての著書はどれもこれも凶悪な鈍器と言って差し支えないほどの分厚さを誇るようになってしまったのである。






 なお、あまりの鈍器具合に、とある国では何をどう狂わせたのか、知識と物理を織り交ぜた殴り合いの祭典に利用するところもあるというが…どうでも良いとハクロは心の中から思った。



 それはともかくとして、魔物に関しての情報を知っておくに越したことはないため、早速開き、その中身をじっくりと読み解いていく。


【…ふむ】


―――

魔物は人類の、いや、生きとし生けるものすべての敵と言って差し支えは無いだろう。


従来の攻撃手段では討伐しきれず、賢者によってもたらされた知恵が、異界の理の違う魔物…いや、ここでは人の友として、相棒として頼れる従魔として矛となり、討伐することができる。


だが、そもそもの話として、この魔物たちはどこからやってきたのか。


従魔同様に異界なのか?否、彼らの研究を行うと、この世界の理に縛られているために、そうではないのだろう。


では、どのようにして生まれ落ちて…

―――


【…発生方法に関しては、謎が多い。けれども、大体の書物に出るのは人類の敵に、賢者に、従魔…そこは変わらないのですか】


 いくつかの魔物に関する書物を手に取って、さらさらと読み込んでいくうちに、ハクロはその中に共通しているものを目にしていく。


【やはり、賢者の手によって従魔の手段が出来たことで、対抗できたからこそ今があるのでしょうけれども…私の世界では(・・・・・・)…】


 思うところもあり、ぽつりと言葉をこぼした…その時だった。






「ーーーやぁ、従魔のお嬢さん。暇かい?」


【ん?】


 ふと声をかけられたので振り返ってみれば、そこには見かけない顔の生徒がいた。



【どなたですか?従魔騎兵団学科では見かけない顔ですが‥?】

「何、いたって普通のここの生徒だよ。あいにく、従魔には恵まれなかったから、普通の学科に通っているが…何かと話題になっている、蜘蛛の従魔がいると聞いたからね。ここへの目撃情報があったから、話してみたいと思っただけなのさ」



 ハクロの問いかけに対して、その生徒は軽く答える。


 ハクロ自身、従魔としてはいろいろと話題になっていることは多少は自覚しており、噂を聞いてやってくる生徒たちの目を知らないわけではない。



‥‥だからこそ、その目を見て少しだけ警戒もする。


【…少しだけ、嘘ついていないですかね?その目、単純な好奇心だけではないようですが】

「おっと、簡単に見抜くとは。ああ、でも安心してほしい、悪意はない。そう、ただ単に…お付き合い、していただけないかと思ってね」


 ばちこーんっと音がちょっと聞こえそうな、ウインクをしながら答える生徒。


 その軽さに、悪意は確かに無いのかもしれない。


【でも、ごめんなさい。私は主様の従魔なのでお断りしますね】

「くはあ、手厳しいねぇ。まぁ、いいさ。以後、ちょっとはお見知り置きをいただけたらね」


 あちゃ~と言うように手を額に当てて残念そうにする姿に、どこかうさん臭さを感じ取れないわけでもない。


 それでも一応は、本気で悪意があるようには見えないため、ハクロは気にしないことにするのであった‥‥
















「…ふぅ、話しかけることはできたけど…ああ、お付き合いをお断りされるとは、心が痛いねぇ」

「そう言いながら、胸元に忍ばせた盗撮用水晶で、至近距離から撮影しているのはいかがなものかと」

「だって彼女、本当に美しいんだよ!!付き合えなかったのは非常に、非常に、ひっじょうにぃい残念だったけど…うん、ショックを受けていても仕方がない。その姿を収められるだけでも、十分さぁ!!」

「ごまかしているようですが、それでもやはり、付き合えないのはショックではあったようですね…第2王子、ミレフラン様…」

ふられたひとがいるのはさておき、いろいろ学ぶことはある

戦闘メインだけではなく、しっかりと頭の中も鍛えましょう

そんなことをしつつ、そろそろ騒動も…

次回に続く!!




…一つ書きたいところまで、もうちょっとかかるか

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