諦めた趣味について
私は四歳から十年ほどピアノを習っており、そのころからなぜか無駄に自分のピアノに自信がありました。今思うと別に特にうまくもなく、いたって普通だったのですが。
中学生くらいでショパンを始めた頃、親がレッスン代が払えないということであえなく卒業。最後のレッスンではそんなことを知らない先生が、幻想即興曲のレコードをかけてくれて、「次にこの曲をやったら、新しい先生を紹介するね」と言っていたことをよく思い出します。先生の年齢的にも教室を畳む時期だったのかもしれませんが、なんか、見捨てられた感じがしましたね。
結局、その日が最後のレッスンだったと思います。月の最後だったので、もう辞めますとは言わずに帰りました。親から電話もかけるそうだったので。
いつもはレッスンの後も三十分くらい練習させてもらって帰っていたんですが、その日はすぐに帰りました。夏だったと思います。夕焼けが赤くてそれが余計に悔しかったです。空はこんなに焦げついているのに、私の炉は一気に熱を失っていく。火を失った鉄の炉は、冬が来て凍りついてしまったらきっと体中を凍傷にしてしまうのに、きっとこの後手放すこともできずに痛みながら抱きしめてしまう。
そんなデリケートな思春期、酒池肉林の黄金時代を越えて二十五年後、無事に抱え込んだ炉は再点火いたしました。流石にあの頃のように細かく指は動きません、タッチもフェザーではありませんが、普通にある程度弾けます。なんなら、小指は強くなってパワーも質量も上がりました。炉が鉄でできていてよかった、二十年程度では劣化しないから。幻想即興曲も個人的には仕上がっているので、大人のピアノ教室でチェックしてもらう予定です。
ところでショパンといえば、Op33-2がすごく好きなんですよ、陽気で不穏。最後にレッスンで仕上げた曲も多分この曲です。
で、この曲、あの悪名高いリメイク映画、ホーンテッド(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ版)のエンディングで、オーケストラの演奏が流れていたように記憶してますが違いますか?劇中にも流れていたような。私はキャサリン・ゼタ・ジョーンズの顔もスタイルも大好きだったので、全体的には残念なできでしたが、あの映画は好きです。いつかどこかでまた出会いたいものです。




