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私のこと  作者: 魚住 汀
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ベランダと段ボールの船

 父の映画好きの影響で、子供の頃から色んな景色をみました。好きだったのはブレードランナーの街並み、スター・ウォーズのメカ、エッチな事をすると必ず死ぬ森、ウォーターワールドの水の世界、インディアナジョーンズの遺跡など、特にこころに残っています。


 そういう景色を携えて、夕方、ベランダに段ボール箱を置いてその中に座っていました。

 多分、二畳程度の広さの小さなベランダです。真下には、祖母がジャングルにしていた庭が広がり、サルスベリの木だけ特に背が高くひょこっと飛び出していました。その向こうには舗装された小さな川がながれていました。

 西側を向くと、日が落ちていく稜線を見ることができました。赤みが消えていく空を眺めながら、映画のいろんなシーンを思い出して、自分は今航海中だと思いました。ベランダに来るのは大体、ピアノをやめさせられた後で、他にはなにも楽しいことはありませんでした。


 今にして思うと、この航海はとても贅沢な旅だったなと思います。

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