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カモミールティー
バタン、という扉の閉まる音が聞こえて、サラはゆっくり目を開いた。ふかふかのベッドの上、カーテンが閉められた真っ暗な部屋は物音一つない。その空間では細やかな音ですらよく響く。サラはベッドに横になったまま、数回瞬きをした。
夕食後、疲れているだろうからと早々に休むように言われたサラは、レーヴのベッドを使うように勧められて首を横に振った。家人のベッドを使う使用人などいないと提案を断るサラに、
『雇用契約を正式に結ぶのは明日だ。なら今の段階でお前は俺の付き人でも家政婦でもない。ただの客人だ。客人をソファーで寝かせる奴なんていない』
レーヴはそう正論で返した。そう言われてしまえば、サラも返す言葉がない。それからカミーユの後押しもあって、今日のところはレーヴのベッドを使わせてもらうことになった。
持参したナイトドレスに着替えて、相手の厚意を無碍にしないようにとベッドに横になったまでは良かったものの、結局は寝付けないまま今に至る。そして先程の扉の音で、サラの意識は完全に眠りからそちらに移ってしまった。
「……確認するだけ」
暫く悩んだ結果、サラは自分に言い聞かせるように呟くとベッドから出る。冷えた空気に晒されて、ふるりと小さく身体が震えた。
そしてサラは壁伝いに、真っ暗な室内の移動を始めた。




