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最強の魔王が転生したら勇者だったので現代の魔王を討伐することにしました  作者: Mini


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22話 勇者は魔王を討ちに行きます

 翌日……レイはファジア国王に呼び出されていた。


「改めて、勇者の遺品を受け継いでくれたこと……感謝申し上げます」

「自分に扱えるかはまだわかりませんが、勇者の名に恥じないよう全力で尽くします」


 レイがそう言うと、ファジアは深く頭を下げた。

 そうするのが当然……そうするのが当たり前なのかもしれない。しかし、レイはその想いに応えようとしている。ファジアは……いいや、ロスカ国はそれだけでとても嬉しい気持ちになった。

 ファジアの傍にいるビーネは、レイなら……勇者ならやってくれると疑わなかった。

 それはきっと、実力を知っているからなのだろう。


「それで、話っていうのは……()()のことですか」


 真摯にレイが尋ねると、その場にいたもの達の空気が一気にひりついた。

 ファジアは視線を逸らすことなく、レイを見ながら頷く。


「はい。この国だけが持っている情報を……あなたにお教えします」

「……ロスカ国だけが……知っている情報……」


 どうして、この国だけが持っている情報なのかはわからない。

 しかし情報を持っていて教えてくれるならこの際理由なんてどうでもいいと思っていた。

 そして……ファジアは続ける。


「それは、魔王の……ダンジョンの場所です」

「……ッ!?」

「勇者が亡くなって千年の月日が経ちましたが、こう言い伝えられています。魔王は、もう一度同じ場所に現れる……と」


 もう一度同じ場所……そう言われた直後、レイの記憶が鮮明に呼び起こされるように頭を巡った。

 それは、かつて自分のいた場所だったからだ。


(なるほど……そりゃこの国にしかない情報だ)


 レイはどうしてそれが分かるのかと……咄嗟に聞こうとしたがその前にビーネが謝罪しながら話していた。


「騙していたわけではありませんが、黙っていたこと……深く申し上げます。以前の勇者様はこの国で、二度と剣は持たないとおっしゃっていました。そこから彼の姿を見たものはごくわずか……しかしその間も勇者は次の魔王出現に向けて準備をなさっていたのです。」

「勇者が場所を……残したという事ですか」

「そうなります。そして……私とレイ勇者があのダンジョンを攻略した少し前……場所を特定することに成功しました。」


 千年前に勇者は……同じ場所に出現するだろうとその座標を残した。

 そして、その座標と特定した場所を照らし合わせると見事に一致。

 それを言い伝えという都合のいい言い方に置き換えていたのだ。レイは勇者のその行動が末恐ろしいと考えるのと同時に、感謝していた。


(あいつ……次の勇者に託して動くってどういう考え方をしてんだよ。けど、場所が分かったのは本当に助かったな)


 魔王を討ち負かした勇者は……どこまで()()()()()()()。どこまでが偶然で、どこまでが計算されていた動きなのか、レイは分からないことを何度も考えていた。

 そしてその思考を打ち破るかのように、ファジアは声を上げる。


「その場所というのは……海底迷宮、ブルーダンジョンの最奥です」

「……ッ」


(わかってるさ。だってそこは俺がいた場所なんだからな)


 固唾を呑み込み、その場所を聞いたとき……レイは高揚した気持ちになった。

 本当に、魔王が復活したのだと。そう思った。

 かつて自分が根城としていたダンジョン。今度は自分が出向き討伐することになるなんて誰が考えただろうか。

 玉座に座っていたファジア。そしてその横にいたビーネは目の前にいるレイに跪きながら言った。


「魔王討伐を……あなた様に依頼させてください」

「それは叶うのなら、私達は何でもする」


 そのお願いは、レイの心に深く届いた。

 レイは真摯に言う。


「当然です。そのために俺はここへ来たのですから」

「「……ッ!」」


 その場にいた兵士たちも、十歳とは思えない頼もしい勇者の姿に思わず見入ってしまっていた。

 ファジアは跪き視線を落としながら思わず涙が滴り落ちる。ビーネはレイの答えに驚きながらも笑っていた。


「ありがとうございます。それで、その魔王に挑むパーティの話ですが————」

「どうか!私を連れて行ってはくれないでしょうか!」


 ファジアの言葉にかぶせるようにビーネが言う。

 いつになく真摯な顔で言っていたので一瞬だけレイは考えるようにするのだが……


「いいえ。俺一人で行きます」

「……ッ!?」

「なんと!?」


 思いがけない言葉にその場にいた全員が驚く。

 魔王討伐でパーティを組まないのはおかしな話だ。ましてやSランク冒険者のビーネがいる。これ以上ない味方のはずだ。


「どうしてだ!私がいたら、やはり……足手まといになるからか?」


 不満そうにビーネは言った。ダンジョンでのことが頭によぎってしまう。レイは足手まといなんか思っていなくても、ビーネは次に目を覚ました時には攻略が完了していた。そんなのは生まれて初めてだったし、生まれて初めて……自分は足手まといなんだと思ってしまった。

 レイは顔を軽く振りながら否定する。


「違います」

「だったら何故!」


 ベル兄さんやリーシャも、最初は同じことを言っていたような気がする。

 もう……レイはビーネも……自分によくしてくれた人たちを、危険にさらしたくないのだろう。

 レイは優しい笑顔を向けながら口にした。


「自分は、兄の温かさや従者のやさしさに触れ、助けられて生きてきました。今回もそうです。あのダンジョンで、ビーネさんがいなかったら負けていたかもしれません。ですが……魔王と戦うという大事な一戦なのに、俺は……仲間を失うのが怖いんです」

「……ッ」


 この考えは勇者にあるまじき思考だろうか。

 幼稚だろうか。

 そんなのは、自分が一番わかっている。しかし、本心なのには変わりなかった。


「俺は、その仲間たちの為に戦いたい。頑張れって言ってくれるだけで俺は……自分が死んでもいいって思えるほど頑張れるんです。なので大丈夫です」

「答えに……なってないじゃないか」


 言葉を詰まらせながらもビーネはそう言った。

 レイは「そうですね」と答えるだけでそれ以上は何も言わなかった。レイもビーネがいたらどれほど心強いかと考えた。しかし、やはりできなかった。

 それに……


「それに、この戦いは勇者と魔王の物語ですから」


 レイがそう言うと、ビーネは私も連れて行ってと言わなくなった。

 少しだけ寂しいと思ってしまった自分がいたけど、それが宿命なのだから仕方がない。

 


 俺が魔王の時、あいつは一人で来た。

 きっと……それが強く印象に残っていたのだろう。

 真似をするわけじゃなかったけど、あいつも……俺と同じことを考えていたのかなって、たまに思う。



 そこから、更に翌日……レイはロスカ国を出発した。

 何もしないのは性に合わない性格なのか、ビーネはせめて海底迷宮に着くまではお供させてもらうといいしばしの間ロスカ国の聖騎士長は休暇をいただき……レイに仕えるように一緒に行動をした。

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