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最強の魔王が転生したら勇者だったので現代の魔王を討伐することにしました  作者: Mini


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11話 元魔王、現勇者はSランク冒険者のようです

 冒険者は声を上げながらレイに接近する。

 レイはにやりと笑みを浮かべながら、右手を前に出す。


「なっ……!?動かねぇ!?てめぇ!なにをしやがった!」

「この程度の魔術を理解できない時点でたかが知れてますよ」

「……っく、このガキが」

「ガキ……確かにそうですね。あなたのランクはいくつですか?」

「……」


 レイは生成魔術で見えない鎖をつくり、男の自由を奪った。

 その鎖は魔力に反応してどんどん強く縛られるようになる。

 レイを襲った冒険者は当然それに気づくことなく、魔力を練りその場を打破しようとするがどうすることもできなかった。

 体格で言うと何倍もある冒険者。そしてその冒険者は十歳の子供に魔術で負けてしまう。

 これ以上ない屈辱。


(見た所、武器は持っていない感じだからタンク役兼火力担当って感じか……魔力も周りにいる人達より少ないってのもあるからかなりわかりやすかったかな)


 レイは心の中で分析しながらも魔術をいつでも発動できるように警戒していた。

 周りにいた冒険者はその光景を見て唖然と眺めているだけだった。

 冒険者を助ける様子もなく、十歳の子供が大男に魔術で勝ってしまった。

 その事実が現実なのか、区別すらつかなくなるほどに……

 そして、その冒険者は怪訝な顔をしながら口を開く。


「……参った。俺の負けだ。悪かった」

「そうですか。次からは喧嘩を売る相手を考えた方がいいですよ」


 レイはそう言って男を縛っていた鎖を解く。



 直後……男は不敵な笑みを浮かべて攻撃を仕掛けていた。


「バカが……」


 完全死角からの攻撃。

 その攻撃をよけ、振り返りながら魔術を発動しようとするのだが————


「……ッ」

「……お前は!?」


 レイの手首をガシッと掴むフードを被った男。


(なんだこいつ……俺の動きをわかっていた……?)


「そこまでにしてもらおうか。ここは冒険者ギルド。神聖な場所だ。やるなら他所でやってくれ。それに、お前も子供に手をあげるな」

「あ?んだとてめぇ————」

「……わかったな?」

「……わーったよ」


 大男はフードを被っている男の圧に負け、舌打ちをしながらその場を離れた。

 フード男は手首をつかみながら、レイの方に視線を向ける。


「少し、いいかな?」

「あ、はい……」



 冒険者ギルドを離れ、路上裏で話をするレイとフード男。


「先程はすまなかったね。けど、さっきの……わざと鎖を解いたでしょ?」

「……わかっていたんですか?」

「まぁね。僕も一応魔術師をやってるからね」


 フードを外しながらそう言い。紫色の髪がなびく。

 

(まじかよ……俺のあの動き全部わかってたのかよ)


 先程の戦闘、レイはわざと鎖を解き……男の動きを誘っていた。

 あの場にいたもの達は気づいていないと思い込んでいたのだが、この人は騙せなかったらしい。


「そういえば、自己紹介がまだだったね。僕はナリィ……ナリって呼んでくれて構わない」

「ナリさん……その……色々とすみませんでした」

「何を謝ってるのさ……謝るべきはあの冒険者だよ。それにその周りにいた人たちもね」

「……そうですか」


 終始優しい笑顔で話すナリィ。先ほどの威圧感は綺麗に消えていて、レイは少し不気味に感じていた。

 肩を竦めているレイを見て、ナリィは視線を空に向けて口を開く。


「Sランク冒険者かぁ……ものすごく久しぶりに現れたんじゃないかな」

「そんなに珍しいものなんですか?」

「珍しいも何も、この世界にSランクは数人しかいないよ?その場に立ち会えただけですごく価値のあるものだ。君の年齢でSランクは初めて見たかも」

「……その、ナリさんはどのランクなのですか?」


 レイが聞くと、ナリは笑いながら応える。


「僕はAランクだよ。長い事冒険者をやってるけど君ほどの魔力を持った人は見たことがない。ねぇ、もしよかったら僕とパーティを組まない?」

「パーティを?」

「うん、ずっとってわけじゃないんだけど、僕だけじゃいけないダンジョンなんだ」

「……ダンジョン?」


(もしかしたら、魔王のいる所か?)


「あ!もちろん嫌なら全然断ってくれて構わないよ!」


 ナリィは慌てながらそういい、レイを気遣ってくれていた。

 パーティ……一時的に組み即解除も可能……だがレイはもう答えが出ていた。


「すみません。やめておきます」

「……そっか。君も何か目的があるみたいだね」

「そうですね」

「君のような子は本当に初めてだよ。その年齢でSランク冒険者になり、魔力も歪で邪悪に近い。一瞬魔王なんじゃないかって思う程にね。でもきっとその反対、君は勇者のような子だ」

「……そ、そうですか?」


 ナリィの言葉にレイは少し動揺してしまう。

 けれどナリィはレイの反応を見ながら「冗談冗談」と笑みを浮かべて流していた。


(はぁ……あぶねぇ。やっぱこの人ただものじゃないわ)


 レイは息が詰まりそうになりながらもその場をなんとかやり過ごし、ナリィはこの場所を離れようとし、振り返ってレイに言葉をかける。


「それじゃ、またどこかでね」

「はい。ありがとうございます」


 その後ろ姿を見ながら、ナリィの奥底に眠る魔力に一瞬だけレイは気づく。


「……ッ!?」


 なんだ今のは?

 さすがに……冗談だよな?

 見間違いだと信じたい。

 でも……確かに感じ取ってしまった。

 奥底に眠る……邪悪な魔力を。


 ナリィはフードを被り、ポケットに手を突っ込みながら歩く。


(ふ~ん……これは楽しくなりそうかな)


 そう心の中で独り言つ……ナリィであった。



 レイは再度、冒険者ギルドに入り……掲示板を目にする。


「ん~っと、Sランクの依頼は……ないか……って、え?なにこれ」


 その掲示板に書かれていた内容にレイは驚愕した。

 レイはすぐさまあたりを見渡す。


(心なしかみんなが俺を避けているような気がする)


 それもそのはず。先ほどの戦闘を見てしまったもの達はレイがSランク冒険者だと認めてしまったのだ。

 そして、数ある冒険者ギルドの掲示板にはこう書かれていた。


『新たなSランク冒険者誕生!彼は勇者の生まれ変わりなのか!?』と。


 当然だ。Sランク冒険者はめったに現れることなく数人しかいないと聞いた。

 現れればすぐに拡散するだろう。

 レイは額に手を当てながら溜息を吐く。


「マジで勘弁してくれよ……」


 レイはそうして、冒険者ギルドをとぼとぼと離れていくのであった。

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