表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ 】婚約破棄された追放聖女は、もふもふ公爵に愛される  作者: 新 星緒(コミカライズ3作品連載中)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/25

19・事件の顛末

 事件から丸一日が経ち多くのことがわかり、その一方で謎も増えた。

 まず、魔獣の群れが現れた原因は、オーバンが割った水晶で間違いないそうだ。魔王様が、破片に高度な魔法の痕跡があることを確認した。


 問題はそれを誰が作ったかということだ。オーバンにはそんな技術も魔力もない。それに魔獣の出現に、心底驚いた表情をしていた。

 だけど彼に入手経路を訊くのは、不可能だ。


 王太子オーバンは魔獣の攻撃により死亡し、また反逆罪などのたくさんの罪状により王族から除籍され、一庶民として裁かれて遺体は野に捨てられた。

 今回だけでなく、先日の魔獣襲撃はオーバンによるものらしい。現場にいて瀕死の怪我を負い、昨日意識を取り戻したばかりの近衛兵が、証言したのだ。『陛下を出迎えにきたオーバンの従者が、魔獣が現れる直前に水晶を誤って落として割り、焦っていた』、と。


 この二回の魔獣襲撃で何人かの死者が出ている。たとえ陛下に愛されている王太子でも、厳罰に処すほかなかった。


 ――ということに、表向きはなっている。

 事情聴取をする必要から、オーバンは何人もから治癒魔法を受け、一命を取り留めた。

 だけど、怪我のショックからなのか記憶をなくし、発語もできない。しかも顔には大きな傷が残り、オーバンだとはまったくわからない容貌になってしまった。

 彼は城の地下牢に秘密裏に幽閉された。記憶が戻るのを待つらしい。


 本人からは知ることはできなかったが、オーバンの侍従やイザベル、捕らえた神官への聴取で、水晶は彼が誰かから買ったものだということが、わかった。

 そしてオーバンは水晶は秘密の魔道具で、『魔力を注ぎながら口にした言葉は、水晶を割ったときにその場に居合わせたものにとって、真実になるもの』だと信じ込まされていたらしい。

 

 でも専従侍従ですら、売主がわからないという。いつのまにかオーバンは手に入れていて、どのように入手したのかは頑として教えなかったそうだ。


 これからはその売主を探さなければならない。

 売主の目的は、恐らく国王暗殺だと思われる。それに十年前の件も同じ人間の仕業だとすれば、なぜ期間があいたのかとかの疑問も多い。

 早急に解決しなければならなくて、だから、クリストフ様も協力することが決まったそうだ。彼の嘘を見抜ける力は、優れたものだから。



「ところで、どうして嘘がわかるのですか」

 クリストフ様にそう尋ねると、目がすすすっとそらされた。

「誤魔化さないほうがいいですよ」とコンラートが言う。「この先のことを考えたら、絶対に」

「この先って?」

 と尋ねると、コンラートが返事をするより早く、クリストフ様が

「エヴリーヌ嬢!」と私を呼んだ。

「フェンリルは狼系魔獣だから、人間より色々と発達していてわかるんだ」と、クリストフ様。


 どういうこと?

 説明されているようで、その実なにもわからない。


『わふん』とクリストフ様が吐息する。

「つまり、鼻が効くんだ」

「鼻ですか」

「そう。嘘をつくとき人間は緊張で汗をかくようだ。その匂いで、わかる」

「匂い……」

「決して、その、変な意味で言っているのではないぞ。嗅ぎたくなくても、わかってしまうのだ」


 早口でそう言ったクリストフ様は、弱々し気な目をしている。


「女性からすれば、匂いを嗅がれるのは気持ち悪いだろう。だが、どうにもならないのだ」

「私もクリストフ様の匂いを吸いたいので、おあいこではないでしょうか」

「いや、積極的に吸いにいっているエヴリーヌ様のほうが微妙……」とコンラートが呟く。


 確かに。


「嫌ではないか?」と不安そうに尋ねるクリストフ様。

「ええ」

「よかった!」

『わふん』と可愛い声をだして、クリストフ様は安心したかのようにしっぽを振った。

 とても可愛い。

「もふもふしても、いいですか?」


 どうぞとの返事にあごの下に抱きつき顔をうずめる。

 嘘に関することよりも、彼に質問しなくてはいけないことがある。

 陛下が提案した結婚について、知っているかどうかを。

 でも、どうしてなのか、ドキドキしてしまって訊くことができない。




 たぶん、私は『エヴリーヌと結婚するつもりなんて微塵もないよ』と言われることが、嫌なのだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ