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ヴァルハラの戦士たち  作者: カナタ
‡家族を思ふ心‡
4/7

声がそろった瞬間、髪を結った男は、もう一人を睨み、茶髪の男は、狼のような視線をあっさり受け流した。

「けっ……契約っ?」

 声が上ずる。

何だこいつらは。敵? 味方? 契約ってなんだ? 

ジョルジュの頭の上に多数の疑問符が浮かぶ。

「俺が先に見つけた獲物だぞ、黙っていやがれ、サンダー」

「先に着いたのはオレでしょ」

 サンダーと呼ばれたのは茶髪。

二人はしばらく言い合う、というよりかは黒髪の文句を茶髪がさらっと受け流しす。

そのやり取りが何度か繰り返された後、二人は同時にジョルジュを見た。

「お前、ヴァルハラを知ってるか?」

 黒髪が問う。

 ヴァルハラ……確か、同じ時に戦場へ送られた兵士から、チラリと聞いたことがある。

なんでも、選ばれた兵士のみが行くことのできる聖地だとか。

兵士は皆、その最期を迎えた後、ヴァルハラに行けることを願っているらしい。

 彼らが自分に何を聞いているのか。

質問の意味がわからず、ジョルジュは黙る。

「……あー、めんどくせぇ。早く答えろッ!」

 苛立たしそうに足でリズムを刻みながら、黒髪が再度問う。

「ま、まぁ、チラリと聞いたことはありますが……」

「そっか! じゃあ、自己紹介!」

 ジョルジュが答えると、語尾に星がついていそうなくらいの軽い口調でサンダーが言った。

そういう性格なのであろう。

黒髪よりは扱いやすそうだ。

「俺からだ、馬鹿」

 怒気のこもった声で黒髪が、前に出てきていた茶髪を押しのける。

「うーん……ま、いっか。いいよエド。先言って」

 急にあらわれて、勝手に話を進めていく二人を、ジョルジュはただ唖然と見つめることしかできない。

こうしている間に、襲撃でもされたらどうするのだ、と内心では憤りさえ感じている。

んじゃあ、と黒髪が姿勢を整える。今さらか、と思うが、口には出さない。

「俺は、イーグニス・エドワード。ヴァルハラの戦士だ。

俺たちのことは、人間たちには余り知られていないみたいだからな、一応言っておこう。

ヴァルハラに行くには、俺たちヴァルハラの戦士と契約を結ぶことが第一条件だ。

ただ功績を残しただけじゃだめなんだ。

ヴァルハラ、ヴァルハラ、ってお前達は言うが、肝心の俺たちがいないと話にならないのを知らないらしいな。

……しかし、お前は運がいいな。

普通は、もっと功績を残した奴とかが選ばれるはずなんだが、最近は心持が重視されるらしい」

偉そうだ。凄く。

黒髪のエドワードは、ジョルジュの苦手なタイプだった。

俺は、昔の方針がいいと思うがな、などとぶつぶつ言っている。

それを押しのけて、茶髪が口を開いた。

「オレは、ヴィロンディ・サンダー。エドと同じで、ヴァルハラの戦士だよ。

オレ達は、ヴァルハラに来る魂と契約を結んで、ヴァルハラに連れてくるのが仕事なんだ。

別に、君たちの言う『お金』とかをもらってるわけじゃないから、仕事っていえるかどうかはわからないけどね。

とにかく、今日は運のいい君に、二人もヴァルハラの戦士が来ちゃったってわけだから、君は俺たちのどっちと契約を結ぶか、決めなきゃならないんだ」

どうやら運がいいらしい。

それにしても、こちらの話も聞かず、よく話す奴らだ。

当のジョルジュは、何も意味がわかっていなくて、二人の自己紹介、及びヴァルハラの説明は全くの無意味となっている。

解ることは、彼らの容姿は抜群だということだけだった。

「オイ、話を聞け」

 苛立ちを隠し切れていないのか、隠していないのか。怒気を含んだ声で呼ばれ、ジョルジュは鳥肌が立つ。

 エドワードのほうを見ると、背中から、人間にはあるはずのない物が生えていた。


短編じゃないですね。

なんだか長くなってしまうのです……;

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