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ヴァルハラの戦士たち  作者: カナタ
‡家族を思ふ心‡
3/7

ベルクール・ジョルジュの実家は農家である。終わりのない戦いのなか、田舎の彼の家は安全地帯ではあったが、軍に送る


ための多額の税金により、苦しい生活を送っていた。

ジョルジュの父は、彼が幼い頃に徴兵された。

初めのころは、電報が定期的に届いていたが、それも一年前に途絶え。

今では生死も解らない。

そのころから、母の身体が、更に脆くなっていった。

もともと体の弱い母は、持病が悪化。

手術をしなければならないが、そのための金がない。そんな時だった。

街の至る所に、兵士急募の張り紙が張り出された。なんでも、負傷者が多いため新しい法を導入したらしい。

兵士になることを希望した者には、褒美として金が手に入るのだ。

母の手術のためには持ってこいの法だった。

軍に入れば金が手に入る! しかも高額!

幼い時から女手一つで育てられてくれた母を、ジョルジュは心の底から大切に思っている。

それ故に軍に入ることに少しのためらいもなかった。

母の病が治せる! 

即急に兵士が必要だったらしい。

ジョルジュはすぐに戦場へ送られた。

 爆風、爆音、巻き上がる砂埃。砂埃。砂埃。

ジョルジュが派遣されたのは砂漠地帯だった。

 初めてみる戦車、銃器、腐った死体。長らく戦場となっているそこは、腐った死体(それ)が所狭しと落ちていた。

四六時中考えているのは、病院に残してきた母、そして、同じ境遇にいるであろう父のことばかり。

病院へ、電報を何回送っただろうか。

ちゃんと届いているだろうのか。

待ちに待った母からの返事は、最後に手紙を送ってから二週間後に届いた。

『来週手術の予定です。ジョルジュ、くれぐれも気をつけて。お願い、無理はしないで。必ず帰ってきて』とのことだった。

 砂まみれになって懐に入っている手紙を、ギュッと握りしめる。

手術は成功しただろうか。元気でやっているだろうか。母が心配でたまらない。

幸い、ジョルジュが派遣されたところは、余り人気がない。あるいは隠れているのか。どちらにしても、ここにいれば今は安全だった……はずだった。

 少なくとも、二人のどこの軍とも見分けのつかぬ輩が、同時にこちらへ向かってくるまでは。

「ひぃッ!」

 思わず後ずさる。並みの威圧感ではない。

こちらへ向かって走ってくるのは、髪を結った若い男と、先の男より少し若い濃い茶髪の男。

髪を結った男は、二丁の銃器を腰から下げているが、茶髪の男は武器を何も手にしていない。

この戦場でどうやって生きてきたのだろうか。不思議なことに、二人とも無傷だった。

彼らは、張り合っているかのように、お互いを見合いながらすごいスピードで走ってくる。

 砂埃を上げて、同時に到着。まくしたてるように話し始めた。

「よぉ、お前が、ベルクール・ジョルジュだな? 俺と契約しろ」

「君、ベルクール・ジョルジュ? オレと契約しない? 悪いようにはしないからさ」

ここまで読んでくださっている方はいるのでしょうか…… ^^;


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