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完璧令嬢の辺境開拓記〜私を捨てた王太子が国を傾けている間、私は辺境を世界一豊かな地にし、私は運命の人と世界一幸せになります〜  作者: 虹の箸
誠実魔王のスローライフまちづくり

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次鋒戦決ッ着!!

激突する二つの規格外のエネルギーが、ついに決着の瞬間を迎えようとしていた。


「おおおおおッッ!!」

前当主レオンハルトが、闘技場の空気を全て吸い尽くすかのような深い呼気と共に、全身の筋肉を鋼鉄以上の硬度に圧縮させる。放たれたのは、防御など一切考慮しない、己の全存在を乗せた渾身の右ストレート。


対する烈魁皇は、あえて一歩も退かなかった。


「打ッッ!!」

レオンハルトの巨大な拳が顔面を捉えるコンマ一秒前、烈魁皇は極限まで脱力した状態から爆発的な『発勁』を放ち、その拳の側面を正確に打ち据えた。


ガアァァァァァァンッッ!!!

闘技場全体が激しく揺れ、衝撃波が暴風となって観客席に吹き荒れる。


土煙が晴れた後――そこには、静止した二人の姿があった。

烈魁皇の額からは一筋の血が流れ落ちている。しかし、直立不動のまま一切の体勢を崩していない。

一方、レオンハルトの巨体は微かに揺らぎ……ズシンッ、と重い音を立てて、闘技場の砕けた石畳の上に片膝をついた。


「……見事だ。ワシの渾身の一撃の軌道を、僅かな力で逸らしおったか。完全に……ワシの負けだ」


息を切らし、滝のような汗を流しながらも、レオンハルトの顔にはこれ以上ないほど清々しい笑みが浮かんでいた。


烈魁皇は静かに構えを解き、深く一礼した。

「否ッ! 貴様のその恐るべき筋密度と闘争本能、我が四千年の技をもってしても完全に殺し切ることは叶わなかったッ!」


烈魁皇は片膝をつく前当主

に歩み寄ると、その巨大な右腕をガシッと掴んだ。

「もう十年あなたが若ければ、今ここに膝をついていたのは私の方だったッ! 見事なる武であった!」


烈魁皇は自らの力でレオンハルトを力強く引き上げると、そのまま彼の手を天高く突き上げた。自分ではなく、死力を尽くして戦った好敵手の右手を『勝者』のように掲げたのである。


一瞬の静寂。

そして、闘技場を埋め尽くす人間と魔族から、地鳴りのような万雷の拍手と大歓声が沸き起こった。


『ウオォォォォォォッ!!』

『すげえ! 両方とも最高のおとこだぜ!!』


実況席のチャチャが、興奮で声を裏返しながら叫ぶ。


『き、決着ゥゥゥ!! 次鋒戦を制したのは魔王軍・烈魁皇選手!! しかし、なんという美しい光景でしょうか! 種族も陣営も関係ない、これが本物の武人同士の絆ですッ!!』


隣の自称格闘評論家ゴードンも、手ぬぐいで目頭を押さえながら深く頷いた。


『……言葉など不要。互いの魂をぶつけ合い、そして認め合う。これぞ闘争の行き着く至高の形。素晴らしい、実に素晴らしい試合だった……!』


「そうか! 負けてしまったか、だが父上も烈魁皇殿も最高の顔をしているな!」


沸き返る大歓声の中、烈魁皇とレオンハルトは互いの肩を叩き合い、全てをやり切った最高に爽やかな笑顔と共に、肩を並べて闘技場を後にする。


ただ肉を食らい酒を飲むだけでは到達できなかった『真の相互理解』が、彼らの拳を通じて、確実に人間と魔族の間に芽生え始めていた。


お読みいただきありがとうございました。

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