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 ロメオのおごりで酒をしこたま飲んだあと、酔いつぶれたリュカを宿屋まで運んだ。幸せな夢の中にいるリュカは、どれだけ乱暴に扱ってもまったく起きるそぶりを見せない。ベッドに寝かせて鎧を脱がせるのは一苦労で、終わったころには腕が吊りそうになっていた。

 

 「それじゃ、僕はこれで失礼しますよ。リュカちゃんによろしくお伝えください。呪いの鏡が手に入らなかったのは残念ですが、とてもいい経験が出来ました。ステラさんたちは、これから魔王討伐の旅を続けるんですよね?魔王城に火事場泥棒しに行くつもりなんで、討伐のほう、よろしくお願いしますよ」


 「まったく抜け目ないな。平和よりも金か」

  

 「そうだ、せっかくだからこれ差し上げますよ。リュカちゃんが持ってたほうが、なにかと役に立ちそうなんで」

 

 ロメオが差し出してきたのは、例の獣人のセットだった。

 

 「これ持ってて大丈夫?また呪いが暴走してリュカが変になるんじゃないか」


 「今回みたいに、呪われたほうが助かる場面もあるでしょ。呪いの解除方法は、ミアちゃんに伝えておきましたから」


 ミアが10ページにも満たない薄い冊子をひらひらさせた。


 「これが呪い解除の魔法が書かれた魔導書だそうです」

 

 「しょぼい呪いだって最初に言ったでしょ?あんなもの誰でも解除できます。今後はリュカちゃんと獣人の呪いをうまくコントロールして扱ってあげてください」

 

 ラミアを倒す決定打を放ったのは、呪われた状態のリュカだった。もし呪いがなければ、ミアは魂を奪われ、ステラたちは命を奪われていたかもしれない。そう考えると、呪いも使いようだと言える。ミアがコントロールしてくれるなら、まあ問題はないだろう。

 

 「色々助かったよロメオ。またどこかで会えるといいな」


 「金目のものがあるところにロメオあり、ですから。嫌でもまた現れますよ!」

 

 「待ってくださいロメオ様」

 

 ミアがロメオの背中に声を投げかけた。

 

 「ん?僕と別れるのが寂しくなっちゃいましたか」

 

 「そうじゃなくて、ちょっと鞄を開けて中を見せてもらえますか」


 「な、なんでそんなことを?」


 「いいから」

 

 「あっ、ちょっと!勝手に開けないで!」

 

 何が気になるというのだろう。ロメオから強奪した鞄を開け、中を覗き込むミア。

 

 「…やっぱり。あの遺跡から財宝をこっそりくすねて来てたんですね」

 

 鞄の中には、確かにラミアの遺跡に眠っていた財宝の一部が詰め込まれていた。

 

 「最初に会ったときは鞄が軽そうだったのに、さっきからじゃらじゃら聞こえるからおかしいと思ったんです。ロメオ様、いつの間にこんなに盗んできたんですか」

 

 ラミアの瞳のように赤く輝く宝石を摘まみ上げ、ロメオの目の前に突き出す。

 

 「えっとですね、ミアちゃんが捕まって、ステラさんが戦ってた時くらいですかね。隅っこのほう探したら、結構色々転がってたんで」

 

 「はあ?お前、私たちがピンチの時に泥棒を?」


 これは聞き捨てならない。ステラはミアの隣に並んで、ロメオを問い詰める。

 

 「ああもう、そんな怖い顔しないでくださいよ。分かりました。一個あげます」

 

 「一個で足りるか。半分よこせ」

 

 「ステラさん、あなた山賊とかのほうが向いてるんじゃないですか」

 

 ぶつくさと文句を垂れながらも、ロメオは盗んできた財宝の半分を渡してきた。取るものは取った。これで本当にお別れだ。

 

 軽くなった鞄をふらふらさせながら、ロメオは苦々しい笑顔とともに去っていった。

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