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「おはようございますリュカ様。よく眠れましたか?」
薬を無理やり飲まされたリュカは、ほどなくして幸せな夢から現実へ戻ってきた。
「う…頭が…。私どれくらい眠ってたんでしょうか」
「昨日の夜からですので、ほぼ一日中ぐっすりお眠りでしたよ」
「あの、ミア様」
「なんでしょう」
「どうして私は縛られているのでしょうか」
リュカが起きる前に、逃げられないようベッドに拘束せよと命じてきたのはミアだった。夢の内容についてこれからじっくり詰問するつもりだろう。
「さて、どうしてでしょうね」
「その、ミア様が手に持っているのは…」
「鞭ですが」
「どうしてそんな物騒なものを!」
バシン、と鞭が床を打つ。
「ずいぶん気持ちよさそうにお眠りでしたが、どんな夢を見ていたか覚えてますか?」
「夢?いえ、何も覚えていませんが」
鞭が再び床を打った。四肢は縛られて動かせないので、唯一自由に動く首を回してリュカがこちらを向く。
「ステラ様!私が寝ている間になにがあったんですか!」
「すまんが私に助けを求めないでくれ。これは君の問題だ」
「心当たりがまったくないのですが」
「とりあえずミアに謝ったほうがいいんじゃないか」
「何について謝ればよろしいのですか」
3度目の床への打擲。そろそろ下の階の客から文句を言われそうだ。
「ステラ様は余計な口を挟まないでください。リュカ様にお聞きします。クローディアというのはどなたですか?」
「…なぜその名前を!」
ミアに気圧され、部屋の隅で小さくなっていたチロルにリュカの視線が向けられた。
「ちょっと。どうしてこちらを見るのです。まさか…寝ている間に魔法で口を割らせたとでも?なんて信用のない!チロルがそんな卑劣な女だと思われていたなんて!」
「いえ、そういうわけでは」
「リュカお姉さまはご自身で仰ってたんですよ。クローディア、クローディアと何度も寝言で」
「う、うそ…?」
リュカは恐る恐るミアに視線を戻そうとしたが、圧に負けて途中で顔を俯けた。
「私は怒っているのではありません。ただ質問に答えてほしいんです。クローディアという方との関係について」
助け舟を出してくれないかという一縷の望みをかけて横目でこちらを見てきたので、ステラは黙って首を横に振った。
「彼女は…クローディアは…、私が一生をかけて守ると誓った人です」
その答えを聞いて、ステラとチロルは静かに部屋を出た。ミアが怒り狂うかもしれないし、ショックで泣き崩れるかもしれない。どっちにしても関わると厄介なので、避難しておくのが吉だ。




