↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
続けて。魔王は私が倒すから  作者: 遠海 流


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
228/255

228

 「道を間違えたんじゃないか?こんな朽ちかけたような村に目的のブツがあるわけない」


 吹けば飛ぶようなぼろ家が立ち並ぶだけの通りが、一応は村のメインストリートのようだ。住民の姿はなく、畑もすっかり荒れ果てている。しばらく使われた形跡のない井戸や、枯れ葉の積もった道。人が暮らしていれば、もう少し手入れがされるはずだ。

 

 「けど教えてもらった方向に歩いてきましたし、間違いないと思います。ステラ様じゃないんですから、こんな簡単なルートで迷うはずもありません」


 方向音痴なのは事実なので、なにも反論できない。


 「しかしですよ、目的の植物はおろか、雑草の一本すら生えていないじゃありませんか。これじゃ到底期待できませんね」


 「そんな!リュカ様を早く目覚めさせてあげないといけないのに」


 「まあまあ、そんな焦らなくても大丈夫ですよ。例の植物はそう珍しいものでもないので、ここに無くてもほかを探せばいいんです。それにしても人っ子一人いやしないなんて、もしや魔族に滅ぼされた村なんですかね」

 

 人間がいない代わりに、蛇やイタチなどの野生動物が我が物顔でうろうろしていた。だが人がいなければ敵の気配もしないので、そう身構えることもないだろう。


 「せっかく来たんだし、一応探すだけ探してみるか」


 「蛇が。蛇がこっち見てます。ステラ様、やっつけてください!」

 

 ミアが飛び上がり、ステラの後ろへ回り込んできた。


 「なんだ、こんな小さい蛇くらいでビビるとは情けない」


 武器を使うまでもなく、ステラは蛇を蹴り飛ばして絶命させた。蛇が潰れる瞬間、ぷぎゅっという湿った音が静かな村に響いた。


 それからしばらくして、ステラの行く手を阻むようにして二匹目の蛇が現れた。心なしか、さっきの蛇よりも敵意むき出しに見える。


 「私がなにしたっていうんだよ。おらっ!」


 牙を突き立てようとしてくる蛇を、枯れ葉の積もった溝へと蹴り落とす。


 おかしいと感じたのは間もなくのことだった。


 「こ、これで十匹目ですよ。ステラ様、どこかで蛇の恨みでも買ったんですか⁉」


 少し歩くたびに蛇が現れ、しかもちょっとずつ大きくなっている。違和感を感じ始めたのは六匹目あたりからで、十匹目となると小さめの大蛇サイズだ。

 

 「悪いが心当たりはない。しかし本当にどうなってるんだ。こいつら明確な殺意をもって私を襲ってきてるし、倒すたびにサイズも大きくなってるぞ」


 「チロルとミアちゃんには見向きもしませんので、ステラお姉さまだけがターゲットって感じですね。となると、ステラお姉さまに恨みを持つ人物が操っているとか、そっちの線が考えられるんじゃないでしょうか」


 「思い出してください、ステラ様。誰に恨まれてそうか!」


 「ごめん、多すぎて分かんない」


 料金を踏み倒した酒場の店主、二日酔いのゲロでベッドを汚した宿屋の女主人、接触禁止のキャバレーで、酔った勢いで襲いかけた踊り子。人間だけでも思い当たる節が多すぎる。それに魔族や獣などを加えると、指を十本折っただけでは数えきれない。リュカと出会うきかっけになった狼男への理不尽な殺害。一人旅をしていた時には、悪党と間違えて善良な騎士団を壊滅させたこともある。


 「どんだけひどい人生送ってきたんですか!」


 「だってぇ…」


 「ステラ様、よく今まで闇討ちとかにあいませんでしたね。私が被害者なら、絶対復讐しようと思いますけど」


 「危険人物と旅をしてる自覚が持ててよかったじゃないか。今後はもっと気を引き締めていけよ」


 過去は消えないので開き直るしかあるまい。


 小さめの大蛇サイズの蛇が、ステラに噛みつこうと向かってきた。さすがに足技だけで対処できるレベルは超えていたので、村に来て初めて剣を抜き、蛇の体を真っ二つにした。


 「どうせまた次のが来るんだろ」


 「いったんどこかに避難しましょう。ほら、奥のほうに教会らしき建物がありますよ!さすがに教会の中にまで入ってきませんよ。チロルが保証します」


 おんぼろの教会に駆け込み、建付けの悪い扉を閉めて一息つく。チロルの言う通り、十一匹目の蛇が襲ってくる気配はなさそうだ。


 「しばらくここで休ませてもらおうか」


 ステラが椅子に腰を下ろしかけたとき、調律の狂ったオルガンの音がひとりでに鳴り響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。