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ステラにとってはもう慣れたものだが、他の三人は自分の身に起きたことを理解できずにいた。説明を求めるように一斉にこちらを見てきたので、ステラは一言。
「あいつの能力で時が戻ったんだよ」
その短い説明で納得したのはチロルだけだった。
「ははあ、そういう事ですか。これはまた随分と厄介ですねえ」
ミアとリュカは互いに顔を見合わせて首を傾げているが、詳しく話している時間は無さそうだ。
「真っ二つに裂くなんて、お姉ちゃんひどい。斬られたら普通に痛いんだからね?」
「私はお前にその何百倍も痛いことされたんだよ」
「妹の遊びに付き合うのはお姉ちゃんの役目でしょ」
「お前を妹と認めたつもりはないが、どうしても私の妹を名乗りたいなら…」
リュカによって倒された魔物の死体から比較的扱いやすそうな剣をもぎ取り、ネラに投げて寄越す。
「時間を捻じ曲げる卑怯な戦いなんてせず、正々堂々勝負しろよ」
剣を掴んだネラの拗ねたような表情は、いたずらを咎められた子供のようだ。こうして見ると、まるで本当の妹のように思えてくる。
「そっちの得意な土俵に持ち込もうってわけ?ずるくない?」
「時を操るほうが明らかにずるいと思うが?」
同意を求めて仲間たちを振り返ると、三人ともこくこくと頷いていた。
リュカの後ろに隠れながらも、ミアが威勢よく援護射撃を送ってくる。
「時間が戻ったとかよく分かりませんけど、何されても無かったことにできるなんて卑怯じゃないですか!」
「そうだ、言ってやれ!」
「チロルも魔王さんの能力には疑問を感じます。ステラお姉さまを手に入れたいのなら、逃げずに真向から剣を交えるべきでは?」
「よし、リュカもなにか言え!」
「え、えっと…」
「君はミアが絡まないとほんとダメだな。もういい、下がってろ」
ステラ、ミア、チロルの三人からぎゃあぎゃあと文句を言われたネラは、顔を真っ赤にして震えだした。
作戦通りだ。ステラと遺伝子を同じにするネラなら、必ず挑発に乗ってくると考えたのが当たりだった。自分のことは自分が一番よく分かっている。
「…誰に向かって口きいてんの」
「誰と聞かれたら…そうだな。人間相手にびびって、能力使わないと戦えない臆病者ってとこか」
あと一押しだ。挑発に乗せてしまえばこっちのもの。
ネラが剣を左手に持ち換え、右手の平を服の裾で拭う。手汗をかきやすい体質もステラと同じのようだ。
「いいよ、やってやる。かかってきな、お姉ちゃん」
いくら美容に気を遣ってステラと差別化しても、中身は同じ人間だ。短気で血気盛んな血が、ステラとネラの両方に流れていることが証明された。




