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「ステラ様が…二人?」
ネラと対面したミアが困惑するのも無理はない。顔のパーツはほとんど同じで、違う点といえば美容への気遣いと服装くらいだ。
「あんた僧侶でしょ?出会い頭に魔法ぶっ放すなんて、ずいぶん好戦的だこと。どういう教育してんの、お姉ちゃん」
「お、お姉ちゃん?」
ミアがステラとネラを交互に見ながら、素っ頓狂な声を上げた。
「ステラ様に妹がいたなんて知りませんでした。双子さんですか」
「あー…色々事情があるんだよ。双子ってわけじゃない。私も正直よく分かってないんだ」
「なにやら複雑な事情がありそうですけど、とりあえずこの人は敵ってことでいいんですか?もしそうじゃなかったら、いきなり吹き飛ばしたことを謝ります」
「安心しろ。敵だ」
「なら良かったです」
拘束された時に脱がされた鎧と剣は、部屋の隅に雑に置かれている。ステラがそれを取りに行っても、特にネラは何も言ってこなかった。武装したところで自分には勝てない、と高を括っているのだとしたら、舐められたものだ。
部屋に空いた穴を振り返り、ネラが肩をすくめる。
「マジ最悪。また魔王城壊れてんじゃん」
「いい保険屋を紹介してやろうか?」
「魔法で作った建物は魔法でしか再建できないの。もう私の魔力使うの嫌だからね。部下たちに魔力が枯れるまで働いてもらう」
下っ端の魔物が聞いたら絶望しそうな宣言をしたところで、リュカがネラの前に進み出た。
「ここに来るまでに、ほとんどの魔物は刀の錆になりましたよ」
それを証明するように、リュカの剣には血がべっとりと付着している。彼女の鎧には、魔物を切ったときに出た粘液やら臓器の破片やらも付いていた。ステラが返り血を浴びれば野蛮な雰囲気が増すだけなのに、なぜかリュカなら爽やかに見えてしまう。
「ねえ、そこのハンサムな子。確認なんだけど、正面入口から入ってきた?」
「あの悪趣味な門の…」
「ああうん、そこそこ。ってことは、門番を倒して大広間も通ってきたってことだよね」
「はい。ちょうど食事の時間だったようで。魔物がたくさん集まってましたね」
「広間にさあ、牛の頭で下半身人間の筋肉質なやついなかった?」
「いましたね。倒しましたが」
「マジかあ。あいつ魔王城で一番剣の腕が立つやつなんだけど。お姉ちゃん、相当強い戦士を仲間にしたんだね」
ネラはステラに話しかけたのに、答えたのはミアだった。
「そうですよ、ステラ様のそっくりさん!美しさとカッコよさ、そして強さを備えた完璧な戦士。大陸中を探してもリュカ様のほかにいませんよ。間違っても魔王軍に引き入れようなんて考えないことですね。私が先約済みです」
誰も盗ろうとしていないのに、リュカの腰に抱きついて恋人を死守するミア。煮え切らない態度だった以前までと比べて、ドラゴン襲撃事件以降はミアの積極性が増している。チロルと、今は亡きファリナのおかげだと言えるだろう。リュカは相変わらず、ミアのこととなるとナヨナヨしているが。
「え、待って待って。ってことは魔王城、ほぼ陥落?シャルロは今不在だし、あいつが連れてきたヘルガも一緒。ほかの部下たちも王国の襲撃で遠出してる。残ってるのって、私だけ?」
ネラは両手の指を折って何度か部下の数を数えていたが、何度カウントしても結果は変わらなかった。そのまま両手を上げて、降参のポーズを取る。
「ずいぶんあっさりと負けを認めるじゃないか」
「負け?お姉ちゃん、誰に向かって口きいてんの。部下がいないならむしろ好都合。魔法で魔王城壊しちゃっても、巻き添え食らって死ぬ子がいないからね」




