表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
195/217

195

 感動の再開が果たされるまでにずいぶんと時間がかかったものだ。ステラに手足を折られ、ファリナに風穴を開けられ、満身創痍になった末に駆け落ち相手との熱い抱擁。ロマンティックのかけらもあったものじゃない。現にシャルロの怪我はまだ回復しておらず、腹に空いた穴を通してファリナの姿が見える。

 

 「なんですかあの二人。さっきまでいがみ合ってたのに、急にハグをし始めましたよ。チロルにはなにがなんだか分かりません」


 「本人たちに聞くのが一番だが、邪魔できる雰囲気でもないしなあ」


 シャルロがこすり付けていた頭を離して、ファリナを見上げる。


 「さっきは老けたなんて言ってごめんね。ファリナは年をとっても綺麗だよ」


 「年取ったってところを否定してくれないんだ」


 「大人っぽくなったってこと。昔のファリナはまだまだ女の子って感じだったけど、今は大人のレディになったね」


 要はもう若くないということなのだが、物は言いようだ。ファリナもまんざらでもなさそうなので、これが二人なりのコミュニケーションなのだろう。


 「何も言わずいきなり姿を消すなんて、この薄情者。私がどれだけあなたのこと探したと思ってるの?」


 「しょうがないじゃん。僕たちは魔王、ネラ様の側近なんだし、命令には絶対服従。国を滅ぼせと言われれば滅ぼすし、恋人と別れろと言われれば別れるしかないの」


 ネラ。その名前は、オルタナからステラを救い出した際に、ロメオも口にしていた。それも妙に親し気に。


 「ネラがそう言ったの?私と別れて行方を眩ませろって?」

 

 「僕たちを半分壊滅状態に追い込んだパーティーの一員だからね。そりゃネラ様も危険視するよ」


 「壊滅させかけたのはロメオさんと、あとはあの馬鹿二人でしょ」


 たしかロメオの話だと、炎と水の魔法使いが魔王城の前で仲間割れを起こして、互いの魔法を衝突させた結果、城がボロボロになったと言っていた。そして相打ちで二人とも死んだらしい。


 「ほんとあの時は焦ったよ。所詮人間だって舐めてたら、ものすごい魔法が襲ってきたんだもん」


 「あなたたちを狙ったわけじゃないんだけどね」

 

 「あの爆発と洪水のせいでこっちの軍勢は一気に削られて、僕も正直パニックだったんだから」


 仲間割れの結果でそれなら、炎と水の魔法使いが力を合わせて魔王軍を攻撃していれば、今頃世界は平和だったかもしれない。


 「あの、お二人さん。思い出話に花を咲かせてるところ悪いんだけど、ちょっといいかな?」


 「あ、勇者さん。さっきはよくも手足を折ってくれたね。まだ骨がグラグラするんだけど」


 「それはお前が私の脇をくすぐったからだ。謝罪なんてしないぞ」


 「それでステラちゃん、なにか聞きたいことが?」


 「あるに決まってる。お前らの過去は駆け落ちという事しか聞いてないんだが、なんで敵同士が駆け落ちしたんだよ」


 ファリナとシャルロが顔を見合わせて、ほぼ同時にくすりと笑った。


 「まだまだ若いわね、ステラちゃんは」


 「そうそう、恋に落ちるのに理由なんていらないんだよ」


 なんだか馬鹿にされている気分だ。いや、実際馬鹿にされているのだろう。


 「私だって恋人くらいいたが?」


 その恋人は、今はもう土の下。必ず魔王を倒すと、カリンの墓に誓ってきた。


 その憎き魔王の側近であるシャルロが、こちらに危害を加えずへらへらと笑っているのは妙な気分だ。初めは美少年のように思えたが、よく見ると男か女か分からない顔つきをしている。


 「うーん、どこから話そうかしら?」


 「長くなりそうなら、駆け落ちした部分だけでいい」


 しかしステラが止めるよりも早く、ファリナは愛おしそうな表情で語り始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ